「バックギャモン」の版間の差分
→外部リンク: 外部リンクの修正 http:// -> https:// |
|||
151行目: | 151行目: | ||
* [[望月正行]]…日本人初の世界チャンピオン。 |
* [[望月正行]]…日本人初の世界チャンピオン。 |
||
* [[武宮正樹]]…バックギャモンを愛好する[[囲碁]][[棋士 (囲碁)|棋士]]として有名。 |
* [[武宮正樹]]…バックギャモンを愛好する[[囲碁]][[棋士 (囲碁)|棋士]]として有名。 |
||
* [[森 |
* [[森雞二]]、[[櫛田陽一]]、[[森内俊之]]、[[片上大輔]]…バックギャモンを愛好する[[将棋]][[棋士 (将棋)|棋士]]として有名。 |
||
* [[すぎやまこういち]]…日本バックギャモン協会名誉会長。[[ファミリーコンピュータ ディスクシステム|ディスクシステム]]の『バックギャモン』では一部の曲の作曲を担当した。 |
* [[すぎやまこういち]]…日本バックギャモン協会名誉会長。[[ファミリーコンピュータ ディスクシステム|ディスクシステム]]の『バックギャモン』では一部の曲の作曲を担当した。 |
||
* [[木原直哉]]…[[ポーカー]]選手になる前、バックギャモンの選手だった。 |
* [[木原直哉]]…[[ポーカー]]選手になる前、バックギャモンの選手だった。 |
2020年7月16日 (木) 23:01時点における版
1枚のボードと15個の駒2組、2個のサイコロ2組、1個のダブリングキューブ、2個のダイスカップからなるバックギャモンセット | |
期間 | 約5千年前から現在 |
---|---|
ジャンル |
ボードゲーム レースゲーム サイコロゲーム |
プレイ人数 | 2 |
準備時間 | 10 - 30秒 |
プレイ時間 | 5 - 60分 |
運要素 | 中程度(サイコロ) |
必要技能 | 戦略、戦術、 カウンティング[要リンク修正][要曖昧さ回避]、確率 |
バックギャモン (Backgammon) は基本的に2人で遊ぶボードゲームの一種で、盤上に配置された双方15個の駒をどちらが先に全てゴールさせることができるかを競う。世界最古のボードゲームとされるテーブルズの一種である。日本には飛鳥時代に伝来し、雙六・盤双六の名で流行したが、賭博の一種であるとして朝廷に禁止されている。
サイコロを使用するため、運が結果に対する決定因子の一つであるものの、長期的には戦略がより重要な役割を果たす[1]。プレイヤーはサイコロを振るたびに膨大な選択肢の中から、相手の次の可能性のある手を予測しながら自手を選択し、自分の駒を移動させる。現代のルールは20世紀初頭のニューヨークを起源とするとされ、ゲーム中に勝ち点の点数(後述)をレイズする(上げる)ことができる(ダブリングキューブを参照)。
チェスと同様に、計算機科学者の興味の対象として研究がなされ、それにより作り出されたソフトウェアは、人間の世界チャンピオンを破る程に発展している。
遊び方
盤
盤は、24箇所の地点(ポイント)と、一時的にゲームから取り除かれた駒を置く場所(バー)、ゴールからなる。各ポイントは、1から24までの番号を付けて呼ばれる。駒の進行においてゴールに最も近いものが第1ポイント、最も遠いものが第24ポイントである。双方のプレイヤーにとって、駒の進む向きは逆であるため、自分と相手ではポイントの番号も異なるものとなり、例えば自分の第1ポイントは相手の第24ポイントである。第5ポイント(相手にとっての第20ポイント)はゴールデンポイントといい、ここのポイントの確保(後述)はゲームの流れを左右することが多い。
駒の配置
各プレイヤーは、第6ポイントに5つ、第8ポイントに3つ、第13ポイントに5つ、第24ポイントに2つの駒を初期配置する。第24ポイント(相手側にとっての第1ポイント)に配置された駒をバックマンという。
先手の決定
