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「スターシップ・トゥルーパーズ」の版間の差分

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2021年8月18日 (水) 00:34時点における版

スターシップ・トゥルーパーズ
Starship Troopers
監督 ポール・バーホーベン[1]
脚本 エド・ニューマイヤー
製作 アラン・マーシャル
ジョン・デイビソン
出演者 キャスパー・ヴァン・ディーン
マイケル・アイアンサイド
デニス・リチャーズ
音楽 ベイジル・ポールドゥリス
撮影 ヨスト・ヴァカーノ
編集 キャロライン・ロス
マーク・ゴールドブラット
製作会社 トライスター ピクチャーズ
タッチストーン・ピクチャーズ
配給 アメリカ合衆国の旗 トライスター・ピクチャーズ
日本の旗 ブエナ ビスタ インターナショナル(ジャパン)
公開 アメリカ合衆国の旗 1997年11月7日
日本の旗 1998年5月2日
上映時間 129分
製作国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
言語 英語
製作費 $105,000,000[2]
興行収入 アメリカ合衆国の旗 $54,814,377[2]
世界の旗 $121,214,377[2]
次作 スターシップ・トゥルーパーズ2
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スターシップ・トゥルーパーズ』(原題:Starship Troopers)は、1997年製作のアメリカ映画ポール・バーホーベン監督作品。

ロバート・A・ハインラインの同名SF小説(邦題:『宇宙の戦士』)を実写映画化した作品。

あらすじ

民主主義崩壊後の新政府、地球連邦では軍部を中心とした「ユートピア社会」[3]が築かれている。社会は清廉で、人種・男女の差別なくまったく平等に活躍しているが、軍歴の有無のみにより峻別され、兵役を経た「市民」は市民権を有し、兵役に就かない「一般人」(劇場版日本語字幕では「庶民」)にはそれが無い。銀河全体に殖民を開始する人類だが、その先で遭遇した先住の昆虫型宇宙生物(アラクニド・バグズ)の領域を侵したことから紛争が発生し、バグズが地球に対し小惑星を突入させる奇襲攻撃を仕掛け、全面戦争が始まる。

主人公ジョニー・リコは、高校卒業後地球連邦軍に入隊して宇宙戦艦のパイロットを志望する恋人のカルメン・イバネスに憧れ、「一般人」の両親の反対を押し切って軍に入隊。優秀なカルメンは艦隊アカデミーへ、超能力者である友人のカールは情報部へ配属されるが、リコは機動歩兵隊へ配属され、ブートキャンプで教官のズィムにしごかれる日々を送る。実力が認められ分隊長に昇格するが、訓練中に自らの判断ミスにより同期一人を殉職させる事故を起こし、除隊届を出す。しかし、バグズの奇襲攻撃による故郷ブエノスアイレス壊滅のニュースを観て復讐心に燃え除隊届の撤回を申し出ると、上官の目配せによりズィムが届を破り捨てる。

緒戦で地球連邦軍は敵主星クレンダスに侵攻するが、おびただしいバグズによる攻撃で壊滅的敗北を喫する。重傷を負ったものの生還したリコは、仲間らとともに、ブエノスアイレスの高校で恩師だったラズチャックが率いるエリート部隊「ラズチャック愚連隊」に配属される。偵察部隊からの救難信号を受けてラズチャック愚連隊は惑星「P」に降下したが、救難信号自体がバグズの仕掛けた罠であった。次々押し寄せるバグズとの厳しい戦いで仲間と恩師を次々に失い、リコは辛くもカルメンとその新しい恋人のザンダーが操縦する宇宙機で救出される。仲間らの葬儀を行うリコのところに情報部で活動する旧友カールが現れ、バグズの攻撃を指揮したり人類に対して罠を用意したりする、高い知能を持ったバグ(ブレイン・バグ)が存在するに違いないと説明し、リコを中尉に昇格させて「愚連隊」の指揮をまかせて、ブレイン・バグ捕獲の任務を与える。

