「ブラッド・ソード」の版間の差分
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ゲームブックを原作とした全三巻の連作 ''The Chronicles of the Magi'' (マグスの年代記)がデイブ・モリスの手によって執筆された。 |
ゲームブックを原作とした全三巻の連作 ''The Chronicles of the Magi'' (マグスの年代記)がデイブ・モリスの手によって執筆された。 |
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主人公はウォリアー・モンクの Altor とローグの Caelestis との二名。 |
主人公はウォリアー・モンクの Altor とローグの Caelestis との二名。 |
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* The Sword of Life {{仮リンク|ホッダー・アンド・ストートン|en|Hodder & Stoughton|label=Hodder & Stoughton}}(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN |
* The Sword of Life {{仮リンク|ホッダー・アンド・ストートン|en|Hodder & Stoughton|label=Hodder & Stoughton}}(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN 0340672986 |
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:ゲームブックの1巻に相当。 |
:ゲームブックの1巻に相当。 |
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* The Kingdom of Dreams Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN |
* The Kingdom of Dreams Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN 0340672994 |
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:ゲームブックの2巻に相当。 |
:ゲームブックの2巻に相当。 |
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* The City of Stars Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN |
* The City of Stars Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN 0340673001 |
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:ゲームブックの3巻に相当。ゲームブックとは異なり小説ではブラッドソードが黄泉の国に持ちさられることがなく、物語はここで完結する。 |
:ゲームブックの3巻に相当。ゲームブックとは異なり小説ではブラッドソードが黄泉の国に持ちさられることがなく、物語はここで完結する。 |
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2023年4月29日 (土) 00:13時点における版
『ブラッド・ソード』(Blood Sword)は、デイブ・モリスとオリバー・ジョンソンによるゲームブック作品である。パラグラフの選択でストーリーが進むというゲームブックの体裁を取っているが、それぞれ違う役割を持った複数のキャラクターが登場し、多人数でパーティーを組んでプレイできるところなどテーブルトークRPG (TRPG) の色合いが濃い。
1980年代後半に、Knight Books より全5巻が出版された。日本では大出健の翻訳が富士見書房より発行されたが(刊行レーベルは富士見ドラゴンブック)、最終巻のみ訳されていない。
その後、2010年代に、Fabled Lands Publishingよりペーパーバック版が表紙を新装される形で再発行されている。英語の小説(未訳)も存在しており、根強い人気があるゲームブック作品である。
英語版記事も参照(en: Blood Sword (gamebook series))
システム
ブラッド・ソードには他のゲームブックにはあまり見られないシステムがいくつか採用されている。これらのシステムは、TRPGではよくみられるものである。
使用するダイスは6面ダイスのみであるが、多数のダイスを振ることもある。
キャラクターの能力値と成長
キャラクターは四つの能力値であらわされる。
- 戦闘力
- キャラクターの戦闘技術をあらわす。主に敵への物理的な攻撃の成功率に影響する。
- 精神力
- 主にキャラクターの敵からの精神魔法や精神攻撃への抵抗力。魔術師の場合は、魔法をかける能力をあらわす。
- 機敏度
- 主に動作の機敏さ、器用さ、機転をきかす能力をあらわす。
- 生命力
- キャラクターの生命力を示す。傷を受けることで、生命力が減っていき、ゼロになると、そのキャラクターは死んだことになる。回復魔法や薬によって、生命力を増やすことができるが、初期の数値より上になることはない。
また、これ以外にもキャラクターの技術と力量を表す「経験点」と、キャラクターの成長度合いを示す「ランク」が存在する。経験点を250点得るとキャラクターのランクが一つ上昇し、それにともない戦闘力・精神力・機敏度が時々、上昇する。生命力は、戦士と盗賊はランクに6をかけた数値、僧侶と魔術師はランクに5をかけた数値となる。
クラス
多くのゲームブックは1人で行動をするが、ブラッド・ソードでは4人までのパーティを組んで行動できる。
- 戦士(ウォリアー)
- 古代セレンチーヌの貴族に繋がる家柄の戦士。腕力と勇気、気高い目的があれば、いかなる目標も達成することができると信じる勇者であり、戦闘の専門家である。特殊な能力は持っていないが、他のキャラクタークラスより、戦闘力と打撃力が高く、鎧強度が高いチェーンメイルを着ることができ、最も戦闘能力に秀でている。軍隊を動かす戦闘指揮能力にも優れている。腕力を生かして扉を蹴破る、咄嗟に剣を投擲して敵を倒す、命を捨てる覚悟を見せ相手をひるませる等の行動に出る事もある。
- しかし、騎士道精神を受け継ぐべく運命づけられているため、不利な状況でも名誉ある行動を優先せざるをえないことがあり、救うべき人間を見捨てる、暴徒に降伏する等の不名誉な行動を取ると、その巻のラストで得られる経験値が減点されてしまう。
- 4巻クリア後は、両手に剣を持つ事で2度攻撃可能な二刀流の技能や、武器を持たなくても戦闘力を低下させずに戦える素手戦闘の技能を身につけ、鎧強度がさらに高いプレートメイルを装備することになる。
- 盗賊(トリックスター)
- 機会を生かしたずる賢い機転や策略で生き抜くタイプのキャラクター。ペテンや背後からの攻撃を使っての勝利を選ぶ、ずるさを最大の武器にしている。開錠、演技、話術、手品、いかさま、腹話術等、状況に応じて多彩な特技を使い分け、様々な状況を切り抜ける。盗賊独自の選択肢では、TRPGの巧みなロールプレイのような機転やずる賢さを発揮する場面が数多く見られ、『ブラッド・ソード』という作品の特徴にもなっている。
- 戦士に次ぐ戦闘力を持ち、弓矢による攻撃が可能で、さらに他のクラスよりも敵の攻撃から身をかわす技術に優れている。4巻クリア後は、身をかわす技術がさらに強化される。
- さらに、英語旧版・日本語翻訳版では、一戦闘に一度だけ二回行動できる「ダブル・アクション[1]」を使えるため、戦士よりも戦闘時に有利な部分も存在する。しかし、英語新装版では「ダブル・アクション」は、なくなっている。
- 僧侶(セージ)
- 不毛の島・カクソスにある厳格な啓蒙主義の修道院で肉体と精神の修行を積み、超能力を習得した僧。古代の伝承や、様々な言語、数々の文献、多様な分野に関する知識に詳しく、その知識によって、冒険の成功に大きく寄与する。禁欲的な修行者であり、常に精神を磨くことを求めている。生命力回復術、空中浮遊、悪霊払い、透視術、読心力という超能力を使いこなす。
- 生命力回復術は自分の体力を掛金にした確率的には有利なギャンブルであり、超自然の力によって、自分を含めたパーティーの仲間の生命力を回復させることができる。ただし、すでに生命力がゼロ以下になり、死んだキャラクターは生き返らせることはできない。英語旧版・日本語翻訳版では、戦闘時以外は何度でも行うことができたが、英語新装版では戦闘のないパラグラフにつき、一度しか行えず、再度、実行するためには違うパラグラフに移動する必要がある[2]。
- 「読心術」は、考えを知る能力。「透視術」は、石や金属は通すことはできないが、カーテンや霧・水のような柔らかい物質を通して見る能力。「空中浮遊」は、体にかかる重力を無効にし、真っすぐ空中に上昇させることができる能力。「悪霊払い」は、超常的なエネルギーで現世にとどまる幽霊や他の悪霊を払う能力であり、基本的に2つの選択肢からどちらかを選ぶ事や、ダイスを振った結果で、成否を判定するが、例外的に自動的に成功することもある。
- 戦闘では弓術や当たりにくいが打撃力をあげ、敵のバランスを崩させる六尺棒術を使用可能。4巻クリア後は、生命力回復術の成功率が上がり、超能力も選択肢無しに成功するようになり、特に「空中浮遊」がかなり有用となる。
- 魔術師(エンチャーンター)
- 戦闘能力は劣るが、様々な魔法を使用する事ができる。魔法の呪文に誇りと信頼を持っており、真の力は神秘的な魔術の力を巧みに使うことにあることと考えている。主に戦闘用の魔法を使用するが、非戦闘魔法も少しだけ使用可能。
- 魔法は事前に使うためにいくつも準備できるが、一つ準備するたびに、精神力の数値が一つ減るため、冒険中に精神力判定を要する攻撃を受けやすくなるうえに、魔法の成功率が下がるというデメリットが存在する。魔法をかけることに継続して挑戦すれば成功率があがるが、違う魔法をかけることにした場合や、途中で中断した場合、再度、挑戦しても成功率が低い状態からのやり直しになる。ほとんどの敵の魔術師も同様の方法で魔法をかける。
- 4巻クリア後は、魔法の成功率が大幅に上がる。
- 非戦闘魔法は三つ使え、「ファルタインの召喚」は、要求をかなえるために、必要な時に、ずる賢い妖精であるファルタイン(後述)を呼び出す魔法であるが、要求の代償を要求されるため、駆け引きを必要とする場合や、かえって良くない結果になることもある。「予言」は、ありえる未来を少しだけ見ることができる。「魔法探知」は、魔法が付近で使われている時に知らせてくれる魔法である。非戦闘の魔法は、何回でも使うために試みても、問題でないため、ダイスロールをする必要はない。日本語翻訳版では、この三つの魔法はレベル1とされるが、英語旧版・英語新装版では特にレベルは設定されていない[3]。