日本では、まず、最初に双方が1つずつのサイコロを振り、大きい目が出た方が先手となる。このとき出た目はそのまま先手の最初の出目として使われる。双方が同じ目の場合には再び振りなおす。米国などでは、コイントスで決めるのが習慣になっている州もある。ただし、コイントス法は一部の団体が批判している[要出典]
駒の移動
- 2つのサイコロを振り、出た目の数だけ駒を動かす。同じ駒を2回動かしても、それぞれのサイコロで異なる駒を動かしても構わない。また原則として出た目は最大限使わなければならない(例えば4と5の目の際にある駒を3つ進めることはできない、ただし後述のように駒をゴールさせる場合に限り例外がある)
- ぞろ目が出た場合には、通常の2倍(すなわち、ぞろ目となっている数の4回分)駒を動かすことができる。この場合も4つの駒をそれぞれ動かすことも、1つの駒を目の4倍分進めることも可能である。
- 駒は、相手の駒にヒット(後述)されて盤上から取り除かれる場合を除いて、後戻りできない。
- 同じポイントに敵と味方の駒が同時に存在することはない。
- 移動しようとするポイントに敵の駒が2つ以上存在する場合、そのポイントには移動できない(これをブロックという)。ブロックを作ることを、ポイントを作る、あるいはポイントを確保するという。なお1つの駒を2つのサイコロの目で動かすときは、サイコロの目が合計されるのではなく、2回の動きを続けて行うとみなされるところに注意しなくてはならない。例えば3と5の目が出たときに、ある駒の8つ先のポイントが空いていたとしても、3つ先と5つ先にともに敵のブロックがあればその駒は動かせない。
- 敵の駒が1つだけあるポイント(これをブロットという)に駒を移動した場合、それまであった敵の駒を一時的にゲームから取り除かれる。これをヒットという。
- ヒットされた駒はバーに移動させる。次回以降の駒移動のサイコロの目を使って、相手の第1〜6ポイント(自分の第24〜19ポイント)に再配置する。すなわち、バーは自分の第25ポイントと考えてよい。
- バーにある自分の駒は最優先で動かさなければならない。バーにある駒を動かすことをエンターという。
- すべての駒の移動先がブロックされている場合、その回には全く移動できない。これをダンスという。特に、バーに駒があり、相手インナー(第19〜24ポイント)がすべてブロックされていて駒を動かせない状態をクローズアウトと呼び、この場合サイコロを振ることもできない(いかなる目が出てもダンスになってしまう)
- ルールに従った移動が可能な限り、サイコロの目を可能な限り多く使わなければならない。目の両方が動かせるが、片方を使った場合に他方が使えない場合には、大きい目で動かさなければならない。
- 駒がゴールするためには、自分の駒がすべてが第1〜6ポイント(自分のインナー)になければならない。自分の駒を第6ポイント以内に全て集めることをベアリングインという。
- ベアリングインが完了すると、自分の駒をゴールさせることができる。これをベアリングオフという。ベアリングオフした駒は、盤上から取り除かれ、その後ゲーム中で使用することはない。
- 一部の駒がベアリングオフした状態であっても、自分の駒がヒットされた場合、その駒が自分のインナーに戻る(つまり再度ベアリングインが完了する)まで、駒をゴールさせることはできない。
- サイコロの目の数通りに移動できる駒がない場合は、より大きな数の目であってもゴールが可能である。たとえば、自分の駒が第21ポイントに1つ、第22ポイントに1つ、第23ポイントに2つある場合で、出た目が5と6であった場合は第21ポイントと22ポイントの駒をゴールさせることができる。
基本的なゲームポイント
ここで言うポイントとは、勝ち点のことである。このゲームのポイントはその勝ち方によって3通りに分かれる。
- 相手の駒がゴールし始めている状態で勝利した場合、勝者は1ポイントを獲得する。これをシングルという。
- 相手の駒が1つもゴールしていない状態で勝利した場合、勝者は2ポイントを獲得する。これをギャモンという。
