コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「小行列」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Sorry, revert error made by bot
タグ: 取り消し
Cewbot (会話 | 投稿記録)
12行目: 12行目:
これとは異なり、選んで{{underline|用いる}}添字を指定することによって小行列を記述することもある。この立場では
これとは異なり、選んで{{underline|用いる}}添字を指定することによって小行列を記述することもある。この立場では
: <math>A_{I J} = [a_{i j}]_{i \in I, j \in J}</math>
: <math>A_{I J} = [a_{i j}]_{i \in I, j \in J}</math>
のように書く<ref>{{Literatur|Autor=Überhuber|Titel=Computer-Numerik 2|Seiten=212}}</ref>。ただし、以下本項ではこの記法は用いないこととする。連続する番号の行および列を用いて得られる小行列は、もとの行列の[[区分行列|ブロック]]と呼ばれる。
のように書く<ref>{{citation2|surname1=Überhuber|title=Computer-Numerik 2|at=p.&nbsp;212|language=de
}}</ref>。ただし、以下本項ではこの記法は用いないこととする。連続する番号の行および列を用いて得られる小行列は、もとの行列の[[区分行列|ブロック]]と呼ばれる。


== 例 ==
== 例 ==
22行目: 23行目:


== 応用 ==
== 応用 ==
行列 {{math|''A'' ∈ Mat(''m'', ''n''; ''K'')}} が[[行列の階数|階数]] {{mvar|r}} を持つならば、正方小行列 {{math|''A{{sub|I J}}'' ∈ Mat(''r''; ''K'')}} が存在して {{math|1=rank(''A{{sub|I J}}'') = rank(''A'')}} かつ {{math|[[行列式|det]] ''A{{sub|I J}}'' &ne; 0}} とできる<ref>{{Literatur|Autor=Bosch|Titel=Lineare Algebra|Seiten=146}}</ref>。そのような小行列は、例えば[[ガウス消去|ガウスの消去法]]などを用いて計算できる。正方小行列の行列式は[[小行列式]]と呼ばれ、主小行列の行列式は主小行列式と呼ばれる。正方行列 {{mvar|A}} の {{mvar|A{{sub|i j}}}} の形の小行列の行列式に交代符号を与えれば、もとの行列の[[余因子]]
行列 {{math|''A'' ∈ Mat(''m'', ''n''; ''K'')}} が[[行列の階数|階数]] {{mvar|r}} を持つならば、正方小行列 {{math|''A{{sub|I J}}'' ∈ Mat(''r''; ''K'')}} が存在して {{math|1=rank(''A{{sub|I J}}'') = rank(''A'')}} かつ {{math|[[行列式|det]] ''A{{sub|I J}}'' &ne; 0}} とできる<ref>{{citation2|surname1=Bosch|title=Lineare Algebra|at=p.&nbsp;146|language=de
}}</ref>。そのような小行列は、例えば[[ガウス消去|ガウスの消去法]]などを用いて計算できる。正方小行列の行列式は[[小行列式]]と呼ばれ、主小行列の行列式は主小行列式と呼ばれる。正方行列 {{mvar|A}} の {{mvar|A{{sub|i j}}}} の形の小行列の行列式に交代符号を与えれば、もとの行列の[[余因子]]
: <math>\tilde{a}_{i j} = (-1)^{i+j} \det(A_{i j})</math>
: <math>\tilde{a}_{i j} = (-1)^{i+j} \det(A_{i j})</math>
が得られ、[[余因子行列]] {{math|1={{tilde|''A''}} {{coloneqq}} ({{tilde|''a''}}{{sub|''i j''}})}} は {{mvar|A}} の[[逆行列]]を陽に計算するために用いることができる。また行列式の計算に関する[[余因子展開|ラプラス展開定理]]や二つの行列の[[行列の積|積]]の行列式に関する[[ビネ&ndash;コーシーの定理]]などにおいても小行列式は重要な役割を果たす。
が得られ、[[余因子行列]] {{math|1={{tilde|''A''}} {{coloneqq}} ({{tilde|''a''}}{{sub|''i j''}})}} は {{mvar|A}} の[[逆行列]]を陽に計算するために用いることができる。また行列式の計算に関する[[余因子展開|ラプラス展開定理]]や二つの行列の[[行列の積|積]]の行列式に関する[[ビネ&ndash;コーシーの定理]]などにおいても小行列式は重要な役割を果たす。


