「ヘゲモニー政党制」の版間の差分
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* [[社会主義国]] - [[ポーランド人民共和国|ポーランド]]、旧[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]など、かつての「東欧」には過去の経緯から[[複数政党制]]を採っている[[国]]が多くあった([[人民民主主義]])。これらの国では衛星政党にも国家のポストが割り振られており(例えば旧東ドイツでは衛星政党4党の党首は[[国家評議会 (東ドイツ)|国家評議会]]副議長となっていた)、宗教的・イデオロギー的に支配政党である[[共産党|共産主義政党]]に馴染めない国民各層を間接的に体制内に取り込む効果を有していた<ref>仲井斌『もうひとつのドイツ』朝日新聞社、1983年 P167-168</ref>。ただし大抵は憲法に[[党の指導性|共産主義政党の指導権]]が明記されていたり、議会の選挙が形式的なものであったりと、実態は[[一党独裁制]]とほぼ変わらなかった。現在の[[中華人民共和国]]<ref>[[中国共産党]]の[[賈慶林]]・[[中国共産党中央政治局常務委員会|中央政治局常務委員]]・[[中国人民政治協商会議]]議長が2009年に[[人民日報]]に寄せた『中国の特色ある社会主義路線の上で、'''中国共産党の指導する多党協力'''と政治協商制度を不断に整備し、発展させる』によれば、「'''中国共産党の指導する多党協力'''と[[中国人民政治協商会議|政治協商制度]]は、西側の[[二大政党制]]や[[多党制]]のような、一方が政権に就けばもう一方が下野する権力争奪型の政党関係とも、[[一党制]]のような権力独占型の政党関係とも異なり、民主的に協議し、互いの心の底まで打ち明けて親しく交わる、斬新な協力型の政党関係なのである」とされており、一党制では無く「'''中国共産党の指導する多党協力'''」だと主張されており、サルトーリのヘゲモニー政党制に該当する([http://j.people.com.cn/94474/6801143.html 中国の政党制度と一党・多党制との4大相違点]([[人民日報]]日本語版 2009年11月2日))</ref>、および[[朝鮮民主主義人民共和国]]も同様の体制にある<ref>[https://www2.jiia.or.jp/RESR/keyword_page.php?id=72 一党独裁制と議会(宮本悟)(公益財団法人 JIIA日本国際問題研究所)]</ref>。 |
* [[社会主義国]] - [[ポーランド人民共和国|ポーランド]]、旧[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]など、かつての「東欧」には過去の経緯から[[複数政党制]]を採っている[[国]]が多くあった([[人民民主主義]])。これらの国では衛星政党にも国家のポストが割り振られており(例えば旧東ドイツでは衛星政党4党の党首は[[国家評議会 (東ドイツ)|国家評議会]]副議長となっていた)、宗教的・イデオロギー的に支配政党である[[共産党|共産主義政党]]に馴染めない国民各層を間接的に体制内に取り込む効果を有していた<ref>仲井斌『もうひとつのドイツ』朝日新聞社、1983年 P167-168</ref>。ただし大抵は憲法に[[党の指導性|共産主義政党の指導権]]が明記されていたり、議会の選挙が形式的なものであったりと、実態は[[一党独裁制]]とほぼ変わらなかった。現在の[[中華人民共和国]]<ref>[[中国共産党]]の[[賈慶林]]・[[中国共産党中央政治局常務委員会|中央政治局常務委員]]・[[中国人民政治協商会議]]議長が2009年に[[人民日報]]に寄せた『中国の特色ある社会主義路線の上で、'''中国共産党の指導する多党協力'''と政治協商制度を不断に整備し、発展させる』によれば、「'''中国共産党の指導する多党協力'''と[[中国人民政治協商会議|政治協商制度]]は、西側の[[二大政党制]]や[[多党制]]のような、一方が政権に就けばもう一方が下野する権力争奪型の政党関係とも、[[一党制]]のような権力独占型の政党関係とも異なり、民主的に協議し、互いの心の底まで打ち明けて親しく交わる、斬新な協力型の政党関係なのである」とされており、一党制では無く「'''中国共産党の指導する多党協力'''」だと主張されており、サルトーリのヘゲモニー政党制に該当する([http://j.people.com.cn/94474/6801143.html 中国の政党制度と一党・多党制との4大相違点]([[人民日報]]日本語版 2009年11月2日))</ref>、および[[朝鮮民主主義人民共和国]]も同様の体制にある<ref>[https://www2.jiia.or.jp/RESR/keyword_page.php?id=72 一党独裁制と議会(宮本悟)(公益財団法人 JIIA日本国際問題研究所)]</ref>。 |
