コンテンツにスキップ

英文维基 | 中文维基 | 日文维基 | 草榴社区

「クレサラ問題」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
削除された内容 追加された内容
編集の要約なし
タグ: 差し戻し済み
アーカイブに変更
タグ: モバイル編集 モバイルアプリ編集 iOSアプリ編集 App section source
 
(18人の利用者による、間の34版が非表示)
1行目: 1行目:
'''クレサラ問題'''(クレサラもんだい)とは、[[クレジットカード|クレジット会社]]や[[消費者金融|サラ金]]、[[機関保証|信用保証会社]]による多重債務、過酷な取り立て、高金利、違法業者の増加、過払金の返還を巡るトラブルなどを中心とした問題の総称である。また、商工ローンに関する問題を含めて、'''クレサラ・商工ローン問題'''ということもある。
'''クレサラ問題'''(クレサラもんだい)とは、[[クレジットカード|クレジット会社]]や[[消費者金融|サラ金]]、[[機関保証|信用保証会社]]による[[多重債務]][[取り立て屋|過酷な取り立て]][[闇金融|高金利、違法業者]]の増加、[[過払金]]の返還を巡るトラブルなどを中心とした問題の総称である<ref>{{kotobank}}</ref>。また、商工ローンに関する問題を含めて、'''クレサラ・商工ローン問題'''ということもある。


== 関連用語 ==
==沿革==
* 1980年代ごろには、個人の金銭債務者に対する貸金業者の過酷な取り立てにより、退職や一家離散に追い込まれる者が増加し、最悪の場合には命に関わる事態も生じ、社会問題となっていた。このころ、日本全国各地に被害者団体が設立され、サラ金規制法の制定を求める声が強くなった<ref name=“jittai”>{{cite web |url=https://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/kinyu/f-20050615-1/03.pdf |format=pdf |title=クレジット・サラ金・ヤミ金・商工ローン被害の実態について |accessdate=2021-07-26 |date=2005-06-15}}</ref>。クレサラ問題対策は、このような借金地獄に陥った多重債務者をいかに救済するかという観点から発展した<ref name=“takamizawa”>{{cite web |url=https://www.sn-hoki.co.jp/articles/article095327/ |website=新日本法規ウェブサイト |author=高見澤重昭 |title=最近のクレサラ事件の現状 |date=2008-06-24|accessdate=2021-07-26}}</ref>。
{{出典の明記|date=2011年2月|section=1}}
* 1983年には、旧[[貸金業法|貸金業規制法]]が制定された。しかし、当時クレサラ問題の原因と指摘されていた3つの問題点(高金利、過剰融資、過酷な取り立て)は完全には解決されずに残された<ref name=“jittai”/>。
ここでは、クレサラ問題の他に商工ローンを含めた関連用語を説明する。
* 2003年、いわゆるヤミ金融対策法として、旧[[貸金業法|貸金業規制法]]および[[出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律]](出資法)の改正が行われた<ref>{{cite web |url=https://www.fsa.go.jp/ordinary/chuui/yami_leaf/index.html |title=ヤミ金融対策法のポイント |website=金融庁ウェブサイト |accessdate=2021-07-26}}</ref>。この中で、登録業者(サラ金等)・無登録業者(ヤミ金等)を問わず規制対象となることが明確化され、禁止される取り立て行為が具体化されるなどの改正が行われた。
* 2006年、旧貸金業規制法が改正されて[[貸金業法]]に名称が変更され、貸付金額の[[総量規制]]および[[グレーゾーン金利]]の撤廃などが行われた(いずれも2010年6月18日適用開始)<ref>{{cite web |url=https://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/kihon.html |title=貸金業法のキホン |website=金融庁ウェブサイト |accessdate=2021-07-26}}</ref>。


*過払金返還請求の手法が確立した後は、救済という観点よりも、いかに過払金を回収するかという[[債権回収]]の観点が重要となった<ref name=“takamizawa”/>。
; 事務ガイドライン