- 扱いが難しいキャラクターであるが、2レベルの「緊急救出」がかなり有用であり、5レベルの魔法である「ネメシスの電光」と「盲目的服従」が成功した場合、非常に強力なため、(英語新装版の新魔法「塩の柱」の存在も含めて)裏技的な手段や巧みな戦術を使った場合、大幅にパーティーの勝利に貢献できるキャラクターである。
必ず4人のキャラクターを全員使わなくてはならないわけでなく、ゲームに投入するキャラクターの人数を少なくすれば、一人一人のキャラクターの能力が高くなるというルールがある。
場面によっては、特定のキャラクターがいないと選択することが出来ない行動があることもある。
また、バトルオーダーとして、パーティーの隊列の順番を決める必要がある。推奨されているバトルオーダーは、「1・戦士」、「2・僧侶」、「3・魔術師」、「4・盗賊」である。
参加人数
ゲームブックは1人で遊ぶものが多いが、ブラッドソードは複数人が同時に遊ぶことができる。複数人で遊ぶ場合は、パーティーを組んでいるキャラクターたちを、参加者たちがそれぞれ一人ずつ担当することになる。二人以上が同じクラスのキャラクターを選ぶことはできず、各キャラクターのクラスは別々となる。
複数人で遊ぶ場合は、一冊のゲームブックを全員で読むことになる。このとき、参加者のうちの1人がプレイに参加せず本の読み手となり、戦闘時のモンスターの操作などを受け持つという遊び方もある。そのような役割を与えられた参加者は、ゲームマスターと呼ばれることになる。(そのため、ゲームに参加できる最大人数は、プレイヤー4人+ゲームマスター1人で5人である。)
複数人で遊ぶ場合、特定のキャラクターだけが単独行動するような場面となった時は、そのキャラクターを担当している参加者のみが本を読む。文章の中には、全員に公開する情報とキャラクターのみが知りうる情報(キャラクターを担当している参加者の判断で、ほかの参加者に公開するか秘密にするか決める)が記述されている。
プレイヤーが担当するキャラクターが死んだ場合、敵として、戦略を練って、行動を決め、ダイスを振ることが推奨されている[4]。
戦闘
ブラッド・ソードで戦闘が発生した場合、敵の能力値の他に、戦闘マップと敵と味方の立ち位置が示される。
地図は将棋盤のようにマス目で区切られており、この地図を元にウォー・シミュレーションゲームのように戦闘を行う。
戦闘はラウンド制で行われる。行動は戦闘を行うものそれぞれの機敏度の数値の順番で行う。最も高い機敏度を持つ戦闘を行うものが最初に行動し、それから次に高い機敏度を持つ戦闘を行うものが行動して同じように続ける。同じ数値の機敏度を持つ戦闘を行うものは同時に行動する。なお、日本語翻訳版では、同じ数値の機敏度を持つ場合はダイスを振って順番を決めることになっている。
各ラウンド、全てのキャラクターは攻撃、魔法をかける、など一つの行動を行う機会を得られ、好きな行動を行うことができる。生命力がゼロにまで減らされて死んだ場合、そのラウンドが終了していなくても、行動することはできない。
(魔法や射撃などは除いて)直角に隣接したマス目にいる敵のみ、攻撃することができる。別のキャラクターがいるマス目や、マス目がないところ、黒く塗られたマス目は柱や大きな像のような障害物があり、動くことができない。灰色のマス目は、敵だけが動ける熱い石炭の床などであり、敵は通り抜けて動くことができるが、プレイヤーたちにはできない。
別に定められていなければ、敵は常に最も近い、通り過ぎる必要があるマス目の数が最も少ないプレイヤーを攻撃しようと動く。同数である場合や複数の敵と隣接している場合、誰を攻撃するか、ダイスで決めることになる[5]。
戦闘行動
- 戦闘
- 直角に隣接したマス目にいるどの敵にも攻撃できる。
- 移動
- 直角の移動のみに限定され、対角線の移動や、すでに占有されたマス目の上を通り抜けることや止まることはできないが、戦闘マップのどのマス目にも移動できる。日本語翻訳版では1ラウンドにつき、マス目一つ分しか移動できず、これが英語旧版・新装版との最も大きな違いとなっている[6]。
- また、ラウンドの始めに敵と隣接していた時、敵より高い機敏度を有している時は移動できるが、機敏度が相手より同数か低い時、直前のラウンドで防御を選択していた場合のみ移動することができる。なお、日本語翻訳版のルールでは、防御を選択しなくても、移動自体は自由に行うことが可能である。
- 防御
- 次のラウンドの順番までの1ラウンド持続する。敵は、防御中の相手に攻撃を当てるために攻撃判定のダイスを通常より1個多く振る。
- 射撃
- 直接隣接したマス目を除いた戦闘マップのどこにいる敵に対しても、矢を射ることができる。キャラクターでは、これを選択できるのは僧侶と盗賊だけである。
- 逃走
- 逃走するためには、パーティー全員が脱出口のマス目か、脱出口のマス目にいる他のプレイヤーにいる隣接しているか、脱出口のマス目に隣接しているか、いずれかの状態で、そのラウンドを開始せねばならない。パーティーは、全てのプレイヤーが逃走に同意した場合のみ逃走することができる。パーティ全員が逃走するのは、機敏度が最も低いプレイヤーの順番の時になる。日本語翻訳版のルールでは、例外的に脱出口のマス目には複数のキャラクターが入ることができ、逃走の時には、脱出口のマス目に全てのキャラクターが入った次のラウンドで逃走できるとしている。なお、この時には敵からの攻撃は受けることはない。
武器と鎧と持ち物
特にキャラクターによって使える武器については限定はされていない。武器を失った場合、戦闘力と打撃力を、新しい武器を手に入れるまで、それぞれ2減らす。ただし、4巻クリア後の戦士には適用されない。ただし、(特に明言はされていないが)僧侶は六尺棒を使わない場合、六尺棒術は使えないものと考えられる。
鎧については、戦闘中の物理攻撃や攻撃魔法、落下などの衝撃の負傷を鎧強度の数値分、軽減させる効果を持つ。なお、キャラクターによって使える鎧の限定は明言されていないが、魔術師は銀の鎧以外の金属製の鎧を身につけると、魔術は使えないものと考えられる。また、プレートメイルは戦士しか身につけられないと考えられるが、チェーンメイルは盗賊や僧侶が身につけられるかはそれほど明確ではない。
持ち物は、一人のプレイヤーにつき、10個のアイテムまでしか運べない。金貨袋は、どれだけの金貨が入っているかに関わらず、一つのアイテムと数える。僧侶と盗賊が使うことができる矢筒は、入っている矢の数に関わらず、あわせて一つのアイテムとして数える。
選択制ルール
英語新装版では、選択制ルールとして、三つのルールが提案されている。プレイヤーは好きなようにこのルールを使うことを選択して、遊ぶことができる[7]。
- 好きなだけ戦闘マップを移動できるのではなく、1ラウンドにつき、機敏度の半数だけマス目の数だけ移動することができる。
- 戦闘中に殺害されても、パーティの残った仲間が戦闘に勝てば、そのキャラクターは、ダイスを一個振った数値である1-6の生命力を持って生き返ることができる。
- パーティーが全滅しても、そのセクションの脱出の選択が存在した場合、それを選択したことにして、パーティー全員が、ダイスを一個振った数値である1-6の生命力を持って生き返ることができる。
魔法
『ブラッド・ソード』では様々な魔法が登場するが、戦闘中に使える魔法は攻撃魔法と精神魔法に分かれる。戦闘魔法は単純にダメージを負わせて、生命力の数値から減らすものであるが、鎧強度は魔法のダメージにも有効である。また、精神魔法は、精神力の判定に成功すれば抵抗することができ、(わずかな例外を除いて)失敗に終わる。このダメージは、鎧強度は有効ではない。魔法をかけるのは(「死の接触」を除いて)戦闘マップにいる敵全員に対して有効である。
この作品において、戦闘に登場する魔法は以下の通りである。なお、5巻に登場するザラ・ザ・マンティスが使う「死の雷(原文:Incantation of Fulminant Death)」など、数値化されていない様々な強力な魔法がこの作品には多数登場する。
- 炎のスプレー レベル1
- 全ての敵に対する攻撃魔法。
- ナイトハウル レベル1
- 単体の敵に対する精神魔法。5ラウンド継続する。
- 白い炎 レベル1
- 単体の敵に対する攻撃魔法。
- クリソトーチ レベル1
- 鎧強度が増す魔法。戦闘中有効。重ねがけはできない。4巻に登場するトビアス・ド・ヴァントリーが使う。
- ハラゲイ(コンセントレーション)(原文:Haragei(Inner Force)) レベル1
- 打撃力が増す魔法。4ラウンド継続する。4巻で対決するイコン(エイケン)が使う。原文と日本語翻訳では意味が異なる。
- ソードスラスト レベル2
- 単体の敵に対する攻撃魔法。
- 虎の目 レベル2
- 味方に対する強化魔法。戦闘力と打撃力を上げる。5ラウンド継続する。
- 緊急脱出 レベル2
- 他のプレイヤーの意思に関わらず、魔術師の判断でパーティー全員をテレポーテーションさせて、逃亡する魔法。
- 幻の蛇 レベル2
- 単体の敵に対する精神魔法。2巻に登場するオーガスタスが使う。
- 幻惑 レベル2
- 単体の敵に対する精神魔法。4ラウンド継続する。2巻に登場するオーガスタスが使う。
- ユークティア レベル2
- 単体の生命力を回復する魔法。4巻に登場するトビアス・ド・ヴァントリーが使う。
- ヒカリ(光)(原文:Hikari (Fire)) レベル2
- 全ての敵に対する攻撃魔法。4巻で対決するイコン(エイケン)が使う。光の魔法なのか、炎の魔法なのか、不明。
- 死の霧 レベル3
- 全ての敵に対する精神魔法。
- ヴァンパイア レベル3
- 単体の敵に対する精神魔法。奪った生命力の半分は、自分の生命力の回復にあてることができる。
- 塩の柱(原文:Paller of Solt) レベル3
- マップ上の一つのマス目に、味方も敵も、入ることも通り抜けることもできない障壁を作る。5ラウンド継続する。英語旧版、日本語翻訳版では存在せず、英語新装版で追加された魔法である。
- 粉砕 レベル3
- 単体の敵に対する攻撃魔法。2巻に登場するオーガスタスが使う。
- カタクロニズム(時間錯乱) レベル3
- 全ての敵に対する精神魔法。6ラウンド継続する。4巻に登場するトビアス・ド・ヴァントリーが使う。
- ニンドウ(不可視)(原文:Nindo (Invisibility)) レベル3
- 姿を消す魔法。4巻で対決するイコン(エイケン)が使う。原文を見ると、忍術のイメージが強い魔法である。
- 雷撃 レベル4
- 全ての敵に対する攻撃魔法。
- セローニゼーション(雷撃) レベル4
- 単体の敵に対する攻撃魔法。4巻に登場するトビアス・ド・ヴァントリーが使う。
- 死の接触 レベル4
- 単体の敵に対する精神魔法。隣接したマス目にいる敵にしか効果がない。抵抗に成功しても、軽減はされるが、ダメージを与えられる。
- シャケン(投げ菱)(原文:Sha-ken (Throwing stars)) レベル3
- 単体の敵に対する攻撃魔法。投げ菱(原文:sha-ken)を投げる魔法。4巻で対決するイコン(エイケン)が使う。原文を見ると、忍術のイメージがかなり強い魔法であり、投げ菱ではなく、手裏剣を投げる魔法かもしれない。
- ネメシスの電光 レベル5
- 単体の敵に対する攻撃魔法。絶大な威力を誇り、魔術師がランク2の時点でも使えるため、一発逆転や大物食いを可能とする魔法である。
