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「ウイニングラン (コンピューターゲーム)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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'''ウイニングラン'''('''Winning Run''')は、[[ナムコ]](後の[[バンダイナムコエンターテインメント]])が開発した[[レースゲーム]]。[[1989年]]2月稼動開始<ref name=":0">{{Cite book|和書|title=ザ・ナムコ・グラフィティ1|url=https://www.worldcat.org/oclc/1265333325|publisher=ソフトバンク出版事業部|date=1994.12.2|isbn=4-89052-585-8|oclc=1265333325|others=ヘッドルーム|year=1994|page=127}}</ref>。業務用3D[[アーケードゲーム基板|システム基板]]「[[SYSTEM21|システム21]]」の第一弾ソフトとして発表された、日本産[[アーケードゲーム]]初のフル[[ポリゴン]][[3次元コンピュータグラフィックス|3D]]レースゲームである。
'''ウイニングラン'''('''Winning Run''')は、[[ナムコ]](後の[[バンダイナムコエンターテインメント]])が開発した[[レースゲーム]]。[[1989年]]2月稼動開始<ref name=":0">{{Cite book|和書|title=ザ・ナムコ・グラフィティ1|url=https://www.worldcat.org/oclc/1265333325|publisher=ソフトバンク出版事業部|date=1994.12.2|isbn=4-89052-585-8|oclc=1265333325|others=ヘッドルーム|year=1994|page=127}}</ref>。業務用3D[[アーケードゲーム基板#システム基板|システム基板]]「[[SYSTEM21|システム21]]」の第一弾ソフトとして発表された、日本産[[アーケードゲーム]]初のフル[[ポリゴン]][[3次元コンピュータグラフィックス|3D]]レースゲームである。


当時ナムコは、日本のゲーム業界初のポリゴン処理機能を搭載したシステム基板である「システム21」をポリゴナイザーと命名して宣伝していた。
当時ナムコは、日本のゲーム業界初のポリゴン処理機能を搭載したシステム基板である「システム21」をポリゴナイザーと命名して宣伝していた。


==レースカテゴリー==
==レースカテゴリー==
初級者用のEASYと上級者用のTECHNICALにカテゴリー分けされ、それぞれPRACTICE(予選)GRAND PRIX(決勝)がある。
初級者用のEASYと上級者用のTECHNICALにカテゴリー分けされ、どちらもPRACTICE(予選)GRAND PRIX(決勝)の順に出走する。
===EASY(初級者用)===
===EASY(初級者用)===
[[フォーミュラ3000|F3000]]クラスのカテゴリー(3速MT+後退 仕様)。
[[フォーミュラ3000|F3000]]クラスのカテゴリー(3速MT+後退 仕様)。
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競争相手として、F3000クラスでは国内の有名ドライバー、F1クラスは有名F1パイロット名をもじった名前がグリッドに名を連ねていた。車のカラーリングは、赤白の[[マールボロ (たばこ)|マールボロ]]・[[マクラーレン]]F1カラーや、[[チーム・ロータス|ロータス]]の[[キャメル (たばこ)|キャメル]]イエロー等が再現されていた。さらに当時においては、[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系列によるF1中継([[F1グランプリ]])の開始、[[アイルトン・セナ|セナ]]・[[アラン・プロスト|プロスト]]・[[ナイジェル・マンセル|マンセル]]・[[ネルソン・ピケ|ピケ]]・[[ゲルハルト・ベルガー|ベルガー]]・[[中嶋悟]]らが繰り広げる名勝負、[[ホンダ・レーシング・F1チーム|ホンダ]]エンジンの圧倒的なターボパワーの魅力、さらに[[鈴鹿サーキット]]での[[日本グランプリ (4輪)|日本グランプリ]]の開催などなど、大きな盛り上がりを見せた当時の[[F1ブーム]]も相まって、そうした要素は臨場感を非常に高める要素となっていた。
競争相手として、F3000クラスでは国内の有名ドライバー、F1クラスは有名F1パイロット名をもじった名前がグリッドに名を連ねていた。車のカラーリングは、赤白の[[マールボロ (たばこ)|マールボロ]]・[[マクラーレン]]F1カラーや、[[チーム・ロータス|ロータス]]の[[キャメル (たばこ)|キャメル]]イエロー等が再現されていた。さらに当時においては、[[フジテレビジョン|フジテレビ]]系列によるF1中継([[F1グランプリ]])の開始、[[アイルトン・セナ|セナ]]・[[アラン・プロスト|プロスト]]・[[ナイジェル・マンセル|マンセル]]・[[ネルソン・ピケ|ピケ]]・[[ゲルハルト・ベルガー|ベルガー]]・[[中嶋悟]]らが繰り広げる名勝負、[[ホンダ・レーシング・F1チーム|ホンダ]]エンジンの圧倒的なターボパワーの魅力、さらに[[鈴鹿サーキット]]での[[日本グランプリ (4輪)|日本グランプリ]]の開催などなど、大きな盛り上がりを見せた当時の[[F1ブーム]]も相まって、そうした要素は臨場感を非常に高める要素となっていた。


