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『電撃姫SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ』を参照し、「これD.P.S?」について追記
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== シリーズ概要 ==
== シリーズ概要 ==
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| subtitle = パッケージ作品に限定。
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| 1989 = D.P.S.{{r|maeda56|pcangel36}}
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販売されたゲームはシステムディスクとシナリオディスクを分けた状態で販売された{{r|taizen65}}。このシステムディスクは[[ハードウェア]]のように扱うことが可能で{{r|taizen65}}、システムが他のシリーズ作品との互換性を有している{{r|maeda56}}{{efn|この互換性については、シリーズ2作目の『D.P.S. SG』から4作目『D.P.S. SG set3』までとする紹介記事もある{{r|pcangel38}}。}}。そのほか、廉価版としてシステムディスクの付属しないバージョンも販売された{{r|maeda56}}。シリーズのタイトルは『D.P.S』・『D.P.S. SG』・『D.P.S. SG set2』・『D.P.S. SG set3』・『Super D.P.S.』と1989年から1992年にかけて発売され、これらの作品に収録されたシナリオをまとめた『D.P.S. 全部』が1995年にリリースされている{{r|maeda5657}}。なお、以上の作品はいずれもアリスソフトの[[アリスソフト#配布フリー宣言|配布フリー宣言]]の対象に指定されており、インターネット上での配布が許可されている{{r|about}}。
販売されたゲームはシステムディスクとシナリオディスクを分けた状態で販売された{{r|taizen65}}。このシステムディスクは[[ハードウェア]]のように扱うことが可能で{{r|taizen65}}、システムが他のシリーズ作品との互換性を有している{{r|maeda56}}{{efn|この互換性については、シリーズ2作目の『D.P.S. SG』から4作目『D.P.S. SG set3』までとする紹介記事もある{{r|pcangel38}}。}}。そのほか、廉価版としてシステムディスクの付属しないバージョンも販売された{{r|maeda56}}。シリーズのタイトルは『D.P.S』・『D.P.S. SG』・『D.P.S. SG set2』・『D.P.S. SG set3』・『Super D.P.S.』と1989年から1992年にかけて発売され、これらの作品に収録されたシナリオをまとめた『D.P.S. 全部』が1995年にリリースされている{{r|maeda5657}}。なお、以上の作品はいずれもアリスソフトの[[アリスソフト#配布フリー宣言|配布フリー宣言]]の対象に指定されており、インターネット上での配布が許可されている{{r|about}}。


== 作品内容 ==
== 作品内容 ==
=== D.P.S. ===
=== D.P.S. ===
{{美少女ゲーム系
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{{美少女ゲーム系
{{美少女ゲーム系
| タイトル=D.P.S. 全部
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| 対応機種 = PC-9801VM/FM TOWNS/[[Microsoft Windows|Windows]]{{r|maeda56}}<ref name="dpsall_page">{{Cite web|url=http://www.alicesoft.co.jp/dpsall.html|title=DPS全部|website=アリスソフト公式サイト|publisher=アリスソフト|accessdate=2020-05-07|archiveurl=https://web.archive.org/web/19980422153740/http://alicesoft.co.jp:80/dpsall.html|archivedate=1998-04-22}}</ref>
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『'''D.P.S. 全部'''』は、アリスソフトから[[1995年]]11月に発売されたアダルトゲームである{{r|maeda56}}。上記の『D.P.S.』シリーズ全作品に収録された全シナリオに加え、新作シナリオ「めぐみちゃん物語」が収録された{{r|maeda56}}。
『'''D.P.S. 全部'''』は、アリスソフトから[[1995年]]11月に発売されたアダルトゲームである{{r|maeda56}}。上記の『D.P.S.』シリーズ全作品に収録された全シナリオに加え、新作シナリオ「めぐみちゃん物語」が収録された{{r|maeda56|catalog_dpsall}}。
{{-}}
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== 反響 ==
== 反響 ==
=== シリーズに対する批評 ===
=== シリーズに対する批評 ===
前述のように、本シリーズはプレイヤーがコマンドを選択することで物語が進行する{{r|pcangel46}}アドベンチャーゲームに分類される{{r|pcangel46|maeda56}}。システムとシナリオを別々のディスクに分けてリリースさせた点に関しては、「ツールの都合だったのかもしれないが、だいぶ先進的な発想」と評価する者や{{r|taizen65}}、システムディスクが併用可能なため、シナリオディスク単体で販売されたことはプレイヤー側にとっても経済的だったと言及する者もいる{{r|pcangel38}}。
前述のように、本シリーズはプレイヤーがコマンドを選択することで物語が進行する{{r|pcangel46}}アドベンチャーゲームに分類される{{r|pcangel46|maeda56}}。システムとシナリオを別々のディスクに分けてリリースさせた点に関しては、「ツールの都合だったのかもしれないが、だいぶ先進的な発想」と評価する者や{{r|taizen65}}、システムディスクが併用可能なため、シナリオディスク単体で販売されたことはプレイヤー側にとっても経済的だったと言及する者もいる{{r|pcangel38}}。