- 盲目的服従 レベル5
- 単体の敵に対する精神魔法。抵抗に失敗した場合、敵をあなたの支配下に置く。敵は、完全に動くことをやめ、非戦闘中の状況ではあなたの質問に答えようとする。戦闘中に、服従させた敵に、以前の仲間を攻撃するように命令した場合でも、6分の1の確率でしか破れない。服従は、戦闘が終わり、その敵を殺害するまでに充分な時間続く[8][9]。かけることに成功すれば非常に強力な魔法であり、到底、勝ち得ない強敵であったとしても、その敵の精神力が11以下である場合、盲目的服従が有効な敵である場合、勝利に導くことも不可能ではない[10]。
- 死の凝視 レベル5
- 単体の敵に対する精神魔法。相手を即死させる。4巻に登場するキルケーが使う。なお、キルケーは、名称は不明であるが、同じレベル5の精神魔法である相手をウジ虫に変える魔法も使う。
- スローマーダーの呪文 レベル不明
- 全ての敵に対する精神魔法。1巻に登場するスミ―ボーグが使う。魔法の準備が不要な上に、自動的に成功する。抵抗に失敗する度、1ラウンドに受けるダメージが累積する。
- 衝撃波 レベル不明
- 全ての敵に対する攻撃魔法。夢の世界のクモの巣を通して放たれる。魔法の準備が不要な上に、自動的に成功する。鎧強度は通用しない。2巻に登場するワーロック王が使う。
- プシュケの魔法(名称不明) レベル不明
- 全ての敵に対する精神魔法。3巻に登場するプシュケが使う。相手を猿に変える。かけられたキャラクターが元にもどる記述がないため、プシュケが死んでも、解除はされないようである。使用回数になんらかの制限がある可能性がある。また、プシュケは、別の魔法で戦うために真紅に輝く剣をつくりあげることもできる。
- 千年の眠り(原文:Thousand – Year Sleep spell) レベル不明
- 単体の敵に対する精神魔法。5巻に登場するニンフが使う。魔法の準備が不要な上に、各ラウンドに自動的にかけることができる。相手を千年の間、眠らせることができる。隣接した人物が起こすことを試みることもできるが、1ラウンドを使い、6分の4の確率でしか起きない[11]。
- パワーボルト(原文:majical Pawer Bolts) レベル不明
- 単体の敵に対する攻撃魔法。5巻に登場する五人の真のマグスが使う。魔法の準備が不要な上に、各ラウンドに自動的にかけることができる。戦士は受けたダメージを半分にすることができる。ブルー・ムーンが放つものは、「ミラージュ・ボルト(原文:cysnic Mirage Bolt)」と呼ばれる[12]。
世界観
本作は、デイブ・モーリスとオリバー・ジョンソンによって創作された架空世界「レジェンド」を舞台としている。この「レジェンド」は、イギリス製テーブルトークRPGである『ドラゴン・ウォーリアーズ』(en:Dragon Warriors)のために設定された「レジェンド」という世界と同一である[13]。
レジェンドの特徴は中世ヨーロッパによく似ていることである。単にうわべの雰囲気をまねただけではなく、たとえばキリスト教のような宗教(トルー・フェイス)とイスラム教のような宗教(タシーム)が広まっており、異教徒であるターシムの教徒に押さえられた聖地を奪回するために十字軍を派遣されていたりする。宗教面においても、トルー・フェイスとターシムの信じる神が実は同一であり、ターシムの預言者であるアカバーが、トルー・フェイスの救世主であるガタネーズを自身の先駆者とみなしているところもかなり現実の世界と近似している。
旧セレンチーヌ帝国のように、現実のローマ帝国をモデルにしていると思われる国家も存在する。ただし、現実の日本に似た「ヤマト」とは積極的な交流が行われているなど、異なる点も同時に多くある。
また、本作は千年紀をテーマにしており、10世紀から13世紀ぐらいまでのヨーロッパや中東に似た世界を舞台にして、主人公たちが各地で活躍し、トルー・フェイスを信仰するコラード人ばかりでなく、ターシムを信仰するターシム人たちも、共通の敵である古代の神にあたる「真のマグス」に対抗するため、積極的に主人公たちに協力する。
エルフについて
ファンタジー小説やゲームブックにおいて、エルフは、人間とは距離をとってはいても、主人公たちには比較的友好的な存在や協力的な存在であることが多い。
しかし、本作においては、第1巻や第4巻のナイトエルフは、「砦のダンジョン」や「黄泉の国」の突破を図っているだけで特に彼らに対して敵対していない主人公たちに対し、一方的に襲撃や報復をしかけてくる。
また、第2巻のワイアード王国にいるソーンズの森にいるエルフたちは、圧制を行うワーロック王を打倒しようとする主人たちにも拒絶的な態度で応じてきて、主人公たちの通行をはばんでくる。本作では、エルフたちは、主人公たちにも「いつもこういったいいかたをする」とされる「魂がなく」、「死人のように冷たい手をする」存在である。また、多くのフェアリーのように「ゲームや謎かけに目がない」とされるものの、(敗れた時は、助言をしてきたり、無礼な発言に詫びをして贈り物をする時もあるが)チェスの勝負にも幻覚の魔法を使ってまで勝とうとしてくるなど、エルフがかなり主人公たちや人間に対して、敵対的で印象が良くない姿勢をとってくる。
なお、『ブラッド・ソード』と同じ「レジェンド」の世界を舞台とする[13]『ドラゴン・ウォーリアーズ』のルールブックでは、エルフは、人間によく似た優雅な生き物で森に住んでおり、人間よりやせていて、背が高く、青白く繊細に見えるが、超感覚を備え、猛烈な戦士であり、魔術士に向いているとされる。彼らは練達の射手で、緑色の服を着ており、三百年ほどの寿命を持つが魂を持たず、そのため、生き返ることができないものとされる。だが、エルフは、多くのRPGと同様、プレイヤーキャラクターに選ぶことができ、特に人間に非友好的な存在とはされていない[14]。
あらすじ
シナリオ#1 勝利の紋章を奪え! The Battlepits of Krarth
- あらすじ
- 「きみ」達はクラースの地の地下迷宮で行われる、年に一度の命を賭けた競技「砦のダンジョン」に参加する。マグス(領主)達のうちの誰かに雇われた戦士達が、血に飢えた怪物たちや死の罠に満ちた地下迷宮に挑み、迷宮のどこかにある「勝利の紋章」を手にした者が勝者となるのだ。優勝した雇い主は他のマグス達から広大な領地を獲得する事が出来るため、勝者には雇い主から莫大な報酬が与えられる。「砦のダンジョン」の競技は明日に迫り、雇い主となるマグスのペナントは、もう3本しか残っていない。「きみ」のパーティは勝ち残る事ができるか?
- 概要
- 第1巻。540項目。この時点ではストーリーの鍵となるブラッド・ソードと、シリーズのラスボスとなる「5人の真のマグス」は一切登場しない。ただし、後の宿敵となるイコンと5人には含まれないが「真のマグス」であったマグス・ジンが登場する。
シナリオ#2 魔術王をたおせ! The Kingdom of Wyrd
- あらすじ
- 「おそろしく大切なものを探し求める旅にでる。避けがたい運命だよ」という占いの老婆の言葉に導かれ、クラース南東の森を旅していた「きみ」達は、年老いた吟遊詩人の死に立ち会う。そして、かつて地上を支配し、現在では肉体を失って魂を星と化している5人の魔術師「真のマグス」が紀元千年が迫ったいま、地上に復活しつつある事実を知らされ、それに立ち向かうために、過去に破壊された生命の剣ブラッド・ソードを修復する任務を託された。彼からブラッド・ソードの鞘を託された「きみ」達は、ブラッド・ソードの柄を求めて、ワーロック王が支配する北の国ワイアード王国を目指す。ブラッド・ソードの柄は、「永遠のたそがれ城」に住むワーロック王が所有しているのだ。熱い戦いの幕が上がろうとしている。
- 概要
- 第2巻。570項目。ブラッド・ソードの修復の旅が始まる。ここから、星となった「真のマグス」達の魔の手が伸びる事になる。「真のマグス」の配下たちと戦いつつ、極寒の地であるワイアード王国へたどりつき、ワイアード王国の支配者であるワーロック王とブラッド・ソードを賭けた戦いを行う。ただし、「真のマグス」以外は第2巻単独での登場人物が多い。
シナリオ#3 悪魔の爪を折れ! The Demon's Claw
- あらすじ
- ワイアード王国での冒険を終えてから2年後、旅を続ける「きみ」達は、北の国でめぐりあった、ある女賢者の情報により、ブラッド・ソードの刀身が十字軍の地オトレメールのどこかにある事を知り、コラード文明諸国の南の前哨地オトレメールの都クレサンチウムにたどり着く。刀身を見つける手がかりを求めて街をさまよい、様々な事件や人物に遭遇しながら、ブラッド・ソードにまつわる伝説の真相に迫りつつ、刀身のありかへと近付いて行く。冒険の全容が明らかになる。
- 概要
- 第3巻。588項目。ゲームブックでは珍しい中東の地をモデルとしたクレサンチウムでの冒険から始まり、「アラビアン・ナイト」を想起させる冒険の地を舞台に、ブラッド・ソードの刀身のありかへと旅立つ。シリーズで重要となるエメリタスやファティマ、ハサンが登場し、宿敵のイコンが再登場する。日本語版タイトルとは裏腹に、「悪魔の爪」を折る場面は存在しない。第4巻との関連がかなり強い。
シナリオ#4 死者の国から還れ! Doomwalk
- あらすじ
- ブラッド・ソードを完成させたのも束の間、ブラッド・ソードは宿敵イコンによって「黄泉の国」へと持ち去られてしまった。この世界を再び支配しようとする「真のマグス」が復活する紀元千年まで残り2年となった今、女魔術師ファティマの協力を得た「きみ」達は、「黄泉の国」へと旅立ち、ブラッド・ソードを取り戻して現世に戻ってくる方法を知る唯一の存在である、老魔術師エンタシウスを求めて、北西のミスト海へと向かう。「真のマグス」たちとの戦いにはブラッド・ソードが必要だ。
- 概要
- 第4巻。557項目。前半は魔法使いエンタシウスを探す旅。後半は「黄泉の国」でのブラッド・ソードを探す旅。第3巻で登場したエメリタスやファティマ、トビアスが再登場し、イコンとの最終決戦を行う。「黄泉の国」で(途中で死んだ)かつての仲間と再開することもできる。この巻の最後でブラッド・ソード以外の装備の全てを失ってしまう。
The Walls of Spyte
- あらすじ
- 「最後の審判の日」であることが世界中に知られた紀元千年の冬至前夜、この世界でマグスたちを滅ぼしうる唯一のものであり、人類最後の希望であるブラッド・ソードを手にして、古代都市スパイトの廃墟にたどり着いた「きみ」達は、2世紀の間、力を蓄えて復活の計画を練り上げ、地上を力と魔法で奴隷化し、専制支配しようとする「真のマグス」の復活の儀式を阻止しなければならない。スパイトではまず、コールドロンの深い断層が「きみ」達をはばむ。さらに、スパイトでは、「真のマグス」を神と崇め、本日の真夜中に、復活の儀式を行おうとする、マグスを狂信している信徒たち[15]や「真のマグス」が送り込んだ怪物が待ち受け、「きみ」達を狙う「真のマグス」が仕掛けた様々な魔法や罠が仕掛けられている。「きみ」達が勝利した場合、「最後の審判」により、地上は楽園となるが、「真のマグス」が勝利すれば、邪悪が世界を永遠に支配することになる。残された時間は7時間しかない。「きみ」達は、ブラッド・ソードと勇気を武器にスパイトへと潜入していく。
- 概要