==関連作品==
==シリーズ作品==
続編として、[[鈴鹿サーキット]]を再現し、最大8人までの通信対戦機能を搭載した『'''ウイニングラン鈴鹿GP'''』、全体的に難易度の下がった『'''ウイニングラン'91'''』がある。これらの作品は通信対戦を主としているので、コンピューターカーは障害物もしくはスリップストリームを発生させるためのアイテムに過ぎなくなっていた。
続編として、[[鈴鹿サーキット]]を再現し、最大8人までの通信対戦機能を搭載した『'''ウイニングラン鈴鹿GP'''』、全体的に難易度の下がった『'''ウイニングラン'91'''』がある。これらの作品は通信対戦を主としているので、コンピューターカーは障害物もしくはスリップストリームを発生させるためのアイテムに過ぎなくなっていた。


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また、コースやBGMを共用している姉妹品として、3画面モニター搭載の大型筐体レースゲーム『[[ドライバーズアイ]]』(1991年2月)がある<ref name=":1" />。
また、コースやBGMを共用している姉妹品として、3画面モニター搭載の大型筐体レースゲーム『[[ドライバーズアイ]]』(1991年2月)がある<ref name=":1" />。


== 関連商品 ==
関連商品として、ゲーム音楽のCD『G.S.M namco 2 Winning Run』が[[ポニーキャニオン]]から発売された。また、攻略本や、攻略ビデオ・最速ビデオも販売された。

=== 音楽ソフト ===
;'''ウイニングラン-G.S.M.namco 2-'''(CD:D24B1003 / [[カセットテープ|CT]]:24P60083)
:[[ポニーキャニオン]]/[[サイトロン・レーベル|サイトロンレーベル]]より、1989年7月21日発売。初代ウイニングランのオリジナル音源及びアレンジ曲を収録。
;'''ファイナルラップ2-G.S.M.namco 3-'''(CD:PCCB-00040 / CT:PCTB-00012)
:ポニーキャニオン/サイトロンレーベルより、1990年9月21日発売。ウイニングラン鈴鹿GPのオリジナル音源、アレンジ曲を収録。『'''サイトロン・ビデオゲームミュージック年鑑1990'''』(CD3枚組:PCCB-00055 / 1991年2月21日発売)にも再収録された。
;'''[[ビデオ・ゲーム・グラフィティ|ビデオゲーム グラフィティ]] VOL.8'''(CD:VICL-8074)
:[[JVCケンウッド・ビクターエンタテインメント|ビクター音楽産業]]より、1993年9月22日発売。ウイニングラン'91(ドライバーズアイ)のオリジナル音源を収録。

=== 映像ソフト ===
;'''ウイニングラン'''(VHS:V32X9657 / β:X32X9657)
:ポニーキャニオン/サイトロンレーベルより、1989年7月21日発売。初代ウイニングランの基本テクニック、コーナー攻略の要点、逆走等の小ネタの他、「16位出走のバトルレース」「テクニカル・タイムアタック2分20秒87」等の映像が収録されている。


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2021年11月18日 (木) 21:02時点における版

ウイニングランWinning Run)は、ナムコ(後のバンダイナムコエンターテインメント)が開発したレースゲーム1989年2月稼動開始[1]。業務用3Dシステム基板システム21」の第一弾ソフトとして発表された、日本産アーケードゲーム初のフルポリゴン3Dレースゲームである。

当時ナムコは、日本のゲーム業界初のポリゴン処理機能を搭載したシステム基板である「システム21」をポリゴナイザーと命名して宣伝していた。

レースカテゴリー

初級者用のEASYと上級者用のTECHNICALにカテゴリー分けされ、どちらもPRACTICE(予選)、GRAND PRIX(決勝)の順に出走する。

EASY(初級者用)

