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「ベクトル化」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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===単純DOループ===
===単純DOループ===
たとえば以下のようなDOループは1つのベクトル命令に出来る。
たとえば以下のようなDOループは1つのベクトル命令に出来る。
<source lang="fortran">
<syntaxhighlight lang="fortran">
DO 100 I = 1, 100
DO 100 I = 1, 100
A(I) = A(I) * B(I)
A(I) = A(I) * B(I)
100 CONTINUE
100 CONTINUE
</syntaxhighlight>
</source>


===IF文を含むDOループ===
===IF文を含むDOループ===
以下のような、IF文を含むDOループは、それをサポートするハードウェアがあればベクトル化が可能である。
以下のような、IF文を含むDOループは、それをサポートするハードウェアがあればベクトル化が可能である。
<source lang="fortran">
<syntaxhighlight lang="fortran">
DO 100 I = 1, 100
DO 100 I = 1, 100
IF (A(I) .GT. 0.0) THEN
IF (A(I) .GT. 0.0) THEN
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END IF
END IF
100 CONTINUE
100 CONTINUE
</syntaxhighlight>
</source>


この場合、たとえば[[NEC SX|SXシリーズ]]では、
この場合、たとえば[[NEC SX|SXシリーズ]]では、

2020年7月5日 (日) 22:38時点における版

ベクトル化(ベクトルか、: vectorize

  • ベクトル命令化 - コンパイル時にループをベクトル演算命令に変換すること。この項目で説明。
  • ベクトル(1次元配列)の演算をサポートするプログラミング環境で、ループをベクトルに書き換えること
  • 行列(多次元配列)を同じ要素を持つベクトル(1次元配列)に変換すること→行列の一列化
  • 他の形式のデータをベクタ形式データに変換すること

ベクトル化とは、コンピュータプログラムにおいて、繰り返し処理で配列ベクトル)の要素をひとつひとつ計算しているような部分を、手動あるいはコンパイラで(自動ベクトル化)、ベクトル計算機で高速に演算できるよう変形すること。近年のSIMD演算のための並列化スーパースカラ機でのソフトウェアパイプラインに応用できる内容もある。

High Performance Fortranはこれらの高速化を意識したプログラミング言語である。

ベクトル化の手法

以下ではFORTRANのコードを例にとって説明する。基本的に、ループ演算を1つのベクトル演算命令にするので、DOループがベクトル化対象となる。なお、ベクトル命令に出来るパターンは各機種毎、コンパイラ毎に多少異なる。

単純DOループ

たとえば以下のようなDOループは1つのベクトル命令に出来る。

      DO 100 I = 1, 100
         A(I) = A(I) * B(I)
  100 CONTINUE

IF文を含むDOループ

以下のような、IF文を含むDOループは、それをサポートするハードウェアがあればベクトル化が可能である。

      DO 100 I = 1, 100
         IF (A(I) .GT. 0.0) THEN
            A(I) = A(I) * 2.0
         END IF
  100 CONTINUE

この場合、たとえばSXシリーズでは、

  • 配列Aの各要素について、IF文を満たすか満たさないかを判断するマスクベクトルを作成。
  • マスクが真の部分だけを演算する、ベクトル命令を生成。

という方法でベクトル化を行なう。

多重ループ

多重ループは、全部まとめて1つのベクトル命令を生成することもある。また、効率化をはかるために、内側のループと外側のループを入れ替える場合もある。これは、ベクトル化を行なうためには、データがメモリ上で連続している必要があるからである。 たとえば、二次元配列を演算する場合、内側のループが連続したメモリをアクセスするようになっていない場合には、演算する順番を入れ替えて(すなわちDOループの内側と外側を入れ替えて)ベクトル化が容易になるようにする。

関連項目

参考文献

  • 近藤良三「SXシステムの言語処理系」『NEC技報』第39巻第1号、1986年、NAID 40004407108