「I can't breathe」の版間の差分
可能な限り、{{Dablink}}を使わない。 |
|||
1行目: | 1行目: | ||
{{暫定記事名|代案=アイ・キャント・ブリーズ、I can't breathe|date=2020年6月}} |
|||
{{Dablink|呼吸ができないことについては「[[窒息]]」、「[[:en:Choking|{{Lang|en|en:Choking}}]]」を、[[ZARD]]の楽曲については「[[息もできない]]」を、大韓民国の映画については「[[息もできない (映画)]]」を、その他の用法については「[[:en:I Can't Breathe (disambiguation)|{{Lang|en|en:I Can't Breathe (disambiguation)}}]]」をご覧ください。}} |
|||
{{redirect|I can't breathe|[[the brilliant green]]の楽曲|I Just Can't Breathe...}} |
|||
{{Otheruseslist|[[人種差別]]による[[警察の暴力]]に対する[[抗議]][[スローガン]]|その発端となった事件に関する書籍|:en:I Can't Breathe: A Killing on Bay Street|一般的に息ができないこと|呼吸困難|その呼吸困難によって生じる[[生理学]]的な[[生活反応|反応]]|窒息|[[格闘技]]などの[[絞め技]]として意図的に他人に呼吸困難や窒息を生じさせる技術|裸絞|[[ZARD]]の楽曲|息もできない|[[韓国映画]]|息もできない (映画)}} |
|||
[[File:Justice for All March - Dec. 13, 2014 (15397199274).jpg|thumb|すべての行進への正義と警察の暴力に対する全国的な行進<br/>ワシントンD.C. 2014年12月]] |
[[File:Justice for All March - Dec. 13, 2014 (15397199274).jpg|thumb|すべての行進への正義と警察の暴力に対する全国的な行進<br/>ワシントンD.C. 2014年12月]] |
||
'''息ができない'''(いきができない、{{Lang-en-short|I can't breathe}})は、[[アメリカ合衆国]]の[[ブラック・ライヴズ・マター]]運動にちなんだ[[スローガン]]。2014年と2020年に、[[白人]]警官による過剰な力の結果、逮捕中に窒息死した[[アフリカ系アメリカ人]]男性2人の[[エリック・ガーナー窒息死事件|エリック・ガーナー]]と[[ジョージ・フロイドの死|ジョージ・フロイド]]が発した言葉から派生したこのフレーズは、アメリカ合衆国における[[警察の暴力]]行為に対する抗議として使用されている。 |
'''息ができない'''(いきができない、{{Lang-en-short|I can't breathe}})は、[[アメリカ合衆国]]の[[ブラック・ライヴズ・マター]]運動にちなんだ[[スローガン]]。2014年と2020年に、[[白人]]警官による過剰な力の結果、逮捕中に窒息死した[[アフリカ系アメリカ人]]男性2人の[[エリック・ガーナー窒息死事件|エリック・ガーナー]]と[[ジョージ・フロイドの死|ジョージ・フロイド]]が発した言葉から派生したこのフレーズは、アメリカ合衆国における[[警察の暴力]]行為に対する抗議として使用されている。 |
2020年6月6日 (土) 17:06時点における版
息ができない(いきができない、英: I can't breathe)は、アメリカ合衆国のブラック・ライヴズ・マター運動にちなんだスローガン。2014年と2020年に、白人警官による過剰な力の結果、逮捕中に窒息死したアフリカ系アメリカ人男性2人のエリック・ガーナーとジョージ・フロイドが発した言葉から派生したこのフレーズは、アメリカ合衆国における警察の暴力行為に対する抗議として使用されている。
エリック・ガーナー
この言葉の由来は、2014年7月にニューヨーク市警察の警官によって首を絞められたエリック・ガーナーが死亡したことにある。複数の警官に拘束されたガーナーの映像には、意識を失う前に11回も「息ができない」と発していたことが記録されていた[1]。このスローガンは、2014年12月にガーナーの首を絞めて殺害した警官が無罪判決を受けた後、判決に対する抗議の声が広がる中で人気が飛躍的に上昇した[2]。ハッシュタグ「#ICantBreathe」は、アマチュアやプロのアスリートからの連帯の表明もあり、その月の内に130万回以上ツイートされた[3]。
アスリートらによる最初の表明は、ノートルダム大学のノートルダム・ファイティング・アイリッシュ・ウーマンズ・バスケットボールチームが、12月13日の試合のウォーミングアップ中に「息ができない」と描かれたTシャツを着たときであった[4]。ナショナル・フットボール・リーグ (NFL) とナショナル・バスケットボール・アソシエーション (NBA) の選手ら、特にレブロン・ジェームズは「息ができない」とプリントされた服を着ていた[5]。ジェームズは批判も浴びたが、バラク・オバマ大統領は「レブロンは正しいことをしたと思う... 我々はモハメド・アリやアーサー・アッシュ、ビル・ラッセルが意識を高めるために果たした役割を忘れている」と述べてジェームズの行動を擁護した[6]。12月下旬、カリフォルニア州メンドシーノにあるフォート・ブラッグ統一学区の教員は、高校で行われる3日間のバスケットボール大会の前に「息ができない」と描かれたTシャツを着用することを禁止した。関連して、アメリカ自由人権協会は学生たちを支持する手紙を書いた[7]。
