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2020年7月26日 (日) 21:47時点における版
『花園天皇宸記』(はなぞのてんのうしんき)は、花園天皇の日記。現存数は全35巻、宮内庁書陵部蔵。現存部分のほとんどが花園天皇宸筆であり、鎌倉時代後期を研究する上で貴重な一次史料。また、特に正中の変・元弘の変などに関する記事が豊富かつ詳細であるため、後醍醐天皇の活動状況を研究する上での基本史料となっている。
概要
延慶3年(1310年)10月から正慶元年/元弘2年(1332年)11月にわたる23年間[1]から成る日記。伏見宮旧蔵。伏見宮家伝来当時は47巻に装丁されていたが、昭和25年(1950年)書陵部に移管された後、調査・再整理がなされて現在の35巻に改められた。
花園天皇自身はこの日記を『等閑記』と称している。『花園天皇日記』『花園院宸記』など別称が多いが、『国書総目録』(岩波書店刊)では“はなぞのいんしんき”の項にまとめて記載がある。翻刻には3点あり、刊行順に『列聖全集』(列聖全集編纂会,1915-1917、底本は旧家秘蔵本)、『史料大成続編』33,34(内外書籍,1938、底本は概ね『列聖全集』)、『史料纂集』62,66,80(続群書類従完成会,1982-1986、底本は宮内庁書陵部本)である。なお、1965年に臨川書店より刊行された『増補史料大成』(ここでは2,3巻)は『史料大成』の復刻版の意味合いが強い。
脚注
参考文献
- 和田英松 「花園天皇」(同『皇室御撰之研究』明治書院、1933年)
- 帝国学士院 編「花園天皇宸筆御記」『宸翰英華』 1巻、紀元二千六百年奉祝会、1944年。doi:10.11501/2586902。NDLJP:2586902 。
- 今江廣道 「村田正志博士校訂『花園天皇宸記』第一巻」(『〔国士舘大学〕人文学会紀要』第15号、1983年)
- 佐々木令信 「『花園天皇日記』仏教総索引並に解説」(中世寺院史研究会編『中世寺院史の研究』下、法蔵館、1988年) ISBN 978-4-8318-7552-5
- 米田雄介 「鎌倉時代の天皇の日記 花園天皇」(同『歴代天皇の記録』続群書類従完成会、1992年) ISBN 978-4-7971-0484-4
- 八嶌正治 「『花園院宸記』成巻について」(『日本歴史』第537号、1993年)
- 村田正志編 『花園天皇遺芳』(楊岐寺、1995年) ISBN 4-9901-0463-3
- 岩佐美代子 「『花園院宸記』—天皇の日常と思索—」(同『宮廷に生きる—天皇と女房と—』笠間書院、1997年) ISBN 978-4-3056-0038-7
- 村田正志編 『和訳 花園天皇宸記』1巻(続群書類従完成会、1999年) ISBN 4-7971-1551-3
- 村田正志編 『和訳 花園天皇宸記』2巻(続群書類従完成会、2003年) ISBN 4-7971-1552-1
- 村田正志編 『和訳 花園天皇宸記』3巻(続群書類従完成会、2003年) ISBN 4-7971-1553-X
- 酒井茂幸「『花園天皇宸記』書名索引」(『研究と資料』第54輯、2005年)
- 花園天皇日記研究会編 「『花園天皇日記(花園院宸記)』正和二年正月記―訓読と注釈―」(『花園大学国際禅学研究所論叢』第4号、2009年)
- 宮内庁書陵部 宮内庁三の丸尚蔵館編集 『皇室の文倉 書陵部の名品 三の丸尚蔵館特別展図録』(宮内庁発行、2010年、34-35頁)