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「自叙帖」の版間の差分

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=== 蘇舜欽蔵本 ===
=== 蘇舜欽蔵本 ===
この本は、[[米フツ|米芾]]の『宝章待訪録』や『[[中国の書論#書史|書史]]』の記録によると、もと[[李イク|李煜]]が蔵し<ref>印記(「建業文房之印」)と跋文による。</ref>、[[蘇舜欽]]の祖父・[[蘇易簡]]に帰してから蘇家に4代にわたって蔵されていたという。それから諸家を経て、[[清]]になって[[乾隆帝]]に帰してから内府に蔵され、引き続き北平の故宮博物院に伝えられたが、現在は台北の[[国立故宮博物院]]にある。
この本は、[[米芾]]の『宝章待訪録』や『[[中国の書論#書史|書史]]』の記録によると、もと[[李イク|李煜]]が蔵し<ref>印記(「建業文房之印」)と跋文による。</ref>、[[蘇舜欽]]の祖父・[[蘇易簡]]に帰してから蘇家に4代にわたって蔵されていたという。それから諸家を経て、[[清]]になって[[乾隆帝]]に帰してから内府に蔵され、引き続き北平の故宮博物院に伝えられたが、現在は台北の[[国立故宮博物院]]にある。


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2020年7月3日 (金) 06:13時点における版

自叙帖(じじょじょう)は、代の書家懐素代宗大暦12年(777年)に書いた書作品。

概説

『自叙帖』は、張旭と並び、狂草の代表的作品とされている。内容はその名の通り懐素自身の学書の経歴を書き記した自己宣伝文である。顔真卿が懐素のために作った『懐素上人草書歌序』や諸家が懐素の書を賛美した詩文を引用しながら論旨を進めている。

懐素の自叙伝は何種類もあったといわれ、代に以下の3本が残っていたことが著録されている。真跡が現存するのは「蘇舜欽蔵本」。

  • 石揚休(せきようきゅう)家蔵本
刻本が伝わるが書風も書写年代も「蘇舜欽蔵本」と異なる。黄庭堅がこの本を数本、臨模したという。
  • 馮京(ふうけい)家蔵本
宋の内府に入り[1]の内府にもあった[2]が現存しない。

蘇舜欽蔵本

この本は、米芾の『宝章待訪録』や『書史』の記録によると、もと李煜が蔵し[3]蘇舜欽の祖父・蘇易簡に帰してから蘇家に4代にわたって蔵されていたという。それから諸家を経て、になって乾隆帝に帰してから内府に蔵され、引き続き北平の故宮博物院に伝えられたが、現在は台北の国立故宮博物院にある。

『自叙帖』(真跡本)懐素書、台北・国立故宮博物院

用筆はかなり速く、結体にこだわらずに書いているようだが、法をはずれた書き方ではない。ただし、この本の巻頭の6行は破損のため、蘇舜欽が補写したもの[4]。巻末に「大暦丁巳冬十月廿有八日」の款記がある。石に刻された大部分はこの本がもとになっており、文徴明の跋文と文彭の釈文を付して刻された「水鏡堂本」(単行本)が著名である。原文は『墨池編』や『書苑菁華』にも収録されているが、この本とは字句に異同がある。本文は136行、毎行の字数は不定、全体で702字ある。28.3×755.0cmの紙本。

脚注

  1. ^ 宣和書譜』の記録。
  2. ^ 元の王惲の『玉堂嘉話』に記録。
  3. ^ 印記(「建業文房之印」)と跋文による。
  4. ^ 蘇舜欽は草書をよくし、兄の蘇舜元とともに「二蘇の草聖」といわれた。

出典・参考文献

  • 「懐素・自叙帖」(『書跡名品叢刊』第2集、二玄社、1967年6月)
    • 伏見冲敬(巻末解説)
  • 西川寧ほか 「草書」(『書道講座』第3巻 二玄社、1969年5月)
  • 西川寧ほか 「書道辞典」(『書道講座』第8巻 二玄社、1969年7月、P.58)
  • 飯島春敬ほか 『書道辞典』(東京堂出版、1975年4月、P.103)
  • 藤原鶴来 『和漢書道史』(二玄社、2005年8月、P.124)ISBN 4-544-01008-X
  • 比田井南谷 『中国書道史事典』普及版(天来書院、2008年8月、PP..219-220)ISBN 978-4-88715-207-6
  • 角井博ほか 『〔決定版〕中国書道史』(芸術新聞社、2009年1月)ISBN 978-4-87586-165-2
    • 大野修作 「隋・唐・五代」、P.104
  • 「図説中国書道史」(『墨スペシャル』第9号 芸術新聞社、1991年10月)
    • 鶴田一雄 「名品鑑賞 隋・唐・五代」、P.111
  • 西林昭一・鶴田一雄 「隋・唐」(『ヴィジュアル書芸術全集』第6巻 雄山閣、1993年8月、PP..116-117)ISBN 4-639-01036-2

関連項目