- 第5巻。550項目。真のマグスとの最終決戦。スパイトの廃墟の冒険が内容のほとんどを占める。ハサンの子、カルナズが登場する。この巻のみ、日本では訳されていない。
用語集
ブラッド・ソードと死の剣について
- ブラッド・ソード
- 生命の剣。天使長アブデルによって作られた、生と死を分ける偶像である2本の古代の剣のうちの1本。刀身に生命のエッセンスが与えられ、死を退ける生命のパワーを有している。クラースの悪魔、七つ目のヤーンに破壊されたとされ、柄と鞘、刀身の3つになっていたが、主人公たちによって復元される。真のマグスの力を制する力を持ち、真のマグスのこの世とのつながりを絶って無の世界に葬り去ることができる唯一の武器である。作品の途中で、イコンによって持ち去られ、黄泉の国に行く[16][17]。
- 死の剣
- 「悪魔の爪」とも呼ばれる、美しく輝く偃月刀。天使長アブデルによって作られた、生と死を分ける偶像である2本の古代の剣のうちの1本。地中深く眠っていたが、勇敢な勇者であるガネロンが地獄から持ち帰り、この剣を使って、暗黒の魔王と戦おうとしたが、剣の死のパワーにより堕落させられ、悲惨な最期を迎えている。その後、悪魔の爪と呼ばれ、マラジットのどこかにあると言われている。マリジャー派(後述)が所有していたこともある。ササリアン、トビアス・ド・ヴァントリー、ハサン・イーサバーが探している[18]。
特殊な用語について
- 砦のダンジョン(原文:The Battlepits)
- クラース平原の地下に存在する、トンネルや部屋でつくられた巨大で複雑な地下迷宮の名称。クラースのマグス達によって13か月ごとに行われる競技の名称としても使用され、砦のダンジョンに各マグス達が選んだ挑戦者たちのグループが送り込まれ、この地で互いに争う。競技に出場する挑戦者の目的は、魔物や問題を切り抜けて、「勝利の紋章」を獲得することにある。マグス達はその勝利者を賭ける。当然、マグス達が自分の闘士を助けるため、ひそかに介入してくることや、他のマグスからの後援を受けた挑戦者の進行を邪魔することもある[19]。
- 大爆発(原文:The Blasting)
- 悪魔によってなされたと言われた、かつて、スパイト(後述)を廃墟にし、真のマグス達が殺された災害。この虐殺の後も、災害は三日三晩続き、スパイトは深い断層によって孤立した。スパイトの地は今でも多くの人々に、地獄の炎にまでつながっていると信じられている[19]。
- コールドロン(原文:The Cauldron)
- 小作人や旅人からもその名を知られている、スパイトの廃墟を取り囲む深い峡谷。この地にある硫黄の煙から蒸気が上がり、蒸気は冷たい空気の中で厚くなる。そのため、スパイトの廃墟は、周りからほとんど見えなくなってしまっている。コールドロンの断層は、魔術師の「緊急救出の魔法」を使ってすらも、余りにも広く、渡ることはできない。廃墟に行く唯一の手段は飛んでいくことだけである[19]。
- マグス(原文:the Magi)
- クラース(後述)の統治者たち。約30人のマグスがいる。それぞれが原則的に領土に絶対的な支配権を有したその土地の専制君主である。クラースではいかなる規模の軍もマグス同士の争いに加われないため、砦のダンジョンの競技(前述)によって争いは解決される。ただし、時には暗殺によって解決されることもある[19]。
- 真のマグス(原文:the True Magi)
- クラースの本来の支配者。想像を絶するほどの力を持った魔術師たちだったが、数世紀前に起こったスパイトの大爆発により全員殺害されたとされる。現在のマグスのほとんどが、大爆発後の混乱時に権力を奪い取った、真のマグスの執事もしくは弟子の子孫にあたる[19]。
- マグスの魂
- 北の夜空に時々見える5つの小さく明るい天体である。それぞれが月の5分の1程度の大きさに見える。クラースでよく知られた迷信によると、この5つの天体は真のマグスの中でも偉大な魔術師である5人の魂が神となったものと伝えられている。彼ら真のマグスは、いつもこの世界に戻ってくることを企み、夢見ている悪意のある存在として、民話にひんぱんに登場する。彼らは占星術において、不吉な意味ではあるが強いシンボルとなっている[20]。
- デビルス・ランナー号
- 海賊王・ハンガックが乗る船。ハンガックの死後も彼とともに唯一許されている航路を航海しつづけており、多くの者から目撃されている。世界と世界のはざまにぶらさがり、いくつもの世界の海を航海している。十字軍最大の軍艦よりも大きく千人は収容できるほどで船幅は9メートル、高さは海面から約12メートルある。銅でおおわれた数本の太いマストがあるが、帆はクモの巣だらけである。七生のあいだ、舵輪から手を離したことがないシャンビアが舵取りを行っている。マラジット湾から百キロ離れた場所に現れるが、この世界にいる間に下船しない場合、違う世界に連れていかれ、デビルス・ランナー号の乗員となってハンガックとともに、長い時を同行することになる[21]
- 死の集約点
- レジェンドから黄泉の国の奥地へと直接つながる光線。天井に達する円形の光線と床に達する円形の光線があり、天井への光線は燃え立つように赤く、床への光線は冷たい緑色の光を放つ。ヤマトのイコンはこの光に入り、魔法を使ってブラッド・ソードを奪い取り、彼とともに黄泉の国に持ち去ってしまう[16][22]。
世界や地名について
- レジェンド
- 『ブラッド・ソード』の舞台。死すべき人間の世界。「ミッドガルド」または、「中つ国」[19]。
- スパイト
- 真のマグス達の「聖なる都」。真のマグス達は7年ごとに、スパイトの地に集まり、クラースの神々と交信していた。現在ではスパイトは廃墟となり、地に生まれた広大な断層(コールドロン)の中心にある岩の頂上の上に現存する[19]。
- コラーディアン海
- 世界で最も豊かな港や都市が海岸沿いに並ぶ海。トルー・フェイス(後述)の国々全体を表す形容詞としても使われる。その国々とは、アラガンディー、ショーブレット、カールランド、新セレンチーヌ帝国、アスムリ、エンフィドールである。この国々がこの海を囲んでいる[19]。
- セレンチーヌ
- かつて西洋の大部分を支配していた旧セレンチーヌ帝国の首都。700年前に旧セレンチーヌ帝国が没落してから後、セレンチーヌはトルー・フェイスの中心としての新たな重要地として勃興している[19]。
- カノング港
- クラースの東にあるミストラル海に面する港。北のダークヘブンやワイアード王国、イグドラス島へ渡る船が出ている。にぎやかな港で、水夫や鯨獲りの男たちや商人、娼婦で町はごったがえし、タールと潮と魚の臭いに満ちている。「ウルリック・ボーンズの宿」が存在し、捕鯨船や交易船が停泊している[24]。
- ダーヘブン
- クラースの東にあるミストラル海に面する港。カノング港より北にある。黒い岩山に囲まれている。ワイアード王国に近く、海岸沿いに北に向かい、白い山から北東に向かえば、冬でも氷河の上を歩いて三日で着くことができる。荷揚げ人足や証人や漁師でごったがえしている。「ファンブルウィンター」という宿と雑貨屋がある[25]。
- オトレメール
- トルー・フェイス(後述)の軍隊によって奪いとられたターシム(後述)の領土であった土地に置かれた十字軍の公国[26]。
- クレサンチウム
- 十字軍遠征の際、コラード軍が最初に入手した都市。強固な城壁に守られた難攻不落の港でもある。ここから、第一次十字軍は異教ターシム(後述)の地の征服に乗り出しており、オトレメールの最大の都として栄えている。美しい無数の尖塔がキラキラと輝き、エキゾチックなスパイスや香や大麻の香りに包まれた都市であるが、物乞いがとても多い。路地や通り、バザール、広場があちこちに広がる迷路そのものの町であり、石や粘土、模様のあるレンガ作りの建物が建て並ぶ。町中は商人や巡礼でごった返しており、病気と貧困も蔓延している。ロック寺院にカペラーズ騎士団がクレサンチウム司令部を置いており、クレサンチウムの総司令官にトビアス・ド・ヴァントリーが任命されている。また、クレサンチウムの砦は戻ってくるものがほとんどいない牢獄として知られている。コラード人(後述)の財政官がにらみをきかせていて、料金を明示することが宿屋に義務づけられている。かつてターシムのモスクは、第一次十字軍の略奪により、荒れ果てている。港は栄えており、潮や大麻やタールの臭いでむせ返り、商船や巡礼船がでている。キータイの絹の密貿易なども行われている[27][28]。
- グレイ・ロック
- マラジット湾の内海であるラメント海に浮かぶ垂直に切り立った岩山。頂上には、魔法使いサークナサールの難攻不落の砦が存在していた。サークナサールの死後、砦は廃墟と化している[29]。
- ハクバッド
- 「ヒスイ星の都」と言われる700年以上前から名高い都市。サッサン軍がセレンチーヌ帝国からカイフクルの西域を奪ったのち、造られた。いくつかの川の合流地点にある小さなア町であったが、広げられた。大きな宮殿や先のとがったドームのある神殿、果樹園、墓場や雑木林が広がる広大な都市であり、フェロメーヌの町の四倍の人口である百万人以上が、その約十倍の広さの土地に住んでいる[30]。
- 黄泉の国
- 死後に魂が行きつく冥界。死によって管理されている。天国にも地獄にもいくことができない異教徒や狂人、幼児や葬式をしてもらっていない人々の魂の行く着く場所であり、様々な神話の断片から成り立っている夢の風景だとも言われている。黄泉の国に生きた人間が行くことは理論上、不可能ではないと言われており、エンタシウスがその答えを知っているとされる。また、あまり長居するとこの世に戻るのは困難になるとも言われている。アケロン川やスチュクス川が流れ、記憶の沼や忘却の川も存在する。中心部近くには「夜の深淵の森」が存在し、悲鳴山脈を越え、タータラスの洞窟を抜けて、山脈のはざまにある平原にでると、黄泉の国の中心に達する。途中、いくつもの建造物が存在し、各地に住民や危険な怪物がいる[16][31]。
国家について
- クラース
- レジェンドの極北にある大国。数十の国に分かれており、それぞれの国がその土地を領するマグスによって支配されている。コラーディアン大陸の東海岸から西海岸までを貫き断ち切られた深い大地溝帯によって、コラーディアン海周辺の文明国家と分かれている。古い外国人嫌いの伝統に満ちた、冷たく不親切な国民性の国であるため、クラースは南の国から来る商人の大半に避けられている[19]。
- ワイアード
- クラースの東側に位置するミストラル海内にある島国の王国。6世紀もの間「永遠のたそがれ城」に住むワーロック王により支配されている。人口は一万人とも、二万人とも言われ、階級社会の国家であり、「アーミジャー」という郷士階級、「ソロン」という法をつかさどる階級、人口の大部分を占める農民の階級、伝統の重みに縛られない預言者の階級が存在する。ワイアードが戦争に参加したのは、700年前の旧セレンチーヌ帝国の崩壊以前であり、ワーロック王の統治が厳しく、国内でいざこざを起こす余地がないため「アーミジャー」階級は落ち目にある。「ソロン」階級は国の政治やワイアードで行われる儀式を執り行い、人々を管理している。預言者は、好きなところをめぐり、森や農家で寝て、ソロンが従わせようとする法律を無視する生活をしており、吟遊詩人を兼ねて、農民たちに権威を恐れないように説いて回っている。農民は、クラースの貧しい人々以上に悲惨な生活をしており、朝早くから日が落ちるまで、農作業に追われている[20][32]。
