「九蓮宝燈」の版間の差分
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[[門前清|メンゼン]]でなければならず、チー・ポンは勿論のこと、1や9を[[槓#暗槓|暗槓]]した形も認められない{{Refnest|group=注|チー・ポン・カンをして面子を確定させた場合、九蓮宝燈の本来の定義である九面張聴牌の条件を満たさなくなる。また、九蓮宝燈のテンパイ形から[[立直|リーチ]]を掛けた場合、(基本的には)1や9を自摸っても暗槓することができない。これは暗槓によって九蓮という手役が消滅してしまうことになるためだが<ref name="baba1996">「リーチに関する章 解説と補足 リーチ後のアンカン」、[[馬場裕一]]([[片山まさゆき]]、[[桜井章一]] 共著)『答えてバビィ - 1卓に1冊!!麻雀もめごと和睦の書』 竹書房、1996年 ISBN 9784812401880、pp64-66 </ref>、もともと立直後の暗槓可否の条件として九蓮宝燈のケースは見落とされがちで、「待ちの形が変わらない」「面子の構成に変化が無い」「孤立している暗刻」という定義に該当する場合であっても、九蓮宝燈の場合は立直後に暗槓できない例外となる<ref name="baba1996" />。ただし、立直後に手役が消滅しても構わない取り決めの場合には、必ずしもその限りではない<ref>例えば[https://tenhou.net/man/ 天鳳のルールブック]では、立直後の暗槓は「待ちが変わらない場合に可」「牌姿や役の増減は不問」という形で認められており、補足として「牌姿の変わる槓を禁止していないため、[[一盃口]]・[[三色同順]]・[[純全帯 |
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元来は[[#純正九蓮宝燈|後述]]する9面張の形でしか九蓮宝燈として認められなかったが、現在一般的なルールでは待ちの形は問われず、最終的な和了形が上の牌姿になっていれば九蓮宝燈として認められる。つまり9面張ではない以下のようなテンパイ形から和了しても九蓮宝燈になる。 |
元来は[[#純正九蓮宝燈|後述]]する9面張の形でしか九蓮宝燈として認められなかったが、現在一般的なルールでは待ちの形は問われず、最終的な和了形が上の牌姿になっていれば九蓮宝燈として認められる。つまり9面張ではない以下のようなテンパイ形から和了しても九蓮宝燈になる。 |
2020年7月24日 (金) 23:37時点における版
九蓮宝燈(ちゅうれんぽうとう、チューレンポートン)とは、麻雀における役のひとつ。役満。門前で「1112345678999+X」の形をあがった時に成立する。かつては萬子限定の役満とするルールもあったが、現在は色の制約はなくなり、萬子・筒子・索子いずれでも認められる[1][2]。
「九連宝燈」「九連宝灯」と表記されることも多い。「天衣無縫」という別名もある[3]。英語圏では「Nine Gates(九つの門)[4]」「Heavens Door(天国の扉)」という役名になっている。「九連宝橙」「九連宝塔」は誤字である[注 1][注 2]。
概要
九蓮宝燈は特殊な形のメンチンであると定義できる。すなわち同色の数牌で次のような和了形を作った時に成立する。
メンゼンでなければならず、チー・ポンは勿論のこと、1や9を暗槓した形も認められない[注 3]。
元来は後述する9面張の形でしか九蓮宝燈として認められなかったが、現在一般的なルールでは待ちの形は問われず、最終的な和了形が上の牌姿になっていれば九蓮宝燈として認められる。つまり9面張ではない以下のようなテンパイ形から和了しても九蓮宝燈になる。
このような9面張ではない形は、古くは「準正九蓮宝燈」「準性九蓮宝燈」「準九蓮宝燈」と呼ばれることがあった[7][8][9]。しかし「純正」と「準正/準性」が同音であるためまぎらわしく、「準」の字を使う言い方は既に廃れている。現在は「じゅんせい九蓮」と言えば9面張の形である「純正九蓮宝燈」を指す。