F3000クラスのカテゴリー(3速MT+後退 仕様)。

搭乗車両はレイトンハウスを模したブルーのカラーリング。

TECHNICAL(上級者用)

F1クラスのカテゴリー(5速MT+後退仕様)。

搭乗車両はフェラーリを模したレッドのカラーリング。

PRACTICE(予選)

規定時間(60秒)以内にコースを1周すると決勝進出(できなければゲームオーバー)。ラップタイムで決勝のスターティンググリッドが決まる。予選では他の車両がかなり離れて配置され、順位もマークされないので、自分の走りに集中することができる。

GRAND PRIX(決勝)

他の車両と同時にスタートし順位を競う。規定時間内に1周するとタイマーが延長され、レースを継続できる。EASYは3周、TECHNICALは4周するとゴール。優勝すれば、栄光のウイニングランを見ることができる。また、TECHNICALでゴールするとネームエントリーができ、上位者はリストアップされる。そのため、ゲーム上で優勝を手にする腕前になっても、リストの上位に名を連ねようとする人間同士のタイムアタックが繰り広げられた。

筐体

シーケンシャルタイプのマニュアルトランスミッションの位置は当時のフォーミュラカーの実車と同様に右手で操作するポジションとなっていた。しかもレブカウンター(エンジン回転数計)もCGで表示されており、エンジン音を聴きながらタイミング良くシフト操作することが求められた。スタート時の回転数は重要で、スムーズな加速(ロケットスタート)を得るには一定の回転数を保った状態でアクセルを踏んでおく必要があった(F3000とF1ではエンジン吹けあがり方も違えば、レッドゾーンの設定も異なり、加速性能・最高速度なども違っていた)。ステアリングも実車のフォーミュラカーを模した小径タイプの物が採用されていた。

ゲーム発売当初は可動機構を備えた大型筐体でのみ販売。コースのバンク角に合わせ、筐体自体がシートを左右15度、前後7度に動くことで臨場感が増すものであった。後に可動機構を排した小型のスタンダード版(1989年6月)もリリースされている[1]

レースの詳細

コースにはバンク、ヘアピン、トンネルなどが再現され、微妙なライン取りやアクセルワーク、ブレーキングポイントがタイムに影響する。決勝では他の車両と競り合いながら走行することになるので常にベストなラインを取れるわけではない。仮に予選でベストなラインで走れたとしても、決勝で1位になるにはベストなラインをあえて外して攻める必要もある。ただし、この決勝ではタイヤにグリップ力の概念が再現されており、無茶なドライビングをすると即スピンとなった。そのため、できるだけ実車同様に基本に忠実なオングリップ走行が求められた。

また、空気抵抗の概念もあり、スリップストリームも再現されている。さらに、後続車の動きは左右のミラーやエンジン音で再現されており、抜かれないようラインをブロックする必要もあった。

ヘアピン部分で素早く方向転換する目的で、わざと減速せずに壁にぶつかるという有名な技もあった(俗に「壁ターン」と呼ばれた)。これは意識しなくても、コーナリングに失敗して自然とそうなってしまう場合もある。これはクラッシュという概念が設定されていなかったことによる。

競争相手として、F3000クラスでは国内の有名ドライバー、F1クラスは有名F1パイロット名をもじった名前がグリッドに名を連ねていた。車のカラーリングは、赤白のマールボロマクラーレンF1カラーや、ロータスキャメルイエロー等が再現されていた。さらに当時においては、フジテレビ系列によるF1中継(F1グランプリ)の開始、セナプロストマンセルピケベルガー中嶋悟らが繰り広げる名勝負、ホンダエンジンの圧倒的なターボパワーの魅力、さらに鈴鹿サーキットでの日本グランプリの開催などなど、大きな盛り上がりを見せた当時のF1ブームも相まって、そうした要素は臨場感を非常に高める要素となっていた。

シリーズ作品

続編として、鈴鹿サーキットを再現し、最大8人までの通信対戦機能を搭載した『ウイニングラン鈴鹿GP』、全体的に難易度の下がった『ウイニングラン'91』がある。これらの作品は通信対戦を主としているので、コンピューターカーは障害物もしくはスリップストリームを発生させるためのアイテムに過ぎなくなっていた。

