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但し[[2010年]]の39%をピークにその後は32%前後で低迷<ref name="bis-stat">[https://stats.bis.org/statx/srs/table/d11.3 Turnover of OTC foreign exchange instruments, by currency 2019] </ref>している。
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米ドルと同様に、世界にはユーロに対して連動している通貨もある。具体的には、[[ブルガリア|ブルガリア共和国]]の[[レフ]]等の東欧の通貨に加え、[[カーボベルデ|カーボベルデ共和国]]の[[エスクード]]や[[CFAフラン]]等の西アフリカの通貨がある。また、ヨーロッパにおいて、EU非加盟国でも[[アンドラ|アンドラ公国]]、[[モナコ|モナコ公国]]、[[コソボ|コソボ共和国]]、[[モンテネグロ]]、[[サンマリノ|サンマリノ共和国]]、[[バチカン|バチカン市国]]がユーロを採用している。
米ドルと同様に、世界にはユーロに対して連動している通貨もある。具体的には、[[ブルガリア|ブルガリア共和国]]の[[レフ (通貨)|レフ]]等の東欧の通貨に加え、[[カーボベルデ|カーボベルデ共和国]]の[[エスクード]]や[[CFAフラン]]等の西アフリカの通貨がある。また、ヨーロッパにおいて、EU非加盟国でも[[アンドラ|アンドラ公国]]、[[モナコ|モナコ公国]]、[[コソボ|コソボ共和国]]、[[モンテネグロ]]、[[サンマリノ|サンマリノ共和国]]、[[バチカン|バチカン市国]]がユーロを採用している。


2006年12月の段階で、ユーロは流通する現金の総額で米ドルを抜いた。流通していたユーロ紙幣の価値は6,100億ユーロ以上に上り、当時の為替レートでは8,000億ドルに相当する。
2006年12月の段階で、ユーロは流通する現金の総額で米ドルを抜いた。流通していたユーロ紙幣の価値は6,100億ユーロ以上に上り、当時の為替レートでは8,000億ドルに相当する。

2021年1月28日 (木) 04:19時点における版

国際通貨(こくさいつうか、: world currency)とは、国際取引為替取引に使用される通貨のこと。


歴史

スペインペソ (17世紀から19世紀)

フェリペ5世のスペインペソ銀貨(1739)

17世紀から18世紀にかけて、スペイン王国通貨として8レアル銀貨を含むスペインペソが、西はアメリカ大陸のスペイン領へ、東はアジアへと使用されるようになり、世界初の国際通貨が形成された。これは世界におけるスペインの政治的軍事的な優位性の他、大西洋と太平洋間を横断するスペインの交易網に加え、高純度に銀を含有する貨幣の品質もあった為で、約3世紀に亘って国際的に受け入れられるようになった。

太平洋地域のスペイン植民地であるフィリピングアムミクロネシアでは法定通貨となり、その後19世紀半ばまでは中国やその他の東南アジア諸国でも法定通貨となった。南北アメリカ大陸では、ブラジルを除く南アメリカと中央アメリカの全ての国と地域で法定通貨となった。

スペインペソは、アメリカでは1857年に貨幣法が制定されるまで法定通貨であった。ヨーロッパでも多くの国で使用された。

1821年に独立したメキシコ合衆国の通貨であるメキシコペソと共に、スペインペソは1860年代以降でもアメリカ大陸の多くの地域で使用され続けた。メキシコペソ、米ドル、カナダドルの記号はペソ記号(ドル記号としても知られている)を使用しており、その起源をスペインペソに遡る。

金本位制及び通貨同盟(19世紀から20世紀)

19世紀以前を含め19世紀の半ばまで、国際貿易は金の重さを各通貨に換算して取引されていた。当時の殆どの国の通貨は、本質的には金の重さを測定する手段に過ぎなかった。その為、金が世界初の国際通貨とする説もある。第一次世界大戦頃に国際的な金本位制が崩壊した事は、世界貿易に大きな影響を与えた。

この金本位制とは別に、1860年代から1920年代にかけて幾つかの通貨同盟が存在した。その中でも特に有名なのがラテン通貨同盟で、フランス・フランに固定され、主にロマンス語圏のヨーロッパ諸国で使用されていた。また、スウェーデン・クローネに固定され、北欧諸国で使用されていたスカンディナヴィア通貨同盟も存在した。

英ポンド

1944 年以前の世界基準通貨は英国のポンド・スターリングであった。

米ドル

1944年ブレトン・ウッズ協定以降、世界の為替レートは米ドルに固定され、一定額の金(金塊)と交換出来るようになった。これにより世界通貨としての米ドルの優位性が強化された。

1971年スミソニアン協定を契機に固定相場制や金本位制が崩壊して変動相場制が導入されて以来、世界の多くの通貨は米ドルに固定されなくなった。しかし、米国は世界最大の経済大国である為、国際取引の多くが米ドルで行なわれており、事実上の世界通貨である事に変わりはない。

今でも米ドルに固定されている通貨もある。

ユーロ

1999年に登場したユーロ独マルクから国際通貨の地位を継承し、また銀行の外貨準備の多様化やユーロ圏の取引拡大に伴ない、存在感を高めようとしている。 但し2010年の39%をピークにその後は32%前後で低迷[1]している。

米ドルと同様に、世界にはユーロに対して連動している通貨もある。具体的には、ブルガリア共和国レフ等の東欧の通貨に加え、カーボベルデ共和国エスクードCFAフラン等の西アフリカの通貨がある。また、ヨーロッパにおいて、EU非加盟国でもアンドラ公国モナコ公国コソボ共和国モンテネグロサンマリノ共和国バチカン市国がユーロを採用している。