- 上記の場合でさらに相手の駒がバーもしくは勝者側のインナーに残っていた場合、勝者は3ポイントを獲得する。これをバックギャモンと呼ぶ。
ダブル(後述)がなされている場合には、ダブリングキューブが表示する倍率をこれに乗じたものとなる。
競技会ルールでは、5以上の奇数ポイントを統一して設定し、そのポイントを先取した者の勝利としてゲームを行うことが普通である。ただし、ダブルがあるために、一度のゲームで勝敗が決まることもある。なお、デュースのルールは一般的でない。
ダブルおよびダブリングキューブ
手番プレイヤーは、試合中移動のサイコロを振る前にそのゲームの得点を倍にする「ダブル」を提案できる。相手プレイヤーがダブルを拒否した場合はゲームは終了となり、ダブルの提案をした側が1点勝ちとなる。ダブルの提案を受けることをテイク、断ることをパスという。
ダブルには2つの意義があり、ポイントを2倍にするという意義と、大勢が決しているゲームを終わらせるという意義がある。
特に後者について、ダブルが導入される以前は、勝敗が完全に確定するまで、優勢な側は単なる作業として、劣勢な側はわずかな逆転の望みに懸けて、ただダイスを振り続けるという実質的にほとんど意味のない行動を双方がしなければならなかった。ダブルの導入は、前述の状況を解消し、ゲームのスピーディー化をもたらしたという意味で重要であり、ダブルがこのゲームを絶滅から救ったとまで言われるほどである。
このためダブルは通常優勢な側のプレイヤーが提案する。
双方がダブルをかけていない状態においては、どちらのプレイヤーがかけてもよいが、2回目以降のダブル(リダブル)は前回ダブルを受け入れた側のプレイヤーにだけかける権利がある。すなわちダブルを提案して同意された場合、相手にだけリダブルの権利が生じることに注意が必要である。リダブルを拒否した場合、拒否した側の2点差負けとなる。双方がダブルをかけ合った場合、得点率は4倍、8倍、16倍、……と倍々で増加してゆくことになる。
ダブリングキューブと呼ぶ2、4、8、16、32、64の記されたサイコロを使って現在の倍率を表示し、そのキューブの置かれた位置によって次にダブルをかける権利のあるプレイヤーを示す。初期状態ではキューブは中央に置かれ、また通常のダブリングキューブには1の面がないため、64の面を上にしてその代わりとする。
ダブルを交互にかけ合い続けた場合、理論的には倍率は際限なく上がることになるが、実際にはそこまでダブルをかけ合うほどの連続逆転は起こりがたく、また競技会ルールでの必要得点などの面からもそのようなダブルには意味のないことが多い。これ以上ダブルの倍率を上げることが無意味になった状態や、クロフォードルール(後述)が適用されているゲームのことをキューブデッドという。128倍以上の高倍率が記された特殊なダブリングキューブも存在するが一般的ではないため、このような倍率が実際に発生した場合には、少なくとも競技者双方にとって紛らわしくないような表示を適宜決める必要がある。
ダブルに関して、「25%理論」と呼ばれる理論がある。これは、逆転の確率が25%以上ある場合は、ダブルを受け入れた方がよいというものである。
たとえば、逆転確率が25%の全く同じ状況が4回発生したとする。もし、4回ともダブルを受けずに敗北を宣言すると4回とも失点1なので、合計は失点4となる。もし、4回ともダブルを受け入れる場合は4回のうち1回は勝って得点2、残り3回は負けて失点6となり、合計は失点4となる。よって、逆転の確率が25%の場合、失点の合計はダブルを受けても受けなくても変わらない。このため、勝率が50%を超える場合はダブルをかけるほうが有利であり、またダブルをかけられたほうは逆転の可能性が25%を超えるならばダブルを受け入れる方がよいという、興味深い設定となっている。
ただし、これは盤面の特殊な状況(例えば、負ける場合はギャモン負けとなる可能性が高い状態など)を考慮せず、また持ち点が無限にあると仮定した場合の戦略であり、実際にはそのときの盤面や、競技会ルールの場合には現在の持ち点を考慮してダブルの是非を決めることになる。また、ダブルをかけるということは、相手が受け入れた場合、次にダブルを提案する権利が相手にだけある状態になることでもあり、これによって戦略上の不利が生じる場合もあるので注意が必要である。