ウイニングラン鈴鹿GP

1989年12月稼働開始[1]。ゲーム開始時のモード選択が、前作のEASY/TECHNICALから、AUTOMATIC/MANUALに変更。モードによる周回数の違いもなくなっている。車体カラーは最大4種類で、コックピットパネルもそれぞれ違うデザインになっているが、性能自体に差は設けられていない。通信対戦においては『ファイナルラップ』と同様、2位以降の車両のスピードに補正がかかる弱者救済システムが採用された。コースレイアウトは基本的に実在のコースを踏襲しているが、シケインには壁が設けられており、ショートカットができなくなっている。

AUTOMATIC(初級者用)
5速AT+後退仕様。後退するには、1速で120km/h以下の時にシフトダウンする。
MANUAL(上級者用)
6速MT+後退仕様。AT/MT間で最高速度に差はないが、操作次第でMTの方が効率よく加速できる。
PRACTICE(予選)
コースの東側半分のみを走行する。デグナーカーブ手前をゴールとして、完走タイムまたはゴールまでの距離で順位が決まり、その順位により決勝のスターティング・グリッドも決定される(完走しなくても決勝には進出できる)。予選ではグリップが強化され、どんなにハンドルを切ってもスピンしない仕様になっている。
GRAND PRIX(決勝)
決勝は制限時間内にチェックポイントを通過しつつ、コース全体を2周する(対戦では首位のプレイヤーがポイントを通過すれば全員のタイマーが加算される)。予選とは違い、むやみにハンドルを切ると簡単にスピンする。

ウイニングラン'91

1991年3月稼働開始[2]。レースの舞台が再びオリジナルコース(ナムコサーキット[3])に変更された。操作性も見直され、タイヤのグリップ強化等、初心者を意識した調整が施されている。モード選択は前作同様だが、AUTOMATICは5速から6速に変更。コックピットパネルも90年度F1のモデルをベースにデザインが一新された。

今作には予選が無く、スターティング・グリッドはコインの投入順で決まる仕様となっている。レースは制限時間内にチェックポイントを通過しつつコースを2周し、順位を競う[4]

また、コースやBGMを共用している姉妹品として、3画面モニター搭載の大型筐体レースゲーム『ドライバーズアイ』(1991年2月)がある[2]

関連商品

音楽ソフト

ウイニングラン-G.S.M.namco 2-(CD:D24B1003 / CT:24P60083)
ポニーキャニオン/サイトロンレーベルより、1989年7月21日発売。初代ウイニングランのオリジナル音源及びアレンジ曲を収録。
ファイナルラップ2-G.S.M.namco 3-(CD:PCCB-00040 / CT:PCTB-00012)
ポニーキャニオン/サイトロンレーベルより、1990年9月21日発売。ウイニングラン鈴鹿GPのオリジナル音源、アレンジ曲を収録。『サイトロン・ビデオゲームミュージック年鑑1990』(CD3枚組:PCCB-00055 / 1991年2月21日発売)にも再収録された。
ビデオゲーム グラフィティ VOL.8(CD:VICL-8074)
ビクター音楽産業より、1993年9月22日発売。ウイニングラン'91(ドライバーズアイ)のオリジナル音源を収録。

映像ソフト

ウイニングラン(VHS:V32X9657 / β:X32X9657)
ポニーキャニオン/サイトロンレーベルより、1989年7月21日発売。初代ウイニングランの基本テクニック、コーナー攻略の要点、逆走等の小ネタの他、「16位出走のバトルレース」「テクニカル・タイムアタック2分20秒87」等の映像が収録されている。
  1. ^ a b c ザ・ナムコ・グラフィティ1』ヘッドルーム、ソフトバンク出版事業部、1994年12月2日、127頁。ISBN 4-89052-585-8OCLC 1265333325https://www.worldcat.org/oclc/1265333325 
  2. ^ a b ザ・ナムコ・グラフィティ1』ヘッドルーム、ソフトバンク出版事業部、1994年12月2日、128頁。ISBN 4-89052-585-8OCLC 1265333325https://www.worldcat.org/oclc/1265333325 
  3. ^ マリオカートアーケードグランプリDXの同名コースとは全く別のデザイン。
  4. ^ ノーマル設定。3周設定のロケーションもあった。