民族や宗教について
- トルー・フェイス
- 現代のレジェンド(前述)の主要な宗教[19]。
- 十字軍
- コラード人(後述)によって行われたターシム人(後述)に対する戦争であり、表向きは宗教上の理由とされる。しかしながら、実態はフェロメインの商人やセレンチーヌ教会などの人々が十字軍により莫大な利益があげられると知り、その目的を果たすため、北方の人々の宗教熱を煽り立てて実行された戦争である[26]。
- コラード人
- オトレメールにおいて、純粋なターシム人(後述)と区別するために、北方の国の血が混じっている者全体を指すため使われる漠然とした総称[26]。
- ターシム
- かつてカイクハル帝国だった地域にある南方の国々の宗教および人々を表す名称。ターシムの国々は、マラジッド、ゼニール、ハロガーン、オパラールである[26]。
- アカバー(原書:Akaabah)
- 大いなる啓示を与えるもの。預言者。ターシムの信仰では、アカバーは神によって選ばれ、神の教えを世界中で説いたとされる。ガタネーズはトルー・フェイスの救世主であるが、ターシムの教えでもアカバーの先駆者のうちの一人としてみなされているため、大半の人々が認める以上に、2つの宗教はより近いものである[26]。
- マリジャー派
- ターシムにおいて異端とされる一派の末裔である暗殺者の集団。マリジャー派はホロガン山の東にある荒野に秘密の要塞を有している。「星の門」を使って、彼らが自由に各地に出入りしているものと考えられている[26]。
- 生命の大木イグドラシル
- エデンの園に生まれた最初の木。千年の間、この世を支えてきた[33]。
- 生命の若木
- 生命の大木イグドラシルから生えた若木。カールランドの北のドラッケン山のふもとにある復活派の修道院で代々育てつづけてきた。修道院からは、生命の大木イグドラシルに代わり、新しい時代を支えるものとして期待されている。オパラールのマギ派によって修道院から盗まれた[33]。
- マギ派 (原文:Magician Sect)
- オパラールに本拠地を持つ火をあがめる宗派。火から作られたジニーから火を吸いだし、生命のないぬけがらにするか、その火を消して、奴隷にするため、ジニーに強く憎まれている。オパラールのハロゲーン山脈を越えた切り立った崖の上に、建物全体がまるで巨大な岩を削って造られたかのように見える黒灰色の石の柱を持つ砦を構える。魔法を使って、カールランドの復活派の修道院の防御を破り、炎の橋に乗って、生命の若木を盗んだ。砦には強い魔力を持った司祭長がいて、多くの司祭や侍祭、衛兵を従えている[34]。
主な登場人物
- 5人の真のマグス
- 何世紀も昔にレジェンドを支配していた、60人の大魔法使い「真のマグス」のうちの5人。彼らはクラースの神々と交信するために、7年毎に聖なる都スパイトに集合していたが、ある時、悪魔が引き起こした大災害により、スパイトは崩壊、集まっていたマグス達も全滅する。だがその時、彼らのうちの5人は自らの魂を宇宙に放った。その魂は星となり、宇宙の調べを聴く事で、神に近い力を蓄えている。そして来たる紀元千年に転生して地上に舞い戻り、地上を支配しようと企んでいる。5つの星は、地上から見るとそれぞれが月の約五分の一の大きさに見える。彼らは死を経験する事なくこの世に留まった事で、骸骨男やゾンビとは違う意味で「亡者」という扱いをされ、神話の人物であるある種の神となっている[20][35][17]。
- ブルームーン
- 第2巻から登場。青い星で、占星術では神秘、逆説、幻想を表し、また生と死の境界であり、そのために秘術の知恵を表すとされる。5人のリーダー格であるマグス・トールの魂が化身したものであり、主人公達が任務を託されるきっかけを作った存在でもある。狼男や幽鬼(ストーカー)を操る他、幻影を作り出す事を得意としており、幻影を実体に変える事も可能[20]。
- ホワイトライト
- 第2巻から登場。白い星で、占星術では知識と良識を表し、永遠の変化をもたらす、絶対的かつ積極的行動とされる。マグス・ウルの魂が化身したものであり、魔術師オーガスタスを手下としている[20]。
- レッドデス
- 第2巻から登場。赤い星で、占星術では一般的に悪意ある大虐殺と恐怖の象徴と見なされているが、他の見方では、個人の精神内での闘争とされ、解決すれば悟りへと通じるとされる。吸血雪男を手下としている。彼の手下は、ブルームーンの手下とは仲が悪いらしい[20]。
- プレイグスター
- 第4巻から登場。緑の星で、占星術では病気を示すものとされ、他の認識では、創造におけるあらゆる行動の後に必然的に生じる腐敗と堕落として解釈されている。疫病の霧を送り込む事が出来る[20]。
- ギフトスター
- 第4巻から登場。金色の星で、占星術では(幸運と不運双方の)運と奇跡の象徴とされている。邪悪な贈り物をもたらす、青白い霧を送り込む事が出来る[20]。
複数の巻に登場する人物
- イコン
- 第1、3、4巻に登場。ヤマトのウタヤマ(ソングス山)国スゲンシキ家の当主である恐れ敬われる評判高い魔法戦士。「神を恐れぬイコン」の異名を持つ。本名はエイケンで、「魂の形」とほぼ同等の意味がある。第1巻で現在のマグス・ウルに雇われて迷宮の競技に参加するも、主人公達に敗れて撤退。以後、復讐のために主人公達の邪魔をする宿敵となる。サイキという妹がいる。主人公の魔術師が使用する精神魔法「盲目的服従」が通じない。クレサンチウムにいるサイキの館を訪れた後、オトレメールに主人公がいることを知り、追跡を開始する。「死の霧」、「報復の火」、「霧の呪文」、「炎の壁」、「死の復讐」の呪文を使う。ブラッド・ソードが修復された直後に、死の集約点を通って黄泉の国に送られてしまうが、その際にブラッド・ソードを持ち去ってしまう。4巻では、「ハラゲイ(コンストレーション)」、「ヒカリ(光)」、「ニンドウ(不可視)」、「シャケン(投げ菱)」の呪文を使う。魔法を使えず、打撃を受ければシャボン玉のように消えるが、イコンと同等の戦闘能力を持つ四つの分身を使ってくることもある[16]。
- ファルタイン
- 第1巻から登場。異次元に住む妖精の一族。主人公の魔術師が使用する「ファルタイン召集」の呪文によって呼び出される。普通の人間には姿が見えない。様々な強力な魔法を使う事ができ、魔術師と取引する事で手助けをしてくれるが、口が上手く、かなりずる賢い性格で、法外な要求をしてくることや、期待外れな結果を残す事も多い。魔術師に呼び出されるのは常に1人だが、いつも同一人物が呼び出されているわけではない。仲間を助ける時でも、余り進んではやらない。
- 吟遊詩人
- 第2巻に登場。本名不明の年老いた吟遊詩人。白い髪と青い目をしており、竪琴を弾き、ほこりまみれの衣を着るが、その顔には強い意志と誇りが見て取れる。スパイトの「大爆発」と、その時に三つに折れた剣の伝説を歌う。何世紀も前に破壊された生命の剣ブラッド・ソードを修復するために旅を続け、鞘を手に入れて柄のありかも突き止めたが、「真のマグス」の1人・ブルームーンが送り込んだ狼男達によって殺害され、死の間際に主人公達に任務を託す。彼の正体は、第5巻のエンディングで判明する。
- エメリタス
- 第3巻から登場。カドリール出身のコラード人の医師。主人公の僧侶とはカクソスの啓蒙修道院で一緒に修行した仲であり、修行を終えた後、托鉢僧となって聖都イブラヒムへ巡礼し、クレサンチウムの銀細工師街で医者を開業した。クレサンチウム一の賢人とされ、患者を富や身分で差別しない人柄から、街の人々から慕われている。患者からは金をとらない方針。血を抜く昔ながらの治療法に反対している。身分のあるコラード人は土着の者などと親しく交わるべきではない、という大方の考えに反して、ターシム人の奴隷の娘ダリを妻としている。個人のものとしては、オトレメールでも1、2を争う蔵書の図書室を持ち、主人公たちの帰還後も、その情報収集に協力し、旅に必要な食糧を提供する。
- トビアス・ド・ヴァントリー
- 第3巻から登場。ショーブレット北部の都市ヴァントリー出身の魔法戦士で、クレサンチウムを守るカペラーズ騎士団の総司令官。恐ろしい顔つきであり、厳しく無神経な性格の人物。レジェンド世界の一般的な宗教トルー・フェイスの熱狂的な信者であり、東方のターシム人を始めとする異教徒を嫌い見下し、その改宗を強制しないコラード人たちをワイロで堕落したと考えている。一時期は協定を結んでいた暗殺団のマリジャー派と対立している。身勝手な思い込みで相手を悪魔崇拝者扱いして火あぶりで処刑しようとする狂信者である。生命の剣の片割れである死の剣を探している。狂信者なので「盲目的服従」が通じないが、神の使命にからめた話をするとだまされやすい。ただし、魔法の剣を使う剣の名手であるとともに、異教徒の魔法を神のために役立てようと習得しており、魔法に対する知識は持っているため、魔法を見抜くこともある。「クリソトーチ」、「ユークティア」、「カタクロニズム」、「セローニゼーション」の呪文を使う。配下の騎士の指揮官に、バリアンとクローヴィスがいる。
- ファティマ
- 第3巻から登場。ヴェールをかぶった東方のターシム人の女魔術師。複数の人間を灰色のネズミに変え、神々の影すらも野良ネコに変える魔法を使う強力な魔術師である。普段は魔法の庭園に住んでおり、庭園につながる道がターシムのいたるところにあり、その秘密の扉は彼女の「大きな銀の鍵」で開けることができる。ハサン・イーサバーとは友人関係にあり、庭園を時々、使わせている。主人公たちに黄泉の国に行くことができること、その方法を知るエンタシウスの存在を伝えてくれる。
1巻に登場する人物
- 現在のマグス達
- 現在のクラースを支配している魔術師達。約30人存在し、それぞれが自分の領土の絶対統治権を持つ、実質上唯一の専制君主である。彼らの殆どは、何世紀も前にスパイトの崩壊で「真のマグス」達が滅びた後の混乱の中で力を手に入れた、執事や見習いの子孫である。クラースの各地域は常備軍を持つ事ができず、マグス同士の抗争は地下迷宮の競技(砦のダンジョン)か、時には暗殺によって決着がつけられる。彼らのうち、地下迷宮の競技を取り仕切るのはマグス・トール、参加者募集が行われる砦の持ち主はマグス・カルーゲンである[19]。
- マグス・カルーゲン
- 地下迷宮の競技(砦のダンジョン)が行われる砦の君主。無慈悲なことで知られ、他のマグスたちから多くの土地を奪い取っている。そのため、地下迷宮の競技に勝つ気が余りなく、自分の闘士を支援するどころか、もてあそぶような行為を行う。年に半年は、カルーゲンの砦に通じる土手は、沼地の水位の上昇により没し、難攻不落となる。水位があがった期間は、空飛ぶじゅうたんを操るマグスたち以外は、砦に行き来することはできない。「苦しみの館」という宮殿に住み、ゲームを好み、主人公たちに「山の老人」と「フレイの雄鶏」というゲームを持ちかける。
- マグス・バラザール
- マグスたちの中では、最も公正な人物。地下迷宮の競技(砦のダンジョン)に負けており、今回の競技で敗れると多くの領土を失う立場であるため、強く勝利を望んでいる。闘士を選ぶために試験を行い、選ぼうとする。幻影の魔法と「ネメシスの電光」を使う優秀な魔術師であるが、マグス・ヴァイルの宿敵であり、その刺客から命を狙われている。「ロジ・スカイランナーの剣」と「ブルートゲトランカー(血を吸う剣)」を所有している。
