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[[ファイル:Pcs34560 IMG 3774.JPG|250px|thumb|right|モロッコヨーグル]]'''ヨーグル'''({{lang-en-short|''YŌGUL''}}<ref name=":5">{{Cite book|和書|title=今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-|date=2008-12-10|year=2008|publisher=株式会社大空出版|page=169|isbn=978-4-903175-19-5|author=初見健一著}}</ref>または''Yo-guru''<ref name=":8">{{Cite book|和書|title=ニッポン駄菓子工場|date=2018-04-29|year=2018|publisher=雷鳥社|page=18|author=Beretta著|isbn=978-4-8441-3738-2}}</ref>)は、[[植物性油脂]]([[ショートニング]]<ref name=":3">{{Cite book|和書|title=今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだあある。大百科-お菓子編-|date=2008-12-10|year=2008|publisher=株式会社大空出版|page=165|isbn=978-4-903175-19-5|author=初見健一著}}</ref><ref name=":21">{{Cite book|和書|title=今どき駄菓子図鑑 駄菓子100%|date=2000-07-19|year=2000|publisher=株式会社新紀元社<SHINKIGEN BOOKS>|page=83|author=有限会社スタジオエクレア著|isbn=4-88317-805-6}}</ref>)などを混ぜ合わせて<ref name=":1">{{Cite book|和書|title=今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-|date=2008-12-10|year=2008|publisher=株式会社大空出版|page=168|isbn=978-4-903175-19-5|author=初見健一著}}</ref><ref name=":22">{{Cite journal|author=金丸公貴著|year=2021|date=2021-12-11|title=大人の工場見学 Case1 モロッコヨーグル|journal=昭和50年男|volume=3|issue=2|page=9|publisher=株式会社クレタパブリッシング}}</ref>クリーム状にした[[ヨーグルト]]風味の[[駄菓子]]である<ref name=":2">{{Cite book|和書|title=ボクたちの駄!菓子|date=2017-10-04|year=2017|publisher=株式会社オークラ出版<OAKMOOK 621>|page=48|author=初見健一監修|isbn=978-4-7755-2701-6}}</ref><ref name=":20">{{Cite journal|author=金丸公貴著|year=2021|date=2021-12-11|title=大人の工場見学 Case1 モロッコヨーグル|journal=昭和50年男|volume=3|issue=2|page=8|publisher=株式会社クレタパブリッシング}}</ref>。フワッとした<ref name=":3" />口溶けの良い食感と、ヨーグルトのような独特の甘酸っぱさが特徴<ref name=":1" /><ref name=":0">{{Cite news|url=https://diamond.jp/articles/-/259140|title=懐かしの駄菓子「フルーツヨーグル」が60年間愛され続ける理由|newspaper=ダイヤモンド・オンライン|publisher=株式会社ダイヤモンド社|date=2021-01-14|accessdate=2022-06-12|author=岡田光雄著}}</ref>。ヨーグルト瓶を模した小さな[[プラスチック]]製の容器に充填されており、付属の木の[[さじ]]を使って食する<ref name=":0" /><ref name=":9">{{Cite book|和書|title=今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-|date=2008-12-10|year=2008|publisher=株式会社大空出版|page=167|isbn=978-4-903175-19-5|author=初見健一著}}</ref>。 |
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[[ファイル:Pcs34560 IMG 3774.JPG|250px|thumb|right|モロッコヨーグル]] |
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'''ヨーグル'''({{lang-en-short|''YOGUL''}})は、[[ヨーグルト]]風味の[[駄菓子]]。 |
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サンヨー製菓が[[1961年]]([[昭和]]36年)に発売した「'''モロッコフルーツヨーグル'''」(「'''モロッコヨーグル'''」とも呼ばれる<ref name=":20" /><ref name=":11">{{Cite book|和書|title=日本懐かしお菓子大全|date=2017-05-20|year=2017|publisher=辰巳出版株式会社<タツミムック>|page=95|author=松林千宏著|isbn=978-4-7778-1863-1}}</ref>)が嚆矢となり<ref name=":0" />、[[駄菓子屋]]の定番商品の一つとなった<ref name=":8" /><ref>{{Cite book|和書|title=平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-|date=1992-11-01|year=1992|publisher=株式会社カタログハウス|pages=52-53|author=カタログハウス編|isbn=4-905943-06-X}}</ref>。「モロッコフルーツヨーグル」の人気を受けて十数社が追随して参入したが、次第に淘汰が進み、[[2021年]]([[令和]]3年)現在では、ヨーグルを製造販売しているのはサンヨー製菓を含めた数社のみとなっている<ref name=":0" />。 |