ダブルに関して、以下のような変則ルールが存在する。
- クロフォードルール
- 競技会ルールで、どちらかのプレイヤーが先にマッチポイント(あと1点で勝利を得る状態)になった場合、次の1ゲームに限りダブルをかけられない、というルール。マッチポイントを得たプレイヤーの優位性を保護するためのルールであり、ほとんどの競技会で採用されている。ただし、クロフォードルールは1ゲームに限り適用され、そのゲームが終わると解除され、ダブルをかけることができるようになる。例えば、5点先取のマッチで、Aが1点、Bが4点の場合、Aはダブルを提案できないが、そのゲームでAがシングル勝ちし、Aが2点、Bが4点となると依然BのマッチポイントであるがAはダブルを提案できる。
- オートマチックダブル
- 先手を決める最初のサイコロが双方同じ目となった場合、ダブルの倍率を2倍にしてから振り直す、というルール。先手が決まるまで、同じ目が出続ければさらに倍々となってゆく。上がるのは倍率のみで、最初のダブルをかける権利は変わらず双方にある。競技会では通常採用されないが、米国の一部地域では一般的なルールであり、この地域を経由して日本に伝えられれたことにより、書籍によっては一般的なルールであると解説されていることがある。
- ビーバー
- ダブルを提案されたプレイヤーが通常のダブルを受ける選択の他に、そのさらに2倍の倍率を逆提案できるルール。すなわち倍率はダブルをかける前の4倍となり、次のダブルをかける権利はビーバーで受けた、すなわち最初にダブルを提案した側が持つ。前述の25%理論と同様の設定では、双方が勝率を正しく判断しているならばビーバーで受けるべきダブルがかけられることはありえないので、ビーバーで受けるのは主に、相手の勝率計算が誤っていると考えた場合になる[2]。ビーバーを逆提案された場合、当初ダブルを提案した側が拒否することも可能であり、この場合はビーバーを逆提案したプレイヤーの1点差勝ちとなる。競技会では通常採用されない。
- ジャコビー
- ダブルがかけられていない場合、ギャモン勝ちやバックギャモン勝ちも1点勝ちするルール(ダブルがかけられると、ギャモン勝ちは4点、バックギャモン勝ちは6点となる)。ダブルをかけて降りられては1点しか得られないため、ギャモン勝ちが見えている場合(このような状況をトゥーグッドトゥーダブルという)ダブルをかけずに進行することになり、ダブルの趣旨であるゲームの迅速化が果たされないので、このようなギャモンを認めずにさらなる迅速化を図る目的がある。ただし勝敗がほぼ決してからのギャモンの成否も戦術のうち(次項のギャモントライを参照)といえるため、競技会では通常採用されないが一定の得点で勝敗を決しない方法(マネーゲームという)ではほぼ確実に採用される。
基本的な戦略
基本的なゲーム戦略としては、
- 相手からのヒットを避ける(ブロットを作らない)ようにして駒を進めること
- ヒットした相手の駒を再配置させない、または再配置後の移動が困難になるよう自分の駒を移動させることにある。
ただし、サイコロの目によって採りうる戦略は左右されるため、状況により随時その戦略を変えなくてはならない。 そのため以下のような戦術がある()内は別名。
- プライミング:連続した6つのポイントをブロック(これをプライムという)し、その先にある相手の駒を進めないようになった状態もしくは、4~5個連続したブロックポイント(これをセミプライムという)をつくることで相手のバックマンを捉えて、動きを阻み、相手がインナーの防御を壊さざるを得ない状況(動かせる駒がある場合は動かさなければならないため)を作る。この結果としてインナーの駒が進み過ぎてしまった状態をナッシングボードという。
