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2023年8月22日 (火) 03:33時点における版

道徳情操論
The Theory of Moral Sentiments
著者 アダム・スミス
発行日 1759年4月12日 (遅くともこの日迄に)
発行元 "printed for Andrew Millar, in the Strand; and Alexander Kincaid and J. Bell, in Edinburgh"
ウィキポータル 経済学
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道徳情操論』(どうとくじょうそうろん、: The Theory of Moral Sentiments)は、1759年に出版されたアダム・スミスの著作。『道徳感情論』(どうとくかんじょうろん)とも。

主に近代市民社会における、個体として独立している個人が、「共感(sympathy)」をある種の原理として、まとまっていることを述べている。 具体的に言えば、人間は、利己的であり、他人に同調する。

道徳的適切さを指摘した上で、第三者である「公平な観察者」が「同感(sympathy)」でき、当事者は「内なる人」として内面化する。そして、常識(良心)とは、第三者の目で見るということで、「自己規制」しつつ相互行為するものである。そして、これにより、内なる道徳を持つ「フェアプレー」の世界である社会が形成されると主張する。

スミスのもう1つの主著『国富論』とも内容的に関連している。

構成

以下の全7部から成る(最終第6版)。

  • 第1部 - 行為(action)の適切性(propriety)について。- 全3篇。
  • 第2部 - 利点(merit)欠点(demerit)について、あるいは、報奨(reward)罰(punishment)の対象(objects)について。- 全3篇。
  • 第3部 - 我々自身の感情(sentiments)と行為(conduct)に関する我々の判断(judgements)の基礎(foundation)、および義務感(sense of duty)について。- 全6章。
  • 第4部 - 是認(approbation)という感情(sentiment)に対して、効用(utility)がもつ効果(effect)について。- 全2章。
  • 第5部 - 道徳的(moral)な是認(approbation)や否認(disapprobation)という感情(sentiment)に対する、慣習(custom)流行(fashion)の影響(influence)について。- 全2章。
  • 第6部 - 美徳(virtue)の特徴(character)について。- 全3篇。
  • 第7部 - 道徳哲学(moral philosophy)の体系(systems)について。- 全4篇。

第1部

  • 第1部 - 行為(action)の適切性(propriety)について。- 全3篇。
    • 第1篇 - 適切性(propriety)という感覚(sense)について。- 全5章。
      • 第1章 - 共感(sympathy)について。
      • 第2章 - 相互共感(mutual sympathy)の喜び(pleasure)について。
      • 第3章 - 自分たち自身(our own)との一致(concord)・不一致(dissonance)によって、他者(other men)の気持ち(affections)の適切性(propriety)・不適切性(impropriety)を判断(judge)する手法(manner)について。
      • 第4章 - (同じ主題(subject)の続き。)
      • 第5章 - 友好的(amiable)および尊敬的(respectable)な徳(virtues)について。
    • 第2篇 - 適切性(propriety)と両立するさまざまな情念(passions)の程度について。- 全5章。
      • 第1章 - 身体(body)に起源(origin)を持つ情念(passions)について。
      • 第2章 - 想像力(imagination)の特定の作動(particular turn)や習慣(habit)に、起源(origin)を持つ情念(passions)について。
      • 第3章 - 非社会的(unsocial)な情念(passions)について。
      • 第4章 - 社会的(social)な情念(passions)について。
      • 第5章 - 利己的(selfish)な情念(passions)について。
    • 第3篇 - 行為(action)の適切性(propriety)をめぐる人間の判断(judgement)に及ぼす、繁栄(prosperity)逆境(adversity)の効果(effects)について -- すなわち、後者よりも前者の状態にあるほうが、はるかに人間の是認(approbation)を得やすくなる理由は何か。- 全3章。
      • 第1章 - 一般的(generally)に悲しみ(sorrow)への共感(sympathy)は、喜び(joy)への共感(sympathy)より、より鮮明な感覚(lively sensation)だが、主要関係者(the person principally concerned)に自然(naturally)に感じられるものよりは、はるかに不足している(short)ということ。
      • 第2章 - 野心(ambition)の起源(origin)について、そして階級(ranks)の区別(distinction)について。
      • 第3章 - 富者(the rich)や高位者(the great)を称賛(admire)し、貧しく劣った境遇の者(persons of poor and mean condition)を軽蔑(despise)・軽視(neglect)する気質(disposition)によって引き起こされる、我々の道徳感情(moral sentiments)の腐敗(corruption)について。

第2部

  • 第2部 - 利点(merit)欠点(demerit)について、あるいは、報奨(reward)罰(punishment)の対象(objects)について。- 全3篇。
    • 第1篇 - 利点(merit)と欠点(demerit)という感覚(sense)について。- 全5章。
      • 第1章 - 感謝(gratitude)の適正な対象(proper object)と思えるものは何でも報奨(reward)に値すると思えるし、同様に、憤り(resentment)の適正な対象(proper object)と思えるものは何でも罰(punishment)に値すると思えるということ。
      • 第2章 - 感謝(gratitude)と憤り(resentment)の適正な対象(proper objects)について。
      • 第3章 - 恩恵(benefit)を授与(confer)する人の行為(conduct)に是認(approbation)が無いところでは、それを授受(receive)する者の感謝(gratitude)に共感(sympathy)はほとんど無い、そして逆に、災難(mischief)を為す人の動機(motives)に否認(disapprobation)が無いところでは、それを被害(suffer)する者の憤り(resentment)に共感(sympathy)は無いということ。
      • 第4章 - (前章までの要約(recapitulation)。)
      • 第5章 - 利点(merit)と欠点(demerit)の感覚(sense)の分析(analysis)
    • 第2篇 - 正義(justice)善行(beneficence)について。- 全3章。
      • 第1章 - それら2つの徳(virtues)の比較(comparison)
      • 第2章 - 正義(justice)の感覚(sense)について、悔恨(remorse)について、そして利点(merit)の意識(consciousness)について。
      • 第3章 - 自然(nature)の構成(constitution)による功利(utility)について。
    • 第3篇 - 運(fortune)が人間の感情(sentiments)に及ぼす影響(influences)について -- 行為(actions)の利点(merit)と欠点(demerit)を中心に。- 全3章。
      • 第1章 - 運(fortune)の影響力(influence)の原因(causes)について。
      • 第2章 - 運(fortune)の影響力(influence)の程度(extent)について。
      • 第3章 - 感情(sentiments)不規則性(irregularity)究極原因(final cause)について。

