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2022年3月1日 (火) 00:01時点における版

水野 薫子（みずの かおるこ) は、日本のジュエリーデザイナー。アテナ宝石デザイン研究所代表[1][2]。日本ジュエリーデザイナー協会会員[3]。

ローマ字表記は「Kaoluco Mizuno」、代表を務める株式会社ヴィアカオルコのロゴの表記は「ＫΛＯＬＶＣＯ」としている[4]。

経歴

東京で生まれた[5]。中学校と高校では課外活動として美術部に所属していた[6]。当時パウル・クレーやカンディンスキーの絵やギリシア神話を好んだ[6]。中学生のときキュビスムの代表的画家であるジョルジュ・ブラック[7]作の「エウロペ」と名付けられた宝飾品を見て興味を持った[6]。その後学習院大学英米文学部に進学し、シェイクスピアを専攻したが[8][9]、一方で大学2年生の時に彫金を習い始め、当時一般的ではないと思われたジュエリーデザイナーではなく彫金家をめざした[6]。しかし両親などに反対されて、大学卒業後銀行に就職した[6]。銀行では本社の国際部勤務になったが、入社直後に事務系の仕事が苦手なことに気づき、職業選択を誤ったことを後悔した[6]。

就職後も趣味として続けていた彫金教室で生徒全員が宝飾デザインのコンテストに応募することになり、初めて描いた宝飾のデザイン画2枚が入賞し、そのデザイン画によって自ら制作した作品が佳作に選ばれた[10]。これを機に銀行を退職し、1970年代後半に[11]デザイン学校に入学し、デザインの勉強に専念した[12]。1982年に第1回現代宝飾デザイン展でイヤリング部門の金賞を受賞した[11]。このころ新進のジュエリーデザイナーとして注目されるようになっていた[11]。

1988年に著名なジュエリーデザイナーであるミザーニのミラノにある店で個展を開催し、現地の新聞やテレビニュースで取り上げられた[13][14]。1990年にミラノにオフィスを設立した[3][4]。製作、発表の拠点をミラノ、東京の2都市とし、ミラノでも個展を開催している[3][4][15]。

2005年9月にイタリアのボマルツォにあるオルシーニ宮殿（イタリア語版）で個展を開催した[16]。この個展はヴィテルボ県とボマルツォが後援し、個展初日の式典には県知事とボマルツォの首長が参加した[16]。

2005年10月にテレビ東京系列で放送されたドキュメンタリー番組『ソロモン流』で活動が紹介された[17]。2006年にテレビ朝日系『木曜ドラマ』で放送された連続テレビドラマ『けものみち』で主人公であるジュエリーデザイナー役を演じた米倉涼子がつけたネックレスをデザインした[18][19]。このネックレスには73カラットの天然サファイアと30カラットのダイヤモンドが使用された[18]。2008年にテレビ東京系列で放送されたバラエティ番組『世界を変える100人の日本人』[20]で特集された。2009年に学研から刊行されたエッセイスト菅原亜樹子の著書『だから、一流。』で[21]北島康介や五嶋みどりなど20人の著名人の一人として取り上げられ、水野薫子の銀行員だったころから刊行当時までのエピソードが掲載された[22]。このころ「日本を代表するジュエリーデザイナーの1人」[22]とされるようになっていた。

2010年にジュエリーデザイン学校｢アテナ宝石デザイン研究所」の2代目代表に就任した[2]。

ダイヤモンドデザインコンテストで1位になった他、インターナショナルパールデザインコンテストで金賞を受賞し、毎日新聞現代宝飾展で金賞を受賞している[15]。

略年譜

受賞歴

  • 1978年 - 真珠振興会主催インターナショナルパールデザインコンテストデザイン部門金賞及び佳作[26]
  • 1979年 - デビアス主催　ダイヤモンドデザインコンテスト金賞及び佳作[27]
  • 1979年 - プラチナギルド主催プラチナデザインコンテスト、プラチナギルド賞及び佳作[28]
  • 1982年 - 第一回現代宝飾展金賞[29]　

メディア出演

所蔵

2005年に個展を開催したオルシーニ宮殿にブローチが所蔵されている[31][32][33]。ブローチはこの個展開催の際に制作・寄贈したもので[16]、「レジェンダ」と名付け、オルシーニ宮殿がある自治体の所蔵品となっている[32]。往時のオルシーニ宮殿を模して彫刻したカメオを中央に配し、上部に鳳凰、下部には地元の特産品であるヘーゼルナッツをあしらったデザインで、「東西の平和と繁栄を願って制作」したという[31][33][34]。オルシーニ宮殿があるヴィテルボ県で4月に開かれる聖アンセルモ祭のパレードで披露されている[32][注 1]。

