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'''馬具'''(ばぐ)とは、[[人間]]が[[ウマ]]を効率よく制御([[扶助]])するためにウマに装着させる色々な道具のことをいう<ref>『戦術、時代背景がよくわかる カラー版 戦国武器甲冑辞典』、監修者中西豪、大山格、発行所株式会社誠文堂新光社、2015年4月16日、p.282.</ref>。 |
'''馬具'''(ばぐ)とは、[[人間]]が[[ウマ]]を効率よく制御([[扶助]])するためにウマに装着させる色々な道具のことをいう<ref>『戦術、時代背景がよくわかる カラー版 戦国武器甲冑辞典』、監修者中西豪、大山格、発行所株式会社誠文堂新光社、2015年4月16日、p.282.</ref>。 |
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== 馬具 == |
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* 頭用:面繋(おもがい)、[[頭絡]](馬勒)、[[ハミ (馬具)|ハミ]](馬銜)、[[無口]]、[[手綱|手綱(たづな)]]、{{ill2|ハ |
* 頭用:面繋(おもがい)、[[頭絡]](馬勒)、[[ハミ (馬具)|ハミ]](馬銜)、[[無口]]、[[手綱|手綱(たづな)]]、{{ill2|ハックモア|en|Hackamore}}、{{ill2|鼻革|en|Noseband}} |
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* 胴体:[[頸環]]、{{ill2|上腹帯|en|Surcingle}}、[[馬着]](馬服、馬衣) |
* 胴体:[[頸環]]、{{ill2|上腹帯|en|Surcingle}}、[[馬着]](馬服、馬衣) |
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* [[鞍]](サドル)・・・サドル付属([[胸懸]]、[[腹帯]]、{{ill2|尻繋|en|Crupper}}、[[鐙|鐙(あぶみ)]]、[[泥障|泥障(あおり)]]、{{ill2|サドルブランケット|en|Saddle blanket}}) |
* [[鞍]](サドル)・・・サドル付属([[胸懸]]、[[腹帯]]、{{ill2|尻繋|en|Crupper}}、[[鐙|鐙(あぶみ)]]、[[泥障|泥障(あおり)]]、{{ill2|サドルブランケット|en|Saddle blanket}}) |
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* 足用:[[蹄鉄]]、{{ill2|ベルブーツ|en|Bell boots}}、蹄の裏を保護する必要のある馬用の{{ill2|フーフブーツ|en|Hoof boot}}、[[:en:Splint boots|Splint boots]]、[[かんじき]] |
* 足用:[[蹄鉄]]、{{ill2|ベルブーツ|en|Bell boots}}、蹄の裏を保護する必要のある馬用の{{ill2|フーフブーツ|en|Hoof boot}}、[[:en:Splint boots|Splint boots]]、[[かんじき]] |
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馬の制御として、人間からの手綱(拳)、 |
馬の制御として、人間からの手綱(拳)、脚、サドル(座骨)、声で操作でき、これらを英語でNatural aidsという。補助として使う[[鞭]]や[[拍車]]などを Artificial aids という。Artificial aids を過度に使用すると、馬がパニックになったり、人間の言うことを聞かなくなったり、人間不信になる可能性があるほか、[[動物虐待]]として批難を受ける可能性もある。そのため、多くの馬術組織では使用に厳格な規則を設けている。 |
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* [[国際競馬統括機関連盟]]からのガイドラインには「Article 32 A (RACING) - MINIMUM STANDARD GUIDELINES ON THE WHIP AND ITS USE」と記載され、鞭の使用に関する規定がある<ref>[https://www.ifhaonline.org/default.asp?section=IABRW&area=2#article32 Article 32 A (RACING) - MINIMUM STANDARD GUIDELINES ON THE WHIP AND ITS USE] 国際競馬統括機関連盟</ref> |
* [[国際競馬統括機関連盟]]からのガイドラインには「Article 32 A (RACING) - MINIMUM STANDARD GUIDELINES ON THE WHIP AND ITS USE」と記載され、鞭の使用に関する規定がある<ref>[https://www.ifhaonline.org/default.asp?section=IABRW&area=2#article32 Article 32 A (RACING) - MINIMUM STANDARD GUIDELINES ON THE WHIP AND ITS USE] 国際競馬統括機関連盟</ref> |
