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「バルト・ネオペイガニズム」の版間の差分

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'''バルト・ネオペイガニズム''' ([[英語]]: Baltic neopaganism  [[リトアニア語]]: Baltų neopagonybė)は、[[バルト人]](主に[[リトアニア人]]と[[ラトビア人]])の間で、かつての([[キリスト教]]から見た)[[異教]]を[[民族宗教]]として復興しようとする運動([[ネオペイガニズム]])<ref name="Wiench1995">Wiench, 1995</ref><ref>Monika Hanley. ''[http://www.baltictimes.com/news/articles/27265/ Baltic diaspora and the rise of Neo-Paganism]''. The Baltic Times, 2010.</ref>。近現代におけるその起源は19世紀にさかのぼるが、[[ソビエト連邦]]支配下では抑圧された。[[ソ連崩壊]]後はバルト人たちの間で国家・文化アイデンティティの開花としてもてはやされ、バルト諸国のみならず海外のバルト人コミュニティにも広まった。
'''バルト・ネオペイガニズム''' ([[英語]]: Baltic neopaganism  [[リトアニア語]]: Baltų neopagonybė)は、[[バルト人]](主に[[リトアニア人]]と[[ラトビア人]])の間で、かつての([[キリスト教]]から見た)[[異教]]を[[民族宗教]]として復興しようとする運動([[ネオペイガニズム]])<ref name="Wiench1995">Wiench, 1995</ref><ref>Monika Hanley. ''[http://www.baltictimes.com/news/articles/27265/ Baltic diaspora and the rise of Neo-Paganism]''. The Baltic Times, 2010.</ref>。近現代におけるその起源は19世紀にさかのぼるが、[[ソビエト連邦]]支配下では抑圧された。[[ソビエト邦の崩壊]]後はバルト人たちの間で国家・文化アイデンティティの開花としてもてはやされ、バルト諸国のみならず海外のバルト人コミュニティにも広まった。


== 主なネオペイガン ==
== 主なネオペイガン ==

2020年12月26日 (土) 01:05時点における版

ロムヴァの儀式

バルト・ネオペイガニズム (英語: Baltic neopaganism  リトアニア語: Baltų neopagonybė)は、バルト人(主にリトアニア人ラトビア人)の間で、かつての(キリスト教から見た)異教民族宗教として復興しようとする運動(ネオペイガニズム[1][2]。近現代におけるその起源は19世紀にさかのぼるが、ソビエト連邦支配下では抑圧された。ソビエト連邦の崩壊後はバルト人たちの間で国家・文化アイデンティティの開花としてもてはやされ、バルト諸国のみならず海外のバルト人コミュニティにも広まった。

主なネオペイガン

ディエヴトゥリーバ

ディエヴトゥリ (ラトビア語: Dievturi「神を守る者たち」の意)[3]ラトビア人の復興宗教[4][5][6]であり、ラトビアの他カナダやアメリカのラトビア人コミュニティにも信者がいる[7]。宗教学的には一元論を軸とし[8]バルト神話英語版に登場する神々や自然はそれぞれすべてデウス(神)の発現であるとしている[9]。デウスは超越的な現実の泉であり、物質やエネルギーの基盤であり、宇宙を規定する法である。

この復興運動は、1925年にエルネスツ・ブラステンチュが『ラトビアのデウス性の復活』と題した書籍を出版したことに始まる[10][11]。ラトビアがソ連に併合されたのちデウトゥリ運動は抑圧されたが、亡命者を中心として存続した。1990年代以降、ラトビアに逆輸入されて信者を増やし、2011年時点で公式なメンバーは663人となった[12]。2017年、聖所としてロクステネス・ディエブトゥル・スヴェートニーツァが建設された[13]

ドルウィ

ドルウィ (プロシア語: Druwi 「信仰」の意、英語のtree同根語[14] サモギティア語: Druwē) は、プルーセンの宗教に起源をもつと主張しているネオペイガン[15]で、現在はリトアニアを中心に信仰されている。信者たちは、ドルウィと後述のロムヴァは明確に区別されるものだと考えている。またロムヴァは、ドルウィの一形態ととらえることもできる。

新宗教としてのドルウィは、1995年に設立された「クロノ聖職アカデミー」(リトアニア語: Baltųjų žynių mokykla Kurono) によって整備された[16]。この組織は、道徳的に成熟した18歳以上の男女をバルト人の司祭として育成している機関である。ロムヴァと同様、ヴィドゥーナスを開祖として認めている。教義は一元論的である。

ロムヴァ

ロムヴァの結婚式

ロムヴァ英語版Romuva)は、リトアニアキリスト教化以前の宗教を、生き残っていた民話や慣習から復活させたとして、中世以前からの連続性を主張しているネオペイガンである[17][18][19]