脚注

注釈

  1. ^ 聖アンセルモは15世紀の人物[32]。「レジェンダ」が聖アンセルモ祭のパレードで毎年披露されると2007年に報道された[32]。

出典

  1. ^ a b 「講師紹介」アテナ宝石デザイン研究所（2016年頃）。2022年2月15日閲覧。
  2. ^ a b c d 「水野薫子」日本ジュエリーデザイナー協会。2022年2月2日閲覧。
  3. ^ a b c d "Profile" ヴィアカオルコ。2022年2月2日閲覧。
  4. ^ a b 『ソロモン流』テレビ東京。2022年2月2日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 菅原、2009年、83頁。
  6. ^ 「ブラック［一］(Georges Braque ジョルジュ━)」『精選版 日本国語大辞典』小学館、コトバンク。2022年2月2日閲覧。
  7. ^ 菅原、2009年、82頁。
  8. ^ 菅原、2009年、90頁。
  9. ^ 菅原、2009年、85頁。
  10. ^ a b c 『毎日新聞』（1982年4月15日付）。「審判番号 無効2002-35040」商標審決データベース、アスタミューゼ。2022年2月1日閲覧。
  11. ^ 菅原、2009年、86頁。
  12. ^ a b 菅原、2009年、88-90頁。
  13. ^ a b 『ウニタ』（1988年4月27日付）。
  14. ^ a b "PROFILE 水野 薫子" 時計美術宝飾新聞社。2022年2月1日閲覧。
  15. ^ a b c d 「水野薫子さんがオルシーニ宮殿で個展開催 05/10/31」JEWELRY INFORMATION. 「（「水野薫子さんがオルシーニ宮殿で個展開催」〈アーカイブ〉）」TKB Website（2005年10月31日）。時計美術宝飾新聞社。2022年2月1日閲覧。
  16. ^ a b 「2006年水野薫子新作ファッションショー＆個展、“黄金の翼に乗って”開催」ジャパンプレシャス（2006年5月29日）、矢野経済研究所。2022年2月2日閲覧。
  17. ^ a b 「「けものみち」の米倉涼子さんが豪華ネックレス！」TKBヘッドライン（2006年1月）、時計美術宝飾新聞社。2022年2月1日閲覧。
  18. ^ 「テレビ朝日系列ドラマ「けものみち」に水野薫子ジュエリーが登場」ジャパンプレシャス（2006年2月7日）、矢野経済研究所。2022年2月2日閲覧。
  19. ^ a b 「世界を変える100人の日本人 認定者リスト」テレビ東京。2022年2月2日閲覧。
  20. ^ 水野薫子 述「OLから転身してジュエリーデザイナーへ。まわり道が、パワーになった。」、菅原亜樹子 著『だから、一流。－才能とは、継続する力。成功の裏には、10倍の失敗がある。』学研、2009年、81-92頁。ISBN 978-4-05-404070-0。（「だから、一流。」資料詳細、さいたま市図書館。2022年2月2日閲覧。）
  21. ^ a b 「『だから、一流。』にジュエリーデザイナー水野薫子さんが登場」ジャパンプレシャス（2009年3月3日）、矢野経済研究所。2022年2月2日閲覧。
  22. ^ L’orafo italiano 1993 April号8
  23. ^ 2005年 Japanprecious summer号掲載 ソロモン流第二回2005年10月23日
  24. ^ 2018日本ジュエリー展 図録
  25. ^ Jewel 78年 8月号
  26. ^ 九州時計新聞 1980年2月1日号
  27. ^ れじゅわいよ 1980 Feb.43号
  28. ^ 日本宝飾開発センター会報 57年3月号
  29. ^ 「松本清張　けものみち（誤り…けもの道、獣道）」テレビドラマデータベース。2022年2月2日閲覧。
  30. ^ a b 菅原、2009年、93-94頁。
  31. ^ a b c d e 「デザイナー水野薫子のジュエリーがイタリアビテルボ県の聖アンセルモ祭のパレードに登場」ジャパンプレシャス（2007年5月1日）、矢野経済研究所。2022年2月14日閲覧。
  32. ^ a b "Collection" ヴィアカオルコ。2022年2月15日閲覧。
  33. ^ 参考：「水野薫子 レジェンダ ダイヤモンド1.40ct ベリル シェルカメオ 18金イエローゴールド ブローチ兼ペンダントトップ【中古】」福岡宝石市場。「同じデザインのもの」の中古品の広告、2022年2月14日閲覧。

参考文献

  • 菅原亜樹子『だから、一流。 - 才能とは、継続する力。成功の裏には、10倍の失敗がある。』学研、2009年。ISBN 978-4-05-404070-0。
    • （水野薫子の略歴）、『だから、一流。』82頁。
    • 水野薫子 述「OLから転身してジュエリーデザイナーへ。まわり道が、パワーになった。」、『だから、一流。』83-92頁。
    • 菅原亜樹子「インタビューを終えて」、『だから、一流。』93-95頁。

外部リンク

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