「ボーイスカウト日本連盟の進歩制度」の版間の差分
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2020年6月29日 (月) 00:00時点における版
進歩制度 (しんぽせいど) とはボーイスカウトの教育における制度のひとつである。班制度と共にボーイスカウトの独特の二大制度とされる[1]。
概要
日本のボーイスカウトにおける進歩制度
便宜上、進歩制度とともに進級記章および有功記章についても説明する。
進級記章
- ビーバースカウト:横長の楕円形で、ベストの左ポケットに着用。下からビーバー章(水色の縁取り)・ビッグビーバー章(赤色の縁取り)の2種
- ビーバー章・ビッグビーバー章は、年齢による区分であり、一定の基準に達することで取得するものではないので、厳密には進級記章ではない。
- これとは別に、進歩・進級記章ではないが、ビーバースカウト隊仮入隊期間に着用するビーバーバッジがある。(仮入隊課目を履修し、正式に入隊した時には、年齢に応じてビーバー章・ビッグビーバー章を着用する。)
- カブスカウト:赤色のひし形で、制服の左胸ポケットに着用。それぞれ動物の顔がデザインされている。下からうさぎ・しか・くまの3種
- うさぎ・しか・くまのステップ章は、年齢による区分であり、現在、どの課程に挑戦しているかを示している。なお、各課程を修了したことを示す完修章(クリア章)が進歩・進級記章として別に設定されている。
- これとは別に、進歩・進級記章ではないが、カブスカウト隊上進準備期間または仮入隊期間に着用するりすバッジがある。りすバッジは「りすの道」課程の履修期間中に着用し、修了すると、年齢に応じて、うさぎ、しか、くまの各ステップ章を着用し完修章(クリア章)取得を目指す。
- ボーイスカウト:縦長の楕円形で、左胸ポケットに着用。下から初級章(緑色)・2級章(青色)・1級章(赤色)・菊章(紺地に白の菊花)の4種
- これとは別に、進歩・進級記章ではないが、ボーイスカウト隊上進(入隊)後、初級章取得までの期間に着用するスカウトバッジ(通称:見習い)(黄色)がある。
- ベンチャースカウト:縦長の長方形で、左胸ポケットに着用。下からベンチャー章(クリーム色)・隼スカウト章(緑色)・富士スカウト章(えんじ色)
- これとは別に、進歩・進級記章ではないが、ベンチャースカウト隊上進(入隊)後、ベンチャー章取得までの期間に着用するベンチャーバッジや、ボーイスカウト隊で一級章や菊章を取得していた者がベンチャー隊でまず取り組むベンチャー章があったが、制度改定によって2019年春までにどちらも廃止され、ボーイスカウト隊で取得した記章がベンチャースカウト隊でもそのまま受け継がれることになった。
- 旧シニアースカウト部門で富士章を取得した者は「富士スカウト略章」を着用できる。
- ローバースカウトは進級制度がないので記章は存在しない
進歩記章
木の葉章・小枝章
ビーバースカウトが取得する進歩課目である。生活・健康・自然・社会・表現の5つの分野に分かれており、毎回の集会でこのうちの1つまたは複数の分野の章がもらえる。
取得した木の葉章はビーバーノートに貼り付け、木の葉章10枚で小枝章1個を取得する。取得した小枝章は制服(上着)の左ポケットに着用する。
チャレンジ章
カブスカウトが取得する選択課目である。種類は次の5分野39種類。
- 1)社会生活
- 国際、市民、友情、動物愛護、案内、自然保護、手伝い、災害救助員
- 2)自然と野外活動
- 天文学者、自然観察官、ハイカー、キャンパー、地質学者、気象学者、探検家
- 3)技術
- 写真博士、コンピュータ博士、自転車博士、工作博士、通信博士、修理博士、乗り物博士、技術博士、救急博士、特技博士
- 4)スポーツ
- 水泳選手、運動選手、チームスポーツ選手、スキー選手、アイススケート選手
- 5)文化・趣味
- 収集家、画家、音楽家、料理家、フィッシャーマン、旅行家、園芸家、演劇家、マジシャン
取得したチャレンジ章は、6課目までは制服右袖に着用する。ただし、5課目以上の場合はたすきに着用できる。
修得課目(うさぎ・しか・くまのステップ章)を完修(クリア章の取得)していないカブスカウトでも、選択課目(チャレンジ章)の取得は可能だが、選択課目の履修が先行して、修得課目が疎かになることは好ましくない。(修得課目の完修は大原則である。)
ターゲットバッジ