- マグス・ヴァイル
- 日の光を嫌い、夜ごとに血を求めるヴァンパイア(吸血鬼)の一人。「青の塔(ブルータワー)」に住んでいる。吸血鬼の秘密結社に入り、たくさんの人間をいけにえにしている。手裏剣を使う多くの刺客を配下に持つ。打撃によって相手を麻痺させる能力や、オオカミに変身して敵を追う能力、倒されても再生する能力を持つ。
- ネビュラロン
- 砦のダンジョンにいる。クラースの身分の低い悪魔の一人。青く光る目以外は、全身が真っ黒で影のような姿で、四本の腕に黒い新月刀を持つ。魔法をはじき飛ばすバリアを持ち、魔法が通用せず、強力なパワーで扉を閉ざしてしまう。非常に強力な戦闘能力を有し、この巻の主人公たちでは通常の戦法では勝利することは困難である。倒した場合、経験点が特別にもらえる。英語新版のペーパーバックの表紙を飾る。
- クレフ
- クラースの地下迷宮(砦のダンジョン)で競技の参加者を待ち受ける、競技進行役の魔術師。「金のスパイラル」というゲームのチャンピオンであり、参加者にそのゲームのルールを説明してから勝負を挑み、決着が付くと勝敗を問わず、参加者を魔法で更なる地下深くの迷宮に送り込む。参加者が勝った場合や引き分けた場合、参加者に贈り物を与える。だが自分の説明で相手がルールを理解しなかった場合、怒って相手に魔法でダメージを与えてから地下に転送する。
- エキドナ
- クラースの地下迷宮(砦のダンジョン)の奥にある神殿に住む半人半蛇の魔女。美しい女性の顔をしているが、その顔は青白く光り、肌は緑がかっており、顔の周りにはヘビがとぐろをまいている。人の生き血を吸う恐ろしい悪魔の一人。九頭の蛇・ヒドラの母にあたり、神殿の周りにいるハッグ(魔女)たちの女主人でもある。目をあわせると、血をささげるように命じてくる。その牙に強い毒を持ち、高い戦闘能力を有する。カリウムの破片を所有する。日本語翻訳版の表紙を飾る。
- マグス・ジン
- 真のマグスの一人。大爆発が起きる以前に他の真のマグスたちを裏切るが、下男であった巨人のスクリミールを殺され、捕らえられる。しかし、マグス・ジン自身は真のマグスたちも殺害することはできないため、クラースの地下迷宮(砦のダンジョン)の出口付近にある地上から空中に浮く玄武岩の島に監禁され、千年の間、眠っていた。現在でも、半透明の悪霊となっても、地獄から悪鬼を召喚することができる魔力を有し、スクリミールを復活させることで現在のマグスへの復讐をたくらんでいる。彼への協力を承諾すると、スクリミールの化石の心臓を与えられるが、主人公たちの逆らう力は奪われてしまう。
- スクリミール
- 第1巻のラスボス。4メートル近い巨人。「誇り高いヨタンハイムの巨人」を名乗る。マグス・ジンの下男として、真のマグスたちに戦いを挑むが、真のマグスたちの魔法によって、心臓を石にされ、肉をちりに変えられ、骨を砕かれる。骨だけになっても、現在のマグスたちに対する復讐をはかり、頭蓋骨から、自分の骨を集めて、協力するように依頼してくる。肉体の部位は、化石の心臓、頭蓋骨、あばら骨、両腕、両足の7つあり、勝利の紋章近くの鉄の骨組みで復活させることができる。復活した場合、現在のマグスたちの待つ大聖堂に転送していき、カルーゲンの砦を落として、虐殺を行い、大勢の現在のマグスを殺害する。ただし、データとしては、主人公たちに強力なアイテムの存在や魔術師がいた場合、勝利することが不可能な数値ではない。
2巻に登場する人物
- 幽鬼(ストーカー)
- 黒いマントをはおり、小さな青い目をしたドクロの怪物。空中に浮かぶブルームーンから放たれた青い閃光が地上に落下した後、地面から蒸気が立ち昇り、その中心にある闇が広がって、地面からその姿をあらわす。真のマグスであるブルームーン(マグス・トール)の忠実な家臣であり、大爆発以前は、その執事をしていた。ブラッド・ソードの鞘を手にいれるために地上に遣わされる。ブルームーンの魔力や幻術の助けを得て、主人公たちを追い詰めてくる。
- ヴァラダクソール
- ミストラル海に通じるカノング港の近くにあるミスドラックス村の宿屋にいる老騎士。「ルションの騎士」を名乗る。灰色のレディによって、三人の兄弟を殺されており、復讐を考えている。主人公たちが手助けに同意すると、危ない足取りで、鎧をつけ、乗馬を行い、はりきって戦いに赴く。戦闘では勇敢に戦う。聖アシャナスの指の骨が入った「銀の十字架」を所持している。
- 灰色のレディ
- ミスドラックス村の近くにある城に住む。若い女性の姿をしているが、髪は真っ白で、肌は石のような灰色をして、鋭い目つきをしており、城の王座に座っている。美貌と教養がありながら心に悪魔が住んでいると言われている。太陽の光を浴びると石化するが、その状態でも魔法の力を持ち、テレパシーで会話をしてくる。金縛りの魔法、魔法から守る超能力の壁(バリア)を使い、二体の「鎧の化け物」を操り、ひきがえるのような小さなデーモンを従えている。血管には灰が流れ、死ぬ時には石膏像のように砕け散る。「虐殺の球」、「神秘の球」、「疫病の球」、「贈り物の球」、「火の球」を所有している。
- オーガスタス
- 「ヴァントリーのオーガスタス」を名乗る魔法使い。紫色のマントをはおり、やせている。首からぶらさげた白い石のお守りで、空飛ぶじゅうたんを操る。ミストラルの断崖にある白い塔に住み、白い塔では、大きなデーモンと、四人のデーモンの従者が仕えており、いくつかのマジックアイテムを置いている。真のマグスの一人、「ホワイトライト」に仕えており、主人公たちの「ブラッド・ソードの鞘」を奪おうとする。戦闘では、「幻の蛇」、「幻惑」、「粉砕」の魔法と短剣を使う。また、船を飲み込むウォーター・エレメンタルを使うこともある。空飛ぶじゅうたんは、シャーカンという人物をだまして普通のじゅうたんとすりかえて、奪い取ったものである。
- ラザルス
- 「クエスティング・ビースト号」という捕鯨船の船長。副船長にビルダット、船員に「切られのジャダック」、雑用係の少年にキーノイがいる。実は、ミストラル海に住むミッドガルドの大蛇、ジョルマンガルドをつかまえるという妄想にかられている。彼の水夫は手練れぞろいである。彼自身も偃月刀を使う。
- ウルバ
- 北の国ワイアード王国のとある村に住む、十代の予言者の少女。頭髪は金髪の一本のポニーテールを残して剃り上げ、両目の上には白い色が塗られ、額の中央には円形のいれずみをしており、落ち着き、自信に満ちた表情をしている。ワイアード王国の予言者は階級の1つとされており、預言者は、好きなところをめぐり、森や農家で寝て、法律を無視する生活をしており、吟遊詩人を兼ねて、農民たちに権威を恐れないように説いて回っているが、何故かワーロック王からは黙認されている。ウルバもその予言者の一人として、ワーロック王を「老いぼれ」や「夢を奪う奴」と呼び、少しも恐れず、むしろ、軽蔑や哀れみの感情をいだている。ワイアードやワーロック王の過去を主人公たちに伝え、漠然とではあるが、主人公たちの未来を指し示すとともに、助言を与え、強力なアイテムである「鉄の鈴」を主人公たちに渡す。
- グリスタン
- ワーロック王の住む「永遠のたそがれ城」のある小島が浮かぶ湖の上を渡る屋根付きの三本の橋の入り口近くで、周囲を見張っている巨大な悪鬼。二本足でよたよたと歩き、騎士の盾のように大きなうろこでおおわれており、槍の柄のように太い角を生やしている。グリスタンが歩くと、雪が解け、草もしなびて枯れてしまう。倒してもワーロック王の魔力で復活する。三本の橋は、「永遠のたそがれ城」の「混乱の門」、「虐殺の門」、「恐怖の門」のどれかに続いている。
- タナトス
- 「永遠のたそがれ城」の奥にある教会の翼廊のさらに奥にいる巨人の一人。戦士であり、紫色の宝石と黒檀でできた奇妙な鎧と黒い金属製の篭手を身に着け、ギザギザの刃の剣を持ち、足元には数世紀を経たほこりが積もっている。主人公たちに決闘をいどんでくる。頭蓋骨(スカル)のお守りがあれば、有利に戦うことができる。旧セレンチーヌ帝国の第一軍団の軍旗を守っている。
- ワーロック王
- 第2巻のラスボス。六世紀も前から北の国ワイアード王国を支配している魔術師。「永遠のたそがれ」城に住む。水晶の冠をかぶり、燃える杖を持つ邪悪な目つきをした老人。王国内における現実を具現化する力があり、ワイアード国民の夢の中に入り込んで尋問することや、罰する事が出来るため、反逆を企てるものがいると、それをすぐに悟って、反逆者を眠っている間に殺害することができる。他の国出身の人物は、夢の中では殺すことはできないが、「永遠のたそがれ」城において、現実に具現化する強力な魔法で侵入者を迎え撃つ。「真のマグス」たちも、ワーロック王のワイアード内の夢には入ってくることができない。「真のマグス」たちが地上を支配していた頃、大爆発が起こるまでその家来だった過去を持つ。ブラッド・ソードの柄を所有している。かつて、ワイアードを住みよい国にしようとして、季節がめぐらず、死も訪れない豊かで変化のない本当のパラダイスに変えた。しかし、パラダイスに耐えられず、冷たく残酷な王になっている。日本語翻訳版2巻の表紙を飾る。[20][36]。
3巻に登場する人物
- ジャブロ・ザ・ナイフ
- 盗賊(トリックスター)の古い知り合い。クレサンチウムの宝石市場の近くに住んでいる。盗賊(トリックスター)と同様、破廉恥な悪党であり、ターシム人の老人に変装している。変装の名人でもあり、オトレメールで有名な殺し屋であり、現在でも総督府などで誰かを暗殺している。「紫の塔の玉座」という宿屋を勧めることもある。
- ラグレスタン
- 盗賊(トリックスター)の古い知り合い。ポーメルシームの居酒屋で酒を飲んだ仲。クレサンチウムで香料の貿易商をしており、大金持ちとなっている。現在はカペラーズ騎士団の船の手配をしている。商人に扮した三日月形のナイフを持った4人のターシム人の殺し屋を護衛にしている。クレサンチウムの港でキータンの絹の密輸も行っており、ボルカスら8人の密輸犯を配下にしている。ロック寺院のトビアス・ド・ヴァントリーへの紹介状を書いてくれることもある。
- プシュケ
- クレサンチウムの町はずれの館に住む魔女。ヤマト出身のほっそりとした若い女性。優れた魔法戦士であり、相手を猿に変える魔法を使い、魔法で真紅に輝く剣をつくりあげて戦い、血を吸うコウモリの一団を操る。星占いを研究している。配下に2人の大男の奴隷、下半身が石の半人間がいる。強力なデーモンを召喚することもある。地元の人々からは、人間を食う悪鬼と呼ばれ、奴隷の舌を切っていることもある。実名は別に存在し、ある人物の妹にあたる。「イブリスのルビーのブローチ」を所有する。ペスト王エクフェリナーと魂を契約しているため、死後、彼女の魂はその奴隷とされ、さらに海賊王ハンガックの所有物となっており、永遠に魂を鎖でつながれてしまっている。
- ササリアン
- ターシム人の国オパラールの王子。生まれつき人を裏切る性質があり、油断のならない人間として忌み嫌われ、国を追放されて現在ではクレサンチウムの肉屋に住んでいる。多くの敵をつくっており、今でもうらまれている。整った黒い顔をしているが、厳しい視線をしており、その表情から激情と冷酷さがうかがえる。彼も死の剣を探しており、ブラッド・ソードと死の剣がハクバッドの都にあることをつきとめ、それを探しだすためのハチュリ(木の人形)の両目となるエメラルドを求めている。強力な魔法戦士でもあり、壁画に描かれた古い神話上の神々(悪魔)の影たちを実体化させる魔法を使える。金色のターバンをしており、その中央にあるサファイアからエネルギーを放出する。戦闘では、剣と「盲目的服従」、「死の霧」と、サファイアのエネルギー弾を使う。
