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[[File:Hipómenes y Atalanta (Reni).jpg|thumb|300px|[[グイド・レーニ]]『[[アタランテとヒッポメネス]]』1618年-1619年頃。[[プラド美術館]]所蔵。]] |
[[File:Hipómenes y Atalanta (Reni).jpg|thumb|300px|[[グイド・レーニ]]『[[アタランテとヒッポメネス]]』1618年-1619年頃。[[プラド美術館]]所蔵。]] |
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'''ヒッポメネース'''({{Lang-grc-short|Ἱππομένης}})、または'''メラニオーン'''({{Lang|grc|Μελανίων}}、{{Lang|grc|Μειλανίων}})<ref>"{{Lang|grc|Μελανίων}}"は[[アポロドーロス]](『[[ビブリオテーケー|ギリシア神話]]』3.9.2)、[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]](3.12.9)が使用した。"{{Lang|grc|Μειλανίων}}"は[[クセノポーン]]の『狩猟について』(1.2および7) で使用される。"{{Lang|el|Ἱππομένης}}"は[[テオクリトス]](『牧歌』3.40)、[[エウリーピデース]](散逸した作品。『ギリシア神話』に記載あり。)の他、多くのローマ人の著作家によって使用されている。[[オウィディウス]]の『恋の技法』(2.188) や[[セクストゥス・プロペルティウス|プロペルティウス]] (1.1.9) は、"{{Lang|el|Μειλανίων}}"のラテン語での綴り"Milanion"を使用している。</ref>は、ギリシア神話の人物である。[[長母音]]を省略して'''ヒッポメネス'''、'''メラニオン'''とも表記される。[[アルカディア県|アルカディア]]地方のアムピダマース<ref name="Ps.-Apollod. 3.9.2.">[[アポロドーロス]]『[[ビブリオテーケー|ギリシア神話]]』3.9.2。</ref>、またはオンケーストスのメガレウス<ref>[[オウィディウス]]『[[変身物語]]』10.605。</ref>の息子で、[[アタランテー]]の夫。[[ケイローン]]の弟子としても知られ、困難に立ち向かう意志において他の弟子を凌ぐとされた<ref>[[クセノポーン]]『狩猟について』1.2および7。</ref>。碑文では、[[カリュドーンの猪狩り]]に参加したとされる<ref>''[[:en:Corpus Inscriptionum Graecarum|Corpus Inscriptionum Graecarum]]'', 8139, 8185a.</ref>。 |
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== 神話 == |
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後に、アタランテーとヒッポメネースは、彼の故郷への旅の途中に[[キュベレー]]の聖域で交わったことにより怒りを買って獅子に変えられた。<!-- 未訳部分 (the Greeks believed that lions could not mate with other lions, but only with leopards) -->オウィディウスとセルウィウスによれば、ヒッポメネースがアプロディーテーの助力への返礼を怠ったために怒り、キュベレーの神殿に2人が立ち寄った際に彼らを愛欲で狂わせて交わらせ、これによってキュベレー(ヒュギーヌスによれば[[ゼウス]])が彼らを獅子に変えたとされる。その後、彼らはキュベレーの戦車を牽いているとされ、セルウィウスはこの戦車を地球そのものと考えていた。 |
後に、アタランテーとヒッポメネースは、彼の故郷への旅の途中に[[キュベレー]]の聖域で交わったことにより怒りを買って獅子に変えられた。<!-- 未訳部分 (the Greeks believed that lions could not mate with other lions, but only with leopards) -->オウィディウスとセルウィウスによれば、ヒッポメネースがアプロディーテーの助力への返礼を怠ったために怒り、キュベレーの神殿に2人が立ち寄った際に彼らを愛欲で狂わせて交わらせ、これによってキュベレー(ヒュギーヌスによれば[[ゼウス]])が彼らを獅子に変えたとされる。その後、彼らはキュベレーの戦車を牽いているとされ、セルウィウスはこの戦車を地球そのものと考えていた。 |
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いくつかの記述では、ヒッポメネース(メラニオーン)は[[パルテノパイオス]]の父であるとされる<ref>アポロドーロス『ギリシア神話』3.6.3。</ref><ref>[[パウサニア |
いくつかの記述では、ヒッポメネース(メラニオーン)は[[パルテノパイオス]]の父であるとされる<ref>アポロドーロス『ギリシア神話』3.6.3。</ref><ref>[[パウサニアス (地理学者)|パウサニアス]]『ギリシア案内記』3.12.9。</ref>が、パルテノパイオスは[[アレース]]<ref>アポロドーロス『ギリシア神話』3.9.2で示唆される。</ref>、または[[メレアグロス]]<ref>ヒュギーヌス『神話集』70, 99, 270。</ref>の子とされる場合もある。 |
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== 系図 == |
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2021年11月15日 (月) 11:17時点における版