初級以上のボーイスカウトが取得できる選択課目である。種類は次の7分野53種類。各バッジには6つの細目が課されており、うち3つを履修した時点で該当するターゲットバッジを取得できる。また、残りの3つの細目も履修するとマスターバッジを取得できる。
- A)スカウト精神
- メンバーシップ、家庭、地域社会、公民、郷土文化、世界友情、地球市民、B-P、リーダーシップ
- B)健康と発達
- 健康、安全、水泳、運動能力、救護、クラブ活動、外国語、情報処理、マネジメント
- C)スカウト技能 ハイキング
- ハイキング企画、読図、記録、写真、自転車、オリエンテーリング
- D)スカウト技能 追跡
- 観察、計測、通信、森林、野生生物、気象観測、天体宇宙
- E)スカウト技能 キャンピング
- キャンプ企画、野外料理、キャンプクラフト、燃料、ロープ結び、たき火、キャンプマネジメント
- F)スカウト技能 冒険
- 食料、キャンプファイア、サバイバル、フィッシング、パイオニアリング、ウォーターアドベンチャー、スカウトソング
- G)社会生活
- 自然愛護、デンコーチ、近隣奉仕、環境保護、伝統工芸、防災、リサイクル、ガイド
取得したバッジはたすきに着用する。(2020年現在はターゲットバッジ、マスターバッジ制度は無い(技能章に移行された))。
技能章
2級以上のボーイスカウト及びベンチャースカウトが取得できる選択課目である。日本における技能章の種類は以下の77種類。
野営・野営管理・炊事・救急・公民・パイオニアリング・リーダーシップ・ハイキング・スカウトソング・通信・計測・写真・観察・案内・エネルギー・介護・看護・手話・世界友情・通訳・点字・園芸・演劇・音楽・絵画・華道・書道・茶道・水泳・竹細工・伝統芸能・文化財保護・木工・安全・沿岸視察・家庭修理・環境衛生・コンピュータ・裁縫・搾乳・自動車・事務・珠算・消防・信号・森林愛護・洗濯・測量・測候・鳥類保護・釣り・溺者救助・電気・天文・土壌・農機具・農業経営・簿記・無線通信・有線通信・養鶏・養豚・ラジオ・わら工・アーチェリー・オリエンテーリング・カヌー・自転車・スキー・スケート・漕艇・登山・馬事・パワーボート・ヨット・武道武術・環境保護
進級課程改定に伴い、さらに6種の技能章(報道・薬事・防災・情報処理・情報通信・ネットユーザ)が新設された。
取得した技能章は、9課目までは制服右袖に着用する。ただし、7課目以上の場合はたすきに着用できる。
プロジェクトバッジ
ベンチャースカウト部門において、活動プロジェクトを実施後、内容に応じて指導者から授与される。横長の長方形で左胸ポケットの上に着用する。種類は次の8分野
- 1)社会・地球環境(水色) 2)国際文化(青色) 3)高度な野外活動(緑色) 4)体力づくり・スポーツ(橙色) 5)文化活動(薄紫色) 6)専門分野・得意分野の探求(黄色) 7)奉仕活動(赤色) 8)ジュニアリーダー
宗教章
ボーイスカウト日本連盟では、全ての加盟員が、それぞれ明確な信仰を持つことを奨励しており、明確な信仰を持つように導く一つの方法として、信仰奨励章(しんこうしょうれいしょう)と宗教章(しゅうきょうしょう)を設けている。
信仰奨励章及び宗教章の取得に関しては、一定の取得要件を満たさねばならず、また、宗教章は富士スカウト章取得のための課題の一つにもなっているので、手続き上は、進歩・進級記章類に似ているが、どちらかというと表彰に近い性格を持つ有功記章類に近い。
信仰奨励章
信仰奨励章は、初級以上のボーイスカウト及びベンチャースカウトを対象に、宗教章の前段階として、特定の教宗派について取り扱うものではなく、スカウツオウンサービス(Scouts' own serviceの略、大意は「スカウト自身による礼拝」)を通じて日常のスカウト活動の中から信仰心への導きを促す目的で制定された章である。 菊章の必須になっている。 なお、宗教章の前段階という位置付けだが、進歩記章ではないので、信仰奨励章を取得しなければ宗教章に挑戦できないというものではない。
宗教章
宗教章は、1級以上のボーイスカウト、ベンチャースカウト及びローバースカウトを対象に、明確な信仰への導きとして、各教宗派が定めた授与基準を満たしたスカウトに授与される(なお、成人指導者は「既に明確な信仰を持っている」と考えられており、本章の授与対象にはならない)。
現在、神道・仏教・キリスト教・金光教・世界救世教の5種類が定められており、左胸ポケットの上に着用する。
注釈
- ^ 長八州翁『スカウト用語の基礎知識』1987年