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
* {{Literatur|Autor=[[Siegfried Bosch]]|Titel=Lineare Algebra|Verlag=Springer|Jahr=2006|ISBN=3-540-29884-3}}
* {{citation2|surname1=[[Siegfried Bosch]]|title=Lineare Algebra|publisher=Springer|year=2006|isbn=3-540-29884-3|language=de
}}
* {{Literatur|Autor=Christoph W. Überhuber|Titel=Computer-Numerik 2|Verlag=Springer|Jahr=1995|ISBN=3-642-57794-6}}
* {{citation2|surname1=Christoph W. Überhuber|title=Computer-Numerik 2|publisher=Springer|year=1995|isbn=3-642-57794-6|language=de
}}


== 注 ==
== 注 ==

2021年4月16日 (金) 09:25時点における版

小行列は行列から特定の行および列を取り除いて得られる。この図では第二行と第四列を落としている。

線型代数学における部分行列(ぶぶんぎょうれつ、: submatrix)または小行列(しょうぎょうれつ、: Teilmatrix[1])は、与えられた行列に対してその行または列を取り除くことで作られる行列を言う。特に正方行列に対して同じ番号の行と列を取り除くことで得られる小行列は主小行列 (principal submatrix) と呼ぶ。小行列は、小行列式余行列の定義に用いられ、それらは行列式余因子展開において重要である。

定義

A = (ai j) ∈ Mat(m, n; K)可換体 K 上の行列とするとき、A小行列 AI J は、行添字の部分集合 I ⊂ {1, …, m} と列添字の部分集合 J ⊂ {1, …, n} を選んで除いた行列

を言う。この小行列 AI Jm − |I| 本の行および n − |J| 本の列を持つ行列である。取り除く添字の部分集合が各々一元集合であるときには、例えば A{i} {j} は単に Ai j と書く。 m = nI = J のときの小行列

主小行列とも呼ぶ。

これとは異なり、選んで用いる添字を指定することによって小行列を記述することもある。この立場では

のように書く[2]。ただし、以下本項ではこの記法は用いないこととする。連続する番号の行および列を用いて得られる小行列は、もとの行列のブロックと呼ばれる。

例えば、以下の行列

に対して、その小行列の一つ

は第二行および第三列を取り除いて得られる。

応用

行列 A ∈ Mat(m, n; K)階数 r を持つならば、正方小行列 AI J ∈ Mat(r; K) が存在して rank(AI J) = rank(A) かつ det AI J ≠ 0 とできる[3]。そのような小行列は、例えばガウスの消去法などを用いて計算できる。正方小行列の行列式は小行列式と呼ばれ、主小行列の行列式は主小行列式と呼ばれる。正方行列 AAi j の形の小行列の行列式に交代符号を与えれば、もとの行列の余因子

が得られ、余因子行列 ~A ≔ (~ai j)A逆行列を陽に計算するために用いることができる。また行列式の計算に関するラプラス展開定理や二つの行列のの行列式に関するビネ–コーシーの定理などにおいても小行列式は重要な役割を果たす。

参考文献

  • Siegfried Bosch (2006), Lineare Algebra (ドイツ語), Springer, ISBN 3-540-29884-3
  • Christoph W. Überhuber (1995), Computer-Numerik 2 (ドイツ語), Springer, ISBN 3-642-57794-6

  1. ^ Christian Karpfinger: Höhere Mathematik in Rezepten. Springer Verlag, Berlin 2014, ISBN 978-3-642-37865-2, S. 95.
  2. ^ Überhuber, Computer-Numerik 2 (ドイツ語), p. 212
  3. ^ Bosch, Lineare Algebra (ドイツ語), p. 146

外部リンク