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せんだい都心再構築プロジェクト(せんだいとしんさいこうちくプロジェクト)とは、宮城県仙台市が仙台市都心部にて主導する都市再開発誘導事業である。
概要
仙台市は2019年7月、仙台市都心部の再開発推進のため、約100億円規模の投資を実施することを発表[1]。期間は2030年度までとしたうえで、第1弾施策として老朽化した建物の建て替えと企業立地を主眼においた実施内容を公表した[1]。翌2020年10月には、第2弾施策を公表[2]。杜の都のイメージを損なわない環境配慮型のビル整備を促し、主に首都圏からの移転需要取り込みを狙う[2]。
仙台市では特に震災以降、オフィスビルの空室率は低水準が続いているものの、老朽ビルの更新が進んでいないことによるオフィス賃料の下落も進み、需要に応えられていないという課題があった[3]。2015年より天神ビッグバンを打ち出し再開発を進める福岡市を先行目標例として追随し[4][5]、支店経済都市からの脱却、都市間競争からの勝ち残りを目指す[2][6]。
プロジェクト内容
第1弾施策
2019年7月16日に公表された第1弾施策では、都市再生緊急整備地域内[注 1]を対象に約5ヵ年を目途として、1981年の建築基準法改正前の旧耐震基準で建築されたビルの更新をメインに据えており[3]、建て替えに伴う助成金制度の創設、高機能オフィス整備に伴う容積率の緩和、企業立地に伴う助成制度の拡充、複合商業施設等などの設置による補助金上限の引き上げ、附置駐車場台数の緩和が示された[1][7]。
第2弾施策
2020年10月13日に公表された第2弾施策では、グリーンビルディングの整備促進やテナント退去に伴う支援助成制度を新たに策定[2]。本社機能の移転に伴う助成要件の緩和や、都市再生緊急整備地域に建築される高さ100m以上もしくは延床面積50,000m2以上の建築物を対象に、仙台市が新たに定めた環境配慮事項を満たすことで環境アセスメントの手続きを不要とすることを盛り込んだ他、第1弾施策で示していた企業立地促進助成制度や容積率の緩和についても拡充する[2]。
付帯事業
当プロジェクトでは、付帯事業として定禅寺通りや青葉通りにて、車道を縮小し歩行者空間を広げる社会実験を実施[8][9]。仙台市本庁舎の建て替えや勾当台公園再整備計画が進められている「勾当台・定禅寺通エリア」や、当プロジェクトの中心地となる「青葉通駅前エリア」の将来像を検討してゆく[10][11]。
定禅寺通りの西側区間では、社会実験での成果を受けて、車線を減少させ歩道を拡幅する方針を決定[12]。2024年度より2027年度にかけて、歩道や中央緑道に給排水設備の 設置や電源設備の増設等も含めた改良工事を行う予定[13][14]。
沿革
- 2019年
- 2020年
- 2022年
- 2023年
認定された建築物
ビル名称 | 事業者 | 認定年月 | 高さ (m) |
階数 地上/地下 |
延床面積 (m2) |
敷地面積 (m2) |
所在地 | 竣工年月日 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
アーバンネット仙台中央ビル | NTT都市開発 | 2020年4月 | 88.7 | 19階/1階 | 42,113 | 3,073 | 中央4丁目4-10 | 2023年11月 予定 |
(仮称)仙台中央三丁目プロジェクト | 鹿島建設 | 2022年6月 | 52.0 | 11階/1階 | 13,000 | 1,350 | 中央3丁目4-12 | 2025年2月 予定 |
T-PLUS仙台 | 東京建物 | 2022年6月 | 55.0 | 12階/1階 | 13,834 | 1,510 | 中央3丁目8-1 | 2024年1月 予定 |
ウッドライズ仙台 | ウッドライズキャピタル | 2022年6月 | 48.0 | 10階/1階 | 10,200 | 1,250 | 国分町1丁目7-4 | 2023年11月 予定 |
一番町三丁目七番地区市街地再開発(北街区) | 東日本興業 明治安田生命保険 戸田建設 など9者 |
