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2021年5月20日 (木) 22:33時点における版
コネクテッドカー(Connected Car)は、インターネットへの常時接続機能を具備した自動車である。
概要
自動車のIT化により、快適性や安全性の向上が実現され、センサーと内部のネットワークにより実現できることだけでなく、クラウドと接続することにより、様々な情報サービスを受ける事が可能になる[1]。
コネクテッドカー市場は、自動運転、安全性向上、車載インフォテインメント(IVI)、快適な運転、車両管理、走行管理、ホームインテグレーションの分野で発展すると予想されている[2]。運転状況を常時監視するテレマティクス保険[3]の普及も見込まれる他、Visaとアクセンチュアは、コネクテッドカーから運転中に事前に商品を注文して店頭で受け取ったりする機能も試作している[4]。国内でも、助手席向けアプリなど、コネクテッドカーの新しいアプリケーションが試作されている[5]。
普及状況
2017年1月からロシア[6]、2018年4月からは欧州で[7]、通信機能を具備した自動緊急通報システムの搭載が義務化されており、普及が加速するとみられている[8]。 日本でも自動緊急通報システムについて、搭載義務化はされていないものの、装置の性能基準の制定されることとなった[9]。
日本は欧米に比べてコネクテッドカーの普及ペースが遅れているとの指摘もある[10]。
通信機能を搭載していない従来のクルマに関しても、後付で通信機能を付加するサービスも登場している。例えば、ドイツテレコム社では、OBD-2ポートから車両情報を取得・収集したり、車内にWi-Fiサービスを提供をしている[11]。インターネットにつながることでIVI向けアプリが高度化する動きもあり、例えば、三菱自動車はIVIを音声操作できるパーソナルアシスタントサービスをクラウドを利用して提供するサービスを開発中であることを発表している[12]。ノルウェー交通局はOBDポートから位置情報・外気温・ワイパー等の情報を取得して道路沿線の天候予測に役立てる技術に投資を行っている[13]。通信オペレータの動向として、KDDIがLTEによる車両への同報通信の実証実験を成功させた例[14]や、NTTドコモが5Gを利用した次世代モビリティサービスの開発等の取り組みの発表[15]、自動車メーカーの動向として、ルノー・日産自動車[16] [17]・三菱自動車[18]による中国でのコネクテッドカー事業に関して現地企業と協業することが報じられている[19]。トヨタ自動車は、通信機能付きのナビゲーションシステムを、純正オプションのナビのラインナップに2018年9月から追加すると報じられた。[20]
課題
- クラッキングの危険性
2015年にはジープ・チェロキーをネットワーク経由でハッキング(クラッキング)する実験が成功し、140万台のリコールに発展する[21]などインターネット接続による新たな課題も抱えている[22]。
- 自動車にIT機器を搭載するということに無理があるという意見
自動車は長ければ20年以上保有されるのに対し、IT機器が早ければ数ヶ月で陳腐化するという実情がある。それに加えスマートフォンと関連サービスの進化、コネクティッドサービスの維持費の高額さなどからかつてのテレマティクスサービスのように「コケる」ことを懸念する声もある。
- 国沢光宏は2004年当時これを理由に、「Willの第3弾に搭載されるような、クルマ専用の本格的なモバイル機器については否定的な意見をもつ。」(CARトップ2002年4月号103ページ 原文抜き出し)と名指しでG-BOOKを否定していた。事実、後述のWeb CGの記事においても「実際にはいずれ(G-BOOK、日産・カーウイングス、ホンダ・インターナビ)も鳴かず飛ばずに終わった。」と評している。
- 2018年、Web CGでは同年発売されたトヨタのカローラスポーツ/クラウン用システムの場合、4年目以降高額(年間で税抜き1.2万円/1.6万円)な維持費が掛かることも絡めて「(従来のテレマティクスは)スマートフォンを使えばこれらの機能のほとんどは実現できてしまった(ため誰も金を払わなかった)」、「(必要性を感じさせないと、現在のコネクティッドカーにも)ユーザーは通信料を払ってくれず、DCMは宝の持ち腐れになる恐れがある。」と評している。[23]
プラットフォーム
IVIのOSは、リアルタイムUNIXのQNX OS、マイクロソフト社のWindows Automotive、オープンプラットフォームとしてはAGLが発表されている。
スマートフォン連携機能
