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== 政治的スタンス == |
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2021年11月2日 (火) 13:34時点における版
ルパート・マードック Rupert Murdoch | |
---|---|
生誕 |
Keith Rupert Murdoch 1931年3月11日(93歳) オーストラリア ビクトリア州メルボルン |
市民権 |
オーストラリア (1931-1985) アメリカ合衆国 (1985-現在) |
純資産 | 77億ドル [2] |
取締役会 |
ニューズ・コープ FOXコーポレーション |
配偶者 |
パトリシア・ブッカー
(結婚 1956年、離婚 1967年) アンナ・マリア・トーヴ
(結婚 1967年、離婚 1999年) ウェンディ・デン
(結婚 1999年、離婚 2013年) ジェリー・ホール
(結婚 2016年) |
子供 | プルーデンス、エリザベス、ラックラン、ジェームズ、グレース、クロエ |
親 |
キース・マードック エリザベス・マードック |
親戚 | マードック家 |
キース・ルパート・マードック(Keith Rupert Murdoch、1931年3月11日 - )は、オーストラリア系アメリカ人の実業家。
メディア・コングロマリットのニューズ・コーポレーション(現在ではエンターテインメント関連事業は21世紀フォックス、出版関連事業は新しいニューズ・コープに分社化)を所有することから世界的なメディア王として知られる。21世紀フォックス及びニューズ・コーポレーションの株主、代表取締役という立場でテレビや新聞、映画、雑誌、音楽産業、インターネットなどを中心とした世界に散らばるメディア企業を率いている。長年オーストラリアを拠点としていたが、1985年にアメリカ合衆国でFOXテレビを創設した際に連邦通信規則との関係でアメリカに帰化した。
生い立ち
オーストラリアのビクトリア州メルボルンに、1931年に生まれる。ジャーナリストであった父のキース・マードック (Sir Keith Murdoch) はオーストラリアの名門社会の一員で、第一次世界大戦での報道で活躍し、当時のオーストラリア首相ビリー・ヒューズの個人的なアドバイザーでもあった。またメルボルンの新聞「ザ・ヘラルド」などを所有し、オーストラリア一政治的影響力の強い新聞社社長・メディア経営者となった。キースは1928年にエリザベス・ジョイ・グリーン(後のエリザベス・マードック (Elisabeth Murdoch) と結婚し、息子ルパートと三人の姉妹をもうけた。キースはルパートの少年時代の不出来さに不満を持っており、息子が自分のあとを継ぐことを絶望視していた。ルパートはキースに反抗的であった。母エリザベスは103歳まで生き、生涯ルパートに強い影響力を持った。
ルパートはメルボルン郊外のジーロングにある名門校ジーロング・グラマー・スクール (Geelong Grammar School) で学び、オックスフォード大学のウースター・カレッジ (Worcester College) へ進学し、学生新聞「チャーウェル(Cherwell)」で広告を販売していた。
キャリア
メディア界へ
1952年、父キースの急死によりルパートは学業半ばでオーストラリアに戻り、父の跡を継いでメディアグループのオーナーになろうとしたが、相続税を払った後にはザ・ヘラルドなどの主要な事業は残っておらず、アデレードの新聞「ザ・ニューズ (The News) 」などがかろうじてルパートの手元に残った。ザ・ニューズの社長となったルパートは、アデレード近くで起きた少女殺人事件で逮捕されたアボリジニのマックス・スチュワート (Max Stuart) の冤罪と死刑反対を主張し大キャンペーンを行った。この結果スチュワートは冤罪が認められ釈放され、ルパートは大いに名を上げたが、このキャンペーンの実際の功労者は編集長のローハン・リヴェットであった。
ニューズ・コーポレーションの設立
マードックはザ・ニューズ紙をもとに持株会社ニューズ・リミテッドを創立し、オーストラリア各地の新聞を買収して1970年代にはオーストラリア有数のメディア・グループへと成長させた。1964年にはオーストラリア初の全国紙「ジ・オーストラリアン」を発行し、政治的影響力も高めている。また1969年にはロンドンのザ・サン買収。毎号カラーのヌード写真を掲載するなど一部の顰蹙を買いつつも労働者階級の人気を得ることに成功。1970年代には同じく英国のメディア王であったロバート・マクスウェルと激しく争いながら英米各地の新聞を次々買収し、1979年に現在の持株会社、ニューズ・コーポレーションを設立した。
1980年代にはイギリスの名門紙タイムズ、アメリカの映画会社20世紀フォックスの買収、アメリカでのテレビ・ネットワークFOXの設立など事業を拡大し、その経済力・政治的影響力は世界規模に拡大している。1987年にはかつて父が所有し本拠としていたヘラルド・アンド・ウィークリー・タイムズ社 (The Herald and Weekly Times Ltd) の買収についに成功し、父のメディア王国を取り戻した。
2005年には当時世界最大のSNS・MySpaceを買収。その影響力をネットの世界にまで拡大させている。
2007年、ウォールストリート・ジャーナルの発行元であるダウ・ジョーンズを傘下に収める。
2011年7月、「ニュース・オブ・ザ・ワールド」の盗聴事件に絡み(同紙はこれが原因で廃刊)、ニューズコーポレーションCEOとしてイギリス下院の調査委員会に召喚された。
2012年7月22日、子会社のニューズ・インターナショナル社は、マードックが傘下の英有力紙の経営陣から退いたことを明らかにした。
ニューズ・コーポレーションの分社化
2013年6月28日、ニューズ・コーポレーションがエンターテインメント分野を主に担う21世紀フォックスと出版分野を主に担う新しいニューズ・コープに分社化された。両社の最高経営責任者(21世紀フォックスでは会長も兼務)を引き続き務める。