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== 概説 == |
== 概説 == |
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開発・製造元は、[[大阪府]][[大阪市]][[西成区]]の[[サンヨー製菓]]株式会社<ref |
開発・製造元は、[[大阪府]][[大阪市]][[西成区]]の[[サンヨー製菓]]株式会社<ref name=":0" />。先代社長が、それまでの主力商品だった[[チョコレート菓子]]が溶けて売れない夏に向けて、酸味の効いた[[ヨーグルト]]風味の駄菓子の必要性を思いつき開発したもの。同社の商品は、「モロッコフルーツヨーグル」の商品名で、小売標準価格は1個20円である。なお、サンヨー製菓以外にも、[[ダイケン製菓所]]、[[イトウ製菓 (豊橋市)|イトウ製菓]]などがヨーグルを製造している。 |
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== 特徴 == |
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[[ヨーグルト]]に似た[[酸味]]と[[甘味]]が特徴<ref name=":3" /><ref name=":17">{{Cite web |url=https://services.osakagas.co.jp/portalc/contents-2/pc/tantei/1288494_38851.html |title=アレンジ急増中!懐かしの駄菓子「ヨーグル」の新しい楽しみ方とは? |access-date=2022-06-12 |publisher=大阪ガス株式会社 |website=マイ大阪ガス |date=2020-07-06}}</ref>。フワッとした<ref name=":3" />口どけの良い食感に加えて<ref name=":0" /><ref name=":17" />、[[砂糖]]の粒が残っているような舌触りと、まったりとした風味を感じられる<ref name=":10">{{Cite book|和書|title=平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-|date=1992-11-01|year=1992|publisher=株式会社カタログハウス|page=55|author=カタログハウス編|isbn=4-905943-06-X}}</ref>。夏でも溶けず<ref name=":11" />常温で保存可能であるが<ref name=":1" />、冷やすとなお美味しいとも言われる<ref name=":10" /><ref name=":12">{{Cite book|和書|title=駄菓子大全|date=1998-05-25|year=1998|publisher=株式会社新潮社|page=55|isbn=4-10-602069-6|author=角田武・鳥飼新市・武井智子共著}}</ref>。また、[[パン]]や[[クラッカー]]に塗って食べても美味である<ref name=":17" /><ref>{{Cite book|和書|title=平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-|date=1992-11-01|year=1992|publisher=株式会社カタログハウス|pages=55-58|author=カタログハウス編|isbn=4-905943-06-X}}</ref>。 |
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[[ファイル:Jumbo_YŌGUL.jpg|サムネイル|「ジャンボヨーグル」(左)と通常サイズの「モロッコフルーツヨーグル」]] |
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容器は直径3センチ<ref name=":13">{{Cite book|和書|title=平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-|date=1992-11-01|year=1992|publisher=株式会社カタログハウス|page=58|author=カタログハウス編|isbn=4-905943-06-X}}</ref>の[[プラスチック]]製で<ref name=":0" />、小さなヨーグルト瓶の形をしている<ref name=":8" /><ref name=":2" />。その中にクリーム状のヨーグルが充填されており<ref name=":0" /><ref name=":14">{{Cite journal|author=コピーズ著|month=10|year=2016|title=大人の社会見学 メイド・イン関西 Vol.37|journal=関西ウォーカー|volume=23|issue=20|page=106|publisher=株式会社KADOKAWA}}</ref>、付属の小さな木の[[さじ]]を使って食する<ref name=":2" /><ref name=":13" />。ただ、「最後まできれいにすくえず、指を使って夢中で食べた」<ref name=":14" />「最後はつい指で容器についたヨーグルをすくって食べたくなる」との声もある<ref name=":12" />。「モロッコフルーツヨーグル」の内容量は4グラム<ref name=":22" /><ref name=":6">{{Cite book|和書|title=ニッポン駄菓子工場|date=2018-04-29|year=2018|publisher=雷鳥社|page=23|author=Beretta著|isbn=978-4-8441-3738-2}}</ref>と一口で食べられる量だが<ref name=":9" />、これを時間をかけて「チマチマ」と食べるのが楽しいとされている<ref name=":13" /><ref name=":15">{{Cite book|和書|title=今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-|date=2008-12-10|year=2008|publisher=株式会社大空出版|page=164|author=初見健一著|isbn=978-4-903175-19-5}}</ref>。一方で、サンヨー製菓では、「パンに塗って腹一杯食べたい」という<ref name=":6" />熱心なファンの要望に応えて<ref name=":17" /><ref name=":14" />、通常の11倍のサイズの「ジャンボヨーグル」も製造販売している<ref name=":3" /><ref name=":6" />。 |