2006年12月の段階で、ユーロは流通する現金の総額で米ドルを抜いた。流通していたユーロ紙幣の価値は6,100億ユーロ以上に上り、当時の為替レートでは8,000億ドルに相当する。

外国為替の決済高

国際取引や為替取引に使用される通貨は、国際決済銀行(BIS)が3年ごとに通貨別の外国為替決済高を公表しており、2019年に発表した統計[1]によれば、外国為替決済高の上位通貨は下表の通りである。

外国為替決済高の上位10通貨(2019年)
順位 通貨 割合
1 アメリカ合衆国の旗 米ドル 88.3%
2 欧州連合の旗 ユーロ 32.3%
3 日本の旗 日本円 16.8%
4 イギリスの旗 英ポンド 12.8%
5 オーストラリアの旗 豪ドル 6.8%
6 カナダの旗 加ドル 5.0%
7 スイスの旗 スイスフラン 5.0%
8 中華人民共和国の旗 人民元 4.3%
9 香港の旗 香港ドル 3.5%
10 ニュージーランドの旗 ニュージーランドドル 2.1%

貿易や投資の経済活動等で実際に決済される通貨と、国際通貨基金(IMF)による特別引出権(SDR)の構成通貨を混同している人がいるが、SDRは国家の外貨準備に対する手段であり本項目とは別の議論である。詳細はSDRの項目を参照。

ハードカレンシー

管理通貨制度下にありながら十分な信用があり、額面価額通りの価値を広く認められ国際市場で、他国の通貨と容易に交換が可能な通貨のことをハードカレンシー: hard currency)(英語版)と呼ぶ。金本位制の時代に、いつでもハード(硬い金属の意、つまり「」)な正貨と交換可能な通貨というのが語源である。ハードカレンシー以外の通貨はソフトカレンシー: soft currency)やローカルカレンシー: local currency)と呼ばれる。

通貨が「ハードカレンシーであるための条件」として、以下の条件が挙げられる。

  • 国際的に信用があること
  • 発行国が多様なを産出していること
  • 国際的な銀行における取引が可能なこと
  • あらゆる場所での換金が可能なこと

明確な基準は存在しないため、どこまでをハードカレンシーに分類するかは、論者によって一定ではない。一般に米ドル・ユーロ・日本円を指して「世界三大通貨」「G3通貨」と呼ぶ。

基軸通貨

国際為替市場で中心に扱われる通貨のことを基軸通貨(きじくつうか、: key currency キーカレンシー)と言う。

基軸通貨としての機能を果たすには以下の条件が必要とされている。

  • 軍事的に指導的立場にあること(戦争によって国家が消滅したり壊滅的打撃を受けない)
  • 発行国が多様な物産を産出していること(いつでも望む財と交換できること)
  • 通貨価値が安定していること
  • 高度に発達した為替市場金融・資本市場を持つこと
  • 対外取引が容易なこと

歴史的には、イギリス・ポンド(以下、英ポンド)やアメリカ・ドル(以下、米ドル)が基軸通貨と呼ばれてきた。

英ポンドは19世紀半ば以降、国際金融センターとしてのイギリスの強力な立場を背景に基軸通貨としての役割を担っていたが、第一次世界大戦欧州各国は経済が疲弊し、逆にアメリカ戦争特需経済が急成長したため、(正式ではないが)基軸通貨が機能面で英ポンドから米ドルへ移った。

ブレトン・ウッズ協定から第二次世界大戦後は、アメリカがIMF体制の下で各国中央銀行に対して米ドルの金兌換を約束したこと、およびアメリカ合衆国の経済力を背景に米ドルが名実共に基軸通貨となった。欧州単一通貨・ユーロが将来的に米ドルと並ぶ基軸通貨に成長するとの見方もあるが、2009年現在では対外取引の80%以上が米ドルで行われていることから、実質的な基軸通貨としての地位は揺らいでいない(ユーロは約10%)。

ただし、アメリカの景気対策による財政赤字の拡大に伴い、中華人民共和国は基軸通貨としてのドルの安全への懸念を指摘、代わってSDRの使用範囲を拡大し、基軸通貨として人民元の役割を担わせる提案を行ない、2016年からSDRの構成通貨に人民元が加わった。[2][3]

1SDRの価値は、2016年から2020年の期間では

  • 米ドル 41.73%
  • ユーロ 30.93%
  • 人民元 10.92%
  • 日本円 8.33%
  • 英ポンド 8.09%

である。

基軸通貨の発行国は、必然的に経常収支は赤字になる(国際的な流動性を供給するためには、発行国は経常収支が赤字となって各国に通貨を供給する必要がある)。基軸通貨である限り経常収支の赤字額は発行国の利益になる(各国が基軸通貨資産を外貨準備として持つことにより、発行国はその代金としての海外資産を手にすることができる)。新興国の経済発展により基軸通貨の需要が増えた場合は、供給量が一定であれば基軸通貨の価値は上昇する。

近年、日米欧はデジタル人民元が中国国内での利用にとどまらず、貿易決済などを通じて世界的に普及し、存在感を高めることを警戒している。相対的に基軸通貨のドルの地位が低下すれば、米国が敵対国にドル取引を禁じるといった金融制裁の効力も弱まりかねない。

脚注

  1. ^ a b Turnover of OTC foreign exchange instruments, by currency 2019
  2. ^ 中国人民銀行の周小川総裁の論文。『朝日新聞2009年3月28日、東京版朝刊15面。
  3. ^ ドルを埋葬したい勢力 - 周小川論文の解説と論評(JBpress 2009年3月31日

関連項目