第3部

  • 第3部 - 我々自身の感情(sentiments)と行為(conduct)に関する我々の判断(judgements)の基礎(foundation)、および義務感(sense of duty)について。- 全6章。
    • 第1章 - 自己是認(self-approbation)自己否認(self-disapprobation)の原理(principle)について。
    • 第2章 - 称賛(praise)への、および称賛に値するもの(praise-worthiness)への愛好(love)について、また非難(blame)への、および非難に値するもの(blame-worthiness)への恐怖(dread)について。
    • 第3章 - 良心(conscience)の影響力(influences)と支配力(authority)について。
    • 第4章 - 自己欺瞞(self-deceit)の性質(nature)について、そして一般規則(general rules)の起源(origin)と使用(use)について。
    • 第5章 - 道徳性(morality)一般規則(general rules)の影響力(influences)と支配力(authority)について、そしてそれらが正当(justly)に神の法(the Laws of the Deity)として見做されるということ。
    • 第6章 - 義務感(sense of duty)が我々の行為(conduct)の唯一の原理(sole principle)であるべき場合(cases)、また他の動機(other motives)協働(concur)すべき場合(cases)。

第4部

  • 第4部 - 是認(approbation)という感情(sentiment)に対して、効用(utility)がもつ効果(effect)について。- 全2章。
    • 第1章 - 効用(utility)の心象(appearance)が全ての技芸(art)の生産物(productions)に付与(bestow)する美(beauty)について、そしてこの種の美(beauty)の広範な影響力(extensive influence)について。
    • 第2章 - 効用(utility)の心象(appearance)が人間(men)の人柄(characters)や行為(actions)に付与(bestow)する美(beauty)について、またこの美(beauty)の知覚(perception)が、どの程度「是認(approbation)原初的原理(original principles)」の1つと見做せるかについて。

第5部

  • 第5部 - 道徳的(moral)な是認(approbation)や否認(disapprobation)という感情(sentiment)に対する、慣習(custom)流行(fashion)の影響(influence)について。- 全2章。
    • 第1章 - 我々の美(beauty)醜(deformity)観念(notions)に対する、慣習(custom)や流行(fashion)の影響(influence)について。
    • 第2章 - 道徳感情(moral sentiments)に対する、慣習(custom)や流行(fashion)の影響(influence)について。

第6部

  • 第6部 - 美徳(virtue)の特徴(character)について。- 全3篇。
    • 第1篇 - 本人自身(his own)幸福(happiness)に影響(affect)するかぎりでの個人(individual)の特徴(character)について、すなわち賢明さ(prudence)について。
    • 第2篇 - 他人(other people)幸福(happiness)に影響(affect)するかぎりでの個人(individual)の特徴(character)について。- 全3章。
      • 第1章 - 各個人(individuals)が自ずと集団的な世話(care)配慮(attention)へと促される順序(order)について。
      • 第2章 - 各社会(societies)が自ずと集団的な善行(beneficence)へと促される順序(order)について。
      • 第3章 - 普遍的(universal)博愛(benevolence)について。
    • 第3篇 - 自制心(self-command)について。

第7部

  • 第7部 - 道徳哲学(moral philosophy)の体系(systems)について。- 全4篇。
    • 第1篇 - 道徳感情(moral sentiments)の理論(theory)において検討(examine)されるべき問題(questions)について。
    • 第2篇 - 徳(virtue)の性質(nature)について与えられてきたさまざまな説明(accounts)について。- 全4章。
      • 第1章 - 徳(virtue)が適切性(propriety)に存在(consist)するという体系(systems)について。
      • 第2章 - 徳(virtue)が賢明さ(prudence)に存在(consist)するという体系(systems)について。
      • 第3章 - 徳(virtue)が博愛(benevolence)に存在(consist)するという体系(systems)について。
      • 第4章 - 勝手気まま(licentious)な体系(systems)について。
    • 第3篇 - 是認(approbation)の原理(principle)をめぐって形成(form)されてきたさまざまな体系(systems)について。- 全3章。
      • 第1章 - 是認(approbation)の原理(principle)を自己愛(self-love)から導出(deduce)する体系(systems)について。
      • 第2章 - 理性(reason)を是認(approbation)の原理(principle)とする体系(systems)について。
      • 第3章 - 感情(sentiment)を是認(approbation)の原理(principle)とする体系(systems)について。
    • 第4篇 - 道徳性(morality)に関する実践的規則(practical rules)様々な著者(authors)が取り扱った方法(manner)について。

内容

日本語訳

脚注

関連項目

外部リンク