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「モロッコフルーツヨーグル」のふたは、初期は金と銀の2色だったというが、現在は青・黄・ピンクなどの5色となっている<ref name=":1" />。中身のヨーグルは、ふたの色による違いはなく同じものである<ref name=":1" /><ref name=":20" />。ふたの裏には、表から透けて見えないように薄い文字で<ref>{{Cite book|和書|title=ボクたちの駄!菓子|date=2017-10-04|year=2017|publisher=株式会社オークラ出版<OAKMOOK 621>|page=49|author=初見健一監修|isbn=978-4-7755-2701-6}}</ref>「あたり」か「はずれ」と書いてあり<ref name=":13" /><ref name=":14" />、「あたり」の場合はもう1つもらえる<ref name=":11" /><ref name=":13" />。メーカー希望小売価格はオープン価格となっており<ref name=":6" /><ref name=":16">{{Cite book|和書|title=まだある。 今でも買える"懐かしの昭和"カタログ-駄菓子編-|date=2006-08-20|year=2006|publisher=株式会社大空出版<大空ポケット文庫>|page=59|isbn=4-903175-03-0|author=初見健一著}}</ref>、実勢価格は20円前後、「ジャンボヨーグル」は200円前後である<ref name=":3" />。 |
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== 歴史 == |
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ヨーグルを開発したサンヨー製菓は、[[1959年]]([[昭和]]34年)に[[大阪市]][[西成区]]で<ref name=":6" />池田製菓として創業した<ref name=":17" /><ref name=":23">{{Cite journal|author=金丸公貴著|year=2021|title=大人の工場見学 Case1 モロッコヨーグル|journal=昭和50年男|volume=3|issue=2|page=11|publisher=株式会社クレタパブリッシング}}</ref>([[1961年]](昭和36年)に現社名に改称<ref name=":23" /><ref name=":18">{{Cite web |url=http://www.yogul.co.jp/kaisya.html |title=会社概要 |access-date=2022-06-12 |publisher=サンヨー製菓株式会社 |website=サンヨー製菓株式会社}}</ref>)。創業当時は主に[[ウィスキーボンボン]]などを製造していたが<ref name=":17" /><ref name=":23" />、[[チョコレート]]菓子は生産性が悪く<ref name=":8" /><ref name=":19">{{Cite web |url=https://www.hotpepper.jp/mesitsu/entry/chimidoro/17-00257 |title=ヨーグルトみたいな懐かし系駄菓子「モロッコヨーグル」の謎に迫る【工場見学】 |access-date=2022-06-12 |publisher=株式会社リクルート |website=メシ通 |date=2017-09-15 |author=スズキナオ著}}</ref>、また、暑い夏場は流通させることが難しく<ref name=":0" />売り上げが減る傾向にあった<ref name=":14" />。そこで、サンヨー製菓では、子どもたちの食欲の落ちる夏場でも食べやすい商品として、[[ヨーグルト]]をイメージした甘酸っぱい菓子の開発に着手した<ref name=":0" /><ref name=":19" />。類似商品がない中で手探りで研究開発し、苦労の末に完成した[[サンプル]]を[[問屋]]に持ち込んだが、[[パッケージ]]から中身が何か分かりにくいことや木の[[さじ]]で食べるという手間がかかることから、ほとんどの問屋からは「こんなものが売れるはずない」と相手にされなかった<ref name=":0" />。なんとか一軒の問屋が取り扱ってくれることになり、まずは[[東京]]で発売されることになった<ref name=":0" /><ref name=":19" />。 |
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こうして、[[1961年]](昭和36年)に「モロッコフルーツヨーグル」と名付けて販売を開始した<ref name=":20" /><ref name=":16" />{{Refnest|『平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-』や『駄菓子大全』では1955年(昭和30年)発売となっている。|group=注釈}}。商品名は、[[食品表示]]の問題で「ヨーグルト」と名乗れないことから「ヨーグル」とし<ref name=":7">{{Cite book|和書|title=まだある。 今でも買える"懐かしの昭和"カタログ-駄菓子編-|date=2006-08-20|year=2006|publisher=株式会社大空出版<大空ポケット文庫>|page=58|author=初見健一著|isbn=4-903175-03-0}}</ref>、[[ブルガリア]]と同じく古くからヨーグルトが愛飲されていた[[モロッコ]]を冠したとされる<ref name=":21" /><ref name=":14" />。なお、モロッコには生息していない[[ゾウ]]がシンボルに採用されていることについて、「モロッコにもごく希に南のほうからゾウがやってくることがあるから」と説明されたり、「容器の形がゾウの足に似ているから」という説が説得力があり有力と言われることもあるが<ref name=":1" />、サンヨー製菓では「子どもたちに象のようにやさしく、たくましく育ってほしい」との願いを込めたとしている<ref name=":20" /><ref name=":7" />。 |