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* [[英国競馬統括機構]]では、[[平地競走]]で鞭の使用は7回、[[障害競走]]で8回までとされており、打つ場所や力加減など厳しく制限をかけられている<ref>[https://www.britishhorseracing.com/regulation/the-whip/ The whip]英国競馬統括機構 参照日:2021年5月3日</ref>。 |
* [[英国競馬統括機構]]では、[[平地競走]]で鞭の使用は7回、[[障害競走]]で8回までとされており、打つ場所や力加減など厳しく制限をかけられている<ref>[https://www.britishhorseracing.com/regulation/the-whip/ The whip]英国競馬統括機構 参照日:2021年5月3日</ref>。 |
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* JRAでは、2014年の時点でルールブックに記載されていないが、鞭の使用は最大10回までとされており、違反者は罰金などが科される<ref>[http://www.yutaka-take.com/diary_column/?vid=2004 鞭の使用制限について]武豊Official Site</ref>。 |
* JRAでは、2014年の時点でルールブックに記載されていないが、鞭の使用は「2完歩空けない連続使用は最大10回まで」とされており、違反者は罰金などが科される<ref>[http://www.yutaka-take.com/diary_column/?vid=2004 鞭の使用制限について]武豊Official Site</ref>。 |
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* 地方競馬においても2011年4月より「鞭の使用に関するガイドライン」として、同様の運用がなされている<ref>[https://www.tokyocitykeiba.com/news/1782 競走ルールの一部変更について] 大井競馬</ref><ref>[https://www.nagoyakeiba.com/info/program/files/2011rule_change.pdf 競走関連ルールの一部変更について] 名古屋競馬</ref>。 |
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これらは一例であり、海外の大会に出場する騎手が知らずに罰金などを受けるケースが発生している。 |
これらは一例であり、海外の大会に出場する騎手が知らずに罰金などを受けるケースが発生している。 |
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* 米国の[[マイク・スミス]]騎手が[[サウジカップ]]に出場した際には、10回以上の鞭の使用が確認され、9日間の出場停止、20万ドル以上の罰金を科された<ref>[https://www.thoroughbreddailynews.com/report-smith-hit-with-severe-penalties-for-saudi-cup-whip-overuse/ Report: Smith Hit With Severe Penalties for Saudi Cup Whip Overuse] Thoroughbred Daily News </ref><ref>[https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=202003020000524&year=2020&month=03&day=02 サウジC2着スミス騎手が制裁で“史上最高”罰金額 |
* 米国の[[マイク・スミス]]騎手が[[サウジカップ]]に出場した際には、10回以上の鞭の使用が確認され、9日間の出場停止、20万ドル以上の罰金を科された<ref>[https://www.thoroughbreddailynews.com/report-smith-hit-with-severe-penalties-for-saudi-cup-whip-overuse/ Report: Smith Hit With Severe Penalties for Saudi Cup Whip Overuse] Thoroughbred Daily News </ref><ref>[https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=202003020000524&year=2020&month=03&day=02 サウジC2着スミス騎手が制裁で“史上最高”罰金額 |
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]日刊スポーツ</ref>。 |