- ブロッキング(ホールディング):相手インナーに複数のポイントを確保し、ベアリングイン途中で生じたブロットをヒットする。自分のインナーにセミプライムを形成できていると効果的である。
- アタッキング(ブリッツ):序盤から積極的に相手をヒットし、プライム・クローズアウトにより相手をねじ伏せる。相手のコマを連続してヒットし続けることで、相手のバックマン2個をバーの上に載せ続け、相手の行動を完全に封殺する戦法である。勝つときは大抵ギャモン勝ちとなるという決まると爽快な戦法である。ただし、一度失敗すると取り返しがつかないこともよくあり、細心の注意が必要とされる。
- バックゲーム:不利な状況において相手インナーの深いポイントを複数確保し、逆転を狙う。失敗すればギャモン負け必至の背水の陣の戦略であるが、それだけに成功したときはアタッキングとは違う意味での快感がある。
- ランニング:序盤から大きい目やゾロ目が連続して出てヒップカウントの優位を確保した場合、早々に双方の駒が完全にすれ違いヒットされる可能性のない状態(これをノーコンタクトという)に持ち込んで、安全勝ちを目指す。ギャモン勝ちは狙いにくいが優勢を確保してから、逆転される可能性が低く安全性の高い戦略である。
- ギャモントライ:勝利が確実な状況になった際に、ダブルを提案せずギャモン勝ちを目指す戦略。逆に敗北が確実な状況でギャモン負けを回避する戦略をギャモンセーブという。ギャモントライやギャモンセーブは勝負結果自体は見えているため副次的なものと考えられがちであるが、その成否は1ゲームの勝敗に相当するため、これらも重要な戦略である。
形勢判断
形勢判断の材料として一般的に用いられるのがピップカウントである。これは、自身のコマのゴールからの距離の合計値であり、通常は小さい方が有利とされる。また一般にインナーまで多くの駒を進めている側は優勢であるが、上記の通り相手インナーにブロックポイントを作る戦術もあり、またサイコロの目次第での大逆転が有り得るためチェスのような明白な優劣がついている状態は起こりにくい。大逆転につながるようなサイコロの目をジョーカーという。
対コンピュータ
ルールが比較的シンプルなこともあり、コンピュータの黎明期からさまざまなプログラムが作成されている。ネット上での対戦も容易であり、Play65やGridGammonなどが存在しており活発にプレイされている。
解析ソフトウェアの進歩により戦略に革命を起こした。
有名なのはSnowie[3]、GNU Backgammon[4](略称gnubg)、eXtreme Gammon[5](略称XG)である。SnowieおよびeXtreme Gammonは日本では日本バックギャモン協会から有償で販売されている。GNU Backgammonは自由なソフトウェアであり無償である。
サイコロを使う偶然性があり、ある局面の有利不利、あるいはある局面での動かし方についてその局面から何度もプレイしてみても正確な評価が非常に難しいことがあるが、Variance Reduction[6](分散低減)という手法を用いられるようになり、解析ソフトウェアは非常に精度の高い局面評価、最善手の検索が可能となった。
解析ソフトウェアを使用すると、ある局面の有利不利の評価、最善手が分かるようになる。しかし何故その局面がそう評価されるのか、何故それが最善手なのかは教えてくれない。教えてくれるのは「この局面の勝率は63%だ」とか、「最善手はこの動かし方で、勝率が3%下がる次善手はこれ」といった情報である。そのため、人間がその情報を元に上達するためには局面の解析結果から人間的思考手順を導き出さなければならない。
歴史
セネト
原型は紀元前3,500年頃の古代エジプトでプレイされたセネトと呼ばれる10枡3列の遊戯盤ではないかという説があるが、現代のものとは見た目もルールも大きく異なるため、プレイすると、かなり違和感を覚える。ツタンカーメン王の墓からもセネトの道具が発掘されている。元々は古代エジプト人にとって最大の関心事であった「死と再生」の過程が盤上に描かれるなど、セネトはエジプト神話及び宗教と結びついたものであった。だが、エジプト文明の衰退とともに宗教色が薄れ、エジプト末期王朝には宗教的な絵やヒエログリフが外されていった。これがかえってギリシアやローマに受け入れられていく素地となっていった。