その華麗な牌姿から数多くの打ち手が憧れる役満の筆頭であり、麻雀最高峰の役とされているが、それだけに難度が高く、天和・地和と並んで希少価値が高い。和了のパターンとしては、清一色から手が伸びて九蓮のテンパイになり、高目となる牌で和了、という形がほとんどである。1と9が早い段階から対子以上だったり両方とも暗刻だったりすれば、多くの打ち手が九蓮宝燈を意識するものの、最終的に純正9面待ちになるのは非常に稀である。実際、コナミの麻雀格闘倶楽部が2003年10月に集計した統計記録によると、9面待ちでない九蓮宝燈は全役満19万1724件中308件で0.16%、これに対し9面待ちの九連宝燈は32件で0.0167%であった[10](ただし、当時の麻雀格闘倶楽部では「九蓮宝燈は萬子のみの役」というルールになっていた[2])。
巷説
- 九蓮宝燈をあがった者は死ぬという迷信がある。要は究極の役満ともいえる九蓮宝燈を成立させたことで全ての運を使い果たしてしまったと考えられているためである。一方中国では、九蓮宝燈は縁起の良いあがりであるとされる(ただし中国でも地方によっては縁起の悪いものとするところもある)。
- 阿佐田哲也の『麻雀放浪記』には、重要な登場人物が九蓮宝燈をあがった直後に死ぬというシーンがある[11]。このシーンは同作の中で最も有名なシーンで、映画版『麻雀放浪記』や漫画版『麻雀放浪記 classic』のハイライトシーンでもある。
- 小島武夫は2018年に逝去するまでに生涯で5度和了した。公式記録に残る初の九蓮宝燈も小島が和了したものである。
- 萬子・筒子・索子のいずれでも認められる役だが、入門書やルールブック等で例として出される牌姿に和数字で分かり易い萬子がよく使われることから、萬子限定の役と誤解されるようになった、という説がある。
- 九蓮宝燈は萬子限定というルールは、索子の役満である緑一色、筒子の役満である大車輪との住み分けから生じたとの説がある。まことしやかな説だが、萬子限定のローカル役満には百万石という別の役満がある。
純正九蓮宝燈
九蓮宝燈の最大の特徴は、同色牌の9面待ちが可能という点にある。すなわち次のような形でテンパイした場合、からまでどの牌でもあがることができる。
このような9面待ちの形を通称「純正九蓮宝燈」(じゅんせいちゅうれんぽうとう)「九蓮宝燈九面」「九蓮宝燈九面待ち」「九蓮宝燈九面張」と呼ぶ。元来はこの9面待ちの形だけを役満とし、9面待ちでなければ九蓮宝燈として認められなかった[12]。さらに、九面待ちの聴牌でかつ、和了時に一気通貫が含まれていることが条件であるルールもあった。その場合、1と9のみでしか九蓮宝燈として認められなかった[13]。現在では9面待ちではない形でも役満として認められるが、現在でも9面待ちを特別扱いして「純正九蓮はダブル役満」としているローカルルールがある[14]。
純正九蓮は最大9種23枚もの牌を待つことができる[注 4]。これは特殊形である国士無双の13面待ちを別にすれば、四面子一雀頭の形では最大の待ち数である[注 5]。
捨て牌には染め手の気配が色濃く出る。というより、純正九蓮のテンパイの場合、その色がまったく切られていない河になる(1枚でも切られていればフリテンである)。そのため、そのような捨て牌が少なからず他家の警戒を招く可能性はある。しかし9面張は待ち牌の絶対数が多いため、ロン・ツモに関わらず和了れる公算は格段に高い。
本家・中国麻雀でも最高点の88点役に設定されているが、こちらは現在でも九面待ちを条件としている。但し中国には振聴という概念が存在しないため、一面待ちの和了を一旦蹴って、九面待ちに受け変える手もある。
九面待ちの牌理
純正九蓮宝燈が9面待ちになる牌理は以下の通りである。
以上の3つは2ヶ所を割る比較的簡単な分解の仕方だが、この3つで既に すべてをカバーしている。当然割り方は他にもあるので、以下にその一部を例示する。下に見る通り、割る場所によってはより複雑な形の待ちになる。なお、1ヶ所のみを割る割り方を順に(U字型に)配列したが、同段の2つはそれぞれ左右反転形である。
1と2のあいだで割る
8と9のあいだで割る
2と3のあいだで割る
7と8のあいだで割る
3と4のあいだで割る
6と7のあいだで割る
4と5のあいだで割る
5と6のあいだで割る
このように様々な割り方が可能で、その結果1から9まですべてを待つことができる。
さらに数理的に考えると、1から9だけでなく0や10でも4面子1雀頭が完成する。
テンパイ形は219種類
九蓮宝燈のテンパイ形は牌理上219種類に限定される(1色あたり、余分にある牌が9通りで、足りない牌が余分にある牌以外の8通り、そして純正を合わせるので9×8+1=73種類なので、萬筒索3色では73×3=219種類になる)。以下に萬子の場合の73種類を一覧する。
- 凡例
- 最左欄の「A-B」は「Aが余分にあってBがない形」を意味する。