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* 日本の[[川田将雅]]騎手がイギリスのレースに出場した際に、鞭の規定:「馬に反応の時間を与えずに鞭を使用した」に抵触した。英国競馬統括機構の裁決委員から3日の騎乗停止処分を受けて、JRAは「日本中央競馬会競馬施行規程第147条第18号(外国の競馬の競走の公正かつ安全な実施を害する行為をした者(その行為について既に当該競走に係る制裁を行う機関により戒告若しくは過怠金の賦課に相当する処分を受けた者又は期間を定めて騎乗を停止された騎手であって、当該競走後から引き続き本邦外の地域にあり、かつ、当該騎乗を停止された期間を満了したものと認められるものを除く。))<ref>[https://jra.jp/company/about/law/pdf/07.pdf 日本中央競馬会競馬施行規程]</ref>」に基づき、英国競馬統括機構の処分と同じ特定期日の騎乗停止処分を行った<ref>[http://www.radionikkei.jp/keiba/sp/post_15661.html 川田将雅騎手の騎乗停止処分について]ラジオNIKKEI</ref>。 |
* 日本の[[川田将雅]]騎手がイギリスのレースに出場した際に、鞭の規定:「馬に反応の時間を与えずに鞭を使用した」に抵触した。英国競馬統括機構の裁決委員から3日の騎乗停止処分を受けて、JRAは「日本中央競馬会競馬施行規程第147条第18号(外国の競馬の競走の公正かつ安全な実施を害する行為をした者(その行為について既に当該競走に係る制裁を行う機関により戒告若しくは過怠金の賦課に相当する処分を受けた者又は期間を定めて騎乗を停止された騎手であって、当該競走後から引き続き本邦外の地域にあり、かつ、当該騎乗を停止された期間を満了したものと認められるものを除く。))<ref>[https://jra.jp/company/about/law/pdf/07.pdf 日本中央競馬会競馬施行規程]</ref>」に基づき、英国競馬統括機構の処分と同じ特定期日の騎乗停止処分を行った<ref>[http://www.radionikkei.jp/keiba/sp/post_15661.html 川田将雅騎手の騎乗停止処分について]ラジオNIKKEI</ref>。 |
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また、ひき馬に用いる「引き手」や{{ill2|調馬索|en|Longeing}}用ロープ等も馬具に含まれる。 |
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== 競走馬用の馬具 == |
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[[ファイル:Menko Horse.jpg|thumb|180px|メンコを装着した競走馬]] |
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馬の覆面のこと(※ただし、競馬における「覆面」は枠入れ時に装着する目隠しのことを指すことが一般的である)。一般に耳おおいがついたものを使い、音に驚いたり、砂をかぶるのを嫌がる馬に使う<ref>[https://jra.jp/kouza/yougo/w397.html メンコ(競馬用語辞典)] JRA</ref>。英語ではhoodとも言う。装飾として装着されることもある。デザインは勝負服に合わせたり、厩舎オリジナルの物があったり多種多様である。また障害競走に出走する馬のメンコは、障害飛越時の衝撃でメンコがずれて前が見えなくならないように目の部分が大きくなっている。日本では目にする機会の多い馬具であるが、海外における使用頻度はそれほど高くない。 |
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周囲の音が聞き取りづらくなるため、馬によっては却って不安を高めてしまう可能性もある。元JRA騎手の[[岡部幸雄]]は現役時代、これを理由にメンコの着用に否定的だった。反面、現役のJRA騎手である[[武豊]]はメンコの効果を認める発言をしている。 |
周囲の音が聞き取りづらくなるため、馬によっては却って不安を高めてしまう可能性もある。元JRA騎手の[[岡部幸雄]]は現役時代、これを理由にメンコの着用に否定的だった。反面、現役のJRA騎手である[[武豊]]はメンコの効果を認める発言をしている。 |
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=== ブリンカー === |
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ブリンカーは「遮眼革」ともいい、視界の一部を直接遮ることにより馬の意識を競走や調教に集中させ、周囲からの影響に惑わされずに走らせるために用いられる。フードの目穴部分に合成ゴムやプラスチック製のカップを取り付けたものが一般的で、カップのつくりやサイズによって遮る視界の広さを変えることができる。片側だけにカップがついているものもある<ref>[https://jra.jp/kouza/yougo/w384.html ブリンカー(競馬用語辞典)] JRA</ref>。なお、中央競馬において、ブリンカーを装着する馬は出馬表に'''B'''と表記される<ref name="池田2010-172"/>。これを装着することによって前走から一変する馬も少なくない。出馬表に表記される馬具は基本的にブリンカーのみである。障害競走では、あらかじめ裁決委員の許可をが必要である。<ref>[https://jra.jp/company/about/law/pdf/07.pdf 日本中央競馬会競馬施行規程] JRA(第94条参照)</ref>。 |
