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藤井将雄
基本情報
国籍	日本
出身地	佐賀県唐津市湊町
生年月日	1968年10月16日
没年月日	2000年10月13日（31歳没）
身長; 体重	177 cm; 72 kg
選手情報
投球・打席	右投右打
ポジション	投手
プロ入り	1994年ドラフト4位
初出場	1995年5月30日
最終出場	1999年10月28日
経歴（括弧内はプロチーム在籍年度）
	佐賀県立唐津商業高等学校; 日産自動車九州; 福岡ダイエーホークス (1995 - 2000);
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藤井将雄（ふじいまさお、1968年 10月16日 - 2000年 10月13日）は、佐賀県唐津市出身の元プロ野球選手（投手）。「将雄」は登録名で、本名は藤井政夫（読み同じ）。

炎の中継ぎと称された。

経歴

プロ入り前

1968年に福岡市西区今宿に生まれるが、1979年に父母の別居で姉・妹と共に母の出身地である佐賀県唐津市へ転居。母は呼子町の朝市で働き、将雄をはじめ3人の子を女手一つで育てた。なお、藤井の父は別居状態のまま1985年に急病で死去している。市立湊中学校から佐賀県立唐津商業高等学校へ進学。2年生時にエースとして1985年夏の甲子園県予選決勝に進むが、佐賀商に大敗を喫する。その後も甲子園には届かなかった。

高校卒業後は日産自動車九州に入り、エースとして活躍する。1994年にはチーム初の都市対抗出場を果たし、準々決勝に進むが日本新薬に敗退。同年の社会人野球日本選手権にも出場、2回戦で川崎製鉄神戸の豊田次郎と投げ合うが逆転負け。広島アジア大会日本代表にも選出され、金メダルを獲得した。この時のチームメートに松中信彦、仁志敏久らがいる。同年のドラフト会議において福岡ダイエーホークスから4位指名を受けて入団、背番号は「15」に決まった。

プロ入り後

1年目は途中から先発を任され、8月16日の西武ライオンズ戦で完封も記録した。だがその後は伸び悩み、3年目から中継ぎへ転向した。1997年オフにはプロ野球脱税事件への関与が発覚した。

1999年に26ホールドを記録。パ・リーグ最多ホールド記録（当時）を樹立し最多ホールドを獲得する。「炎の中継ぎ」と称され、ダイエーはリーグ優勝を達成。藤井も入団当初の目標であった「王貞治監督を胴上げする」も達成した^[1]。同年の中日ドラゴンズとの日本シリーズでも2試合に中継ぎとして登板、チーム日本一に貢献した。

同年夏頃から藤井がマウンド上で咳き込む様子が見られ、周囲は「登板過多による疲れではないか」としていたが日本シリーズ前の身体検査で異常が見つかり、シリーズ終了後に入院した。本人には知らされなかったが、「余命3か月の末期肺がん」と診断され、藤井の実際の病状を知っていたのは、藤井の家族と当時の中内正オーナー代行や瀬戸山隆三球団代表などのフロント上層部、王監督をはじめとする首脳陣の一部、個人後援会、後援会から病状を知らされた親友の若田部健一など一部の者のみだった。「マウンドに上がるという気持ちがあれば、気力で病気を克服できるかもしれないから」という家族の懇願もあり、藤井には間質性肺炎と偽った病名を伝えた。球団首脳もその意向を組み取り、本来は戦力外により解雇となってもおかしくないところを、藤井が優勝に貢献する活躍を見せたことを踏まえ、年俸倍増で契約更改した^[2]。藤井は11月に行われたV1記念パレードの翌日に入院した^[3]。

2000年、藤井は入退院を繰り返しつつ、二軍の練習に参加して二軍戦6試合に登板するまで回復した。最後のマウンドになるかもしれないことが伝えられていた尾花高夫投手コーチは藤井に「今すぐ一軍に上がって来い」と電話したが、藤井は「（二軍で）結果を出せていないのに（一軍に）上がることなどできない」「一軍に上がるということは誰かが二軍に落ちるということ。そんな甘いもんじゃない」と固辞し、一軍で登板することはなかった^[4]。6月末に福岡ドームに隣接する国立病院九州医療センターへ再び入院した。入院後もウェブサイトに日記を掲載し、優勝を間近にしたナインに叱咤激励し続けたが10月には心臓や肺に水がたまる状態が続き、藤井は自分のチューブ姿を見せたくなかったためか一部の関係者以外は病室には入れなかった^[5]。