そして惑星Pへの大規模降下作戦が実行されるが、プラズマ・バグによる対空射撃で軌道上の艦隊は大打撃を受ける。カルメンとザンダーは撃沈する戦艦から脱出するが、惑星Pに不時着してバグズの巣である地底のトンネルに突入し、ブレイン・バグ率いるバグズに捕獲されザンダーは殺される。同じころリコらはブレイン・バグを確保するためトンネルに侵入していたが、カールの超能力(テレパシー)でカルメンの居場所を感じ取ったリコはバグズの群れからカルメンを無事救出する。地上へ戻ると、元教官で現在は一兵卒として前線に復帰しているズィムがブレイン・バグを捕らえることに成功していた。カールが超能力でブレイン・バグから恐怖の感情を読みとると、兵隊たちは歓呼の声を上げる。

捕獲したブレイン・バグへの研究も進み、人類は勝利と前進を重ね、再びクレンダスへの侵攻が始まる。次第に戦士として成長し、いまや「リコ愚連隊」を率いるようになったリコが仲間たちとともに降下する。そこで再び兵士募集のアナウンスが流れ、この映画全体が戦意高揚・新兵募集のためのプロパガンダ映画のパロディーであったことが強調され、エンドロールとなる。

キャスト

役名 俳優 日本語吹替
ソフト版 フジテレビ
ジョニー・リコ キャスパー・ヴァン・ディーン 田中実 鉄野正豊
ディジー・フロレス ディナ・メイヤー 渡辺美佐 本田貴子
カルメン・イバネス デニス・リチャーズ 山像かおり 石塚理恵
エース・リビー ジェイク・ビジー 古澤徹 真殿光昭
カール・ジェンキンス ニール・パトリック・ハリス 家中宏 咲野俊介
ザンダー パトリック・マルドゥーン 平田広明 藤原堅一
ジーン・ラズチャック マイケル・アイアンサイド 勝部演之 菅生隆之
ズィム教官 クランシー・ブラウン 荒川太朗 内田直哉
オーウェン将軍 マーシャル・ベル 仲野裕
デラディエ艦長 ブレンダ・ストロング 小宮和枝 宮寺智子

スタッフ

製作

フィル・ティペットストップモーション・アニメーションを使って「巨大昆虫と戦う映画」を作りたいというバーホーベン監督の構想と、『宇宙の戦士』の映画化企画とが合流したもので、1983年頃から準備が進められていたが、諸事情により企画は一時頓挫した。

その後バーホーベンとティペットは『ロボコップ』を製作、さらにティペットは『ジュラシック・パーク』を機にCGへと転向した。そこで改めてCGを使ったSFアクション映画として企画が再浮上することとなった[4]

この2人に加え、製作のジョン・デイビソン、脚本のエド・ニューマイヤー、音楽のベイジル・ポールドゥリス、撮影にはヨスト・ヴァカーノと『ロボコップ』第1作のスタッフたちが再結集した。

1億ドル以上の巨費を投じて製作されたが、5400万ドルの全米興収を上げるにとどまり、興行的には失敗作とみなされている[5]

作品解説

DVDのボーナストラックで監督やプロデューサーが述べているようにナチス・ドイツプロパガンダ映画意志の勝利』のパロディ映画であり、原作者ハインラインが想定した全体主義社会やナチズムに対する皮肉が多く込められている。しかし『ワシントン・ポスト』紙でナチズム礼賛映画と酷評され、製作陣を困惑させた。

ウォリアー・バグの独特の鳴き声は、音源にエレキギターを使用している。

作中で兵士が使っているライフルは盛田(モリタ)式ライフルと呼称されている。

バグによる人体切断などの残虐なシーンがふんだんに登場し、また男女混合の全裸のシャワーシーン(ただし局部は見えない)もあり、アメリカではR指定(成人向け)となった。