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発売されると「モロッコフルーツヨーグル」はたちまちヒット商品となり、すぐに大阪も含めて全国に広まっていった<ref name=":0" />。「モロッコフルーツヨーグル」の年間販売数は、最大時で2500万個を数え<ref name=":0" /><ref name=":14" />、サンヨー製菓は、風味をアップさせた「スーパー80」<ref name=":3" />、青りんご風味の「りんご村」<ref name=":3" /><ref name=":21" />(「りんご村」では、ゾウではなく[[アライグマ]]のイラストとなっている<ref name=":21" />)、蜂蜜とレモンの風味の「はちみつレモン」<ref name=":21" />、「ジャンボヨーグル」などを開発して市場に投入していった<ref name=":3" />。また、8個入りのパックにした「ヨーグルランド」も販売している<ref name=":21" />。他社も類似商品で追随し、最盛期には十数社によって製造販売されていたとされる<ref name=":0" /><ref name=":19" />。 |
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しかし、まちの[[駄菓子屋]]が減っていくとともに売り上げは減少し<ref name=":0" />、[[2018年]]([[平成]]30年)頃には最盛期の半分以下の約1000万個となっていた<ref name=":8" />。[[新型コロナウイルス]]の感染が拡大すると、自粛ムードの中で店を閉める駄菓子屋も多くなり、[[2021年]]([[令和]]3年)頃にはさらにその半分程度に販売数が低迷しているという<ref name=":0" />。類似商品で追随した他社も淘汰されていき、2021年(令和3年)時点でヨーグルを製造販売しているのは数社のみとなった<ref name=":0" />。 |
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[[ファイル:YŌGUL_(Daiken_Seika_Jo).jpg|サムネイル|ダイケン製菓所製の「フラワーヨーグル」(左端)など]] |
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2021年(令和3年)10月、[[愛知県]][[豊橋市]]で「フラワーヨーグル」などを製造販売していたダイケン製菓所が[[廃業]]するという情報が[[twitter]]で流れると、同社が製造するヨーグルが[[販売終了]]となるという噂とともに拡散し、惜しむ声が相次いだ<ref name=":4">{{Cite web |url=https://www.j-cast.com/2021/10/25423280.html |title=懐かしの駄菓子「フラワーヨ―グル」終売?SNSで拡散も... メーカーが否定、事業譲渡で販売継続 |access-date=2022-06-12 |publisher=株式会社ジェイ・キャスト |website=J-CASTニュース |date=2021-10-25}}</ref>。同社は、[[J-CASTニュース]]の取材に対して、翌[[2022年]](令和4年)2月での廃業は事実としながらも、ヨーグル事業は同県[[豊田市]]の神谷醸造食品に[[事業譲渡]]し同社で製造販売が継続されるとして、販売終了のうわさを否定した<ref name=":4" />。神谷醸造食品は、「ヨーグルはダイケン製菓所さんと大阪のサンヨー製菓さんの2社しか作られていないので、1社が止めてしまうと世の中からほぼ消えてしまいます。それはもったいないですし、ぜひ弊社でやらせて欲しいとなりました。」と事業譲渡を受けた理由を語っている<ref name=":4" />。 |
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== 製造方法 == |
== 製造方法 == |
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[[原料]]のほとんどは[[植物性油脂]]([[ショートニング]]<ref name=":3" /><ref name=":21" />)で<ref name=":0" />、[[ヨーグルト]]ではない<ref name=":1" />。ほかに[[砂糖]]<ref name=":22" /><ref name=":14" />([[グラニュー糖]]<ref name=":3" /><ref name=":1" />)や[[ブドウ糖]]<ref name=":22" /><ref name=":19" />、[[甘味料]]<ref name=":1" />、[[酸味料]]<ref name=":22" /><ref name=":14" />、[[塩]]<ref name=":19" />、[[香料]]が使用される<ref name=":3" />。製法としては[[ホイップクリーム]]と同じであり<ref name=":14" />、原料を空気を含ませるように混ぜ合わせ、約15分撹拌した後、容器に充填する<ref name=":14" />。その上から熱でふたを圧着することで密封する<ref name=":14" /><ref name=":19" />。できたてはふんわりとして滑らかだが、時間の経過とともに砂糖の再結晶化によってザラッとした舌触りになる<ref name=":14" />。 |
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原料に[[ヨーグルト]]等の[[発酵乳]]、[[乳製品]]を使っておらず、[[グラニュー糖]]と[[ショートニング]]を同量混ぜ合わせ、そこにヨーグルト風味を出すための[[香料]]、[[酸味料]]を加え、[[攪拌器]]で15分間[[攪拌]]したのち、象の足のような独特のケースに入れられ、「あたり」「はずれ」が印刷してあるシール状の蓋をすることで完成する。従って、成分の殆どが[[植物油|植物油脂]]である。 |