タブラ
ローマ帝国では改良が加えられて12枡3列となり、タブラと呼ばれるようになる。5世紀頃に現在のものと同じ様に12枡2列となり、中世ヨーロッパで広く遊ばれるようになった。だが、賭博のための遊戯としての色彩が強まるとともにキリスト教的な観点から批判する声も高まり、宗教改革期にはタブラの廃絶運動が起こった。だが、聖俗問わずタブラを好む人が多かったために完全な廃絶には至らなかった。むしろ、ルーレットなどの新たな賭博の出現がタブラを主役から降ろす事になる。
ナルド
一方、ギリシア・ローマの影響を受けて、中近東方面でもナルド(Nard)の名前で広がった。
雙陸
雙六
日本への伝来は7世紀で、持統天皇の治世に早くも雙六(盤双六)賭博禁止令が出されている[7](以後の歴史については盤双六を参照のこと)。なお、西洋型は戦国時代に初めて伝来したが、盤双六に馴染んだ日本人には受け入れられなかったようである。
だが、盤双六は幕末から明治維新にかけて他の賭博に押されて衰退していき、遅くても昭和初期ごろには消滅したとされる。
明治以後に再伝来したものとは歴史的な連続性は無いと考えられている。
バックギャモン
一方、ヨーロッパでも20世紀に入ると、衰微の様相を呈していたが、1920年代にアメリカで発明された「ダブリングキューブ」が導入されてゲーム性が高められると、再び盛んになり始めた。今日においてもインド以西のユーラシア大陸全域とアメリカにおいては代表的なボードゲームの一つである。
脚注
- ^ “"Backgammon Luck vs Skill"”. backgammon.org. 2014年8月25日閲覧。
- ^ ただし、このゲームは1ゲームだけで勝敗が決まるものではなく、ポイントマッチであるため得点の状況によっては、ビーバーで受ける方が得になる状況も有り得る。例えば9点先取のマッチでAが7点、Bが5点の状態で、Aがダブルを提案した場合、Bはビーバーで受けるのが絶対優位戦略となる。
- ^ “Backgammon Snowie - the new software by Snowie Group”. 2014年8月25日閲覧。
- ^ “GNU Backgammon”. 2014年8月25日閲覧。
- ^ “eXtreme Gammon, backgammon learning and analyzing program”. 2014年8月25日閲覧。
- ^ David Montgomery著、仙石祥一郎 訳 (2000年6月30日). “Variance Reduction”. 2014年8月25日閲覧。
- ^ 「賭博3」(ものと人間の文化史40-3)p5 増川宏一 1983年10月5日初版第1刷発行
参考文献
- 増川宏一『すごろく ものと人間の文化史79』(法政大学出版局、1995年) ISBN 4-588-20791-1
- 日本バックギャモン協会『バックギャモン・ブック』(河出書房新社、2002年) ISBN 978-4-309-26597-1
- 日本バックギャモン協会『改訂新版 バックギャモン・ブック』(河出書房新社、2017年) ISBN 978-4-309-27841-4
関連項目
- 世界バックギャモン選手権
- 矢澤亜希子…プロフェッショナルバックギャモンプレイヤー。日本人女性初、2014年の世界チャンピオン。
- 望月正行…日本人初の世界チャンピオン。
- 武宮正樹…バックギャモンを愛好する囲碁棋士として有名。
- 森雞二、櫛田陽一、森内俊之、片上大輔…バックギャモンを愛好する将棋棋士として有名。
- すぎやまこういち…日本バックギャモン協会名誉会長。ディスクシステムの『バックギャモン』では一部の曲の作曲を担当した。
- 木原直哉…ポーカー選手になる前、バックギャモンの選手だった。