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主にメンコとセットで使用するものである。 |
主にメンコとセットで使用するものである。 |
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初めて装着したレースで最も大きな効果を発揮するといわれ、そのことを表す言葉として英語では「ファーストタイム・ブリンカー」、日本語では「初ブリ」がある<ref>[[#矢作2008|矢作2008]]、144頁。</ref>。 |
初めて装着したレースで最も大きな効果を発揮するといわれ、そのことを表す言葉として英語では「ファーストタイム・ブリンカー」、日本語では「初ブリ」がある<ref>[[#矢作2008|矢作2008]]、144頁。</ref>。 |
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=== パシファイアー === |
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[[ファイル:Fujimasachamp horizon-net.jpg|thumb|180px|パシファイアーのついたメンコを装着した競走馬(フジマサチャンプ)]] |
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語源は英語の"pacifier"(なだめる人、調停者の意)。'''ホライゾネット'''ともいう |
語源は英語の"pacifier"(なだめる人、調停者の意)。'''ホライゾネット'''ともいう。メンコの目穴部分をネットで覆ったもの。前を走る馬が跳ね上げる砂が眼にかかるのを嫌がる馬に用いられる。また、視野を制限するので、競走に意識を集中させる効果を期待して用いられることもある<ref>[https://jra.jp/kouza/yougo/w391.html ホライゾネット(競馬用語辞典)] JRA</ref>。パドックなどでは装着していても、レース中に装着する馬はそこまで多くない。 |
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=== チークピース === |
=== チークピース === |
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[[ファイル:Perfect Joy Australia-blinkers.jpg|thumb|180px|赤いチークピーシーズを着用した競走馬(パーフェクトジョイ)]] |
[[ファイル:Perfect Joy Australia-blinkers.jpg|thumb|180px|赤いチークピーシーズを着用した競走馬(パーフェクトジョイ)]] |
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頭絡の頬革にボア状のものを装着したもので、左右を見えにくくして前方に意識を集中させる効果を期待して用いられる<ref>[https://jra.jp/kouza/yougo/w371.html チークピーシズ(競馬用語辞典)] JRA</ref>。通常左右2つ付けるため複数形で'''チークピーシーズ'''(または「'''チークピーシズ'''」)と呼ぶ。'''オーストラリアンブリンカー'''、'''サイドバーンズ'''(もみあげの意)とも呼ばれる。 |
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頭絡の鼻革に装着し、下方の視界を遮るために使用する矯正用の馬具。 |
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日本語では肢巻き(しまき)。バンデージは英語のbandageつまり包帯のこと。運動中の肢の保護に使用するものと、運動後4肢の保温包帯に使用するものとがある<ref>[https://jra.jp/kouza/yougo/w382.html バンデージ(競馬用語辞典)] JRA</ref>。競馬以外でも馬術競技(とくに[[総合馬術]]における耐久審査や[[エンデュランス馬術競技]])においても使用する。 |
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包帯状のテープ。肢巻ともいう<ref name="池田2010-173"/>ほか、バン'''テ'''ージという誤記も定着してしまっている。競走馬の脚部に巻き、外傷から保護するために用いられる<ref name="池田2010-173"/>。腱や靭帯を保護するためサポーターやテーピング代わりに装着されることもある<ref name="池田2010-173"/>。 |
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== 馬具の歴史 == |
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<!-- 競馬の直接の関係者ではな一介の記者の著書を参考文献とするのは不適切ではないか(内容についても誤り、偏りが多い) |