スマートフォン連携機能としては、スマートフォンとの連携を図るものとして、Apple社の「CarPlay」、Google社の「Android Auto」、オープンプラットフォームの「Smart Device Link」がある。
車両情報
W3Cではコネクテッドカー向けの車載APIとして、VISS[24]の標準化が進んでいる。VISSで用いられる車両情報のデータフォーマットはGENIVI AllianceのVSS[25]が採用されている。W3CとGENIVI AllianceはIoTの標準化団体であるOCFとも連携をしている[26]。故障診断情報のクラウドへの吸い上げについてはISO20078で標準化がされている[27]。
また、ダイナミックマップの生成に用いる車両データのデータフォーマットについては、欧州のERTICOの傘下にあるSENSORISにて標準化が進んでいる[28]。
車載向けクラウドサービス
Amazon社は車載向音声認識サービスとしてAlexa Onboardを発表している[29]。
出典
- ^ コネクテッドカー
- ^ (PDF) PwC コネクテッドカーレポート2015
- ^ , http://president.jp/articles/-/21422?page=3
- ^ , https://www.accenture.com/jp-ja/success-visa-connected-commerce-car
- ^ Webとクルマのハッカソン2017
- ^ 『新型車に車両緊急通報システムの導入を義務付け』2015年 。
- ^ EUで自動事故通報システムの搭載が義務化
- ^ 総務省 平成27年版 情報通信白書
- ^ 事故自動通報システム基準策定へ
- ^ コネクテッドカーも「ガラパゴス市場」に?
- ^ CarConnect adapter transforms any car into a hotspot on wheels
- ^ http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1711/02/news033.html
- ^ , https://prw.kyodonews.jp/opn/release/201802130915/=
- ^ KDDI、車に一斉指示 コネクテッドカーで実験 日本経済新聞 2018年4月16日
- ^ NTTドコモとヴァレオグループ、コネクテッドカービジネスにおける協業に向けた取り組みを開始 産経新聞 2018年4月12日
- ^ “日産|コネクテッドカーサービス”. 日産自動車. 2020年3月1日閲覧。
- ^ “日産のコネクテッド機能「NissanConnect」を徹底解説”. 自動運転ラボ編集部. 2020年3月1日閲覧。
- ^ “「MITSUBISHI CONNECT」三菱自動車のコネクティッド技術”. 三菱自動車. 2020年3月1日閲覧。
- ^ アライアンス、滴滴出行のDIDI AUTO ALLIANCEに参加 CNET Japan 2018年4月24日
- ^ トヨタ、コネクテッドカー対応の新型ナビを発売 日本経済新聞 2018年8月27日
- ^ 車載ネットワークのセキュリティ、まだ脆弱 (EE Times)
- ^ Jeepのハッキング問題、ネットの脆弱性が深刻に - EE Times(2015年07月30日 12時00分 公開)2018年6月15日閲覧
- ^ トヨタ入魂の「コネクティッドカー」何がそんなに“ありがたい”のか?(WebCG、2018.07.04)
- ^ 『Vehicle Information Service Specification』2017年 。
- ^ 『[Vehicle Signal Specification Vehicle ... - GENIVI Alliance Vehicle Signal Specification]』2016年 。
- ^ 車載コネクト2大団体が提携、オープン規格を共同開発へ…GENIVIとOCF
- ^ 自動車関連のデータ収集を巡る標準化動向
- ^ HERE、データフォーマットを策定…車両からクラウドに送信
- ^ amazon-panasonic-deal-pushes-alexa-further-into-cars
関連項目
- 高度道路交通システム
- テレマティクス
- Automotive Grade Linux
- モノのインターネット
- ワイルド・スピード ICE BREAK - 本作の中盤に「ニューヨーク中の一般車がハッキングされ暴走する」といった、上記の脆弱性の問題を露呈させるシーンがある。
外部リンク
- 大西綾・北西厚一・菊池貴之 (2020年7月8日). “CASE、さまよう「A」と「S」 米テスラ躍進の背景に”. 日経ビジネス. 2020年10月1日閲覧。