イェール・ブック・オブ・クォーテーションズの編集者であるフレッド・R・シャピロは、2014年の最も注目すべき引用語として「息ができない」を選んだ。シャピロはその瞬間だけの言葉ではなく、「現実的で永続的な影響を持つ言葉」なのだと述べた[3]。グレース・ジ=サン・キム教授とジェシー・ジャクソン牧師は2014年12月のオピニオン記事にて、この言葉は「非武装のアフリカ系アメリカ人が殺害されたことに抗議し、これらを起訴しない制度に異議を唱え、より大きな平等を求める人々のために、ソーシャルメディアや街頭にいる人々のスローガンとなっている」と書いた[8]。
言語学者のベン・ジマーはこれを、2014年のマイケル・ブラウン射殺事件に端を発する「手を挙げて撃つな」や、より古い「正義も平和もない」などの同様のスローガンになぞらえた。ジマーはそれを「独特で強力な叫び声」と呼び、「同じことをしている他の何千人もの人々に囲まれる中で、『息ができない』という言葉を口にすることは、強烈な共感と連帯感のある行為である」と指摘した[9]。ジマーによれば、「我々は息ができない」(We can't breathe) という変化形では、この言葉は社会的な変化に対し向けられ、より比喩的になるとしている。「正義は息ができない」や「我々の民主主義は呼吸することができない」などの抗議の看板に見られる言葉は、ガーナーの死の状況以外においては完全に意味がなくなっている[9]。
アラバマ大学のジョシュア・D・ロスマンは、「息ができない」Tシャツのようなファッションは、「相手からは安っぽいジェスチャーや煽りだとして、反対派から簡単に否定されることが多い」と指摘している。しかし、18世紀後半から19世紀初頭にジョサイア・ウェッジウッドがブレスレットや髪飾り用に作った「私は男でも兄弟でもないのか?」というカメオが流行し、それに続いてアメリカ合衆国における奴隷制度廃止運動において最も広く使用されたシンボルとして、膝をついている奴隷像がさまざまな製品に取り入れられたことを分析して、ロスマンは「政治的な大義のために勢いをつけ、ファッションの価値と意義を過小評価してはならない」と主張した[10]。
2016年10月、ニューヨーク・タイムズは、問題を抱えた青少年のための治療センターで、スタッフによって窒息死させられた17歳の少年の死を報じた。タイムズは、少年が黙り込んでしまう前に「離して、息ができない」と叫んだことに焦点を当て、エリック・ガーナーと明確に類似する描写を行った[11]。
反発
2014年12月19日、ニューヨーク市警察の支持者らは「ニューヨーク市警察のおかげで息ができます」と書かれた黒いパーカーを着てデモを行い、反対派に向かって「逮捕に抵抗するな!」と叫んだ。これとは別に、インディアナ州ミシャワカの警察官のジェイソン・バーセルが制作した、「呼吸は簡単:法を破るな」とプリントし、オンラインで販売したシャツが批判を浴びた[12][13]。バーセルは、「法を破れば、残念だが何かしらそのつけを払うことになるだろうし、その中には綺麗ではないものもあるだろう」と述べた[14]。インディアナ州サウスベンド市議会の議員らは、当時の市長で将来のアメリカ大統領候補だったピート・ブティジェッジに対し、バーセルのユニフォーム・ビジネスとの将来の契約を禁じるための協力を求めた。ブティジェッジの政敵であるヘンリー・デイヴィス・ジュニア氏は、「彼はそのことに触れることを拒否したのですが、触れてみると双方の意見が一致していたのです」と答えている[15]。
ジョージ・フロイド
2020年5月、ミネアポリス警察のデレク・ショビン巡査は、ジョージ・フロイドの首の後ろに8分46秒間膝をついて圧迫して殺害した。フロイドはこの事件を記録した映像の中で、「息ができない」と何度も言っている。彼の嘆願や、警官がフロイドの呼吸を妨げていると叫ぶ傍観者がいたにもかかわらず、ショビンはフロイドの反応がなくなった後も、他の3人の警官が見守る中2分53秒の間拘束を続けた[16]。「息ができない」は、その後の全国規模の抗議活動のスローガンとなった[17]。抗議活動の参加者らは、それをシュプレヒコールする言葉として採用した[18]。アメリカ大統領候補のジョー・バイデンは、6月2日に行われたジョージ・フロイドの死と抗議活動に関する初めての公開演説で、「息ができない。息ができない。ジョージ・フロイドの最後の言葉です。しかし、彼らは彼と一緒に死ななかった。彼らの声はまだ聞こえている。彼らはこの国中で鳴り響いている」と述べた[19]。同日、バイアコムCBSネットワークは番組を中断し、8分46秒間にわたって黒い画面に「息ができない」という文字が表示された[20]。
脚注
出典
- ^ Laughland, Oliver (August 19, 2019). “'I can't breathe': NYPD fires officer who put Eric Garner in chokehold” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ Yee, Vivian (December 3, 2014). “'I Can't Breathe' Is Echoed in Voices of Fury and Despair” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ a b Izadi, Elahe (December 9, 2014). “'I can't breathe.' Eric Garner's last words are 2014's most notable quote, according to a Yale librarian.” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ “Pete Buttigieg Stood by Police Officer Who Mocked and Profited From Eric Garner's Final Plea of 'I Can't Breathe'” (英語). The Intercept (December 19, 2019). June 1, 2020閲覧。