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本書はJRA及び地方競馬主催者の監修等関わりがないため、著書が勝手に書いているものでしかない。 --> |
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2021年5月23日 (日) 04:47時点における版
馬具(ばぐ)とは、人間がウマを効率よく制御(扶助)するためにウマに装着させる色々な道具のことをいう[1]。
馬具
- 頭用:面繋(おもがい)、頭絡(馬勒)、ハミ(馬銜)、無口、手綱(たづな)、ハックモア、鼻革
- 胴体:頸環、上腹帯、馬着(馬服、馬衣)
- 鞍(サドル)・・・サドル付属(胸懸、腹帯、尻繋、鐙(あぶみ)、泥障(あおり)、サドルブランケット)
- 脚用:肢巻
- 足用:蹄鉄、ベルブーツ、蹄の裏を保護する必要のある馬用のフーフブーツ、Splint boots、かんじき
馬の制御として、人間からの手綱(拳)、脚、サドル(座骨)、声で操作でき、これらを英語でNatural aidsという。補助として使う鞭や拍車などを Artificial aids という。Artificial aids を過度に使用すると、馬がパニックになったり、人間の言うことを聞かなくなったり、人間不信になる可能性があるほか、動物虐待として批難を受ける可能性もある。そのため、多くの馬術組織では使用に厳格な規則を設けている。
- 国際競馬統括機関連盟からのガイドラインには「Article 32 A (RACING) - MINIMUM STANDARD GUIDELINES ON THE WHIP AND ITS USE」と記載され、鞭の使用に関する規定がある[2]
- 英国競馬統括機構では、平地競走で鞭の使用は7回、障害競走で8回までとされており、打つ場所や力加減など厳しく制限をかけられている[3]。
- JRAでは、2014年の時点でルールブックに記載されていないが、鞭の使用は「2完歩空けない連続使用は最大10回まで」とされており、違反者は罰金などが科される[4]。
- 地方競馬においても2011年4月より「鞭の使用に関するガイドライン」として、同様の運用がなされている[5][6]。
これらは一例であり、海外の大会に出場する騎手が知らずに罰金などを受けるケースが発生している。
- 米国のマイク・スミス騎手がサウジカップに出場した際には、10回以上の鞭の使用が確認され、9日間の出場停止、20万ドル以上の罰金を科された[7][8]。
- 日本の川田将雅騎手がイギリスのレースに出場した際に、鞭の規定:「馬に反応の時間を与えずに鞭を使用した」に抵触した。英国競馬統括機構の裁決委員から3日の騎乗停止処分を受けて、JRAは「日本中央競馬会競馬施行規程第147条第18号(外国の競馬の競走の公正かつ安全な実施を害する行為をした者(その行為について既に当該競走に係る制裁を行う機関により戒告若しくは過怠金の賦課に相当する処分を受けた者又は期間を定めて騎乗を停止された騎手であって、当該競走後から引き続き本邦外の地域にあり、かつ、当該騎乗を停止された期間を満了したものと認められるものを除く。))[9]」に基づき、英国競馬統括機構の処分と同じ特定期日の騎乗停止処分を行った[10]。
また、ひき馬に用いる「引き手」や調馬索用ロープ等も馬具に含まれる。
競走馬用の馬具
競馬においては、競走馬をレースに集中させたり負傷を防ぐためにさまざまな馬具が用いられる[11]。
メンコ
馬の覆面のこと(※ただし、競馬における「覆面」は枠入れ時に装着する目隠しのことを指すことが一般的である)。一般に耳おおいがついたものを使い、音に驚いたり、砂をかぶるのを嫌がる馬に使う[12]。英語ではhoodとも言う。装飾として装着されることもある。デザインは勝負服に合わせたり、厩舎オリジナルの物があったり多種多様である。また障害競走に出走する馬のメンコは、障害飛越時の衝撃でメンコがずれて前が見えなくならないように目の部分が大きくなっている。日本では目にする機会の多い馬具であるが、海外における使用頻度はそれほど高くない。
周囲の音が聞き取りづらくなるため、馬によっては却って不安を高めてしまう可能性もある。元JRA騎手の岡部幸雄は現役時代、これを理由にメンコの着用に否定的だった。反面、現役のJRA騎手である武豊はメンコの効果を認める発言をしている。
ブリンカー
ブリンカーは「遮眼革」ともいい、視界の一部を直接遮ることにより馬の意識を競走や調教に集中させ、周囲からの影響に惑わされずに走らせるために用いられる。フードの目穴部分に合成ゴムやプラスチック製のカップを取り付けたものが一般的で、カップのつくりやサイズによって遮る視界の広さを変えることができる。片側だけにカップがついているものもある[13]。なお、中央競馬において、ブリンカーを装着する馬は出馬表にBと表記される[11]。これを装着することによって前走から一変する馬も少なくない。出馬表に表記される馬具は基本的にブリンカーのみである。障害競走では、あらかじめ裁決委員の許可をが必要である。[14]。
主にメンコとセットで使用するものである。
初めて装着したレースで最も大きな効果を発揮するといわれ、そのことを表す言葉として英語では「ファーストタイム・ブリンカー」、日本語では「初ブリ」がある[15]。
パシュファイアー