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サンヨー製菓では、独特の食感を出すために、2種類の植物性油脂を季節によって割合を変えて使用している<ref name=":0" /><ref name=":17" />。また、甘味料として使用していた[[サッカリン]]を[[ステビア]]に、香料として使用している[[オレンジオイル]]を国産から米国産に変更した以外は、ほとんど原料・製法を変えることなく発売以来の味を守っているという<ref name=":1" />。 |
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完成した「モロッコフルーツヨーグル」は、箱に詰められて出荷される<ref name=":14" /><ref name=":23" />。「モロッコフルーツヨーグル」の箱には[[ゾウ]]が描かれ、カラフルで目立つものとなっている<ref name=":1" />。発売当初はかなりリアルなゾウのイラストであったが、[[1974年]]([[昭和]]49年)に青色のゾウが描かれたものになり、現在のものは三代目で、かなり簡略化されたマンガチックなゾウのイラストに変わっている<ref>{{Cite book|和書|title=今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-|date=2008-12-10|year=2008|publisher=株式会社大空出版|pages=168-169|author=初見健一著|isbn=978-4-903175-19-5}}</ref>。 |
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== 評価 == |
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[[昭和]]後期の子ども文化に詳しい[[ライター]]の[[初見健一]]は、ヨーグルのヒットの要因として、時間をかけてチマチマと食べられることと、[[ヨーグルト]]瓶の[[ミニチュア]]のような容器を採用したことの2点を挙げている<ref name=":9" />。初見によれば、子どもにとって、なけなしの小遣いで買った菓子がひと口で終わってしまうより<ref name=":7" />、あるいは、友だちとおしゃべりしながら食べる際にも、食べにくく食べるのに時間のかかる駄菓子のほうが好まれる<ref name=":9" />。また、瓶入りのヨーグルトは、ヨーグルが発売された当時は[[牛乳]]配達で一緒に配達されたり<ref name=":0" />[[給食]]によく出される見慣れたものであり<ref name=":9" />、初見によれば、子どもは「本物そっくりだけどちっちゃいモノ」を好む習性があることから、ヨーグルト瓶をスケールダウンして再現した容器に入ったヨーグルト風味のヨーグルは、まさにこれにあてはまるものであったとしている<ref name=":7" />。 |
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[[全国菓子大博覧会]]において、サンヨー製菓の「リンゴ村」が菓子産業功労賞を、同じくサンヨー製菓の「ジャンボヨーグル」が大臣賞を、ダイケン製菓所のヨーグル5種が会長賞を、それぞれ受賞している<ref name=":21" />。サンヨー製菓のヨーグルは「ほど良い酸味、あと引く甘さ」と評されるのに対して、ダイケン製菓所製は「酸味が少なく、マイルドな仕上がり」とされる<ref name=":21" />。 |
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「モロッコフルーツヨーグル」は、「『[[天下の台所]]・大阪』で時代を超えて愛され続ける[[加工食品]]」として、[[大阪府]]から「大阪産(もん)名品」に認証されている<ref>{{Cite web |url=https://www.pref.osaka.lg.jp/ryutai/meihin/youkaname.html |title=大阪産(もん)名品(羊羹・飴等) |access-date=2022-06-12 |publisher=大阪府 |website=大阪府ホームページ |date=2021-04-19}}</ref>。また、[[2021年]]([[令和]]3年)7月には、[[ローソン]]が、「大阪産(もん)使用オリジナル商品」の一つとして、「モロッコフルーツヨーグル」入りの[[クリーム]]を使用した「やわらか[[フランスパン]]」を[[近畿]]2府4県限定で発売した<ref>{{Cite web |url=https://www.lawson.co.jp/company/news/detail/1433304_2504.html |title=<近畿地区>大阪産(もん)使用オリジナル商品を3品発売 |access-date=2022-06-12 |publisher=株式会社ローソン |website=LOWSON |date=2021-07-12}}</ref>。 |
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なお、「モロッコフルーツヨーグル」をテーマとした作品に、[[漫画家]]の[[コトヤマ]]による『[[だがしかし]]』の第6かし「モロッコフルーツヨーグル」<ref>{{Cite book|和書|title=だがしかし|date=2014-09-23|year=2014|publisher=株式会社小学館|pages=53-60|author=コトヤマ作|isbn=978-4-09-125125-1|volume=1}}</ref>、[[作家]]で[[脚本家]]の北阪昌人による「あの日の駄菓子 モロッコヨーグル」がある<ref>{{Cite journal|author=北阪昌人著|year=2017|date=2017-10-10|title=あの日の駄菓子 モロッコヨーグル|journal=PHP|issue=834|pages=74-75|publisher=PHP研究所}}</ref>。 |
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== モロッコ・フルーツ・ヨーグルについて == |
== モロッコ・フルーツ・ヨーグルについて == |
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* 一個20円で年間1000万個販売されている実績がある製品。 |
* 一個20円で年間1000万個販売されている実績がある製品。 |