: 金融庁が作成した「金融監督等にあたっての留意事項について」という事務ガイドラインのこと。事務ガイドラインの第三分冊が金融会社関係となっている。
==問題のある消費者金融の類型==
; クレサラ
歴史的に、金融業者の貸し付けに関する以下のような行為が問題とされてきた。
: [[クレジットカード]](信用販売)とサラ金([[消費者金融]])をいう。
:: これらに対する批判的・侮蔑的意味を伴うこともある。
; 多重債務
: 多数の業者から[[債務]]があること。特に、借金の返済のために[[自転車操業|別の貸金業者等からさらに借り入れて借金が増え続ける状態]]のこと。
; 商工ローン
: [[貸金業#各業態#商工ローン|貸金業]]を参照。
; 押し貸し(押し付け融資)
; 押し貸し(押し付け融資)
: 貸金業者(「[[闇金融]]」の方が適切か)が、勝手に銀行口座などに入金し、その後、高金利を付けて返済を要求することをいう。勝手に入金されたものであるから、金銭貸借契約は成立しておらず、金利は一切支払う必要は当然ない。加えて、このような入金行為は、ほとんどの場合、その後の金銭喝取の手段に過ぎないと評価できるから、法的には[[不法原因給付]]に当たり、入金された金員を返還する必要もない([[日本弁護士連合会]]見解)。
: 貸金業者(主として「[[闇金融]]」)が、勝手に銀行口座などに入金し、その後、高金利を付けて返済を要求することをいう。勝手に入金されたものであるから、金銭貸借契約は成立しておらず、金利は一切支払う必要は当然ない。加えて、このような入金行為は、ほとんどの場合、その後の金銭喝取の手段に過ぎないと評価できるから、法的には[[不法原因給付]]に当たり、入金された金員を返還する必要もない([[日本弁護士連合会]]見解)。
: [[弁護士]]が介入した場合、「入金された金員は不法原因給付だから返還しない。不満があるなら業者側から返還を求める訴訟を行うように」という趣旨の通知をしたり、すでに業者に「返済」している場合は「不法原因給付なので、業者側に押し貸しされた人への金員の返還請求権はない。返還請求権がないから、すでに業者側が返済を受けたと称する金員は法律上の原因なく取得した金員であり、[[不当利得]]となる。よって、押し貸しされた人への返還を求める。」という趣旨の通知をする場合が多い。このような対応をしたからといって、闇金融業者が裁判所に提訴することなどまずないし、まして勝訴することなどあり得ない。
: [[弁護士]]が介入した場合、「入金された金員は不法原因給付だから返還しない。不満があるなら業者側から返還を求める訴訟を行うように」という趣旨の通知をしたり、すでに業者に「返済」している場合は「不法原因給付なので、業者側に押し貸しされた人への金員の返還請求権はない。返還請求権がないから、すでに業者側が返済を受けたと称する金員は法律上の原因なく取得した金員であり、[[不当利得]]となる。よって、押し貸しされた人への返還を求める。」という趣旨の通知をする場合が多い。このような対応をしたからといって、闇金融業者が裁判所に提訴することなどまずないし、まして勝訴することなどあり得ない。
; 買取屋(換金屋)
: 債務者に[[クレジットカード]]や契約書型ショッピングクレジットで換金可能な商品を買わせ、その商品を安く買い取る(換金する)業者のことをいう。業者は、その商品を他へ転売し利益を得る。債務者が買取屋と取引きしても、一時的に現金を得るだけで決して債務が減ることはない。そればかりか、[[詐欺罪]]に問われたり、[[自己破産]]した場合の免責が認められなくなったりする可能性がある。商品は、[[パソコン]]、[[ビデオカメラ]]、[[プラズマテレビ]]、[[液晶テレビ]]といったデジタル家電や、[[新幹線]]の回数券などのチケット類が多い。[[ビー玉]]のもある。このような業者は「クレジットカードの枠を現金化」などと広告していることがある([[クレジットカード現金化]])。
; 整理屋
: 多重債務の整理をするといって、高額な手数料を取る業者のことをいう。弁護士以外はこのような行為を行うことができないので([[非弁行為]]。[[弁護士法]]72条、77条3号により最高2年の懲役又は最高300万円の罰金)、弁護士と提携している整理屋もある。
: 弁護士が非弁行為を行う者と提携することも犯罪である。弁護士法27条、77条1号により最高2年の懲役又は最高300万円の罰金。名義貸しも禁止されている。このようなものを“提携弁護士”と呼ぶことがある。
: 弁護士が行う債務整理と異なり、[[利息制限法]]などを用いた適正な処理がなされないことが多く、債務者は必要以上の不当な負担を負わされることになる。なお、2003年の法改正により、(認定)司法書士もこのような業務(債務整理)を行うことが認められているが、訴訟代理権などに一部制限がある。
; 紹介屋
: 多重債務者に「まだ借りられる業者を紹介する」などといって、高額な紹介料を取る業者のことをいう<ref>[http://honbu.police.pref.ishikawa.lg.jp/seian_bu/seiho/yami/yami.html 廃棄物・悪質商法・ヤミ金] - 石川県警サイト</ref>。[[出資法]]では紹介料は契約額の5%以下に規制されており、それを超えるものは違法である。紹介屋と紹介された金融業者は、提携していることもあるが、無関係なこともある。
; 年金担保金融
; 年金担保金融
: [[年金証書]]、[[印鑑]]、[[通帳]]を担保([[国民年金]]や[[厚生年金]]の受給権が担保ではないことに注意されたい)に貸し付けを行うこと。また、印鑑と通帳を使って、「返済」と称して債務者の年金を勝手におろしてしまう業者もある。2004年12月28日より「貸金業の規制等に関する法律」の改正により、これらを担保に取る行為は罰則付きで禁止となる(それ以前は、[[金融庁]]の「事務ガイドライン」で禁じられていたのみ)。
: [[年金証書]]、[[印鑑]]、[[通帳]]を担保([[国民年金]]や[[厚生年金]]の受給権が担保ではないことに注意されたい)に貸し付けを行うこと。また、印鑑と通帳を使って、「返済」と称して債務者の年金を勝手におろしてしまう業者もある。2004年12月28日より「貸金業の規制等に関する法律」の改正により、これらを担保に取る行為は罰則付きで禁止となる(それ以前は、[[金融庁]]の「事務ガイドライン」で禁じられていたのみ)。
42行目: 31行目:
; パンスト金融
; パンスト金融
: 物品販売の業務委託を装った金融で、次のようなものである。
: 物品販売の業務委託を装った金融で、次のようなものである。
: まず、債務者と債権者が物品販売の業務委託契約を結ぶ。債権者は、安物の[[ランジェリー|パンストなど]]の商品と業務委託手数料といった名目の金員を債務者に渡す。債務者は、1週間程度後に商品代金を支払うというもの。
: まず、債務者と債権者が物品販売の業務委託契約を結ぶ。債権者は、安物の[[ランジェリー|パンスト]]などの商品と業務委託手数料といった名目の金員を債務者に渡す。債務者は、1週間程度後に商品代金を支払うというもの。
: 実質的には、業務委託手数料が元金、商品代金が返済額に相当する。商品は、1足1万円のパンスト、1パック2万円の塩などで社会通念上、とうてい考えられない価格である。
: 実質的には、業務委託手数料が元金、商品代金が返済額に相当する。商品は、1足1万円のパンスト、1パック2万円の塩などで社会通念上、とうてい考えられない価格である。
; [[ひととき融資]]
; 根保証
: 高金利で金を貸す代わりに、債権者が債務者に対し[[性行為]]を求めること。債務者が女性の場合に多い。SNS上や掲示板などのインターネットサイトを媒体に行われる個人間融資として行われることもある
: 定義は[[保証#保証の種類|保証]]を参照。

