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「Encrypted Media Extensions」の版間の差分

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'''Encrypted Media Extensions''' ('''EME''')は、[[ウェブブラウザ]]と[[デジタル著作権管理]] (DRM) ソフトウェアの間のコミュニケーションチャンネルを提供する[[W3C]]仕様である<ref name="EME-2017">{{cite web |url=https://www.w3.org/TR/2017/REC-encrypted-media-20170918/ |title=Encrypted Media Extensions W3C Recommendation |publisher=W3C |date=18 September 2017 |accessdate=18 September 2017}}</ref>。EMEは[[HTML5]]の[[Media Source Extensions]]に基づいた仕様で<ref>[https://w3c.github.io/media-source/ HTML5 MSE]</ref>、これによってHTML5で[[MPEG-CENC]]によって保護された[[MPEG-DASH]]のようなアダプティブ・ビットレート・[[ストリーミング]]が可能になる<ref>{{cite web |url=https://www.w3.org/TR/encrypted-media/cenc-format.html |title=ISO Common Encryption EME Stream Format and Initialization Data |author=David Dorwin |publisher=W3C |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150219183530/http://www.w3.org/TR/encrypted-media/cenc-format.html |archivedate=2015-02-19 |df= |accessdate=2017-09-23}}</ref>。EMEは[[YouTube]]や[[Netflix]]といったサービスで利用されている<ref>{{cite web|url=https://bitmovin.com/status-mpeg-dash-today-youtube-netflix-use-html5-beyond |title=Why YouTube & Netflix use MPEG-DASH in HTML5 |first=Stefan |last=Lederer |date=February 2, 2015 |publisher=Bitmovin |accessdate=2017-09-23}}</ref>。
'''Encrypted Media Extensions''' ('''EME''')は、[[ウェブブラウザ]]と[[デジタル著作権管理]] (DRM) ソフトウェアの間のコミュニケーションチャンネルを提供する[[W3C]]仕様である<ref name="EME-2017">{{cite web |url=https://www.w3.org/TR/2017/REC-encrypted-media-20170918/ |title=Encrypted Media Extensions W3C Recommendation |publisher=W3C |date=18 September 2017 |accessdate=18 September 2017}}</ref>。EMEは[[HTML5]]の[[Media Source Extensions]]に基づいた仕様で<ref>[https://w3c.github.io/media-source/ HTML5 MSE]</ref>、これによってHTML5で[[MPEG-CENC]]によって保護された[[MPEG-DASH]]のようなアダプティブ・ビットレート・[[ストリーミング]]が可能になる<ref>{{cite web |url=https://www.w3.org/TR/encrypted-media/cenc-format.html |title=ISO Common Encryption EME Stream Format and Initialization Data |author=David Dorwin |publisher=W3C |deadurl=yes |archiveurl=https://web.archive.org/web/20150219183530/http://www.w3.org/TR/encrypted-media/cenc-format.html |archivedate=2015-02-19 |df= |accessdate=2017-09-23}}</ref>。EMEは[[YouTube]]や[[Netflix]]といったサービスで利用されている<ref>{{cite web|url=https://bitmovin.com/status-mpeg-dash-today-youtube-netflix-use-html5-beyond |title=Why YouTube & Netflix use MPEG-DASH in HTML5 |first=Stefan |last=Lederer |date=February 2, 2015 |publisher=Bitmovin |accessdate=2017-09-23}}</ref>。


EMEで使用される復号化用モジュールは[[プロプライエタリソフトウェア|プロプライエタリ]]であるために[[オープンソース]]のブラウザに組み込んだ状態での配布が困難であり、大きな議論を巻き起こしたが<ref name="itworld" />、W3CはEMEを[[ウェブ標準]]とした<ref name="EME-2017"/>。
EMEで使用される復号化用モジュールは[[プロプライエタリソフトウェア|プロプライエタリ]]であるために[[オープンソース]]のブラウザに組み込んだ状態での配布が困難であり、大きな議論を巻き起こしたが<ref name="itworld" />、W3CはEMEを[[ウェブ標準]]とした<ref name="EME-2017"/>。


