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「スティーブ・ジョブズ (書籍)」の版間の差分

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2021年8月17日 (火) 22:47時点における版

スティーブ・ジョブズ
著者ウォルター・アイザックソン
原題Steve Jobs
カバー
デザイン
アルバート・ワトソン英語版
アメリカ合衆国
ジャンル伝記
出版社サイモン&シュスター(アメリカ合衆国)
講談社日本
出版日2011年10月24日
出版形式電子書籍
書籍(ハードカバーおよびペーパーバック
オーディオブック

スティーブ・ジョブズ』(英語: Steve Jobs)は、スティーブ・ジョブズに関する伝記である。かつてCNNのCEOやタイム誌の編集長を務めていて、ベンジャミン・フランクリンアルベルト・アインシュタインの最も売れた伝記を著した実績のあるウォルター・アイザックソンがジョブズの要請により著作した[1][2]

2年以上にも及ぶジョブズへの40以上もの取材や100人以上ものジョブズの家族、社員、友達、同僚、競争相手への取材が元になっており、ジョブズの半生に踏み込んだ独占的で前例のない内容になっている[3]。ジョブズは、インタビューを受ける人には正直に話すことを希望したと言われる。ジョブズは本に協力したものの、本の表紙以外の内容には口を出さないことを希望し、また事前に原稿に目を通す権利を放棄した[4]

2011年10月24日発売され、アメリカ合衆国ではサイモン&シュスターから[5]日本では日本語版が講談社から上下巻で発売された。

デザイン

画像外部リンク
Rolling Stone- The Steve Jobs Nobody Knew.jpg - かつて『ローリング・ストーン』誌の表紙と同じポーズを撮っていたジョブズ[6]

表紙

表紙は、『フォーチュン』誌によって2006年に「パワフルな人々のポートフォリオ」という特集のために発注されたジョブズの肖像写真を使用している。写真はアルバート・ワトソンによって撮影された。

写真撮影のとき、ワトソンは機器の準備に3時間を要求し、さらに撮影は「(被写体にとって)とんでもない速さで行われる」ことを要求した。ジョブズは到着したとき、ワトソンを見ずに、機器を見、ワトソンの4×5カメラを凝視しながら、「こりゃすごいね。映画撮影だよ」と言った[7]

写真を見るとその迫力がわかる。見るだけでこの男は頭が切れることがわかるようにしたかったんだ。後から聞いたがこれがジョブズの一番お気に入りの写真だったそうだ。 — アルバート・ワトソン[7]

ジョブズは、他の写真家よりも1時間長い撮影時間をワトソンに与えた。ワトソンはジョブズに「100%に近い95%でカメラを見つめ、次のプロジェクトのことを考えるように」と指示し、さらに「人が君に異論を唱えたときのことを考えるように」と指示したと言われている[7]

タイトルのフォントはヘルベチカである[8]

裏表紙

裏表紙には、カリフォルニア州ウッドサイドにあるジョブズの自宅の居間で1984年2月ノーマン・シーフにより撮影された肖像写真が使用された。『タイム』誌の「表紙の裏話」という記事で、シーフはジョブズと居間の床に座って「創造性と日常の話」をし、ジョブズが部屋を出てMacintosh 128K(初代Mac)を持って戻ってきた時のことを語っている。ジョブズがMacを膝に抱えたまま蓮華座に座り込んだそのとき、その写真が撮られた[9]

我々はその後何枚か撮影し、ジョブズは脚を肩の上に上げてヨガのポーズもしてみせてくれた。ただ2人の男が遊び、お喋りをし、一緒にいるのを楽しんでいると思った。そこにはコンセプトなどはなく、本当に即興的で自発的なものでまさかその写真が雑誌に載るとは思っていなかった。 — ノーマン・シーフ[9]
画像外部リンク
ISteve- The Book of Jobs.jpg - 「iSteve: The Book of Jobs」という仮題の段階での仮の表紙デザイン

題名

仮題は出版元であるサイモン・アンド・シュスターの宣伝部が選んだ「iSteve: The Book of Jobs」(「ヨブ記」(The Book of Job)の駄洒落)であった。著者のウォルター・アイザックソンはそのタイトルに最初から賛成していなかったが、妻と娘は賛成していたと伝えられている。しかし彼女らが「あまりも幼稚だ」と考えるようになり、アイザックソンも「シンプルかつ上品なもの」に変更するように出版社を説得した[10]

「スティーブ・ジョブズ」というタイトルはジョブズのミニマリストなスタイルを反映し、ジェフリー・ヤング著の「スティーブ・ジョブズ 偶像復活」のような非公認の出版物と差別化し、正当な伝記であることを強調するために選ばれた[11]

メディアミックス

映画

ジョブズの死から数日後、この本を原作にした長編伝記映画の計画が発表された[12]。そしてソニー・ピクチャーズが著者のウォルター・アイザックソンから映画化の権利を獲得し、題名も「スティーブ・ジョブズ」とし、マーク・ゴードンスコット・ルーディン、ガイモン・キャサディが製作に携わり、アーロン・ソーキンが脚本を手がける予定となっている[13]

漫画

日本でヤマザキマリによって漫画化され、『Kiss』2013年5月号(3月発売)から連載を開始し[14]、のち『ハツキス』へ移籍して2014年7月号(創刊号)から2017年7月号まで連載された。

他のメディア

いくつかの雑誌でこの本からの抜粋が掲載されている上、加えて著者のウォルター・アイザックソンへのインタビューも掲載されている[15]