: 次のようなことが、[[商工ローン]]で問題となることが多い。
==二次被害==
: [[保証人]]が根保証契約する場合、業者から十分な説明を受けないままに(あるいは、契約書にわかりにくく記載されていたりする)、借主の以前の債務や将来の債務までが保証の対象となっていることがある。例えば、借主が100万円の借入をするにさいして、十分に理解せずに限度額1000万円の根保証契約をしたとする。保証人は100万円分だけの保証をしていると理解しているかも知れないが、その後、借主が借入れを増やした上に返済不能となってしまうと、保証人は最高1000万円もの思いもよらない責任を負わされることになる。
[[紹介屋]]、[[買取屋]]、[[整理屋]]などの業者が、クレサラ問題の救済を謳って広告を行うなどし、クレサラ問題の被害者に二次被害を与えることも問題となってきた<ref>{{cite web |title=二次被害にご注意!!|url=https://www.cre-sara.gr.jp/nijihigai.html |accessdate=2021-07-26}}</ref>。
: 悪質な業者によっては、根保証の限度額のことを「借主の融資限度額」などと虚偽の説明を行うこともある。
*[[紹介屋]]は、多重債務者がさらに融資を受けられる先を紹介すると称して法外な手数料を請求する者である<ref>{{Cite web |language=ja|url=http://honbu.police.pref.ishikawa.lg.jp/seian_bu/seiho/yami/yami.html |title=廃棄物・悪質商法・ヤミ金 |website=石川県警ウェブサイト|archive-url= https://web.archive.org/web/20080919015358/http://honbu.police.pref.ishikawa.lg.jp/seian_bu/seiho/yami/yami.html|archive-date=2008-09-19|access-date=2024-09-20}}</ref>。
; ひととき融資
*[[買取屋]]は、多重債務者にクレジットカード等で換金可能な物品を購入させるなどし、これを低廉に買い取って現金を交付する者である。場合によっては、多重債務者が[[クレジット詐欺]]の片棒を担ぐことになることもある。このような業者は「[[クレジットカード現金化|クレジットカードのショッピング枠を現金化する]]」などと広告していることがある。
: 高金利で金を貸す代わりに、債権者が債務者に対し[[性行為]]を求めること。債務者が女性の場合に多い。
*[[整理屋]]は、高額な手数料を取って[[債務整理]]を行うと称する業者である。なお、無資格での債務整理は違法な[[非弁行為]]である可能性が高く、形式的に[[弁護士]]が関与していても整理屋が介在するような案件は違法な[[非弁提携]]であることが多い。
{{main|非弁行為|非弁提携}}