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* 「モロッコ~」のネーミングは、[[地中海]]沿岸は[[ヨーグルト]]([[ブルガリア]])で有名なことから、地中海にちょっとだけかかっている[[モロッコ]]のイメージを取り入れてみたとのこと(モロッコのネーミングは先代社長によるもの)。象のマークは「ヨーグルを食べて、象の様にたくましくなって欲しい」という願いを込めたもの。 |
* 「モロッコ~」のネーミングは、[[地中海]]沿岸は[[ヨーグルト]]([[ブルガリア]])で有名なことから、地中海にちょっとだけかかっている[[モロッコ]]のイメージを取り入れてみたとのこと(モロッコのネーミングは先代社長によるもの)。象のマークは「ヨーグルを食べて、象の様にたくましくなって欲しい」という願いを込めたもの。 |
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* スーパーマーケット向けの商品として、パッケージ包装したヨーグルランドがある。 |
* スーパーマーケット向けの商品として、パッケージ包装したヨーグルランドがある。 |
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== 脚注 == |
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{{脚注ヘルプ}} |
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=== 注釈 === |
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<references group="注釈"></references> |
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=== 出典 === |
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<references group=""></references> |
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== 参考文献 == |
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* [[カタログハウス]]編『平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-』株式会社カタログハウス、1992年11月。ISBN 4-905943-06-X |
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* 金丸公貴著「オトナの工場見学 Case 1 モロッコヨーグル」『[[昭和50年男]]』14号、株式会社クレタパブリッシング、2021年12月。 |
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* 北阪昌人著「あの日の駄菓子 モロッコヨーグル」『[[PHP]]』834号、株式会社[[PHP研究所]]、2017年11月。 |
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* コトヤマ作『[[だがしかし]]』第1巻、株式会社[[小学館]]、2014年9月。ISBN 978-4-09-125125-1 |
|||
* コピーズ著「大人の社会見学 メイド・イン関西 Vol.37」『[[関西ウォーカー]]』23巻20号(通巻561号)、株式会社[[KADOKAWA]]、2016年10月。 |
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* 有限会社スタジオエクレア著『今どき駄菓子図鑑 駄菓子100%』株式会社[[新紀元社]]<SHINKIGEN BOOKS>、2000年7月。ISBN 4-88317-805-6 |
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* 角田武・鳥飼新市・武井智子共著『駄菓子大全』株式会社[[新潮社]]<とんぼの本>、1998年5月。ISBN 4-10-602069-6 |
|||
* [[初見健一]]著『まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ-駄菓子編-』株式会社[[大空出版]]<大空ポケット文庫>、2006年8月。ISBN 4-903175-03-0 |
|||
* 初見健一著『今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-』株式会社大空出版、2008年12月。ISBN 978-4-903175-19-5 |
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* 初見健一監修『ボクたちの駄!菓子』株式会社[[オークラ出版]]<OAKMOOK 621>、2017年10月。ISBN 978-4-7755-2701-6 |
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* Beretta著『ニッポン駄菓子工場』[[雷鳥社]]、2018年4月。ISBN 978-4-8441-3738-2 |
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* 松林千宏著『日本懐かしお菓子大全』[[辰巳出版]]株式会社<タツミムック>、2017年5月。ISBN 978-4-7778-1863-1 |
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== 外部リンク == |
== 外部リンク == |
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2022年6月17日 (金) 04:15時点における版
ヨーグル(英: YŌGUL[1]またはYo-guru[2])は、植物性油脂(ショートニング[3][4])などを混ぜ合わせて[5][6]クリーム状にしたヨーグルト風味の駄菓子である[7][8]。フワッとした[3]口溶けの良い食感と、ヨーグルトのような独特の甘酸っぱさが特徴[5][9]。ヨーグルト瓶を模した小さなプラスチック製の容器に充填されており、付属の木のさじを使って食する[9][10]。