チームがV2を達成したのを見届けた6日後の10月13日に容態が急変し死去。31歳没。32歳の誕生日を迎える3日前のことであった。藤井の誕生日でもある10月16日に告別式が行われた。葬儀には監督の王を始めダイエー全選手の他、元チームメイトの工藤公康（当時読売ジャイアンツ）^[6]、下柳剛（当時日本ハムファイターズ）も参列した^[7]。出棺時は、工藤・若田部を筆頭に、秋山幸二、小久保裕紀、村松有人、松中信彦、城島健司、鳥越裕介、大道典嘉、西村龍次が藤井の棺を担いだ。工藤と若田部の2人は火葬にも立ち会い、藤井との別れを惜しんだ。工藤・若田部の両者は、同年の日本シリーズの第1戦に先発として対戦したが、それぞれ藤井の遺骨をしのばせて登板している^[8]。

死の直後、個人後援会関係者の代筆で「皆様へ」で始まる藤井の最後のメッセージが、在福マスコミや個人ウェブサイトに公開された。戒名は「勝球院秀峰明政居士」。

背番号15

福岡ドームのロッカールームには、藤井が入院した頃から背中に「FUJII」「15」と手書きされたハリーホーク人形が置かれた。「藤井ハリー」と呼ばれるこの人形は、優勝が近づくとベンチに置かれ、胴上げにも毎回加わり、チームがダイエーからソフトバンクに移行した後もユニフォームを着替えてロッカーに飾られていたが、2014年10月現在は藤井の遺族の手元にあり球場のロッカーには藤井のユニフォーム等が飾られている^[9]。

藤井の背番号15にちなみ、福岡ドームの15番通路は2001年以降、「藤井ゲート」とされ、記念プレートと藤井の最後のメッセージ（個人ホームページに掲載された「皆様へ」で始まるメッセージ）が入口に掲げられている^[10]。

背番号15のユニフォームは藤井の形見であり、正式な永久欠番ではないものの、2001年以降、ダイエーからソフトバンクに親会社が変わってからも球団で背番号15をつけた選手は、死去から20年以上経つ2020年現在もいない^[11]。また、ホークス公式ファンクラブ「クラブホークス」から配布・販売されている選手ピンバッジと同じデザインの藤井のピンバッジが毎年数量限定で配布されている。

人物

若田部は親友で、エースの工藤が巨人に移籍し退団した2000年の投手陣をまとめようと約束していた。ダイエーのV2達成時には、入院中の藤井に代わって藤井ハリーを持って胴上げに参加した^[12]。また、この年の「球団MVP授賞式」では、若田部が藤井ハリーを抱え、藤井の代役を務めた。

2005年11月より「藤井将雄旗争奪少年軟式野球大会」が藤井の故郷である唐津市で開催された^[13]。

詳細情報

年度別投手成績

年度	球団	登板	先発	完投	完封	勝利	敗戦	セ丨ブ	ホ丨ルド	勝率	打者	投球回	被安打	被本塁打	与四球	敬遠	与死球	奪三振	暴投	失点	自責点	防御率	W H I P
1995	ダイエー	20	9	2	1	4	4	0	--	.500	345	84.0	83	12	14	1	3	69	3	42	41	4.39	1.15
1996		11	6	0	0	1	3	0	0	.250	188	41.2	56	2	11	0	1	26	2	25	24	5.18	1.61
1997		15	0	0	0	1	0	0	1	1.000	101	23.2	29	3	2	0	1	19	1	15	14	5.32	1.31
1998		48	0	0	0	4	0	0	3	1.000	260	65.0	51	6	22	3	1	36	1	25	22	3.05	1.12
1999		59	0	0	0	3	1	3	26	.750	292	71.2	64	7	18	2	2	53	0	25	23	2.89	1.14
通算：5年		153	15	2	1	13	8	3	30	.619	1186	286.0	283	30	67	6	8	203	7	132	124	3.90	1.22

