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[[第二次世界大戦]]中の[[日本]]は、[[1941年]](昭和16年)から[[1945年]](昭和20年)にかけて主に[[アジア]]の地を舞台に、[[西ヨーロッパ|西欧]]諸国を相手に戦った。ソーンは、この戦争にかかわった数多くの国家や社会の動き、あるいは人々を行動に駆り立てるもととなる意識のなかから、[[世界史]]的あるいは人類史的な広範な流れをつかもうとする立場をとっており、この戦争がもつ[[人種差別|人種論]]的側面を重視する。 |
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そういう立場からすれば、この戦争は「[[民主主義]]」対「[[ファシズム]]」の戦いではなく<ref>たとえば、アジアにファシズムがあったとすれば、それは中国の[[蔣介石]]政権であると指摘している。</ref>、また、この戦争が単に[[太平洋]]をはさんで日米両国間の戦いにとどまるものではなく、むしろ基本的にはイギリス(および[[フランス]]・[[オランダ]])と日本との戦いであり、[[アメリカ]]は[[中国]]との関係からではなく、むしろイギリスとの関係からこの戦争に介入したのだと説く。そうした地政学的な位置づけからすれば、一般に用いられている「太平洋戦争」という呼称は適切ではなく、多少の難点<ref>「極東」の呼称はヨーロッパ中心の世界観に由来することを意味している。</ref>はあるものの「極東戦争」と呼ぶ方が適切だとする。 |
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2020年9月15日 (火) 13:43時点における版
極東戦争(きょくとうせんそう)とは、イギリスの歴史家クリストファー・ソーン(Christopher Thorne)が、その著書THE ISSUE OF WAR: States, Societies, and the Far Eastern Conflict of 1941-1945(邦題『太平洋戦争とは何だったのか』)で示した「太平洋戦争」(1941年(昭和16年) - 1945年(昭和20年))の呼称。
ソーンの「太平洋戦争」観
第二次世界大戦中の日本は、1941年(昭和16年)から1945年(昭和20年)にかけて主にアジアの地を舞台に、西欧諸国を相手に戦った。ソーンは、この戦争にかかわった数多くの国家や社会の動き、あるいは人々を行動に駆り立てるもととなる意識のなかから、世界史的あるいは人類史的な広範な流れをつかもうとする立場をとっており、この戦争がもつ人種論的側面を重視する。
そういう立場からすれば、この戦争は「民主主義」対「ファシズム」の戦いではなく[1]、また、この戦争が単に太平洋をはさんで日米両国間の戦いにとどまるものではなく、むしろ基本的にはイギリス(およびフランス・オランダ)と日本との戦いであり、アメリカは中国との関係からではなく、むしろイギリスとの関係からこの戦争に介入したのだと説く。そうした地政学的な位置づけからすれば、一般に用いられている「太平洋戦争」という呼称は適切ではなく、多少の難点[2]はあるものの「極東戦争」と呼ぶ方が適切だとする。
"THE ISSUE OF WAR"には、
- 「中国を広大な範囲にわたって死と破滅の淵に追いこんだ戦争は、同時に国家の統一と再生をもたらすことになった。」
- 「イギリスと自治領をより深く結びつけた戦争が『イギリス連邦同盟』という自動機構の終焉を現実のものにしていった。」
- 「日本は敗北したとはいえ、アジアにおける西欧諸国の終焉を早めた。」
- 「1945年には極東戦争のまぎれもない『勝利者』だったアメリカが、1970年代にはある意味では、長期にわたる最大の『敗者』とみられるようになった。」
などの重要な指摘[3]がある。
脚注
参考文献
- Thorne, Christopher (1985). The issue of war: States, societies, and the Far Eastern conflict of 1941-1945. London: H. Hamilton. ISBN 0-241-10239-1
- クリストファー・ソーン『太平洋戦争とは何だったのか 1941〜45年の国家、社会、そして極東戦争』市川洋一訳、草思社、1989年3月。ISBN 4-7942-0336-5 。
- クリストファー・ソーン『太平洋戦争とは何だったのか 1941〜45年の国家、社会、そして極東戦争』市川洋一訳(普及版)、草思社、2005年7月。ISBN 4-7942-1410-3 。