- ハンガック
- 大昔、偉大な魔法使いサークナサール殺害を始めとして、数々の流血の略奪を行っていた海賊王。ハチュリの目となる二つのエメラルドを奪いとったのも彼である。500年前に死亡したとされていたが、実は亡者のような存在となっており、幽霊船と化した船デビルス・ランナー号で異世界の海をさまよっており、時折、マラジッド湾付近の海に現れる。現在でも、ペスト王エクフェリナーと賭けを行い、魔王フェシティスと争っている。鉄の鎧をつけ、海藻におおわれているが、驚異的な戦闘力を持ち、二本の魔法の戦斧により二度攻撃が可能。「盲目的服従」が通じない。勝利した場合、主人公たちを称えてくれる。
- ジニー
- 炎から作られた巨人。悪魔王ジンの息子イブリスに使える一族であり、「ターシムのデーモン」を自称する。頭が空につっかえるほどの巨体に凄まじい力と強大な魔力を持つ。700年前、人間の魔術師によって真鍮の瓶に封印され、その間、自分を助け出した者に3つの願いを叶える報酬を与える誓いを立てたが、長い年月のうちに性格が歪み、自分を解放した者に与える報酬は死と決めてしまっている。口に出してはならぬ名を挙げ、サラマンの巻物とバカラの息子イザフの七つの指輪に書かれた儀式の言葉を唱える事によって拘束される。負けを認めると、主人公たちに「富の力」、「元気の力」、「修復の力」、「増強の力」、「輸送の力」のうち、3つの願いをかなえてくれる。大昔のマギ派と対立したことがあり、マギ派に憎しみを燃やしている。かなりの話好きである。
- サークナサール
- 故人。強力な魔法使いであり、グレイ・ロックの頂上に、難攻不落の砦を構えていた。探し物を探すためのマジックアイテムであるハチュリ(木の人形)を作ったが、4世紀前に海賊王ハンガックに殺され、その両目のエメラルドを奪われている。サークナサールの死後、砦は廃墟と化している。ジニーの話によると、700年以上前から、かなり知られた魔法使いであったようである。
- ハサン・イーサバー
- ファティマの友人で、ハロガーン山脈東の荒野に秘密の要塞を構えるターシムの異端派に属し、コラード人から暗殺結社と呼ばれるマリジャー派のリーダー(団長)である。「山の老人」の異名を持つ。文献をさかのぼると、少なくとも100年前に彼のことが記されている。この記録が全て、同一人物について述べているものだとすると、彼はターシムの神秘である長寿の達人の一人であることは間違いない。常人の三倍ほどの人間離れした力と音もなく立ち去る機敏さを持ち、その武勇談は世界中で知られている。彼もまた、死の剣を探している。「この世には良いことも悪いこともない。全て妄想である」という思想を持つ。行動しようと努力せずに、行動する人物。第5巻では説明のみの登場となる[16]。
- セブン・イン・ワン
- 木で彫って作られたようなずんぐりとした凶暴な原始の神。ハクバッドのブラッド・ソードの刀身があるダンジョンの奥を守っている。厳密な意味では魂を持っていないため、「盲目的服従」の呪文は通用しない。倒すと、クルミのように二つに割れて、殻の中から一回り小さいが形のまったく同じ木像がでてきて、戦いを挑んでくる。これが、その名の由来となっている。
4巻に登場する人物
- パルドロ
- クレサンチウムに停泊しているエルスランドへ向かう巡礼船「プロヴィデンス号」の船長。ひどくやせており、言葉にはコーナンブリアのなまりが少し残っている。操舵手にガスリック、船員にライアム、犬にガスがいる。エメリタスにおこりを治してもらったことがあるが、強い恩は感じていない。海賊たちを船上で残酷な刑罰にかけたことがある。船員にかなり厳しい人物であり、主人公たちにも狭い船室しか与えてくれない。しかし、勇敢で責任感の強い人物でもあり、筋を通してくる。主人公たちの戦闘に加わってくれることもある。
- シルソール
- クレサンチウムに停泊しているフェロメーヌへ向かう「ゴールデン・ランス号」の船長。大男であり、利益や金に厳しく、ずるいところのある人物であるため、主人公たちをできるだけ船で早く降ろしてフェロメーヌに向かおうとする。操舵手にロックベンとヴェロッキオがおり、屈強な水夫たちを配下にしている。トビアス・ド・ヴァントリーから乗船の紹介状をもらうこともある。
- キルケー
- 西のデオルスク海に浮かぶある島を二千年前から支配している魔女。背の高いやせた優雅な女性であり、金髪の髪をむき出しの肩にさらし、真っ赤な唇、くすんだ灰色の瞳を持ち、長いスリットのある古風な衣装をつけ、銀製のサンダルをしている。魔法を島じゅうのあらゆる場所にかけており、精神が弱いものを操り、幻覚を見せ、島を楽園のように思わせることができる。島に大理石でつくったエンフィドール様式の宮殿に住んでおり、島の女王を名乗る。戦闘では、「死の防御壁」と「死の凝視」の呪文を使ってくる。魔法でつくりあげた青銅の戦士たちやヒキガエルの化け物を使ってくることもある。銀色の小鳥たちを使い、移動させる魔法も使える。
- エンタシウス
- 北西のミスト海のはるか西にある、とある島で召使いの女性とともに住んでいる老魔術師。島にある洞窟につくられた地下室に住んでいる。古代セレンチーヌの貴族であり、魔法によって千年以上も生き続けている。生きたまま「黄泉の国」へと旅立ち、現世に戻ってくる方法を知っている世界で唯一の人間である。今は亡き恋人コーデリアをいつまでも夢見つづけており、「黄泉の国」から現世に連れ戻す事を望んでいる。ザクロとロータス、ベルドンナの樹液を蒸留させてつくった薬で「黄泉の国」へと送る。船を追い払うために、五日間、ひどい嵐を起こすほどの魔力を有する。主人公たちに迎えの使者を送ってくることもある。実は死を恐れている。
- 旅人(トラベラー)
- 「黄泉の国」にあらわれる、つば広の帽子に、古ぼけたマントを羽織っており、ランプをぶらさげた長い杖をかついだ男性。目はギラギラと光っている、かつて、アガルモン、ジステオスなどたくさんの名前があったと名乗る。生前につくった借りを返すため、主人公たちの「黄泉の国」の案内役を名乗り出て、主人公たちと同行して、様々なことを助言してくる。かつて生きていた人間の魂であり、幽霊、死人の影ともされる。
- アングバーグ王
- 「黄泉の国」にあるアングバーグ王の館に住んでいる。目に荒々しさをみなぎらせ、真っ赤なあごひげをはやし、人間ばなれしたたくましい体つきをしている。圧倒的な戦闘力と生命力、山すら持ち上げる力を有する。電撃の呪文と「盲目的服従」が通用せず、王に勝つのは不可能とされ、王に勝った場合の選択肢が存在しない。度胸のある勇者を好み、その勇敢な戦いぶりや話術をたたえてくれる。スラッド姫という娘がいる。百人近い鍛錬を重ねた家臣の戦士たちと執事が仕えている。そのハチミツ酒は魔法の酒で、生命力を回復し、プレイグスターの呪いも解く。「蜜ろう」と稲妻から身を守る「銀の腕輪」を所持している。その正体は、ビンスキルニールの王である雷神トールである。
- レイ・クン
- 雷をつかさどる雷の神。雷が形をとった神であり、主人公たちを理由なく攻撃してくる。飛行しながら、口から稲妻を吐いて攻撃してため、弓か魔法でしか攻撃できない。銅の杖に反応して、まずはそこを攻撃する。東洋にあるキータイの国の神であり、メンツを失うことは耐えがたく、人間の罵詈雑言に弱い。伝説によれば、月の向こう側の宮殿に住んでいる、という。
- アザレル
- 第4巻に登場。死者の魂が住む王国、黄泉の国を統治している死の化身である大天使。山のように大きな裸の巨人で、肌は黒く、顔には白い目隠しをしており、地面に巨大な剣をつきたて、その象牙の柄に手を置いている。広大な荒野の真ん中に立って、霊たちを見守る。他の時代や文化では、プルート、ヘデス、アラウン、オシリス、ヤーマ等の様々な名で呼ばれている。羽根の生えた黒い肌の巨人の姿をしており、羽には無数の目を持っており、一目で「黄泉の国」の隅々を見渡せる。人間が一人死ぬ毎に、羽根の目の一つが閉じられる。全ての目が閉じられる時に最後の審判が行われる[16][37]。
- コーデリア
- 第4巻に登場。古代セレンチーヌの平民の娘であり、エンタシウスの恋人。当時の法律により、貴族であるエンタシウスと結ばれる事が出来ず、二人はセレンチーヌを脱出しようとして、エンピールから西の海にある島に脱出を計ったその夜に、コーデリアはエンタシウスを憎んでいた者達にさらわれて殺されてしまい、待っていたエンタシウスだけが夜が明けると魔法で脱出する事になったのである。彼女の魂は現在も「黄泉の国」に存在する。
5巻に登場する人物
- ザラ
- 第5巻に登場。「真のマグス」復活を狙う邪教徒集団・マギ派に仕える、エンフィドールの女魔術師にして予言者。全身を刺青で覆っており、それには敵の抹殺のために召喚できる悪魔が封印されているという。心を読む術が使えるため、信者達の尋問の役目を担っている。死の雷の術も使える。
- カルナズ・ウスタッド・ハセイン
- 第5巻に登場。ハサン・イーサバーの末息子。2年前にパンシガール暗殺団の指導者ジョモ・マハダールとの戦いで不治の重傷を負った父に代わり、死の剣を携えてマギ派に潜入している。ランク19の戦士と同等の戦闘力を持つ。心を隠蔽するタクミン・クァバの秘技を身につけている。
単行本(日本語翻訳)
- ブラッド・ソード〈シナリオ1〉勝利の紋章を奪え! (富士見文庫―富士見ドラゴンブック) デイブ モリス (著), オリバー ジョンソン (著), 大出 健 (翻訳) 1988/3/30
- ブラッド・ソード〈シナリオ2〉魔術王をたおせ! (富士見文庫―富士見ドラゴンブック) デイブ モリス (著), オリバー ジョンソン (著), 大出 健 (翻訳) 1988/7/1
- ブラッド・ソード〈シナリオ3〉悪魔の爪を折れ! (富士見文庫―富士見ドラゴンブック) デイブ モリス (著), オリバー ジョンソン (著), 大出 健 (翻訳) 1989/2/1
- ブラッド・ソード〈シナリオ4〉死者の国から還れ! (富士見文庫―富士見ドラゴンブック) デイブ モリス (著), オリバー ジョンソン (著), 大出 健 (翻訳) 1989/9/1
ペーパーバック(英語版)
- The Battlepits of Krarth (v. 1) (Knight Books) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著), Russ Nicholson (イラスト) 1987/5/1
- The Kingdom of Wyrd (v. 2) (Knight Books) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著), Russ Nicholson (イラスト) 1987/5/1
- The Demon's Claw (v. 3) (Knight Books) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著), Russ Nicholson (イラスト) 1987/8/1
- Doomwalk (v. 4) (Knight Books) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著) 1988/9/1