タイトル

最多ホールド投手：1回（1999年）

背番号

15 （1995年 - 2000年）（準永久欠番）

脚注

^ 藤井将雄日記「皆様へ」
^ 藤井正子、藤井マリ子、pp.133-136
^ がんに罹った藤井将雄さんの壮絶な闘病生活に中居正広が号泣LivedoorNEWS2015年2月19日(2019.6.3access)
^ 藤井正子、藤井マリ子、pp.167-168
^ 藤井正子、藤井マリ子、p.204
^ “藤井将雄投手の命日…アニキ分の工藤監督が頂点へプロ野球番記者コラム”. 日刊スポーツ (2017年10月13日). 2018年3月18日閲覧。
^ “「ええヤツ…」現役のまま亡くなった藤井将雄の思い出”. スポニチ Sponichi Annex (2014年6月30日). 2018年3月18日閲覧。
^ 二度とやりたくない」長嶋茂雄が告白した対戦とはエキサイトニュース(2016.1.8)2019.7.3access
^ HAWKS_officialの2014年10月3日のツイート、2017年7月29日閲覧。
^ “ヤフオクドームの見どころ”. 福岡ソフトバンクホークス. 2017年7月29日閲覧。
^ “【背番号物語】「＃15」2つの永久欠番と1つの“欠番””. 週刊ベースボールONLINE (2017年12月23日). 2018年3月18日閲覧。
^ 藤井正子、藤井マリ子、p.20
^ 藤井投手と涙の別れ＝平成12年10月16日2018.10.16佐賀新聞LIVE(2019.7.5access)

参考文献

藤井正子、藤井マリ子『ダイエー・藤井将雄物語宙に舞った「藤井ハリー」』勁文社、2001年。ISBN 4-76-693946-8。
藤井の実母と実妹の共著。藤井の一生をつづった伝記（版元の倒産により現在絶版）。

外部リンク

[1] 藤井将雄日記「皆様へ」

[2] 藤井正子、藤井マリ子、pp.133-136

[3] がんに罹った藤井将雄さんの壮絶な闘病生活に中居正広が号泣LivedoorNEWS2015年2月19日(2019.6.3access)

[4] 藤井正子、藤井マリ子、pp.167-168

[5] 藤井正子、藤井マリ子、p.204

[6] “藤井将雄投手の命日…アニキ分の工藤監督が頂点へプロ野球番記者コラム”. 日刊スポーツ (2017年10月13日). 2018年3月18日閲覧。

[7] “「ええヤツ…」現役のまま亡くなった藤井将雄の思い出”. スポニチ Sponichi Annex (2014年6月30日). 2018年3月18日閲覧。

[8] 二度とやりたくない」長嶋茂雄が告白した対戦とはエキサイトニュース(2016.1.8)2019.7.3access

[9] HAWKS_officialの2014年10月3日のツイート、2017年7月29日閲覧。

[yafuoku15-10] “ヤフオクドームの見どころ”. 福岡ソフトバンクホークス. 2017年7月29日閲覧。

[11] “【背番号物語】「＃15」2つの永久欠番と1つの“欠番””. 週刊ベースボールONLINE (2017年12月23日). 2018年3月18日閲覧。

[12] 藤井正子、藤井マリ子、p.20

[13] 藤井投手と涙の別れ＝平成12年10月16日2018.10.16佐賀新聞LIVE(2019.7.5access)