2011年10月5日にジョブズが死去した後、タイム誌が8日に追悼特集を出版、特集記事の巻頭は1984年1月発売のローリング・ストーン誌で掲載され、書籍「スティーブ・ジョブズ」のバックカバーにもなったノーマン・シーフの撮影による、ジョブズが初代Macintoshを抱えて結跏趺坐の姿勢で座る写真やジョブズが登場したタイム誌の表紙8作品[16]、ダイアナ・ウォーカーによるフォトエッセイ英語版ハリー・マックラケン英語版レブ・グロスマン英語版によるAppleの回顧、ウォルター・アイザックソンによる6ページのエッセイが掲載された。アイザックソンのエッセイでは書籍「スティーブ・ジョブズ」のプレビューとジョブズが自分にアイデアを出してくれたことを説明している[17]

ブルームバーグビジネスウィーク』もジョブズの追悼特集号を出版した。表紙はアップルのようにシンプルな白黒写真で、ジョブズのクローズアップに生年と没年の西暦が書かれた構成だった。ジョブズのミニマリスト・スタイルに敬意を評して、この追悼特集号に広告は掲載されなかった。スティーブ・ジャーベンソン英語版ジョン・スカリー、シーン・ワイズリー、ウィリアム・ギブソン、ウォルター・アイザックソンによる大規模なエッセイが掲載され、アイザックソンによるエッセイは書籍『スティーブ・ジョブズ」のプレビューだった。

2011年10月24日、『フォーチュン』誌は書籍『スティーブ・ジョブズ』の独自的な抜粋としてジョブズの「友だちであり敵だった」ビル・ゲイツとの関係に関することを掲載した[18]

受賞

日本語版

  • ウォルター・アイザックソン 著、井口耕二 訳『スティーブ・ジョブズ 1』講談社、2011年10月24日、446頁。ISBN 978-4-06-217126-7http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2171260 
  • ウォルター・アイザックソン 著、井口耕二 訳『スティーブ・ジョブズ 2』講談社、2011年11月1日、431頁。ISBN 978-4-06-217127-4http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2171279 

脚注

  1. ^ Yin, Sara (August 15, 2011). “Tell-All Steve Jobs Biography Hits Stores on November 21”. PC Magazine. October 6, 2011閲覧。
  2. ^ Gilbert, Jason (August 25 , 2011). “Steve Jobs Biography Gets Cover, November Release Date”. The Huffington Post. October 6, 2011閲覧。
  3. ^ Elmer-DeWitt, Philip (August 16, 2011). “A peek at Steve Jobs' book jacket – front, back and spine”. Fortune. CNN Money. October 20, 2011閲覧。
  4. ^ Olivarez-Giles, Nathan (August 15, 2011). “'Steve Jobs: A Biography' release date is moved up to Nov. 21”. Los Angeles Times. October 6, 2011閲覧。
  5. ^ Ong, Josh (August 15, 2011). “Biography of Apple CEO Steve Jobs to arrive in November”. AppleInsider. October 6, 2011閲覧。
  6. ^ The Steve Jobs Nobody Knew”. Rolling Stone. Wenner Media (October 12, 2011). October 20, 2011閲覧。
  7. ^ a b c Walker, David (October 6, 2011). “Steve Jobs: Visionary, Inventor, and Very Challenging Photo Subject”. Photo District News. Nielsen. October 20, 2011閲覧。
  8. ^ Ong, Josh (August 15, 2011). “Biography of Apple CEO Steve Jobs to arrive in November”. AppleInsider. October 16, 2011閲覧。
  9. ^ a b Seeff, Norman (October 6, 2011). “Behind the Cover: Steve Jobs”. TIME. Time. October 20, 2011閲覧。
  10. ^ Elmer-DeWitt, Philip (July 5, 2011). “Steve Jobs' bio gets a new title”. Fortune. CNN Money. October 20, 2011閲覧。
  11. ^ Schramm, Mike (July 5, 2011). “Steve Jobs biography gets new title: 'Steve Jobs'”. TUAW. AOL. October 20, 2011閲覧。
  12. ^ Fleming, Mike (October 7, 2011). “Sony Pictures Acquiring New Steve Jobs Biography For Major Feature Film”. Deadline.com. October 17, 2011閲覧。
  13. ^ Fleming, Mike (Tuesday May 15, 2012). “Aaron Sorkin To Script ‘Steve Jobs,’ Based On Walter Isaacson Book For Sony”. Deadline.com. May 16, 2012閲覧。
  14. ^ “ヤマザキマリの次回作はスティーブ・ジョブズの伝記”. コミックナタリー. (2013年2月26日). http://natalie.mu/comic/news/85568 2013年3月6日閲覧。 
  15. ^ Weintraub, Seth (October 19, 2011). “Steve Jobs Biographer to be on 60 Minutes Sunday”. 9 to 5 Mac. 925. October 20, 2011閲覧。
  16. ^ TIME's Steve Jobs Covers”. Time. October 16, 2011閲覧。
  17. ^ Elmer-DeWitt, Philip (October 6, 2011). “The day Steve Jobs called Walter Isaacson”. Fortune. CNN Money. October 16, 2011閲覧。
  18. ^ Weintraub, Seth (October 20, 2011). “Fortune will have exclusive excerpt of Steve Jobs bio Monday focusing on relationship with Bill Gates”. 9 to 5 Mac. 925. October 20, 2011閲覧。
  19. ^ Andrew Hill. “Biographies and economics dominate”. Financial Times. September 15, 2012閲覧。

外部リンク