- The Walls of Spyte (v. 5) (Knight Books) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著), Jamie Thomson (著) 1988/12/1(シリーズ最終巻。日本語未訳)
ペーパーバック(英語新装版)
表紙が変更されており、追加ルールが存在する。5巻では、世界観や『ブラッド・ソード』が書かれた背景が追記されている。
- The Battlepits of Krarth (Blood Sword) (Volume 1) Fabled Lands Publishing(出版) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著), Russ Nicholson (イラスト) 2014/8/20
- The Kingdom of Wyrd(Blood Sword) (Volume 2) Fabled Lands Publishing(出版) Dave Morris (著), Oliver Johnson (著), Russ Nicholson (イラスト) 2014/8/20
- The Demon's Claw(Blood Sword) (Volume 3) Fabled Lands Publishing(出版) Dave Morris (著) , Russ Nicholson (イラスト) 2014/8/20
- Doomwalk (Blood Sword) (Volume 4) Fabled Lands Publishing(出版) Dave Morris (著) , Russ Nicholson (イラスト) 2014/8/20
- The Walls of Spyte (Blood Sword) (Volume 5) Fabled Lands Publishing(出版) Oliver Johnson (著), Dave Morris (著), Russ Nicholson (イラスト), Jamie Thomson (寄稿) 2019/6/10
小説(英語)
ゲームブックを原作とした全三巻の連作 The Chronicles of the Magi (マグスの年代記)がデイブ・モリスの手によって執筆された。 主人公はウォリアー・モンクの Altor とローグの Caelestis との二名。
- The Sword of Life Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN 0340672986
- ゲームブックの1巻に相当。
- The Kingdom of Dreams Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN 0340672994
- ゲームブックの2巻に相当。
- The City of Stars Hodder & Stoughton(出版) Dave Morris (著) 1999/6/1 ISBN 0340673001
- ゲームブックの3巻に相当。ゲームブックとは異なり小説ではブラッドソードが黄泉の国に持ちさられることがなく、物語はここで完結する。
関連書籍(英語)
- Blood Sword Battle Boards Independently published(出版) Dave Morris (著) 2019/3/31
参考書籍
- ドラゴンの戦士 (創元推理文庫―ドラゴン・ウォーリアーズ) デイブ モーリス (著), 本田 成二 (翻訳) 1990/7/1
- 魔法使いへの道 (創元推理文庫―ドラゴン・ウォーリアーズ) デイブ モーリス (著), 本田 成二 (翻訳) 1990/7/1
外部リンク
- BLOOD SWORD - 『ブラッド・ソード』の英語新装版の紹介ページ
- Blood Sword is back! - 『ブラッド・ソード』の英語新装版の予告
- Blood Sword redux: The Battlepits of Krarth - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第1巻の思い出
- Blood Sword redux: The Kingdom of Wyrd - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第2巻の思い出
- Blood Sword redux: The Demon's Claw - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第3巻の思い出
- Blood Sword redux: Doomwalk (part 1) - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第4巻の思い出(パート1)
- Blood Sword redux: Doomwalk (part 2) - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第4巻の思い出(パート2)
- Blood Sword redux: Doomwalk (part 3) - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第4巻の思い出(パート3)
- Blood Sword redux: The Walls of Spyte - デイブ・モリスの『ブラッド・ソード』第5巻の思い出
- Blood Sword cover design -『ブラッド・ソード』英語新装版・表紙の解説
- Blood Sword 5e - 『ブラッド・ソード』の新しいロールプレイングゲームの計画について
- The Lands of Legend - 「レジェンド世界」の地図のサイト
脚注
- ^ 原文「Quick Thinking」
- ^ ただし、裏技的ではあるが、移動した後に同じパラグラフにもどってくる選択肢を利用して何度も繰り返す方法は存在する。
- ^ 魔術師の非戦闘魔法は、僧侶の知識や超能力と比べた場合、余り明確な情報は手に入らないことが多く、良くない結果になることも多いため、この点が魔術師というクラスの扱いを難しくしている。
- ^ この場合、ルールを厳密に当てはめるより、敵が結果的に強くなるという現象が生まれてしまう
- ^ このルールを厳密に適用した場合、プレイヤーに魔術師がいた場合、他のキャラクターが敵を引き付けて、一マスずつ動いて敵を引き付けて、その間に魔法をかけて攻撃するような裏技が使える。また、あえて敵に近づかず、敵を先に近づかせて先手を取る戦法や、ひたすら防御に徹して、魔術師の魔法の成功まで待つ戦法なども使うことができ、プレイヤー側がかなり有利となる。
- ^ このため、日本語翻訳版のルールでは、遠距離からの攻撃できる敵に対して、勝利することや逃走することができない戦闘が発生している。
- ^ ただし、2019年出版の英語新装版の『The Walls of Spyte』にしか記載がないため、二つ目と三つ目はブラッド・ソードを装備していることによるボーナスととらえるべきかもしれない。
- ^ ただし、永続的に続くわけではなく、尋問した場合、途中で魔法が解ける時もある。
- ^ 服従させた敵が生きていた場合、ヴァンパイアの魔法をかけて魔術師が生命力を回復させることも可能である。また、服従させた敵を移動させて、他の敵の進路を防ぐ役割を果たさせることもできる。
- ^ そのためか、『ブラッド・ソード』では到底、勝利することが不可能と思われる相手でも、勝利した場合の選択肢が用意されている。
- ^ 『The Walls of Spyte』パラグラフ149
- ^ 『The Walls of Spyte』パラグラフ44、452
- ^ a b ただし、製作者のデイブ・モリスは自身のブログのコメントの返信において、"I wouldn't even allow characters from a Dragon Warriors roleplaying campaign into Blood Sword. Although both are set in Legend, they are tonally different versions of that world."と発言しており、『ドラゴン・ウォーリアーズ』のキャンペーンキャラクターは、「『ブラッド・ソード』の世界に入ることは認められず、この二つの作品は同じ「レジェンド」という世界でも色合いが異なるバージョンであると記している。Blood Sword redux: Doomwalk (part 1) - Fabled Lands
- ^ 『ドラゴンの戦士』109-112頁
- ^ 原文「disciples of the Magi」
- ^ a b c d e f 『Doomwalk』Grossary
- ^ a b 『The Demon's Claw』パラグラフ60
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ60 、214
- ^ a b c d e f g h i j k l 『The Battlepits of Krarth』Grossary
- ^ a b c d e f g h i j 『The Kingdom of Wyrd』Grossary
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ79、296、374、439、553
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ40
- ^ 『Doomwalk』パラグラフ253
- ^ 『The Kingdom of Wyrd』パラグラフ267、306、417
- ^ 『The Kingdom of Wyrd』パラグラフ422、537、565
- ^ a b c d e f 『The Demon's Claw』Grossary
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ18、85、101、168、269、291、331、535、575
- ^ 『Doomwalk』パラグラフ45、415
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ44
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ290、550
- ^ 『Doomwalk』パラグラフ97、111、287、519
- ^ 『The Kingdom of Wyrd』パラグラフ209
- ^ a b 『The Demon's Claw』パラグラフ467
- ^ 『The Demon's Claw』パラグラフ284、467
- ^ 『The Kingdom of Wyrd』パラグラフ419
- ^ 『The Kingdom of Wyrd』パラグラフ209 、330
- ^ 『Doomwalk』パラグラフ429、515