2023年5月 | 3,500 | 一番町3丁目7-1 | 2030年度 予定 | |||
一番町三丁目七番地区市街地再開発(南街区) | 7,740 | 2035年度 予定 |
アーバンネット仙台中央ビル
NTT東日本(NTT都市開発)が事業者となり、青葉区中央4丁目の自社ビルを建て替える。当初、16階建て・延床面積24,000m2を予定していたが[21]、高機能オフィス整備等が認められたことで、19階建て・延床面積42,000m2へと計画を変更[6][22]。2023年11月竣工予定[23]。
東北大学青葉山キャンパスで建設が進められている放射光施設・ナノテラスとの連携を見込み、NTTグループの強みである情報通信技術を活用したデータ解析等の支援を行う[6]。
(仮称)仙台中央三丁目プロジェクト
鹿島建設が事業者となり、青葉区中央3丁目にてビルの再開発を行う。2025年2月の完成を目指し、協議中[24]。自社東北支店の建て替え移転を前提とし、オフィス面積の1/2以上を賃貸とする[25]。
T-PLUS仙台
東京建物が事業者となり、青葉区中央3丁目にてビルの再開発を行う。東京建物としては仙台市内で4棟目のオフィスビルとなる[26]。高機能オフィスとして認定を受けたことで容積率を緩和し、階層を3フロア分上乗せ[26]。12階建て・延床面積13,800m2、2024年1月竣工予定[18]。
ウッドライズ仙台
長谷工コーポレーションや日本政策投資銀行、七十七銀行キャピタル等による不動産私募ファンド、ウッドライズキャピタルが事業者となり、青葉区国分町1丁目にてビルの再開発を行う[3]。半木造構造による建築コストの増加分を容積率の緩和による採算性向上を見込み、プロジェクトに申請[3]。高機能オフィスとしての認定を受け、容積率の緩和が認められた。10階建て・延床面積10,200m2[27]。2023年11月竣工予定。
一番町三丁目七番地区市街地再開発
電力ビルを所有する東日本興業をはじめ、街区内に位置する土地や建物を所有する明治安田生命保険や戸田建設など9者が、電力ビル一帯の敷地面積約18,000m2の再開発を計画[28][29]。オフィスや店舗、ホテルに加え、音楽ホール(電力ホール)の後継施設から構成される35階建て(南棟)および24階建て(北棟)、延べ床面積約172,000m2のツインタワーの建設を想定し、せんだい都心再構築プロジェクトの認定を見込む[29][30]。北棟は仙台市地下鉄南北線・広瀬通駅と直結[31]。2025年度より既存ビルの解体工事を開始し、2035年ごろの街区完成を目指す[29]。総事業費は数百億円規模を見込む[32]。
2023年4月、第2弾施策で策定した環境アセスメント条例の手続き省略を可能とした、グリーンビルディング制度の認定に向けた協議を開始[33]。同年5月に同制度第1号案件として認定され、環境アセスメントの手続きが省略される[20]。引き続き、高機能オフィス整備による容積率の緩和等に向けた協議を行う[34]。
そのほかの計画・構想
- さくら野百貨店仙台店跡地
2017年に倒産したさくら野百貨店仙台店跡地の再開発をパン・パシフィックHDが行う計画で、敷地面積は約5,500m2[35][36][37]。商業施設・オフィス・ホテルからなる30階建て規模のツインタワーを構想し、仙台市との連携を目指す[36]。
- 一番町三丁目おおまち南地区市街地再開発
藤崎本館を含めた20棟程度のビルを一体的に再開発を行う計画で、敷地面積は約17,000m2[38]。藤崎本館の建て替えを中核とし、オフィスやホテルを検討し、せんだい都心再構築プロジェクトの認定を目指す[38]。大成建設を事業協力者として指名している[39]。
脚注
注釈
出典
- ^ a b c d 仙台市、都心部の再開発に100億円 日本経済新聞(2019年7月16日)
- ^ a b c d e f 仙台市、環境配慮のビル整備促す 地方分散呼び込む 日本経済新聞(2020年10月13日)
- ^ a b c d e 仙台都心部、優遇策でビル建設促進 中小巻き込みに課題 日本経済新聞(2022年8月23日)
- ^ 仙台中心部、再開発始動へ オフィス建て替え市が促す 日本経済新聞(2019年8月2日)