== 歴史 ==
== 歴史 ==
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== 反響 ==
== 反響 ==
EMEは、[[フリーソフトウェア|フリー]]かつ[[オープンソース|オープン]]なソフトウェアに[[プロプライエタリソフトウェア|プロプライエタリ]]で非公開のコンポーネントを投入する必要があるために、激しい議論の的となった<ref name="itworld">{{cite web|url=http://www.itworld.com/article/2729888/enterprise-software/proposed-encrypted-media-support-in-html5-sparks-drm-debate-on-w3c-mailing-list.html|title=Proposed Encrypted Media Support in HTML5 Sparks DRM Debate on W3C Mailing List|author=Lucian Constantin|date=24 February 2012|website=IT World|publisher=IDG News Service|accessdate=12 October 2015}}</ref>。[[Mozilla Foundation|Mozilla]]は他のブラウザがEMEをサポートしていく流れには逆らえず、2014年5月14日に[[Firefox]]がEMEを実装することを表明した。MozillaはDRMがユーザーに過度の負担を強いることと、EMEがプロプライエタリで仕様が非公開であることを批判していた。Firefoxはオープンソースであるために直接EMEを実装することができず、[[Google]]から提供された[[Widevine Content Decryption Module]]をオープンソースの[[サンドボックス (セキュリティ)|サンドボックス]]内にダウンロードするという形で実装した。Mozillaは、「当面の間はW3C EMEベースのDRMが定着するかもしれないが、いずれは[[電子透かし|ウォーターマーキング]]のようなもっと優れたシステムが普及すると信じる」としている<ref>{{Cite web |author=鈴木聖子 |date=2014-05-16 |url=http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1405/16/news120.html |title=Mozilla、FirefoxにDRMのためのW3C仕様「EME」実装を表明 |publisher=[[ITmedia]] |accessdate=2017-09-23}}</ref>。
EMEは、[[フリーソフトウェア|フリー]]かつ[[オープンソース|オープン]]なソフトウェアに[[プロプライエタリソフトウェア|プロプライエタリ]]で非公開のコンポーネントを投入する必要があるために、激しい議論の的となった<ref name="itworld">{{cite web|url=http://www.itworld.com/article/2729888/enterprise-software/proposed-encrypted-media-support-in-html5-sparks-drm-debate-on-w3c-mailing-list.html|title=Proposed Encrypted Media Support in HTML5 Sparks DRM Debate on W3C Mailing List|author=Lucian Constantin|date=24 February 2012|website=IT World|publisher=IDG News Service|accessdate=12 October 2015}}</ref>。[[Mozilla Foundation|Mozilla]]は他のブラウザがEMEをサポートしていく流れには逆らえず、2014年5月14日に[[Firefox]]がEMEを実装することを表明した。MozillaはDRMがユーザーに過度の負担を強いることと、EMEがプロプライエタリで仕様が非公開であることを批判していた。Firefoxはオープンソースであるために直接EMEを実装することができず、[[Google]]から提供された[[Widevine Content Decryption Module]]をオープンソースの[[サンドボックス (セキュリティ)|サンドボックス]]内にダウンロードするという形で実装した。Mozillaは、「当面の間はW3C EMEベースのDRMが定着するかもしれないが、いずれは[[電子透かし|ウォーターマーキング]]のようなもっと優れたシステムが普及すると信じる」としている<ref>{{Cite web |author=鈴木聖子 |date=2014-05-16 |url=http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1405/16/news120.html |title=Mozilla、FirefoxにDRMのためのW3C仕様「EME」実装を表明 |publisher=[[ITmedia]] |accessdate=2017-09-23}}</ref>。


W3CがEMEをウェブ標準としたことに不満を持った[[電子フロンティア財団]] (EFF) は、W3Cを脱退した。EFFは、W3CがEMEへの反対意見を無視したことを問題視していた。W3Cの[[ティム・バーナーズ=リー]]は、コンテンツの制作者が制作にかかった費用を回収するためにEMEを利用することに理解を示した。また、W3CのCEOであるJeff Jaffeは、DRMが認められなければ、コンテンツ所有者がインターネットでコンテンツを公開しなくなる可能性について言及していた。一方でEFFのCory Doctorowは、DRMがうまくいくと考えている技術者はいないとW3Cを批判した<ref name="ZDNet">{{Cite web |last=Duckett |first=Chris |date=2017-09-20 |url=https://japan.zdnet.com/article/35107487/ |title=EFFがW3Cを脱退、EMEの標準化過程に不満 |publisher=[[ZDNet]] |accessdate=2017-09-23}}</ref>。
W3CがEMEをウェブ標準としたことに不満を持った[[電子フロンティア財団]] (EFF) は、W3Cを脱退した。EFFは、W3CがEMEへの反対意見を無視したことを問題視していた。W3Cの[[ティム・バーナーズ=リー]]は、コンテンツの制作者が制作にかかった費用を回収するためにEMEを利用することに理解を示した。また、W3CのCEOであるJeff Jaffeは、DRMが認められなければ、コンテンツ所有者がインターネットでコンテンツを公開しなくなる可能性について言及していた。一方でEFFのCory Doctorowは、DRMがうまくいくと考えている技術者はいないとW3Cを批判した<ref name="ZDNet">{{Cite web |last=Duckett |first=Chris |date=2017-09-20 |url=https://japan.zdnet.com/article/35107487/ |title=EFFがW3Cを脱退、EMEの標準化過程に不満 |publisher=[[ZDNet]] |accessdate=2017-09-23}}</ref>。