政治的スタンス
1970年代半ばまでは、ルパート・マードックのグループ各紙はオーストラリア労働党やイギリス労働党支持だったが、その後はオーストラリア自由党やイギリス保守党支持に回る。政治的には保守を代表しているとされる。「リベラルどもを潰そう」とも発言している。
一般的に傘下のメディア企業が親米・親イスラエルなどの姿勢をとり、これまでロナルド・レーガンやマーガレット・サッチャー、ジョージ・ウォーカー・ブッシュ、デービッド・キャメロンといった新保守主義・新自由主義の政治家を支持してきたため、マードック本人も保守主義者だと言われている。
しかし、彼は1975年までは左派であった。その後は保守に転向する。但し、イギリスでは労働党のブレアが政権に就くと、これまでの保守党支持を翻して労働党支持を表明したり、オーストラリアでも労働党党首を支持している。チベット亡命政府指導者のダライ・ラマ14世を攻撃するなど親中派であること、2008年のアメリカ大統領選挙では共和党の支持率の低迷から当時の民主党の大統領選候補者だったヒラリー・クリントン支持に回るなど、風見鶏的な姿勢も目に付く。また、反王制であることも有名で、特にイギリス王室に対する報道は激烈である。本人は自分自身を「リバタリアニズムの信奉者」だとしている[1]。
私生活
彼はこれまでに4回結婚している。
1956年にパトリシア・ブッカーと結婚し一女(プルーデンス・マードック)をもうけたが1967年に離婚した。この結婚に関しては彼は多くを述べていない。
同年、社員でエストニア移民出身の若い女性、アンナ・トーヴと結婚し、エリザベス(1968年生まれ)、ラクラン(1971年生まれ)、ジェームズ(1972年生まれ)の二男一女をもうけている。アンナ夫人とは1999年に離婚し17億ドルにのぼる慰謝料を支払った。
その半月後、当時70歳のマードックは当時30歳のウェンディ・デン(鄧文迪、1969年に中国徐州に生まれ広州で育ち、米国に留学したあと、香港のスターTVの副社長を務めていた)と結婚している。ウェンディとの間にはグレース(2001年生まれ)とクロエ(2003年生まれ)の二女が生まれている。2013年6月、ウェンディとの離婚をニューヨーク州高等裁判所に提出した[2]。
2015年10月25日、ローリング・ストーンズのボーカル、ミック・ジャガーの元妻ジェリー・ホールとの交際が報じられ、2016年1月12日、同日発行のタイムズで婚約を発表、3月5日にロンドンで結婚した。
エリザベス、ラクラン、ジェームズの三人はそれぞれニューズ・コーポレーション内の重役となり父の後継者の座を争ったが、次男ジェームズを除く二人はすでにグループを離れ独自のビジネスを進めており、ジェームズが後継者とみなされている。エリザベスは一度離婚し、イギリスの中堅規模の広告会社「フロイド・コミュニケーションズ」の創設者でジークムント・フロイトの曾孫にあたるマシュー・フロイト (Matthew Freud) (1963年生まれ)と結婚している。
メディア上での描写
自身が所有するFOXネットワークの人気番組で、様々な米英の有名人が本人役でゲスト出演する『ザ・シンプソンズ』においては「わしが世界征服を企む悪のメディア王、ルパート・マードックである」[3]というセリフを喋った事もあり、ユーモアには一定の理解を示す人物(シンプソンズのスタッフをはじめ、FOXネットワーク等の関係者には民主党支持のリベラル派で反マードックを表明する者も少なくないにもかかわらず)[4]。
また、映画『007 トゥモロー・ネバー・ダイ』に登場する、英中間に戦争を起こさせ、それらを独占報道することで莫大な利益を得ると共に、戦後の中国での放映権を獲得しようと画策するメディア王のエリオット・カーヴァーは、ルパート・マードックのライバルだったロバート・マクスウェルがモデルとされているが、ルパートを皮肉った部分も持ち合わせている[5]。
脚注
- ^ http://www.sourcewatch.org/index.php?title=Rupert_Murdoch#Murdoch.27s_politics
- ^ メディア王ルパート・マードック、三度目の離婚へ 慰謝料に注目!?
- ^ [1] 原語ではRupert Murdoch, the billionaire tyrant.
- ^ http://thinkprogress.org/2007/10/01/the-simpsons-sucks-up-to-rupert-murdoch/
- ^ 町山智浩『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』文藝春秋、2008年 p194
外部リンク
- Rupert Murdoch (@rupertmurdoch) - X(旧Twitter)
- ルパート・マードックのメディア戦略 「ダーティー・ディッガー」から世界のメディア王へ
- Forbes.com – 2004 Forbes 400: #27, Keith Rupert Murdoch
- Ketupa.net – Media Profiles: Rupert Murdoch
- Woopidoo – Rupert Murdoch 経歴と語録
- TIME.com: Rupert Murdoch from Oct. 25, 1999 issue of TIME magazine; by William Shawcross
- マードック家家系図
- ハリウッド・レポーター紙とのインタビュー
- Interview with Australian radio presenter Alan Jones
- 所有するメディア一覧
- K. Rupert Murdoch – SourceWatch
- Bruce Page の著書『マードック群島 The Murdoch Archipelago』の書評(Godfrey Hodgson)
- ロンドン・ワッピングでの新聞印刷工場争議の後日譚, 2006年1月15日付オブザーバー紙