- 「形」の欄は見ての通り「BがなくAが余分にある形」である。
- デフォルトでは「A-B」の順に配列されているが、「形」欄のソートボタンで「B-A」の順に再配列できる。
- すなわち「形」欄でソートすると「B待ちの九蓮宝燈」を順に一覧する形になる。
- 最左欄のソートボタンでデフォルトの状態、つまり「Aが余分にあるテンパイ形の一覧」に戻る。
- 純正九蓮にはソートの都合上「9-9」の値を付した。
七連宝燈と八連宝燈
純正九蓮が9種23枚待ちになるのは既に述べたが、23枚待ちとはつまり、「自分の手牌で使っている13牌を除く同色牌すべて」ということである[注 4]。同色牌すべてが待ちになる形は純正九蓮以外に8種類存在し、以下に挙げる「七連宝燈(ちーれんぽうとう)」「八連宝燈(ぱーれんぽうとう)」と呼ばれる形がこれに該当する。いずれも同色牌すべてで和了ることができるが、自分で4枚使っている牌は待ちに数えないため、9面待ちではなくそれぞれ7面待ち・8面待ちとみなされる。一般的なルールでは普通の清一色として扱い、九連宝燈の一種と見なしたり特別な役として扱うことはない。
- 七連宝燈
- 七連宝燈の形は2種類ある。いずれも7面張ではあるが23枚待ちになる。
- なお、左の形は「架空の5枚目」を受け入れる形である。
- このように分解すればとのシャンポン待ちになり、「架空の5枚目」を受け入れる形であることがわかる。これに対し右の形そのようになっておらず、5枚目のも5枚目のも受け入れになっていない。
- また両方とも1と9が聴牌形に含まれていないため、「架空の0」「架空の10」のいずれも受け入れとはならない。
- 八連宝燈
- 八連宝燈の形は6種類ある。いずれも8面張ではあるが23枚待ちになる。
- パターン1とパターン4は、1から9までの並びを左右反転させた形である。パターン2とパターン5、および、パターン3とパターン6も同様に左右反転形である。
- なお、八連宝燈の6種はいずれも「架空の5枚目」を受け入れる形である。したがって八連宝燈は、「牌理の上では9面待ちと解することができるものの、4枚使いによって待ちが1種類消えている形」と定義できる。
- パターン1とパターン6は「架空の0」を、パターン3とパターン4は「架空の10」を受け入れる形である。これに対しパターン2とパターン5は聴牌形に1も9も無いため、「架空の0」「架空の10」のいずれも受け入れとはならない。
以上、七連宝燈2種類、八連宝燈6種類、および純正九蓮の1種を合わせて、23枚待ちは合計で9種類となる。門前清一色の聴牌パターン全体のうち0.0224%[15]しかない希少な形である。
脚注
注釈
- ^ 「橙」の字は「燈」の火偏を見間違えたことによる誤字と考えられる。
- ^ 「塔」の字は「塔子」という麻雀用語からの連想による誤字と考えられる。本来の「燈」の音写は「トン」であり、「塔」ないし「搭」の音写は「タア」である。「九連宝塔」では読みが「チューレンポータア」になってしまう。
- ^ チー・ポン・カンをして面子を確定させた場合、九蓮宝燈の本来の定義である九面張聴牌の条件を満たさなくなる。また、九蓮宝燈のテンパイ形からリーチを掛けた場合、(基本的には)1や9を自摸っても暗槓することができない。これは暗槓によって九蓮という手役が消滅してしまうことになるためだが[5]、もともと立直後の暗槓可否の条件として九蓮宝燈のケースは見落とされがちで、「待ちの形が変わらない」「面子の構成に変化が無い」「孤立している暗刻」という定義に該当する場合であっても、九蓮宝燈の場合は立直後に暗槓できない例外となる[5]。ただし、立直後に手役が消滅しても構わない取り決めの場合には、必ずしもその限りではない[6]。
- ^ a b 9種 x 4枚 - 13枚 = 23枚。一色の数牌は全部で9種36枚ある。そのうち手牌で13枚使うと、残るは36-13=23枚である。無論、場に切られている枚数を差し引けば23枚以下になる。ここで言う「最大23枚」とは概念上の枚数である。
- ^ 23枚待ちは正確には最大タイである。#七連宝燈と八連宝燈の節に挙げる形もまた23枚待ちになる。
出典
- ^ 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年、ISBN 9784831901187、p113。筒子でも索子でも可、とある。
新報知ルールに限らず、現在は萬子・筒子・索子どの色でも可とするルールが一般的である。 - ^ a b 麻雀格闘倶楽部は当初「九蓮宝燈は萬子のみ」としていたが、その後「索子でも筒子でも可」とルール改正された。
