コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「Il-18 (航空機)」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m cewbot: ウィキ文法修正 2: <br/>タグの違反
Cewbot (会話 | 投稿記録)
m Bot作業依頼: 「ソ連崩壊」改名に伴うリンク修正依頼 - log
37行目: 37行目:
Il-18は[[ポーランド]]や[[ブルガリア]]、[[チェコスロヴァキア]]や[[中華人民共和国]]などの[[共産主義]]国や、それらの国が支援していた[[アジア]]や[[アフリカ]]、[[中南米]]などの[[発展途上国]]を中心に幅広く輸出され、その優秀さと快適さ、安価な価格からソビエト連邦やブルガリア、[[アフガニスタン]]や[[キューバ]]をはじめ各国で政府専用機としても使用された。
Il-18は[[ポーランド]]や[[ブルガリア]]、[[チェコスロヴァキア]]や[[中華人民共和国]]などの[[共産主義]]国や、それらの国が支援していた[[アジア]]や[[アフリカ]]、[[中南米]]などの[[発展途上国]]を中心に幅広く輸出され、その優秀さと快適さ、安価な価格からソビエト連邦やブルガリア、[[アフガニスタン]]や[[キューバ]]をはじめ各国で政府専用機としても使用された。


また軍用型も多く開発され、前述のIl-20や対潜哨戒機の[[Il-38 (航空機)|Il-38]]などが開発されている。[[ソ連崩壊]]後は、[[ロシア]]、[[ウクライナ]]など[[独立国家共同体]]諸国でも運用が続けられている。
また軍用型も多く開発され、前述のIl-20や対潜哨戒機の[[Il-38 (航空機)|Il-38]]などが開発されている。[[ソビエト邦の崩壊]]後は、[[ロシア]]、[[ウクライナ]]など[[独立国家共同体]]諸国でも運用が続けられている。


=== 運用状況 ===
=== 運用状況 ===

2020年12月25日 (金) 23:37時点における版

Il-18(Ил-18

Il-18(イリューシン18;ロシア語:Ил-18イール・ヴァスィムナーッツァチ)は、1957年ソビエト連邦イリューシン設計局から完成発表された中・長距離向けターボプロップ旅客機である。

概要

Il-18はアメリカのロッキード社製L-188エレクトラによく似た、ターボプロップエンジン4基の中型旅客機である。同時期に開発されたソ連製旅客機としては珍しく、最初から純粋な旅客機として開発された。そのため当時のソ連機の中では最も経済的で、離着陸性能も良かった。機内の客席は3-2の横5列配置で、通路は中央のみとなっている。

また、イリューシン設計局の機体としては初めてターボプロップエンジンを搭載した機体でもあった。後に電子情報支援機Il-20に改造されたものも含め、総生産機数は700機以上にものぼる。NATOコードネームは「クート(Coot:オオバンの意)」。

開発・運用

開発

アエロフロート航空のイリューシンIl-18
高麗航空のイリューシンIl-18

「Il-18」の名称を持つ旅客機のプロトタイプは1946年に1機製造されていた。この機体はレシプロエンジン搭載の4発機であり、Il-12双発機を大型化したもので「ソ連版ダグラス DC-4」といった外観であった。

乗客60~65名を乗せ、航続距離6000Kmを持つ機体を目指していた。1946年8月17日に初飛行したが、性能的に満足できるものではなく、翌年には運航中止になった。

その後、近代的なパワーソースであるターボプロップ旅客機として、1950年代中期にIl-18の開発が始まり、プロトタイプのIl-18Pは1957年7月4日に初飛行した。

運用

1959年には旅客運航も開始され、アエロフロートによりモスクワ~アドラー、モスクワ~アルマトイカザフスタン)間に就航した。就航開始直後に墜落事故を起こすものの、すぐに改善され生産は続けられた。

Il-18はポーランドブルガリアチェコスロヴァキア中華人民共和国などの共産主義国や、それらの国が支援していたアジアアフリカ中南米などの発展途上国を中心に幅広く輸出され、その優秀さと快適さ、安価な価格からソビエト連邦やブルガリア、アフガニスタンキューバをはじめ各国で政府専用機としても使用された。

また軍用型も多く開発され、前述のIl-20や対潜哨戒機のIl-38などが開発されている。ソビエト連邦の崩壊後は、ロシアウクライナなど独立国家共同体諸国でも運用が続けられている。

運用状況

現在大部分は引退し、多くの機体が地上で管理または放置されているが、現在でもロシアのアエロフロートで貨物機に改造され使用されているほか、ウクライナのリヴィウ航空や、朝鮮民主主義人民共和国高麗航空など全世界で約100機程が現在も就役中と思われる。

型式

Il-18A
前生産型。20番機までNK-4搭載、それ以降はAI-20を搭載。
Il-18B
スペックはIl-18(21番機~)と同じであるが、座席配置が変更されたため最大座席数が増加し84席となっている。
Il-18V
マリ航空のイリューシンIl-18V
1961年に登場し、最大座席数が90-100席までに拡大された。またそれに伴い客室窓の配置も変更されている。
Il-18I
エンジンをAI-20M ターボプロップエンジン(4,250 shp)に換装したプロトタイプで、燃料タンク容量も増加している。また最大座席数も110-122席まで拡大している。
Il-18D
クバーナ航空のイリューシンIl-18D
Il-18Iの生産型。
Il-18E
Il-18Iの生産型であるが、Il-18Iのように燃料タンク容量は増加していない。
Il-18T
後年アエロフロートによって改造された貨物専用機。
Il-20
電子情報支援機仕様。NATOコードは同じく「Coot:クート」。
Il-22
空中コマンドポスト仕様。NATOコードは「Coot-B:クートB」。
Il-22M
空中コマンドポスト仕様。近代化された作戦機器を装備。
Il-38
主翼位置の変更などの改設計を行い対潜哨戒機としたもの。NATOコード「MAY:メイ」。
Il-118
2機のD-236Tロシア語版プロップファンエンジンを搭載するアップグレード案。

仕様

  • 全長: 37.40 m
  • 翼巾: 35.90 m
  • 全高: 10.17 m
  • 翼面積: 140.1 m2
  • エンジン: イーフチェンコ設計局製 AI-20M ターボフロップエンジン(4,250 hp)×4
  • 乗員: 5
  • 座席数: 75
  • 最大離陸重量: 64,000 kg
  • 最大巡航速度: 675 km/h
  • 航続距離: 6,500 km (全負荷で3,700 km)

関連項目

参考書籍

酣燈社刊『世界航空機年鑑』1959年版