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 [[画像:ＦｕｊｉｉFujii-left.JPG|thumb|250px|藤井ゲート上部に掲載される経歴表]]
-{{by|2000年}}、藤井は入退院を繰り返しつつ、二軍の練習に参加して二軍戦6試合に登板するまで回復した。最後のマウンドになるかもしれないことが伝えられていた[[尾花高夫]]投手コーチは藤井に「今すぐ一軍に上がって来い」と電話したが、藤井は「（二軍で）結果を出せていないのに（一軍に）上がることなどできない」「一軍に上がるということは誰かが二軍に落ちるということ。そんな甘いもんじゃない」と固辞し、一軍で登板することはなかった<ref>藤井正子、藤井マリ子、pp.167-168</ref>。6月末に[[福岡ドーム]]に隣接する[[独立行政法人国立病院機構九州医療センター|国立病院九州医療センター]]へ再び入院した。入院後も[[ウェブサイト]]に日記を掲載し、優勝を間近にしたナインに叱咤激励し続けたが10月には心臓や肺に水がたまる状態が続き、藤井は自分のチューブ姿を見せたくなかったためか一部の関係者以外は病室には入れなかった<ref>藤井正子、藤井マリ子、p.204</ref>。
+{{by|2000年}}、藤井は入退院を繰り返しつつ、二軍の練習に参加して二軍戦6試合に登板するまで回復した。最後のマウンドになるかもしれないことが伝えられていた[[尾花髙夫|尾花高夫]]投手コーチは藤井に「今すぐ一軍に上がって来い」と電話したが、藤井は「（二軍で）結果を出せていないのに（一軍に）上がることなどできない」「一軍に上がるということは誰かが二軍に落ちるということ。そんな甘いもんじゃない」と固辞し、一軍で登板することはなかった<ref>藤井正子、藤井マリ子、pp.167-168</ref>。6月末に[[福岡ドーム]]に隣接する[[独立行政法人国立病院機構九州医療センター|国立病院九州医療センター]]へ再び入院した。入院後も[[ウェブサイト]]に日記を掲載し、優勝を間近にしたナインに叱咤激励し続けたが10月には心臓や肺に水がたまる状態が続き、藤井は自分のチューブ姿を見せたくなかったためか一部の関係者以外は病室には入れなかった<ref>藤井正子、藤井マリ子、p.204</ref>。
 チームがV2を達成したのを見届けた6日後の[[10月13日]]に容態が急変し死去。{{没年齢|1968|10|16|2000|10|13}}。32歳の誕生日を迎える3日前のことであった。藤井の誕生日でもある10月16日に告別式が行われた。葬儀には監督の王を始めダイエー全選手の他、元チームメイトの[[工藤公康]]（当時[[読売ジャイアンツ]]）<ref>{{Cite web|url=https://www.nikkansports.com/baseball/column/bankisha/news/201710030000676.html|title=藤井将雄投手の命日…アニキ分の工藤監督が頂点へ プロ野球番記者コラム|publisher=日刊スポーツ|date=2017-10-13|accessdate=2018-03-18}}</ref>、[[下柳剛]]（当時[[北海道日本ハムファイターズ|日本ハムファイターズ]]）も参列した<ref>{{Cite web|url=https://www.sponichi.co.jp/baseball/yomimono/shimoyanagi/kiji/K20140630008471880.html|title=「ええヤツ…」現役のまま亡くなった藤井将雄の思い出|publisher=スポニチ Sponichi Annex|date=2014-06-30|accessdate=2018-03-18}}</ref>。出棺時は、工藤・若田部を筆頭に、[[秋山幸二]]、[[小久保裕紀]]、[[村松有人]]、[[松中信彦]]、[[城島健司]]、[[鳥越裕介]]、[[大道典嘉]]、[[西村龍次]]が藤井の棺を担いだ。工藤と若田部の2人は[[火葬]]にも立ち会い、藤井との別れを惜しんだ。工藤・若田部の両者は、[[2000年の日本シリーズ|同年の日本シリーズ]]の第1戦に先発として対戦したが、それぞれ藤井の遺骨をしのばせて登板している<ref>[https://www.excite.co.jp/news/article/E1452043060250/ 二度とやりたくない」長嶋茂雄が告白した対戦とは]エキサイトニュース(2016.1.8)2019.7.3access</ref>。

表話編歴パシフィック・リーグ最多ホールド投手
1990年代	1996 島崎毅 1997 橋本武広 1998 吉田修司 1999 藤井将雄
2000年代	2000 藤田宗一 2001 吉田修司 2002 森慎二 2003 森慎二 2004 建山義紀 2005 菊地原毅 2006 武田久 2007 薮田安彦 2008 川﨑雄介 2009 攝津正
2010年代	2010 B.ファルケンボーグ, 攝津正 2011 平野佳寿 2012 増井浩俊 2013 佐藤達也 2014 佐藤達也 2015 増田達至 2016 宮西尚生 2017 岩嵜翔 2018 宮西尚生 2019 宮西尚生
2020年代	2020 L.モイネロ 2021 堀瑞輝 2022 平良海馬, 水上由伸 2023 L.ペルドモ 2024 河野竜生
1996年から2001年までは最多ホールド投手。2002年以降は最優秀中継ぎ投手。