語源は英語の"pacifier"(なだめる人、調停者の意)。ホライゾネットともいう。メンコの目穴部分をネットで覆ったもの。前を走る馬が跳ね上げる砂が眼にかかるのを嫌がる馬に用いられる。また、視野を制限するので、競走に意識を集中させる効果を期待して用いられることもある[16]。パドックなどでは装着していても、レース中に装着する馬はそこまで多くない。
チークピース
頭絡の頬革にボア状のものを装着したもので、左右を見えにくくして前方に意識を集中させる効果を期待して用いられる[17]。通常左右2つ付けるため複数形でチークピーシーズ(または「チークピーシズ」)と呼ぶ。オーストラリアンブリンカー、サイドバーンズ(もみあげの意)とも呼ばれる。
シャドーロール
頭絡の鼻革に装着し、下方の視界を遮るために使用する矯正用の馬具。
ブローバンド
頭絡の額革につけるボア状の馬具。上方の視界を遮るために使用する。
バンデージ
日本語では肢巻き(しまき)。バンデージは英語のbandageつまり包帯のこと。運動中の肢の保護に使用するものと、運動後4肢の保温包帯に使用するものとがある[18]。競馬以外でも馬術競技(とくに総合馬術における耐久審査やエンデュランス馬術競技)においても使用する。
馬具の歴史
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世界の馬具
日本の馬具
日本列島では古墳時代の4世紀後半から5世紀にかけて家畜化された馬が伝来し、馬具も日本列島へもたらされた。古墳時代には古墳の副葬品として馬骨や馬歯とともに金属製の馬具が出土しており、中には馬具を装着したまま埋葬された馬遺体も見られる。また、埴輪(はにわ)には動物を形象したものが見られ、馬を形象した埴輪馬(馬形埴輪)も存在し、各種の馬具を装着した姿として表現されている。
中世には人が座すために置かれる鞍骨を含め、鐙や腹帯など馬具一式を総称して「鞍」と呼び、同時に狭義として鞍骨のみを指して鞍とも呼んでいた[19]。鞍は使用する馬具の組み合わせによって唐鞍・移鞍・大和鞍・水干鞍・軍陣鞍・六位鞍などに区別されている。貴族の時代には身分・官職によって使用できる馬具やその装飾(料)に規定があり、朝儀用の装飾豊かな唐鞍や移鞍は殿上人の官馬に着けられ、六位以下の官人や一般の武士が使用する地味な装飾馬具を六位鞍と呼んだ。鎌倉時代以降の武士の時代に入ると、実用的な大和鞍や軍陣鞍・水干鞍が主流となり、新たな身分秩序に応じた料の規定が設けられた。 室町以降になると貴族は権威は失墜し、半士半農民によって戦時以外の平時における農耕馬や山野路での運搬用の馬方(馬子)の需要が見出された。鼻先に付け横木に繋いでおく鼻捻(びねん・はなねじ)棒[1]やももろい(腿牢・腿篭:ももろうとも言う)という脛につけ腿を動けなくする制御用の馬具が出てきた。その他にも馬が長時間の走行で疲れ腿が鬱血した際に瀉血用の馬針(刃針:ばしん)[2]が用いられた。
その他
- 哲学者カントは馬具屋の倅であった。
- 現在服飾ブランドとして有名なグッチやエルメスの前身は馬具メーカーであった。エルメスは現在でも高級馬具を受注生産している。
- 歌舞伎の『外郎売』の口上に「武具馬具武具馬具三武具馬具、合せて武具馬具六武具馬具」というものがあり、早口言葉として知られている。
脚注
- ^ 『戦術、時代背景がよくわかる カラー版 戦国武器甲冑辞典』、監修者中西豪、大山格、発行所株式会社誠文堂新光社、2015年4月16日、p.282.
- ^ Article 32 A (RACING) - MINIMUM STANDARD GUIDELINES ON THE WHIP AND ITS USE 国際競馬統括機関連盟
- ^ The whip英国競馬統括機構 参照日:2021年5月3日
- ^ 鞭の使用制限について武豊Official Site
- ^ 競走ルールの一部変更について 大井競馬
- ^ 競走関連ルールの一部変更について 名古屋競馬
- ^ Report: Smith Hit With Severe Penalties for Saudi Cup Whip Overuse Thoroughbred Daily News
- ^ [https://p.nikkansports.com/goku-uma/news/article.zpl?topic_id=1&id=202003020000524&year=2020&month=03&day=02 サウジC2着スミス騎手が制裁で“史上最高”罰金額 ]日刊スポーツ
- ^ 日本中央競馬会競馬施行規程
- ^ 川田将雅騎手の騎乗停止処分についてラジオNIKKEI
- ^ a b 池田2010、172頁。
- ^ メンコ(競馬用語辞典) JRA
- ^ ブリンカー(競馬用語辞典) JRA
- ^ 日本中央競馬会競馬施行規程 JRA(第94条参照)
- ^ 矢作2008、144頁。
- ^ ホライゾネット(競馬用語辞典) JRA
- ^ チークピーシズ(競馬用語辞典) JRA
- ^ バンデージ(競馬用語辞典) JRA
- ^ 二木謙一『中世武家の作法』 <日本歴史叢書> 吉川弘文館 1999 ISBN 4642066578 pp.30-35.
参考文献
- 鈴木和幸『勝ち馬がわかる競馬の教科書』池田書店、2010年。ISBN 978-4-262-14465-8。
- 矢作芳人『開成調教師 安馬を激走に導く厩舎マネジメント』白夜書房〈競馬王新書 016〉、2008年。ISBN 978-4-86191-476-8。
関連項目
- 人側乗馬用具