== 関連判例 ==
== 関連判例 ==
67行目: 58行目:


==脚注==
==脚注==
{{脚注ヘルプ}}
<references/>
<!--===注釈===
{{notelist}}-->
===出典===
{{reflist}}
<!--==参考文献==-->


==関連項目==
==関連項目==
89行目: 85行目:
*[[取立て屋]]
*[[取立て屋]]
*[[高利貸し]]
*[[高利貸し]]
*[[ペイディローン]]
*[[全国クレサラ・生活再建問題被害者連絡協議会]]


{{DEFAULTSORT:くれさらもんたい}}
{{DEFAULTSORT:くれさらもんたい}}

2024年9月20日 (金) 06:22時点における最新版

クレサラ問題(クレサラもんだい)とは、クレジット会社サラ金信用保証会社による多重債務過酷な取り立て高金利、違法業者の増加、過払金の返還を巡るトラブルなどを中心とした問題の総称である[1]。また、商工ローンに関する問題を含めて、クレサラ・商工ローン問題ということもある。

沿革

[編集]
  • 1980年代ごろには、個人の金銭債務者に対する貸金業者の過酷な取り立てにより、退職や一家離散に追い込まれる者が増加し、最悪の場合には命に関わる事態も生じ、社会問題となっていた。このころ、日本全国各地に被害者団体が設立され、サラ金規制法の制定を求める声が強くなった[2]。クレサラ問題対策は、このような借金地獄に陥った多重債務者をいかに救済するかという観点から発展した[3]
  • 1983年には、旧貸金業規制法が制定された。しかし、当時クレサラ問題の原因と指摘されていた3つの問題点(高金利、過剰融資、過酷な取り立て)は完全には解決されずに残された[2]
  • 2003年、いわゆるヤミ金融対策法として、旧貸金業規制法および出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律(出資法)の改正が行われた[4]。この中で、登録業者(サラ金等)・無登録業者(ヤミ金等)を問わず規制対象となることが明確化され、禁止される取り立て行為が具体化されるなどの改正が行われた。
  • 2006年、旧貸金業規制法が改正されて貸金業法に名称が変更され、貸付金額の総量規制およびグレーゾーン金利の撤廃などが行われた(いずれも2010年6月18日適用開始)[5]
  • 過払金返還請求の手法が確立した後は、救済という観点よりも、いかに過払金を回収するかという債権回収の観点が重要となった[3]