リトアニアで創始されたが、現在ではオーストラリア、カナダ、アメリカ[20]、イングランド[21]に信者組織を有している。ノルウェーにも信者が存在している[22]。宗教としてのロムヴァは自然の神聖性と祖先を崇拝する多神教であり、その信者は伝統様式の芸術を称賛したり、ダイナ英語版[注 1]や讃美歌のようなバルト民謡を復活させたり、伝統的な休祝日を研究したり、伝統的なバルト音楽を演奏したりといった文化的活動のほか、自然や聖地の保護活動を行っている[23]

脚注

注釈

  1. ^ dainaリトアニア語では〈歌〉を表す一般名詞(主格複数形: dainos)であるが、ラトヴィア語では〈ラトヴィアの民謡〉を意味する(主格複数形: dainas; 参照: lv:Dainas)。リトアニアの民謡の具体的な形態としてはスタルティネスリトアニア語: sutartinės)などが挙げられる。

出典

  1. ^ Wiench, 1995
  2. ^ Monika Hanley. Baltic diaspora and the rise of Neo-Paganism. The Baltic Times, 2010.
  3. ^ С. И. Рыжакова. Латышское неоязычество: заметки этнографа
  4. ^ J. Gordon Melton, Martin Baumann. Religions of the World, Second Edition: A Comprehensive Encyclopedia of Beliefs and Practices. — Santa Barbara, California: ABC-CLIO, 2010. — 3200.
  5. ^ Carole M. Cusack, Alex Norman. Handbook of New Religions and Cultural Production. — Leiden, The Netherlands: BRILL, 2012. — 820.
  6. ^ S. I. Ryzhakova. Диевтурîба: латышское неоязычество и истоки национализма. — Moscow: Institute of Ethnology and Anthropology of the Russian Academy of Sciences, 1999. - 35.
  7. ^ Strmiska, p. 20
  8. ^ Strmiska, p. 21
  9. ^ Vilius Dundzila. The Ancient Latvian Religion - Dievturity. ¶ DIEVS. Lithuanian Quarterly Journal of Arts and Sciences, 1987.
  10. ^ Dievturi presented Riga monument (Russian)”. DELFI. 2013年1月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年1月17日閲覧。
  11. ^ Latvian Encyclopedia of Religions: Neopagānisms / dievturi.
  12. ^ Tieslietu ministrijā iesniegtie reliģisko organizāciju pārskati par darbību 2011. gadā” (Latvian). 2012年11月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月25日閲覧。
  13. ^ Uz salas Daugavā atklāta dievturu svētnīca. 11 May 2017. Skaties.
  14. ^ Brian Cooper. Russian Words for Forest Trees: A Lexicological and Etymological Study. Australian Slavonic and East European Studies, Miskin Hill Academic Publishing (ABN 27 712 504 809). pp. 47-49
  15. ^ Pokalbio tema KETURIOS KILNIOSIOS DRUWIO TIESOS. Druwi Portal.
  16. ^ Kviečiame mokytis į baltų žynių “KURONO”. Druwi Portal.
  17. ^ Dundzila (2007), pp. 279, 296-298.
  18. ^ Dundzila and Strmiska (2005), p. 247.
  19. ^ Ignatow (2007), p. 104.
  20. ^ Dundzila and Strmiska (2005), p. 278.
  21. ^ Saulėgrįža Londono Romuvoje
  22. ^ Baltų Krivule Kurtuvėnuose 2011.06. 5.
  23. ^ Dundzila and Strmiska (2005), p. 244.

参考文献

  • Gatis Ozoliņš: Die aktuelle kettische Dievturi-Bewegung; in: René Gmünder et al.: Der andere Glaube; Ergon Verlag, 2009. ISBN 978-3-89913-688-3
  • Dundzila & Strmiska, Romuva: Lithuanian Paganism in Lithuania and America in Strmiska (ed)., Modern Paganism in World Cultures: Comparative Perspectives; ABC-CLIO, 2005.
  • Dundzila, V. R., Baltic Lithuanian Religion and Romuva in TYR vol. 3; Ultra Press, 2007.
  • Ignatow, G., Cultural Heritage and the Environment in Lithuania in Transnational Identity Politics and the Environment; Lexington Books, 2007.
  • Misane, Agita. 2000. The Traditional Latvian Religion of Dievturiba in the Discourse of Nationalism. Religious Minorities in Latvia 4, no. 29: 33–52.
  • Wiench, Piotr. Neopaganism in CentralEastern Europe, Spoleczenstwo otwarte 4, 1995.; 5th World Congress of Central and Eastern European Studies in Warsaw, 1995.
  • Schnirelmann, Victor: “Christians! Go home”: A Revival of Neo-Paganism between the Baltic Sea and Transcaucasia. Journal of Contemporary Religion, Vol. 17, No. 2, 2002.
  • Strmiska, F. Michael. Modern Paganism in World Cultures. ABC-CLIO, 2005. ISBN 978-1-85109-608-4

外部リンク

ディエヴトゥリーバ
ドルウィ
ロムヴァ
文献