2020年12月23日 (水) 22:27時点における版

Encrypted Media Extensions (EME)は、ウェブブラウザデジタル著作権管理 (DRM) ソフトウェアの間のコミュニケーションチャンネルを提供するW3C仕様である[1]。EMEはHTML5Media Source Extensionsに基づいた仕様で[2]、これによってHTML5でMPEG-CENCによって保護されたMPEG-DASHのようなアダプティブ・ビットレート・ストリーミングが可能になる[3]。EMEはYouTubeNetflixといったサービスで利用されている[4]

EMEで使用される復号化用モジュールはプロプライエタリであるためにオープンソースのブラウザに組み込んだ状態での配布が困難であり、大きな議論を巻き起こしたが[5]、W3CはEMEをウェブ標準とした[1]

歴史

2013年4月、Chromebookを利用して、Netflixが初めてEMEによってHTML5ビデオを提供した企業となった[6]。W3Cは2017年7月6日にEMEをウェブ標準とする意思を表明し[7]、9月18日にそれを実施した[1]。2017年現在、EMEはすべての主要なブラウザが実装している[8]

反響

EMEは、フリーかつオープンなソフトウェアにプロプライエタリで非公開のコンポーネントを投入する必要があるために、激しい議論の的となった[5]Mozillaは他のブラウザがEMEをサポートしていく流れには逆らえず、2014年5月14日にFirefoxがEMEを実装することを表明した。MozillaはDRMがユーザーに過度の負担を強いることと、EMEがプロプライエタリで仕様が非公開であることを批判していた。Firefoxはオープンソースであるために直接EMEを実装することができず、Googleから提供されたWidevine Content Decryption Moduleをオープンソースのサンドボックス内にダウンロードするという形で実装した。Mozillaは、「当面の間はW3C EMEベースのDRMが定着するかもしれないが、いずれはウォーターマーキングのようなもっと優れたシステムが普及すると信じる」としている[9]

W3CがEMEをウェブ標準としたことに不満を持った電子フロンティア財団 (EFF) は、W3Cを脱退した。EFFは、W3CがEMEへの反対意見を無視したことを問題視していた。W3Cのティム・バーナーズ=リーは、コンテンツの制作者が制作にかかった費用を回収するためにEMEを利用することに理解を示した。また、W3CのCEOであるJeff Jaffeは、DRMが認められなければ、コンテンツ所有者がインターネットでコンテンツを公開しなくなる可能性について言及していた。一方でEFFのCory Doctorowは、DRMがうまくいくと考えている技術者はいないとW3Cを批判した[8]

脚注

  1. ^ a b c Encrypted Media Extensions W3C Recommendation”. W3C (18 September 2017). 18 September 2017閲覧。
  2. ^ HTML5 MSE
  3. ^ David Dorwin. “ISO Common Encryption EME Stream Format and Initialization Data”. W3C. 2015年2月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年9月23日閲覧。
  4. ^ Lederer, Stefan (February 2, 2015). “Why YouTube & Netflix use MPEG-DASH in HTML5”. Bitmovin. 2017年9月23日閲覧。
  5. ^ a b Lucian Constantin (24 February 2012). “Proposed Encrypted Media Support in HTML5 Sparks DRM Debate on W3C Mailing List”. IT World. IDG News Service. 12 October 2015閲覧。
  6. ^ Anthony Park and Mark Watson (April 15, 2013). “HTML5 Video at Netflix”. Netflix. 2017年10月6日閲覧。
  7. ^ W3C Announcement”. 12 July 2017閲覧。
  8. ^ a b Duckett, Chris (2017年9月20日). “EFFがW3Cを脱退、EMEの標準化過程に不満”. ZDNet. 2017年9月23日閲覧。
  9. ^ 鈴木聖子 (2014年5月16日). “Mozilla、FirefoxにDRMのためのW3C仕様「EME」実装を表明”. ITmedia. 2017年9月23日閲覧。