登場するアラクニドバグズ

太陽系からは離れて位置する連星クレンダスの惑星に住む昆虫型生物。

原作小説の彼らは「アラクニド」の名の通り、知能と真社会性を備える巨大なクモであり、どの個体も基本的に同じ姿をしていた。一方劇場版である本作では、やはり真社会性を持つものの、何種類もの姿や能力を持つ巨大昆虫のような集団として描かれており、「アラクニド」の名は意味を持たない描かれ方となっている。彼らが全て同じ種に属するのか、共生関係にあるだけなのかは不明。宇宙に胞子を放出する事によって他の惑星へ侵入、コロニーを増やし活動領域を広げていく。アニメ版の『スターシップ・トゥルーパーズ・クロニクルズ』には宇宙船の役割を果たす種が存在し、これによって宇宙空間を移動する。

クレンダス星への地球連邦軍の攻撃時を含め、昆虫型生物以外の生物が一切登場しない。ウォリアー・バグは強い繁殖力を持ち大量に描かれている一方、何をエネルギー源として活動しているのか不明である。人間を殺すのも食事のためではないようで、人体を切り刻むだけで捕食するシーンはない。

ウォリアー・バグ(ユーロピギ)
最も多いバグズ。一般的なアリにおける兵蟻のような防衛行動よりも、グンタイアリにおける働き蟻のような侵略行動を主任務とする。頭部に相当する器官は見られない。武器は腰椎に支えられた切断用の大顎状関節や第一歩脚の変化した鎌状の節足、鋭くとがった歩脚などで、これらを使い人類側の兵士を圧倒する。体色は全体的に黒く、黄色い縞模様がある。核となる神経系を破壊されない限りほとんど俊敏さを失わず、『インベイジョン』では真空の宇宙空間上でも襲ってくるなど、驚異的な生命力を誇る。
ホッパー・バグ(オピリオネス)
名前の通り、バッタやキリギリスのような姿をしているが、頭部らしきものは見当たらない。大きな羽を持っているが長く飛ぶことはできず、飛行スタイルは飛翔というよりも滑空に近い。飛行エネルギーを鎌状の前脚脛節に乗せた体当たりで、歩兵を突き刺し、切断する。
プラズマ・バグ(ソリフーガイ)
全身像ははっきり登場しないが歩行性鞘翅目の一種に似る。体色は暗い青で、本作に登場するバグの中で最も大型。腹部の砲口から放つプラズマによる超長距離対空射撃をおこない、劇中では宇宙船を撃墜したり、小惑星にプラズマをぶつけることで軌道を変え、地球に直撃させている。弱点はプラズマ弾を撃つ際に発光する腹部であり、この時に高威力攻撃を受けると充填されたエネルギーに誘爆して一撃で爆発四散する。
タンカー・バグ(アンブリピギ)
ユミアシゴミムシダマシの一種を模倣したデザインである。プラズマ・バグの次に大型のバグでありウォリアー・バグの戦闘を補佐する。地中を進み、頭部からオレンジ色をした腐食性有機酸火炎放射器のように放出することができる。また頭部のニッパーのような大顎で歩兵の身体を切断する。大型である反面、背後を突かれやすいという欠点もあり劇中ではジョニー・リコにライフルで装甲を破壊され、手榴弾を投げ込まれ爆死している。
ブレイン・バグ(セレバス・レックス)
アラクニドの頭脳階級。他のバグズを統率する司令官的存在。ピンクがかかった体色、膨張したダニのような形状を持つ。頭部に折りたたんで収納されている鎌状の口吻は、人間の頭を突き刺すことで行動を支配したり、ストローのように脳を吸いとることができる。『スターシップ・トゥルーパーズ3』では、わざと地球連邦軍の捕虜となり超能力者のテレパシーを利用してスパイ活動を行っていたことや、超能力者が長時間ブレイン・バグと接触すると身心ともに悪影響を及ぼされることが判明する。さらに超能力で人間の頭部を攻撃することもできる。しかし、自力で動くことが出来ないため単体の戦闘力は低く、前線に出てくることはまずない。
劇中の描写から、脳を吸い取ることで人間の思考を分析していることがうかがえる。
チャリオット・バグ(スキゾペルティーダ)
カメムシに似ており、体色は赤みがかかった茶色である。 自力移動できないブレイン・バグを運ぶのが役割であり、単体の戦闘能力はないに等しい。
アルケリアンスナカブトムシ
アラクニドバグズとは異なる(作中の教師の台詞による)巨大な昆虫。地球の学生達が学校の授業でこれを解剖するシーンがある(学生二人一組で一匹を担当)。