- ^ 福岡市にライバル宣言 仙台市長、都心再構築事業に意欲 河北新報(2021年2月20日)
- ^ a b c 脱支店経済へ、仙台市とNTTの挑戦 未来コトハジメ・日経BP(2022年8月2日)
- ^ a b 「せんだい都心再構築プロジェクト」を始動します 仙台市(2019年7月16日)
- ^ 仙台・青葉通の歩道に芝生 にぎわいづくりへ社会実験 日本経済新聞(2019年11月15日)
- ^ 仙台市、車道減らし歩行空間のにぎわい創出 日本経済新聞(2022年9月16日)
- ^ 勾当台・定禅寺通エリアビジョンを策定しました 仙台市(2021年6月1日)
- ^ 青葉通駅前エリアの公共空間のあり方検討 仙台市
- ^ 仙台・定禅寺通の車線削減へ 歩道拡幅、にぎわい空間に ケヤキ並木は維持・継承 河北新報(2022年12月17日)
- ^ 仙台市、定禅寺通の再整備方針策定 24年度着工へ 日本経済新聞(2023年3月16日)
- ^ 定禅寺通をイベント活用しやすく 仙台市が27年度までに整備方針 給排水設備13カ所新設 河北新報(2023年5月7日)
- ^ せんだい都心再構築プロジェクト 老朽建築物の建替え第1号が決定しました (PDF) 仙台市(2020年4月7日)
- ^ 都市再生緊急整備地域 仙台市
- ^ 都心部における大規模建築物に関する環境影響評価制度を改正しました 仙台市(2020年12月1日)
- ^ a b せんだい都心再構築プロジェクトによる3棟の高機能オフィスビルが誕生します 仙台市(2022年6月7日)
- ^ 「グリーンビルディングの整備を促進するための方針」に基づく第1号案件を認定します 仙台市(2023年5月23日)
- ^ a b 仙台市、電力ビル再開発を環境配慮ビル認定 日本経済新聞(2023年5月23日)
- ^ NTT東、仙台中央ビル建て替え 次世代放射光施設を支援 日本経済新聞(2019年6月12日)
- ^ 仙台市、老朽化ビル建て替え急ぐ 企業誘致へ助成拡充 日本経済新聞(2020年11月6日)
- ^ 仙台市青葉区中央における新築工事着工および計画建物名称「アーバンネット仙台中央ビル」決定について (PDF) NTT都市開発(2022年3月18日)
- ^ (仮称)仙台中央三丁目プロジェクト 仙台市
- ^ 仙台市/都心再構築PJの第2弾/市内中心部にオフィスビル3棟/中央3丁目は鹿島が自社施工 みやぎ建設新聞(2022年6月8日)
- ^ a b 東京建物、仙台市の再開発認定ビル着工 日本経済新聞(2022年9月1日)
- ^ (仮称)仙台国分町プロジェクト 仙台市
- ^ 仙台中心部、電力ビル軸に一体開発へ 東北電力系など 日本経済新聞(2023年4月1日)
- ^ a b c 仙台の電力ビル一体開発計画、正式発表 高層ビル2棟に 日本経済新聞(2023年4月3日)
- ^ 24階と35階のツインタワー建設へ 仙台・電力ビル跡地 35年度ごろ完成 河北新報(2023年4月4日)
- ^ 仙台・電力ビル、本館は30年解体 高さ東北一に並ぶ 日本経済新聞(2023年4月28日)
- ^ 仙台のランドマーク「電力ビル」解体へ 10年かけツインタワーに 朝日新聞デジタル(2023年4月4日)
- ^ 電力ビル周辺再開発、アセス省略第1号へ 仙台市「グリーンビル」認定協議 河北新報(2023年4月15日)
- ^ 仙台市/一番町三丁目七番地区再開発(青葉区)、グリーンビル制度初弾案件に認定 日刊建設工業新聞(2023年5月25日)
- ^ 仙台の旧さくら野百貨店、パンパシHDが再開発へ 日本経済新聞(2020年3月20日)
- ^ a b 仙台駅前の百貨店跡地、再開発にドンキ運営会社が名乗り 読売新聞オンライン(2020年3月24日)
- ^ さくら野跡地、ドンキ運営会社が再開発めざす 朝日新聞デジタル(2020年3月24日)
- ^ a b 百貨店の藤崎など建て替え、仙台市中心部で再開発 日本経済新聞(2020年7月8日)
- ^ 一番町三丁目おおまち南地区市街地再開発事業 事業協力者公募の選定結果について 株式会社都市デザイン(2021年5月11日)
外部リンク
- せんだい都心再構築プロジェクト (仙台市)