サンヨー製菓が1961年(昭和36年)に発売した「モロッコフルーツヨーグル」(「モロッコヨーグル」とも呼ばれる[8][11])が嚆矢となり[9]、駄菓子屋の定番商品の一つとなった[2][12]。「モロッコフルーツヨーグル」の人気を受けて十数社が追随して参入したが、次第に淘汰が進み、2021年(令和3年)現在では、ヨーグルを製造販売しているのはサンヨー製菓を含めた数社のみとなっている[9]。
概説
開発・製造元は、大阪府大阪市西成区のサンヨー製菓株式会社[9]。先代社長が、それまでの主力商品だったチョコレート菓子が溶けて売れない夏に向けて、酸味の効いたヨーグルト風味の駄菓子の必要性を思いつき開発したもの。同社の商品は、「モロッコフルーツヨーグル」の商品名で、小売標準価格は1個20円である。なお、サンヨー製菓以外にも、ダイケン製菓所、イトウ製菓などがヨーグルを製造している。
特徴
ヨーグルトに似た酸味と甘味が特徴[3][13]。フワッとした[3]口どけの良い食感に加えて[9][13]、砂糖の粒が残っているような舌触りと、まったりとした風味を感じられる[14]。夏でも溶けず[11]常温で保存可能であるが[5]、冷やすとなお美味しいとも言われる[14][15]。また、パンやクラッカーに塗って食べても美味である[13][16]。
容器は直径3センチ[17]のプラスチック製で[9]、小さなヨーグルト瓶の形をしている[2][7]。その中にクリーム状のヨーグルが充填されており[9][18]、付属の小さな木のさじを使って食する[7][17]。ただ、「最後まできれいにすくえず、指を使って夢中で食べた」[18]「最後はつい指で容器についたヨーグルをすくって食べたくなる」との声もある[15]。「モロッコフルーツヨーグル」の内容量は4グラム[6][19]と一口で食べられる量だが[10]、これを時間をかけて「チマチマ」と食べるのが楽しいとされている[17][20]。一方で、サンヨー製菓では、「パンに塗って腹一杯食べたい」という[19]熱心なファンの要望に応えて[13][18]、通常の11倍のサイズの「ジャンボヨーグル」も製造販売している[3][19]。
「モロッコフルーツヨーグル」のふたは、初期は金と銀の2色だったというが、現在は青・黄・ピンクなどの5色となっている[5]。中身のヨーグルは、ふたの色による違いはなく同じものである[5][8]。ふたの裏には、表から透けて見えないように薄い文字で[21]「あたり」か「はずれ」と書いてあり[17][18]、「あたり」の場合はもう1つもらえる[11][17]。メーカー希望小売価格はオープン価格となっており[19][22]、実勢価格は20円前後、「ジャンボヨーグル」は200円前後である[3]。
歴史
ヨーグルを開発したサンヨー製菓は、1959年(昭和34年)に大阪市西成区で[19]池田製菓として創業した[13][23](1961年(昭和36年)に現社名に改称[23][24])。創業当時は主にウィスキーボンボンなどを製造していたが[13][23]、チョコレート菓子は生産性が悪く[2][25]、また、暑い夏場は流通させることが難しく[9]売り上げが減る傾向にあった[18]。そこで、サンヨー製菓では、子どもたちの食欲の落ちる夏場でも食べやすい商品として、ヨーグルトをイメージした甘酸っぱい菓子の開発に着手した[9][25]。類似商品がない中で手探りで研究開発し、苦労の末に完成したサンプルを問屋に持ち込んだが、パッケージから中身が何か分かりにくいことや木のさじで食べるという手間がかかることから、ほとんどの問屋からは「こんなものが売れるはずない」と相手にされなかった[9]。なんとか一軒の問屋が取り扱ってくれることになり、まずは東京で発売されることになった[9][25]。
こうして、1961年(昭和36年)に「モロッコフルーツヨーグル」と名付けて販売を開始した[8][22][注釈 1]。商品名は、食品表示の問題で「ヨーグルト」と名乗れないことから「ヨーグル」とし[26]、ブルガリアと同じく古くからヨーグルトが愛飲されていたモロッコを冠したとされる[4][18]。なお、モロッコには生息していないゾウがシンボルに採用されていることについて、「モロッコにもごく希に南のほうからゾウがやってくることがあるから」と説明されたり、「容器の形がゾウの足に似ているから」という説が説得力があり有力と言われることもあるが[5]、サンヨー製菓では「子どもたちに象のようにやさしく、たくましく育ってほしい」との願いを込めたとしている[8][26]。
発売されると「モロッコフルーツヨーグル」はたちまちヒット商品となり、すぐに大阪も含めて全国に広まっていった[9]。「モロッコフルーツヨーグル」の年間販売数は、最大時で2500万個を数え[9][18]、サンヨー製菓は、風味をアップさせた「スーパー80」[3]、青りんご風味の「りんご村」[3][4](「りんご村」では、ゾウではなくアライグマのイラストとなっている[4])、蜂蜜とレモンの風味の「はちみつレモン」[4]、「ジャンボヨーグル」などを開発して市場に投入していった[3]。また、8個入りのパックにした「ヨーグルランド」も販売している[4]。他社も類似商品で追随し、最盛期には十数社によって製造販売されていたとされる[9][25]。
しかし、まちの駄菓子屋が減っていくとともに売り上げは減少し[9]、2018年(平成30年)頃には最盛期の半分以下の約1000万個となっていた[2]。新型コロナウイルスの感染が拡大すると、自粛ムードの中で店を閉める駄菓子屋も多くなり、2021年(令和3年)頃にはさらにその半分程度に販売数が低迷しているという[9]。類似商品で追随した他社も淘汰されていき、2021年(令和3年)時点でヨーグルを製造販売しているのは数社のみとなった[9]。
2021年(令和3年)10月、愛知県豊橋市で「フラワーヨーグル」などを製造販売していたダイケン製菓所が廃業するという情報がtwitterで流れると、同社が製造するヨーグルが販売終了となるという噂とともに拡散し、惜しむ声が相次いだ[27]。同社は、J-CASTニュースの取材に対して、翌2022年(令和4年)2月での廃業は事実としながらも、ヨーグル事業は同県豊田市の神谷醸造食品に事業譲渡し同社で製造販売が継続されるとして、販売終了のうわさを否定した[27]。神谷醸造食品は、「ヨーグルはダイケン製菓所さんと大阪のサンヨー製菓さんの2社しか作られていないので、1社が止めてしまうと世の中からほぼ消えてしまいます。それはもったいないですし、ぜひ弊社でやらせて欲しいとなりました。」と事業譲渡を受けた理由を語っている[27]。
製造方法