問題のある消費者金融の類型

[編集]

歴史的に、金融業者の貸し付けに関する以下のような行為が問題とされてきた。

押し貸し(押し付け融資)
貸金業者(主として「闇金融」)が、勝手に銀行口座などに入金し、その後、高金利を付けて返済を要求することをいう。勝手に入金されたものであるから、金銭貸借契約は成立しておらず、金利は一切支払う必要は当然ない。加えて、このような入金行為は、ほとんどの場合、その後の金銭喝取の手段に過ぎないと評価できるから、法的には不法原因給付に当たり、入金された金員を返還する必要もない(日本弁護士連合会見解)。
弁護士が介入した場合、「入金された金員は不法原因給付だから返還しない。不満があるなら業者側から返還を求める訴訟を行うように」という趣旨の通知をしたり、すでに業者に「返済」している場合は「不法原因給付なので、業者側に押し貸しされた人への金員の返還請求権はない。返還請求権がないから、すでに業者側が返済を受けたと称する金員は法律上の原因なく取得した金員であり、不当利得となる。よって、押し貸しされた人への返還を求める。」という趣旨の通知をする場合が多い。このような対応をしたからといって、闇金融業者が裁判所に提訴することなどまずないし、まして勝訴することなどあり得ない。
年金担保金融
年金証書印鑑通帳を担保(国民年金厚生年金の受給権が担保ではないことに注意されたい)に貸し付けを行うこと。また、印鑑と通帳を使って、「返済」と称して債務者の年金を勝手におろしてしまう業者もある。2004年12月28日より「貸金業の規制等に関する法律」の改正により、これらを担保に取る行為は罰則付きで禁止となる(それ以前は、金融庁の「事務ガイドライン」で禁じられていたのみ)。
また、年金の受給権を担保にすることも原則禁止であり(国民年金法第24条、厚生年金保険法第41条など)、例外的に担保にできるのは、独立行政法人福祉医療機構の様に、法令(独立行政法人福祉医療機構法第3条 第2項)で定められたものだけである。このため福祉医療機構と類似した名称を称したり、福祉医療機構を紹介すると称して、紹介料を請求する業者もある。
空貸し
金を貸していないにも拘らず、「貸した」と主張して返済を要求すること。或いは、債権を譲渡されていないにもかかわらず、「譲渡された」と主張して返済を要求すること。架空請求詐欺の一種である。
チケット金融(金券代金後払い)
高速道路や新幹線の回数券などの換金性の高い金券の売買を利用した実質的な貸し金行為で、次のようなものである。
業者は、顧客に対して金券を後払いで正規の価格で販売する。顧客は、そのチケットを所定の金券店で換金して金を受け取る。その後、顧客は業者に金券代金を支払う。
業者と金券店が共謀しているので(あるいは実質的に同一であるので)、顧客からみると、金券店での換金額が元金に、正規の金券の代金が返済額に、金券を換金した日から後払いで金券代を払った日までが借入期間、「正規の金券代金-金券店での換金額」が利息に、それぞれ相当することになる。
システム金融
複数のシステム化された業者による次のような行為をいう。
ある業者が個人事業者や零細事業者を相手に小切手約束手形を担保として高金利の貸し付けを行う。借主の返済が滞ると、最初の業者が別の業者を紹介したり、別の業者からダイレクトメールや電話での勧誘があり、今の借金を新たな借金で返済するように勧められる。これに応じると、借主は借金と返済を繰り返し、急激に債務が拡大してしまう。しかし、借主は小切手や約束手形を担保に取られているので、不渡りを恐れて業者の言いなりになる。
家具リース金融(家財リース業者)
債務者の家具等の生活必需品を買い取ったとし、それを「リースする」と称して「リース料」を要求する行為をいう。
「リース料」が滞ると家具等が持ち去られる。実質的には、家具等は担保でありリース料は利息に相当する。貸金業の登録はせず、古物商の許可を得ている業者が多い。
パンスト金融
物品販売の業務委託を装った金融で、次のようなものである。
まず、債務者と債権者が物品販売の業務委託契約を結ぶ。債権者は、安物のパンストなどの商品と業務委託手数料といった名目の金員を債務者に渡す。債務者は、1週間程度後に商品代金を支払うというもの。
実質的には、業務委託手数料が元金、商品代金が返済額に相当する。商品は、1足1万円のパンスト、1パック2万円の塩などで社会通念上、とうてい考えられない価格である。
ひととき融資
高金利で金を貸す代わりに、債権者が債務者に対し性行為を求めること。債務者が女性の場合に多い。SNS上や掲示板などのインターネットサイトを媒体に行われる個人間融資として行われることもある。