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* [[開発独裁]]型国家 - [[スハルト]]政権時代の[[インドネシア]]、[[朴正煕]]・[[全斗煥]]政権時代の[[大韓民国|韓国]]、[[蔣介石]]・[[蔣経国]]政権での[[戒厳令]]下の[[中華民国]]([[党国体制]]も参考)など、いわゆる「開発独裁」型国家も野党が存在するものの、選挙制度などが圧倒的に政権政党に有利にできているため、実態としてはヘゲモニー政党制であるといえる。 |
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2020年9月15日 (火) 13:12時点における版
政党政治 |
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Portal:政治学 |
ヘゲモニー政党制(ヘゲモニーせいとうせい)とは、形式的には複数政党制だが、実際には特定の支配政党以外は衛星政党であり、真の反対党として存在できない制度[1]。ジョヴァンニ・サルトーリが提唱した政党制の分類の一つ[1]。サルトーリは政党の競合の有無を重視し、ヘゲモニー政党制と一党制(一党独裁)を非競合的体制とした[1]。ヘゲモニー(Hegemonie)とはドイツ語で「主導権」「指導的立場」を意味する語である。覇権政党制とも。
概要
サルトーリは、従来は一党制や一党支配制と呼ばれていたものを、一党制・ヘゲモニー政党制・一党優位政党制の3つに分類した。ヘゲモニー政党制は、形式的特徴により一党制から区別され、競合の有無によって一党優位政党制と区別される。サルトーリは、野党が完全に禁止される時と、そうでない時には政治の様相が違ってくるだろうと考え、一党制からヘゲモニー政党制を区別する。また、与党が選挙で連勝したことを、競争が許されていない証拠とみなす考え方に反対し、一党優位政党制からヘゲモニー政党制を区別する。
またサルトーリはヘゲモニー政党制を、イデオロギー指向とプラグマティズム指向という2つの異なるタイプに分類した。
例
一般的には、ヘゲモニー政党という言葉が使われる場合(とくに独裁の形態として批判的に用いられる場合)は、イデオロギー指向型のケースを指すことが多い。両者が異なることに異議を唱える者はいないが、プラグマティズム指向型との用語は普及していない(こちらは包括政党と表現される事が多い)。
イデオロギー指向型
- 社会主義国 - ポーランド、旧東ドイツなど、かつての「東欧」には過去の経緯から複数政党制を採っている国が多くあった(人民民主主義)。これらの国では衛星政党にも国家のポストが割り振られており(例えば旧東ドイツでは衛星政党4党の党首は国家評議会副議長となっていた)、宗教的・イデオロギー的に支配政党である共産主義政党に馴染めない国民各層を間接的に体制内に取り込む効果を有していた[2]。ただし大抵は憲法に共産主義政党の指導権が明記されていたり、議会の選挙が形式的なものであったりと、実態は一党独裁制とほぼ変わらなかった。現在の中華人民共和国[3]、および朝鮮民主主義人民共和国も同様の体制にある[4]。
- 開発独裁型国家 - スハルト政権時代のインドネシア、朴正煕・全斗煥政権時代の韓国、蔣介石・蔣経国政権での戒厳令下の中華民国(党国体制も参考)など、いわゆる「開発独裁」型国家も野党が存在するものの、選挙制度などが圧倒的に政権政党に有利にできているため、実態としてはヘゲモニー政党制であるといえる。
プラグマティズム指向型
- 1940年代から1990年代までのメキシコの制度的革命党の長期政権 - 政権党があらゆる政治勢力を取り込み、党内での権力闘争により政策決定が行われる。
参考文献
脚注
- ^ a b c ヘゲモニー政党制(読み)ヘゲモニーせいとうせい ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ヘゲモニー政党制 (コトバンク)
- ^ 仲井斌『もうひとつのドイツ』朝日新聞社、1983年 P167-168
- ^ 中国共産党の賈慶林・中央政治局常務委員・中国人民政治協商会議議長が2009年に人民日報に寄せた『中国の特色ある社会主義路線の上で、中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度を不断に整備し、発展させる』によれば、「中国共産党の指導する多党協力と政治協商制度は、西側の二大政党制や多党制のような、一方が政権に就けばもう一方が下野する権力争奪型の政党関係とも、一党制のような権力独占型の政党関係とも異なり、民主的に協議し、互いの心の底まで打ち明けて親しく交わる、斬新な協力型の政党関係なのである」とされており、一党制では無く「中国共産党の指導する多党協力」だと主張されており、サルトーリのヘゲモニー政党制に該当する(中国の政党制度と一党・多党制との4大相違点(人民日報日本語版 2009年11月2日))
- ^ 一党独裁制と議会(宮本悟)(公益財団法人 JIIA日本国際問題研究所)