ヒッポメネース(古希: Ἱππομένης)、またはメラニオーン(Μελανίων、Μειλανίων)[1]は、ギリシア神話の人物である。長母音を省略してヒッポメネス、メラニオンとも表記される。アルカディア地方のアムピダマース[2]、またはオンケーストスのメガレウス[3]の息子で、アタランテーの夫。ケイローンの弟子としても知られ、困難に立ち向かう意志において他の弟子を凌ぐとされた[4]。碑文では、カリュドーンの猪狩りに参加したとされる[5]。
神話
ヒッポメネースは主にアタランテーへの求婚で知られ、この神話はアポロドーロス[2]、オウィディウス[6]、セルウィウス[7]、ヒュギーヌス[8]などによって記されている。
ヒッポメネースは処女の狩人、アタランテーに恋をするが、彼女は結婚をすることを拒んでいた。しかし神託で結婚するように警告されると、彼女は、自分と結婚したい男性は徒競走で彼女に勝利しなければならないこと、そして敗者は殺害することを宣言した。彼女は俊足で有名であった。あるいはヒュギーヌスなどによれば、彼女の父が彼女の結婚を望み、徒競走で負けるはずがないと考えたアタランテーがこの条件を提示したともされる。
アタランテーは求婚者たちを次々と打ち負かしたが、ヒッポメネースは、公正な勝負ではアタランテーに勝てないことを知っていたため、アプロディーテー[注 1]に祈って助けを求めた。
アプロディーテーは彼に3つの黄金の林檎を与え、これを1つずつ落としてアタランテーの気を引き付けるように教えた。オウィディウスによれば、この林檎はキプロス島のタマソスにあるアプロディーテーの聖なる林檎の木から取られたとされる[9]。また、セルウィウスはこれをヘスペリデスの園の林檎であるとしている。アタランテーは、2つ目の林檎までは彼に再び追いつくことが出来たが、3つ目の林檎を拾おうと立ち止まった際にヒッポメネースが競走に勝利し、アタランテーを妻にする権利を手にした。
後に、アタランテーとヒッポメネースは、彼の故郷への旅の途中にキュベレーの聖域で交わったことにより怒りを買って獅子に変えられた。オウィディウスとセルウィウスによれば、ヒッポメネースがアプロディーテーの助力への返礼を怠ったために怒り、キュベレーの神殿に2人が立ち寄った際に彼らを愛欲で狂わせて交わらせ、これによってキュベレー(ヒュギーヌスによればゼウス)が彼らを獅子に変えたとされる。その後、彼らはキュベレーの戦車を牽いているとされ、セルウィウスはこの戦車を地球そのものと考えていた。
いくつかの記述では、ヒッポメネース(メラニオーン)はパルテノパイオスの父であるとされる[10][11]が、パルテノパイオスはアレース[12]、またはメレアグロス[13]の子とされる場合もある。
系図
ペラスゴス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
リュカーオーン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
カリストー | ゼウス | マイナロス | ニュクティーモス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アルカス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エラトス | アザーン | アペイダース | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アイピュトス | ステュムパーロス | ペレウス | イスキュス | コローニス | ステネボイア | プロイトス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アガメーデース | ゴルテュス | ネアイラ | アレオス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ケルキュオーン | ヘーラクレース | アウゲー | ケーペウス | リュクールゴス | ミニュアース | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ヒッポトオス | テーレポス | アエロポス | アンカイオス | エポコス | アムピダマース | イーアソス | クリュメネー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アイピュトス | エウリュピュロス | エケモス | アガペーノール | エウリュステウス | アンティマケー | メラニオーン | アタランテー | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キュプセロス | ラーオドコス | パルテノパイオス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クレスポンテース | メロペー | ポリュポンテース | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
脚注
注釈
- ^ アプロディーテーは男女の愛を拒絶するアタランテーに反感を持っていた。
出典
- ^ "Μελανίων"はアポロドーロス(『ギリシア神話』3.9.2)、パウサニアス(3.12.9)が使用した。"Μειλανίων"はクセノポーンの『狩猟について』(1.2および7) で使用される。"Ἱππομένης"はテオクリトス(『牧歌』3.40)、エウリーピデース(散逸した作品。『ギリシア神話』に記載あり。)の他、多くのローマ人の著作家によって使用されている。オウィディウスの『恋の技法』(2.188) やプロペルティウス (1.1.9) は、"Μειλανίων"のラテン語での綴り"Milanion"を使用している。
- ^ a b アポロドーロス『ギリシア神話』3.9.2。
- ^ オウィディウス『変身物語』10.605。
- ^ クセノポーン『狩猟について』1.2および7。
- ^ Corpus Inscriptionum Graecarum, 8139, 8185a.
- ^ 『変身物語』10. 560-707。
- ^ 『アエネーイス』の注釈書、3.113。
- ^ 『神話集』185。
- ^ 『変身物語』10.644。
- ^ アポロドーロス『ギリシア神話』3.6.3。
- ^ パウサニアス『ギリシア案内記』3.12.9。
- ^ アポロドーロス『ギリシア神話』3.9.2で示唆される。
- ^ ヒュギーヌス『神話集』70, 99, 270。