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'''アグスタウェストランド(現在は レオナルド)AW609'''は、'''BA609'''として[[アメリカ合衆国]]の[[航空機]]メーカー[[ベル・ヘリコプター]]と[[ヨーロッパ]]の航空機メーカー[[アグスタウェストランド]]の合弁会社'''ベル/アグスタ・エアロスペース ''' (BAAC)により開発が始まり、今なお開発が続いている民間用[[ティルトローター]]機。[[2003年]][[3月7日]]初飛行。2011年ベル・ヘリコプター社との合弁解消により現在の形式名となった。その後、会社名がレオナルドに変わったのにともなって、機種名における社名も変わった。2023年3月現在、開発が継続されており、試作機が飛行している<ref>[https://www.jwing.net/news/63484 レオナルド、EASAスタッフがAW609を飛行]</ref>。 |
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== 概要 == |
== 概要 == |
2023年6月11日 (日) 01:24時点における版
アグスタウェストランド AW609
- 用途:乗客輸送
- 分類:ティルトローター機、パワード・リフト機
- 設計者:アグスタウェストランド
- 製造者:アグスタウェストランド
- 初飛行:2003年3月7日
- 生産数:受注80機
- 運用状況:開発中
- ユニットコスト:1000万米ドル
アグスタウェストランド(現在は レオナルド)AW609は、BA609としてアメリカ合衆国の航空機メーカーベル・ヘリコプターとヨーロッパの航空機メーカーアグスタウェストランドの合弁会社ベル/アグスタ・エアロスペース (BAAC)により開発が始まり、今なお開発が続いている民間用ティルトローター機。2003年3月7日初飛行。2011年ベル・ヘリコプター社との合弁解消により現在の形式名となった。その後、会社名がレオナルドに変わったのにともなって、機種名における社名も変わった。2023年3月現在、開発が継続されており、試作機が飛行している[1]。
概要
V-22開発の経験を活かし、1996年から民間機として開発が開始された。当初はベル社とボーイング社の共同開発であったが、1998年からベル社とアグスタ社の共同開発に変更になり形式"BA609"として、さらに2011年からはアグスタウェストランド単独での開発体制となり、型式もAW609に変更された。
用途としては民間機[注 1]では回転翼機では到達できない遠距離でかつ、ビジネスジェットを使うまでもない500km位の移動に適している。また公用では、たとえば、遭難者の捜索に際しては広範な面積を迅速に捜索出来て、かつホバリングを用いた救助を同時に行うことが可能であり、V-22程の機体の大きさを必要としない沿岸警備隊、山岳救助隊などで威力を発揮することが考えられる。
V-22と異なり、キャビン内が与圧されており[注 2]、防氷装置も装備されており、計器飛行が可能で、高高度での飛行が可能となっている。このことはエベレストを含む山岳救助への可能性を示している。サイズの違いなどから、V-22との共通部品は実質的に存在しない。 機体のアウトラインはV-22を踏襲しており、前進翼気味の主翼端にティルトローターがついたものである。サイズはV-22と比較して、かなり小型であり、V-22の自重15t・ローター直径11.6m・兵員24名に対し、自重7.6t・ローター直径7.9m・乗客9名となっている。尾翼はT字尾翼であり、主脚も胴体内に収容され、V-22のようにスポンソン(胴体下部の張り出し部分)は用いていない[注 3]。
離着陸は回転翼機モードにて行う。固定翼機モード・水平飛行時は巡航速度500km/h・航続距離約1,500kmを目指している。ヘリコプターの巡航速度は300km/h前後であるから、格段に速いものとなる。ちなみに"ヘリコプターの最大速度400km/h前後"とされているものは、水平面回転翼で実現できる限界速度という意味であり、実際のヘリコプターでは降下中にしか実現できない。
さらに特筆すべきは、機体の総重量に対するエンジン出力(出力重量比)が、垂直離着陸機の中では最も高いこと、片発が停止してもそのまま飛び続けられることが挙げられる。
開発
試作機は2003年3月7日に回転翼機モードで初飛行に成功した。固定翼機モードへの遷移飛行は2005年に成功している。2009年9月21日に開発のスピードアップを図るため、親会社であるフィンメカニカはアグスタウェストランドCEOにベル・ヘリコプターの持分を購入する権限を与えた。2011年にはV-22と共用する技術の完全な移転を中心に交渉を持った。同年6月の第49回パリ航空ショーで、アグスタウェストランドはこの機体の所有権を手に入れ"AW609"と改名したことを発表した。ベル・ヘリコプターはコンポーネントの設計と認証の役割を引き続き負うことになった。所有権の取引は規制当局の承認を経て、2011年11月に完了した。
2015年7月時点では、2017年にFAAの型式証明取得を、2018年の引き渡し開始を予定しており、価格はAW139の1.3倍程度とされた[2]。2015年10月30日に試験飛行を行っていた2号機がイタリアのピエモンテ州で墜落してパイロット2名が死亡する事故が発生[3]。量産初号機の初公開は2021年まで遅延した[4]。
要目
- 全長:13.45m
- 全幅:18.3m
- 主回転翼直径:7.9m
- 主翼幅:10.0m
- 全高:4.5m
- 自重:4.7t
- 最大離陸重量:7,620 kg (16,799 lb)
旅客・貨物室の寸法は、ウィキペディア英語版 AgustaWestland AW609 (2018年11月1日 (木) 02:43の版)より日本語に翻訳した上で引用。
- 旅客・貨物室全高: 4 ft 8 in (1.42 m)
- 旅客・貨物室全幅: 4 ft 10 in (1.47 m)
- 旅客・貨物室全長: 13 ft 5 in (4.09 m)
- エンジン:P&Wカナダ PT6C-67A ターボシャフトエンジン(出力 1,940軸馬力)2基
- 乗客:最大9名
性能値
性能値の一部はウィキペディア英語版 AgustaWestland AW609 (2018年11月1日 (木) 02:43の版)より日本語に翻訳した上で引用。
- 最大巡航速度: 509 km/h; 316 mph (275 kn)
- 航続力:1,389 km (863 マイル; 750 nmi)
通常内部燃料 + 2,500 kg (5,500 lb) の標準旅客および貨物搭載量にて経済巡航速度 463 km/h (288 mph; 250 kn)の条件による。
- フェリー輸送時の最大航続距離: 1,852 km (1,151マイル ; 1,000 nmi)
- 航続時間:約 3 時間(標準燃料搭載時)
- 実用上昇限度:7,620 m (25,000 ft)
- 地面効果外のホバリング限界高度 (HOGE): 1,525 m (5,003 ft)
- 荷重限界値:正方向 +3.1G、負方向 -1G
- 海面での初期上昇率:7.616 m/毎秒 (毎秒1,499.2 ft)
- 翼面円板荷重:最大値 77.4 kg/m2 (15.9 lb/sq ft)
脚注
注釈
出典
- ^ レオナルド、EASAスタッフがAW609を飛行
- ^ “アグスタウェストランドのティルト機AW609、価格は中型ヘリ比1.3倍”. Aviation Wire (2015年7月6日). 2016年4月19日閲覧。
- ^ “アグスタウェストランド、開発中のAW609試験飛行機が墜落 乗員2名死亡”. FlyTeam (2015年10月31日). 2016年4月18日閲覧。
- ^ “滑走路不要! 垂直離着陸OKのティルトローター旅客機「AW609」中東に初お目見え”. 乗り物ニュース (2021年11月22日). 2022年8月31日閲覧。