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2020年12月23日 (水) 04:08時点における版
BU・SU | |
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監督 | 市川準 |
脚本 | 内館牧子 |
製作 | 小倉斉 |
出演者 | 富田靖子 |
音楽 | 板倉文 |
主題歌 | 原由子「あじさいのうた」 |
撮影 | 小林達比古 |
編集 | 奥原好幸 |
製作会社 | 東宝映画、日本テレビ放送網 |
配給 | 東宝東和 |
公開 | 1987年10月31日 |
上映時間 | 95分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
『BU・SU』(ブス)は、1987年公開の日本映画。市川準監督、富田靖子主演。
概要
CMクリエイターとして活躍していた市川準の映画監督デビュー作。ひねくれた性格ブスの女の子が次第に成長し、自分の殻を破り自立して素直になっていく姿を描く。
主人公の麦子は当初、歯並びが悪いとか見た目も悪くしようとかルックスにコンプレックスを持っている女の子という話もあったが、監督の市川準が見た目じゃなく精神的に閉じた感じの女の子にしようと言ったという[1]。市川は「ブス」という言葉の意味を、どうしても「容姿」のこととしてはとらえたくなくて、いまを生きている若者の多くが感じている「心の閉塞感」が「BU・SU」という「記号」になればと思っていたと述べている[2]。
フィルムは普通本番から回すが、市川はテストの段階からフィルムを回すことがあったという。通常、フィルムは100分の映画で約9000フィート、許容尺数がその4~5倍で4~5万フィートだが、本作では10万フィート以上になった[3]。
1987年のキネマ旬報ベスト・テン第8位、読者選出第2位。2004年第6回ファーイースト映画祭招待作品。
ストーリー
複雑な家庭環境ゆえに性格が“ブス”になってしまった女の子が、上京して様々な経験を重ねる中で自分の殻を打ち破って成長していく姿を描く。
18歳の森下麦子はどこにでもいる普通の女子高生だが、少々性格のひねくれた暗い女の子だった。そんな心の“ブス”を直すため田舎から上京、置屋を営む叔母に“鈴女(すずめ)”という名をもらい芸者見習い修行をしながら高校に通学している。
高校でのクラスはまったく纏まりがなく各々好き勝手なことをする者、クラスメートをからかう者、見下す者など様々。
折しも文化祭の季節。やる気のない彼等は出し物を決めかねていた。そんな中、半ば麦子に押し付ける形で彼女が文化祭で「八百屋お七」を舞うことになる。 お七の舞いとはかつて芸者をしていた麦子の母親が舞い、その界隈では伝説になっているほどのものだった。
少ないながらも仲間のサポートを得た麦子の地道な努力は、やがてバラバラなクラスメートの心も動かし自分の殻も打ち破るまでになっていた。
文化祭当日、麦子が舞台で華々しく舞っている。舞台装置であるやぐらの梯子を麦子が登りかけた矢先に梯子が壊れ、麦子の思いも虚しく収拾がつかないほどの散々な終わり方をしてしまう。
失意の中、後続の出演者の波に飲まれ身動き出来ずにうずくまる麦子を、自身も挫折を味わったばかりのクラスメートの一人が校庭へと連れ出す。 キャンプファイアーのために組まれたやぐらに火の着いたランタンを投げるよう促された麦子は思いの丈を込めて思い切り投げる。
燃え上がる炎を眺める麦子の心はいつしか晴れ晴れとしていた。
キャスト
- 森下麦子(鈴女):富田靖子
- 胡蝶:大楠道代
- 揚羽:伊藤かずえ
- 津田邦彦:髙嶋政宏
- 森下雪乃:丘みつ子
- 北崎:イッセー尾形
- 京子:藤代美奈子
- 怜子:白島靖代
- 桜子:広岡由里子
- ぽん太:室井滋
- 春千代:伊織祐未
- 菜の花:香苗圭子
- 辰巳:はやしこば
- トレーナー:輪島功一
- 客:中村伸郎
- 客:すまけい
- 客:大塚周夫
- ピンクジャガー:ピンクジャガー(浜田範子&鈴木幸恵)
- 中村育代、星野雄史、山崎直樹、小倉久寛、萩原聖人、森田まゆみ、朝倉圭矢、品川徹、二瓶鮫一、田山涼成、峯のぼる、志村幸江 ほか
スタッフ
- 監督:市川準
- 脚本:内館牧子
- 音楽:板倉文
- 主題歌:原由子「あじさいのうた」(タイシタレーベル)
- 挿入歌:原由子『Tonight’s the night』
- 日舞指導:藤間豊之助
- 撮影:小林達比古
- 美術:市川敏明
- 編集:奥原好幸
- 録音:宮本久幸
- 照明:磯崎英範
- 助監督:天間敏広、吉田多喜男
- 音響効果:伊藤進一
- スタジオ:にっかつ撮影所
- 現像:東京現像所
- プロデューサー:平林邦介、出口孝臣、中沢敏明
- 企画:アミューズ・シネマ・シティ
- 製作協力:セディック・インターナショナル
エピソード
- 本作は当初大林宣彦が撮る予定で脚本まで完成していた[4]。しかし『漂流教室』の撮影が長引き不可能になった。
- オープニングとエンディングの麦子と母親の海岸でのシーンは本作クランクアップ後、富田がすでに次の映画の撮影に入っていた時期に追加で撮影された。
受賞
- 文化庁優秀映画作品賞
- 第9回横浜映画祭 主演女優賞(富田靖子)
- 第2回高崎映画祭 ベストアイドル賞(富田靖子)
- 第11回日本アカデミー賞 新人俳優賞(髙嶋政宏)[注 1]
- 第30回ブルーリボン賞 新人賞(髙嶋政宏)[注 1]
- 第12回報知映画賞 新人賞(髙嶋政宏)[注 1]
- 第42回毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞(髙嶋政宏)[注 1]
- 第61回キネマ旬報ベスト・テン 新人男優賞(髙嶋政宏)[注 1]
小説版
脚本の内館牧子が自らの脚本をもとにしたノベライズを講談社X文庫ティーンズハートより1987年に書き下ろしている。映画とは異なり主人公は外見のブスな女の子に設定されている。1996年には『BU・SU すべてのプリティ・ウーマンへ』と改題して加筆改訂されたものが講談社より刊行され、1999年に講談社文庫で文庫化された。
脚注
注釈
出典
- ^ 河出書房新社編『市川準』河出書房新社、2009年、40頁。ISBN 978-4-309-01907-9。
- ^ 東京新聞編集局編『映画監督50人―自作を歩く』東京新聞出版局、2001年、97頁。ISBN 978-4808307325。
- ^ 『市川準』137頁、155頁。
- ^ 大林宣彦『映画、この指とまれ』徳間書店〈アニメージュ文庫〉、1990年、128頁。ISBN 4-19-669627-9。