- ^ “NFL, NBA stars bring 'I can't breathe' protest slogan inside the lines” (英語). Fox News. (December 8, 2014) June 1, 2020閲覧。
- ^ Miller, Jake (December 19, 2014). “Obama talks about LeBron James and his "I can't breathe" shirt” (英語). CBS News June 1, 2020閲覧。
- ^ Anderson, Glenda; McCallum, Kevin (December 29, 2014). “Fort Bragg school officials reverse ban on 'I Can't Breathe' T-shirts (w/video)” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ Kim, Grace Ji-Sun; Jackson, Jesse (December 18, 2014). “'I Can't Breathe': Eric Garner's Last Words Symbolize Our Predicament” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ a b “The Linguistic Power of the Protest Phrase 'I Can't Breathe'” (英語). Wired (December 15, 2014). June 1, 2020閲覧。
- ^ “Fashion Statement as Political Statement: The Antislavery Movement and 'I Can't Breathe'” (英語). We're History (December 22, 2014). June 1, 2020閲覧。
- ^ Bromwich, Jonah Engel (October 27, 2016). “'Get Off Me. I Can't Breathe.' Philadelphia Teenager Dies After Struggle at Treatment Center” (英語). The New York Times June 1, 2020閲覧。
- ^ Howell, Kellan (December 20, 2014). “'I can breathe - thanks to the NYPD' shirts flood pro-police NYC rally” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ Ortiz, Erik (December 19, 2014). “Indiana Cop Told to Stop Selling 'Breathe Easy' T-shirts” (英語). Associated Press. NBC News June 1, 2020閲覧。
- ^ Wright, Lincoln (December 16, 2014). “Mishawaka cop hopes to add new perspective to police-race discussion” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ “Pete Buttigieg Stood by Police Officer Who Mocked and Profited From Eric Garner's Final Plea of 'I Can't Breathe'” (英語). The Intercept (December 19, 2019). June 1, 2020閲覧。
- ^ Editorial Board (May 26, 2020). “Another unarmed black man has died at the hands of police. When will it end?” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ Long, Colleen; Hajela, Deepti (May 29, 2020). “'I can't breathe' slogan at US protests” (英語) June 1, 2020閲覧。
- ^ “George Floyd protesters lie down on Main Street in Kansas City chanting 'I can't breathe'” (英語) (2 June 2020). 3 June 2020閲覧。
- ^ “Joe Biden rips Trump 'narcissism,' says he's turned U.S. into a 'battlefield'” (英語). NBC News (2 June 2020). 3 June 2020閲覧。
- ^ “Nickelodeon, MTV and Other Viacom Networks Air Powerful 'I Can't Breathe' Tribute to George Floyd — Watch” (英語). www.yahoo.com (2 June 2020). 3 June 2020閲覧。