原料のほとんどは植物性油脂(ショートニング[3][4])で[9]、ヨーグルトではない[5]。ほかに砂糖[6][18](グラニュー糖[3][5])やブドウ糖[6][25]、甘味料[5]、酸味料[6][18]、塩[25]、香料が使用される[3]。製法としてはホイップクリームと同じであり[18]、原料を空気を含ませるように混ぜ合わせ、約15分撹拌した後、容器に充填する[18]。その上から熱でふたを圧着することで密封する[18][25]。できたてはふんわりとして滑らかだが、時間の経過とともに砂糖の再結晶化によってザラッとした舌触りになる[18]。
サンヨー製菓では、独特の食感を出すために、2種類の植物性油脂を季節によって割合を変えて使用している[9][13]。また、甘味料として使用していたサッカリンをステビアに、香料として使用しているオレンジオイルを国産から米国産に変更した以外は、ほとんど原料・製法を変えることなく発売以来の味を守っているという[5]。
完成した「モロッコフルーツヨーグル」は、箱に詰められて出荷される[18][23]。「モロッコフルーツヨーグル」の箱にはゾウが描かれ、カラフルで目立つものとなっている[5]。発売当初はかなりリアルなゾウのイラストであったが、1974年(昭和49年)に青色のゾウが描かれたものになり、現在のものは三代目で、かなり簡略化されたマンガチックなゾウのイラストに変わっている[28]。
評価
昭和後期の子ども文化に詳しいライターの初見健一は、ヨーグルのヒットの要因として、時間をかけてチマチマと食べられることと、ヨーグルト瓶のミニチュアのような容器を採用したことの2点を挙げている[10]。初見によれば、子どもにとって、なけなしの小遣いで買った菓子がひと口で終わってしまうより[26]、あるいは、友だちとおしゃべりしながら食べる際にも、食べにくく食べるのに時間のかかる駄菓子のほうが好まれる[10]。また、瓶入りのヨーグルトは、ヨーグルが発売された当時は牛乳配達で一緒に配達されたり[9]給食によく出される見慣れたものであり[10]、初見によれば、子どもは「本物そっくりだけどちっちゃいモノ」を好む習性があることから、ヨーグルト瓶をスケールダウンして再現した容器に入ったヨーグルト風味のヨーグルは、まさにこれにあてはまるものであったとしている[26]。
全国菓子大博覧会において、サンヨー製菓の「リンゴ村」が菓子産業功労賞を、同じくサンヨー製菓の「ジャンボヨーグル」が大臣賞を、ダイケン製菓所のヨーグル5種が会長賞を、それぞれ受賞している[4]。サンヨー製菓のヨーグルは「ほど良い酸味、あと引く甘さ」と評されるのに対して、ダイケン製菓所製は「酸味が少なく、マイルドな仕上がり」とされる[4]。
「モロッコフルーツヨーグル」は、「『天下の台所・大阪』で時代を超えて愛され続ける加工食品」として、大阪府から「大阪産(もん)名品」に認証されている[29]。また、2021年(令和3年)7月には、ローソンが、「大阪産(もん)使用オリジナル商品」の一つとして、「モロッコフルーツヨーグル」入りのクリームを使用した「やわらかフランスパン」を近畿2府4県限定で発売した[30]。
なお、「モロッコフルーツヨーグル」をテーマとした作品に、漫画家のコトヤマによる『だがしかし』の第6かし「モロッコフルーツヨーグル」[31]、作家で脚本家の北阪昌人による「あの日の駄菓子 モロッコヨーグル」がある[32]。
モロッコ・フルーツ・ヨーグルについて
- 一個20円で年間1000万個販売されている実績がある製品。
- 「モロッコ~」のネーミングは、地中海沿岸はヨーグルト(ブルガリア)で有名なことから、地中海にちょっとだけかかっているモロッコのイメージを取り入れてみたとのこと(モロッコのネーミングは先代社長によるもの)。象のマークは「ヨーグルを食べて、象の様にたくましくなって欲しい」という願いを込めたもの。
- 卸売り用の箱パッケージに象が描かれているのは、モロッコに象はいないが、ごくたまに南の方から年をとった象が安住の地を求めてやってくるといういわれから採用された。(二代目社長談)
- 卸売りの箱80個のヨーグル(モロッコフルーツヨーグル)のうち当たりは15個入っている。60個は販売用、15個はおまけ(当たりと交換するor販売)、5個は小売店様サービス(不良品との交換or販売用)とされている。80個の内に当たりは14〜16個入っている。なので、実質60個しか買っていない計算になる。
- モロッコヨーグルスーパー80には、あたり・はずれはついていない。(原材料がフルーツヨーグルと若干異なる)
- 通常の11倍の大きさのヨーグル「ジャンボ・ヨーグル」も存在する。(中身はスーパー80とおなじもの)。お客さんが「パンに塗って食べたい」との要望から生まれた。
- 姉妹品として、青リンゴ風味のモロッコヨーグルりんご村がある。
- スーパーマーケット向けの商品として、パッケージ包装したヨーグルランドがある。
脚注
注釈
- ^ 『平成版 駄菓子大百科-"路地裏の道草文化"は今も健在-』や『駄菓子大全』では1955年(昭和30年)発売となっている。
出典
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参考文献
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- 金丸公貴著「オトナの工場見学 Case 1 モロッコヨーグル」『昭和50年男』14号、株式会社クレタパブリッシング、2021年12月。
- 北阪昌人著「あの日の駄菓子 モロッコヨーグル」『PHP』834号、株式会社PHP研究所、2017年11月。
- コトヤマ作『だがしかし』第1巻、株式会社小学館、2014年9月。ISBN 978-4-09-125125-1
- コピーズ著「大人の社会見学 メイド・イン関西 Vol.37」『関西ウォーカー』23巻20号(通巻561号)、株式会社KADOKAWA、2016年10月。
- 有限会社スタジオエクレア著『今どき駄菓子図鑑 駄菓子100%』株式会社新紀元社<SHINKIGEN BOOKS>、2000年7月。ISBN 4-88317-805-6
- 角田武・鳥飼新市・武井智子共著『駄菓子大全』株式会社新潮社<とんぼの本>、1998年5月。ISBN 4-10-602069-6
- 初見健一著『まだある。 今でも買える“懐かしの昭和”カタログ-駄菓子編-』株式会社大空出版<大空ポケット文庫>、2006年8月。ISBN 4-903175-03-0
- 初見健一著『今でも買える 昭和のロングセラー図鑑 まだある。大百科-お菓子編-』株式会社大空出版、2008年12月。ISBN 978-4-903175-19-5
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- Beretta著『ニッポン駄菓子工場』雷鳥社、2018年4月。ISBN 978-4-8441-3738-2
- 松林千宏著『日本懐かしお菓子大全』辰巳出版株式会社<タツミムック>、2017年5月。ISBN 978-4-7778-1863-1