続編

2003年にはティペットの初監督作品となる続編『スターシップ・トゥルーパーズ2』が作られているが、こちらは軍の指導者をわかりやすい悪辣な存在として描いた、シンプルな反戦的脚本になっている。

2006年5月、第3弾の製作の可能性が発表された。また1作目で主演を務めたキャスパー・ヴァン・ディーンは、自身のオフィシャルサイトで同企画に関わっていることを明かした。『スターシップ・トゥルーパーズ3』は2008年7月19日に日本で、同年8月5日にアメリカで劇場公開された。前2作で脚本を務めたエド・ニューマイヤーの初監督作であり、一作目の監督だったポール・バーホーベンが製作総指揮として携わっている。

2012年7月、荒牧伸志監督による第4作『スターシップ・トゥルーパーズ インベイジョン』が劇場公開された。本作は日本のCGスタジオ(SOLA DIGITAL ARTS)が制作したフルCG作品であり、主要スタッフを日本人が務めている。

2018年2月、第4作に引き続きフルCGとなる第5作『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット英語版』が公開された。

2020年、ゲーム化作品『Starship Troopers - Terran Command』がSteam(PC)向けに発売予定[6]。ジャンルはリアルタイムストラテジー (RTS)。

備考

本作とは無関係だが、2001年公開の『クローン』(主演:ゲイリー・シニーズ)では、本作で利用された衣装や映像が流用して使用されている。

テレビドラマ『G-SAVIOUR』は本作で利用された衣装や武器が流用して使用されている

テレビドラマ『パワーレンジャー・ロスト・ギャラクシー』は本作の影響を受けており、悪役は宇宙昆虫と設定された[7]。テラ・ベンチャーの警備隊員は本作の機動歩兵に似たデザインであり[7]、本作の撮影で使用されたヘルメットとアーマーが流用されている[8]

『レッドプラネット』公開時にPlayStation 4用のゲーム『地球防衛軍5』とコラボした[9]

脚注

  1. ^ インリン、「スターシップ・トゥルーパーズ3」主役の裸にメロメロ!? - ライブドアニュース
  2. ^ a b c Starship Troopers (1997)”. Box Office Mojo. 2010年1月4日閲覧。
  3. ^ 作中の人物はユートピアと思い込まされているが実はディストピアである。
  4. ^ 竹書房の公式メイキング本に記述あり。
  5. ^ 相馬学 (2019年10月18日). “『スターシップ・トゥルーパーズ』議論を呼んだSF戦争アクションが伝えたかったものは? :4ページ目”. CINEMORE. 2019年10月19日閲覧。
  6. ^ TAKAJO (2019年12月3日). “新作RTS『Starship Troopers - Terran Command』発表!アラクニド・バグズから地球を守り抜け”. Game*Spark. 2020年1月3日閲覧。
  7. ^ a b 『SFヒーローまぼろしの冒険伝説―続編、外伝、スピンオフ徹底研究』ミリオン出版、2001年、33 - 37頁。ISBN 978-4813006152 
  8. ^ 秋田英夫(インタビュー)「POWER RANGERS SPECIAL INTERVIEW」『東映ヒーローMAX』Vol.27、辰巳出版、2008年、99頁、ISBN 978-4777805907 
  9. ^ 『地球防衛軍5』と『スターシップ・トゥルーパーズ レッドプラネット』がコラボ! ファン必見のクロスインタビュー!!(1/2)”. ファミ通.com (2018年2月28日). 2020年2月12日閲覧。

外部リンク