- 麻雀格闘倶楽部1-2 あがり役一覧表 - 2011年9月8日閲覧。九蓮宝燈はマンズのみ可能、と明記されている。
- 麻雀格闘倶楽部5 対局ルール - 2011年9月8日閲覧。九連宝燈は筒子、索子でも成立(麻雀格闘倶楽部5より)、と明記されている。
- ^ 栗原安行『カラー版 麻雀教室』日東書院、1986年。ISBN 4528004364。p150/p187。
- ^ ヨーロッパ麻雀協会 (2008年5月14日/2012年1月8日). “Riichi Rules for Japanese Mahjong”. 2012年4月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2012年7月1日閲覧。ヨーロッパで開催されている日本式麻雀の大会の公式ルール。p19、4.2.5 Yakuman の2項目にNine Gates CHUUREN POOTOの定義と牌姿例。
- ^ a b 「リーチに関する章 解説と補足 リーチ後のアンカン」、馬場裕一(片山まさゆき、桜井章一 共著)『答えてバビィ - 1卓に1冊!!麻雀もめごと和睦の書』 竹書房、1996年 ISBN 9784812401880、pp64-66
- ^ 例えば天鳳のルールブックでは、立直後の暗槓は「待ちが変わらない場合に可」「牌姿や役の増減は不問」という形で認められており、補足として「牌姿の変わる槓を禁止していないため、一盃口・三色同順・純全帯幺九・混全帯幺九・九蓮宝燈の5つは立直後の暗槓によって役が消滅しうる(大意)」と記載されている。
- ^ 天野大三/青山敬『新現代ルールによる図解麻雀入門』梧桐書院、1979年、0076-590868-2368、p132-p133。
この資料は昭和50年代に発行された傍流のルールブックだが、そこでは現在の純正九蓮を「真性九蓮宝燈」と呼び、9面待ちではない九蓮宝燈を「準性九蓮宝燈」と呼んでいる。値段は両方とも同じであるが、四倍満ではなく五倍満(子40000点/親60000点)という扱いになっている。 - ^ 阿佐田哲也『麻雀放浪記』1969年初出、角川文庫版第1巻「青春篇」、ISBN 4041459516、p326。
麻雀小説の古典『麻雀放浪記』では、9面張ではない形を「準九連宝燈」と表記している。 - ^ 栗原安行『カラー版 麻雀教室』日東書院、1986年。ISBN 4528004364。p150。
1980年代に発行されたこちらのルールブックでは、9面張でない形を「準九連宝燈」と表記している。このルールブックでは、9面張ではない形は役満、9面張の形は「大満貫」として両者を区別している。「大満貫は役満の1.5倍の得点」という扱いである(同書p185)。 - ^ 麻雀格闘倶楽部における2003年の集計 - ただし九蓮宝燈は萬子のみ。2011年9月8日閲覧。なお、麻雀格闘倶楽部は大車輪と八連荘を役満として採用しており、この2つの出現数は純正九蓮を下回っている。(純正九蓮32件0.0167%に対し、大車輪29件0.0151%、八連荘9件0.00469%)
- ^ 阿佐田哲也『麻雀放浪記』1969年初出、角川文庫版第1巻「青春篇」、ISBN 4041459516、p320-p321。
- ^ 井出洋介監修『平成版 麻雀新報知ルール』報知新聞社、1997年、ISBN 9784831901187、p75。
- ^ 浅見了. “九蓮宝灯”. 2013年7月24日閲覧。
- ^ 大手のオンライン麻雀では次のように扱いが分かれている。
- ダブル役満 - ハンゲーム(麻雀4 ルール)
- ダブル役満 - 東風荘(東風荘 麻雀ルール)
- ダブル役満 - 麻雀格闘倶楽部(麻雀格闘倶楽部7 あがり役一覧表)
- シングル役満 - ロン2(ロン2 遊び方・ルール)
- シングル役満 - 天鳳(天鳳 / マニュアル)
- シングル役満 - MJ4(MJ4 採用ルール)
- ^ 麻雀の数学 10. 1色の数牌13枚が聴牌形である確率 - 門前清一色の聴牌パターンは(一色あたり)40196種類なので、9/40196≒0.0224%。なお組み合わせ数については、七連宝燈が全部で2048通り、八連宝燈のパターン1,3,4,6が計65536通り、パターン2,5が計12288通り、九連宝燈が262144通りで、23枚待ちの総組み合わせ数は計342016通り。門前清一色の全聴牌1122505864通りのうち0.0305%である。