無修正

無修正（むしゅうせい）とは、修正の反語。日本等における、性器等の猥褻部位、又は性交の結合部分にモザイク処理をしていない画像や動画等の違法なポルノを意味する。

概要

日本等において、生殖器へモザイク（修正）処理がなされていない違法ポルノを意味する言葉。無修正ポルノ動画（非適正AV等）、無修正わいせつ画像の大多数は、盗撮やリベンジポルノなど基本的に無断撮影されたモノ、又は適正AV詐欺や恋人等の同意性行為間における撮影自体を許可していても無断販売や無断拡散されたモノである。これらは、生殖器部分だけでなく、顔にも基本的にモザイク処理がなされていない。そのため、日本では医学など正当な要素が無く、無修正の生殖器の動画や画像・そのリンク（URL）の投稿行為を刑事罰対象することで、これらのような不同意わいせつ動画像投稿者や拡散者を摘発しやすくしている。販売等の拡散行為へ被撮影者本人から許可を取っていない場合は、実質的に無修正リベンジポルノ拡散者として、被害者のいる重罪ケースとなる。このケースでは、無修正での販売や投稿等の拡散行為に本人同意があったケースよりも量刑が重くなる。そして、被撮影者本人が無修正販売等をしていたケースでも、それを本人以外が転売や配布した際には、同じくわいせつ物頒布等の罪となるものの、拡散した程に無修正被撮影者本人よりも罪が重くなる。そして、無修正ポルノ投稿やURL投稿等のわいせつ物頒布等の罪で逮捕された後、被害者が判明した際には連絡がいくことで、基本的に名誉毀損やリベンジポルノ法違反でも罪が問われる。そして、ディープフェイクにおいて、無修正の場合は、わいせつ物頒布等の罪と顔を悪用された人への名誉毀損、適正AV等を使用した際には著作権法違反と名誉毀損の罪も問われる。昭和54年6月27日の東京高等裁判所の判決で認められているものの、取り締まる側へわいせつ物か判断する裁量の余地を残していることへの否定的な意見もある。

最高裁（昭和58年3月8日判決）によって、性器等が完全無修正ではなかったとしても黒塗りによる修正範囲が狭くて不十分な場合、内容が物語性や芸術性・思想性など性的刺激を緩和要素がほぼ無く、性的興味を喚起させるモノは、わいせつで違法あるとの判決がなされている。

「修整」は、レタッチ等の画像や動画を綺麗に手直しするという意味なので、「無修整」ではなく、「無修正」である。無修正動画は裏ビデオ、無修正画像の書籍は裏本などとも呼ばれている非合法品である。

性病回避・避妊との関連

AV女優・AV男優は、性病感染や妊娠のリスクが高い職業である。日本では局部へのモザイクが義務となっていることで隠せるために、適正AV作品では「中出し」「生本番」と記載されていてもコンドーム装着が基本であり、膣内射精も擬似的である。しかし、カリビアンコムのように海外経由で配信されていた、日本では違法である無修正AVにおいては、中出し（膣内射精）が本当にされている。無修正AVでは、中出ししない場合でもコンドーム未着用が基本であり、主演する女優にアフターピル支給されたり、事前に低容量ピル服用者を起用することになっている。日本では、モザイクなしの無修正ポルノは違法であるため、無修正であると知りながら撮影や制作へ協力した場合も、2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金が課されるわいせつ物頒布等罪などに問われる。

投稿・配布等に対する刑事罰

投稿

Twitter等のインターネット上へ投稿する行為はわいせつ電磁的記録公然陳列罪となり、2年以下の懲役または250万円以下の罰金が課される。弁護士によると公開範囲が広い程、罰金額も高くなるとされる。 SNSに男女の無修正生殖器の映った動画を投稿していた男性がわいせつ電磁的記録陳列罪で逮捕された。

所持

2023年、無修正のわいせつなDVDを所持していた男性が販売目的だった疑いで逮捕された。警視庁の家宅捜索で、男性の経営する店から約9000枚のDVDが押収された。所持している無修正ポルノを他者に渡す等した場合には、営利目的でない無償配布でも、わいせつ物頒布等の罪（2年以下の懲役もしくは250万円以下の罰金か科料。又は、懲役と罰金の両方を併科）が成立する。そして、無修正児童ポルノの場合には、誰にも渡す等していない単純所持であっても児童ポルノ法違反で罪になる。

URL投稿

医療等の正当な理由が無く、無修正の生殖器が映っている画像や動画のURL投稿も刑事罰対象である。同じくURLの掲載で被写体が未成年の場合は「児童ポルノ公然陳列罪」となるとの最高裁判所の判例（平成24年7月9日）がでている。

2017年には海外の動画配信サイトに公開されていた無修正動画のURLを3回投稿したことによる「わいせつ電磁的記録媒体陳列罪」で札幌市の男性を逮捕している。逮捕された男性は「閲覧数を増やして目立ちたかった」と語っている。

2023年には広告収入を得るために、海外の投稿サイトの無修正わいせつポルノのURLを掲載したホームページ運営した男らが逮捕されている。

送信・配信・頒布（配布）

無修正の販売だけでなく、金銭を取らないことで営利目的ではなくても頒布など拡散行為も違法である。

改正前の「頒布」とは、無修正写真やDVDなどの物質を配布するという意味のみで、デジタルで送付・配信したケースでは、「物」の移動がないとして無罪判決となっていた。そのため、「電気通信の送信」（インターネット）という、わいせつ情報のデジタルな移動行為も「頒布」に当たると改正された。

一部の小規模のAV制作会社によって行われていた、海外にサーバーがあるサイト経由配信でも無修正であると関係者らは逮捕されるようになっている。2017年1月に、無修正のわいせつ動画を配信していた制作会社がわいせつ電磁的記録媒体送信頒布罪で摘発され、同社社長ら6人が逮捕された。同年3月2日、当該無修正動画に出演していた女優1名と男優2名、および女優を派遣していたプロダクションの従業員らも逮捕された。

販売・転売

無修正動画をDVDにダビングして転売していたとして、2017年9月7日大阪府の夫婦、8日には東京都の40代男ら6人が逮捕された。

2019年にインターネットオークションに、無修正猥褻DVDを出品した男2人が逮捕された。

「適正AVとしての出演」へ同意した女性らを騙して、動画サイトFC2などで無修正販売した同人AV業者らがわいせつ電磁的記録陳列罪で逮捕されている。彼らは逮捕後の調査で、出演女性らに契約書の交付もしなかったことも判明し、AV新法違反でも再逮捕された。

2023年に無修正動画販売していた男女が、わいせつ電磁的記録送信頒布罪で逮捕された。

無修正風加工関連

2021年AI技術で市販されている適正AVをモザイクなしに見えるように加工したわいせつな動画をインターネット上に公開した男性が、著作権法違反（翻案権侵害）と、わいせつ電磁的記録記録媒体陳列の両容疑で逮捕された。読売新聞社によると、男性はサイトを運営し、約200人に計約2600本の加工動画を販売していたことも明らかになっている。