二次被害

[編集]

紹介屋買取屋整理屋などの業者が、クレサラ問題の救済を謳って広告を行うなどし、クレサラ問題の被害者に二次被害を与えることも問題となってきた[6]

  • 紹介屋は、多重債務者がさらに融資を受けられる先を紹介すると称して法外な手数料を請求する者である[7]
  • 買取屋は、多重債務者にクレジットカード等で換金可能な物品を購入させるなどし、これを低廉に買い取って現金を交付する者である。場合によっては、多重債務者がクレジット詐欺の片棒を担ぐことになることもある。このような業者は「クレジットカードのショッピング枠を現金化する」などと広告していることがある。
  • 整理屋は、高額な手数料を取って債務整理を行うと称する業者である。なお、無資格での債務整理は違法な非弁行為である可能性が高く、形式的に弁護士が関与していても整理屋が介在するような案件は違法な非弁提携であることが多い。

関連判例

[編集]
  • 極めて高金利の貸主に対して、借主が不法原因給付により元金も含めて返済義務なし、すなわち債務不存在確認の請求を行なったところ、請求が認容された事件
    • 平成15年2月13日 東京簡易裁判所 平成14年(ハ)第13266号 債務不存在確認請求
  • 家具リース契約を金銭消費貸借契約とし、その上で違法な金利のため利息全体を無効とし、利息を不当利得として借主への返還を認容、あわせて弁護士費用の請求も認容した事件
    • 平成13年9月27日 大阪地方裁判所 平成12年(ワ)第9065号 不当利得金返還等請求
  • みなし返済(貸金業法43条)が厳格適用され、書類が完全でない場合はみなし返済の要件を満たしていないとされ、差戻された事件。
    • 最高裁判所 平成15(受)390号 不当利得返還請求事件
    • 最高裁判所 平成15年(オ)386号 不当利得返還請求事件
  • みなし弁済(貸金業法43条)が厳格適用され、利息制限法以上の金利の支払いについて、「期限の利益喪失条項」などで事実上の強制・明確な強制がなされた場合、みなし弁済の要件を満たしていないとされ、差し戻された事件。
    • 平成18年1月13日 第二小法廷判決 平成16(受)1518号 貸金請求事件
  • SFCGが貸付に際し主債務者及び連帯根保証人から共同振出させている私製手形に係る手形金請求の手形訴訟が、手形制度及び手形訴訟制度を濫用するものとして不適法とされた事例
    • 東京地方裁判所 平成15年(手ワ)第168号,同第169号,同第180号約束手形金請求

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ クレサラ問題』 - コトバンク
  2. ^ a b クレジット・サラ金・ヤミ金・商工ローン被害の実態について” (pdf) (2005年6月15日). 2021年7月26日閲覧。
  3. ^ a b 高見澤重昭 (2008年6月24日). “最近のクレサラ事件の現状”. 新日本法規ウェブサイト. 2021年7月26日閲覧。
  4. ^ ヤミ金融対策法のポイント”. 金融庁ウェブサイト. 2021年7月26日閲覧。
  5. ^ 貸金業法のキホン”. 金融庁ウェブサイト. 2021年7月26日閲覧。
  6. ^ 二次被害にご注意!!”. 2021年7月26日閲覧。
  7. ^ 廃棄物・悪質商法・ヤミ金”. 石川県警ウェブサイト. 2008年9月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年9月20日閲覧。

関連項目

[編集]