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グラフィックに関しては作品を重ねるごとに美麗なイラストへと進化したと伊織が述べており{{r|pcangel46}}、『PC ANGEL』誌では3作目の『D.P.S. SG set2』以降、作品中に一部含まれるアニメーションにウェイトが置かれたと特筆されている{{r|pcangel40}}。
グラフィックに関しては作品を重ねるごとに美麗なイラストへと進化したと伊織が述べており{{r|pcangel46}}、『PC ANGEL』誌では3作目の『D.P.S. SG set2』以降、作品中に一部含まれるアニメーションにウェイトが置かれたと特筆されている{{r|pcangel40}}。


=== 各作品に対する批評 ===
=== 各作品に対する批評 ===
1作目『D.P.S.』に対して、書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』においてレビュアーを担当したごうすとは、作品のストーリーは「当時を感じさせ、多少の理不尽さを感じたりする」と言及している{{r|taizen65}}。『[[コンプティーク]]』誌は「簡素かつ実用性たっぷり」とした{{r|comptiq62}}一方、『PC ANGEL』誌の考察では、それぞれのシナリオでプレイヤーの心を引きつける設定になっている点が評価されている{{r|pcangel36}}。
1作目『D.P.S.』に対して、書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』においてレビュアーを担当したごうすとは、作品のストーリーは「当時を感じさせ、多少の理不尽さを感じたりする」と言及している{{r|taizen65}}。『[[コンプティーク]]』誌は「簡素かつ実用性たっぷり」とした{{r|comptiq62}}一方、『PC ANGEL』誌の考察では、それぞれのシナリオでプレイヤーの心を引きつける設定になっている点が評価されている{{r|pcangel36}}。


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3作目『D.P.S. SG set2』に収録された「いけない内科検診 再び」はシリーズを通して唯一となる続編となった{{r|pcangel46}}。本作に関連して、かつみの甥であるかつきに対してもだまされた格好となった由美子について「2度とだまされるなんてわけがない。おそらくかつみと不毛な関係を続けるよりも、よく似た性格容姿のかつきに好意をもってだまされたふりをしたのではないかと思われる」と考察を行った者がいる{{r|pcangel46}}。また、4作目『D.P.S. SG set3』について『PC ANGEL』誌は、「しんこんさんものがたり」に登場するヒロイン・ゆうがプレイヤーの中では「熱烈なファンが多いらしい」キャラクターだと言及している{{r|pcangel42}}。そのほかライターの伊織は「卒業」に登場するヒロイン・沙夜子について、怪獣を前にした状況の中で自身の悩みを優先して踏みとどまろうとする点を優柔不断な性格だと指摘した{{r|pcangel46}}。PC98シリーズでは初めて256色に対応したアダルトゲームとなった5作目『Super D.P.S.』について同氏は、発売当時はプレイヤーにアリスソフト作品のためだけに256色対応ボードの購入を強いたかもしれないと指摘しているが、とりわけ「遠野の森」に登場するクマの絵には細部へのこだわりが感じられると述べている{{r|pcangel46}}。
3作目『D.P.S. SG set2』に収録された「いけない内科検診 再び」はシリーズを通して唯一となる続編となった{{r|pcangel46}}。本作に関連して、かつみの甥であるかつきに対してもだまされた格好となった由美子について「2度とだまされるなんてわけがない。おそらくかつみと不毛な関係を続けるよりも、よく似た性格容姿のかつきに好意をもってだまされたふりをしたのではないかと思われる」と考察を行った者がいる{{r|pcangel46}}。また、4作目『D.P.S. SG set3』について『PC ANGEL』誌は、「しんこんさんものがたり」に登場するヒロイン・ゆうがプレイヤーの中では「熱烈なファンが多いらしい」キャラクターだと言及している{{r|pcangel42}}。そのほかライターの伊織は「卒業」に登場するヒロイン・沙夜子について、怪獣を前にした状況の中で自身の悩みを優先して踏みとどまろうとする点を優柔不断な性格だと指摘した{{r|pcangel46}}。PC98シリーズでは初めて256色に対応したアダルトゲームとなった5作目『Super D.P.S.』について同氏は、発売当時はプレイヤーにアリスソフト作品のためだけに256色対応ボードの購入を強いたかもしれないと指摘しているが、とりわけ「遠野の森」に登場するクマの絵には細部へのこだわりが感じられると述べている{{r|pcangel46}}。


== 派生作品 ==
== 派生作品 ==
; いけないかつみ先生〜患者さん、おいたはだめよん〜
; いけないかつみ先生〜患者さん、おいたはだめよん〜
: アリスソフトのユーザクラブ会員向けに通信販売限定で単体としてリリースされた{{efn|同ブランドのクラブ会員向けのソフトとしては『[[Only You -世紀末のジュリエット達-]]』に続き、2作目の作品となった{{r|dennou66}}。}}、[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]向けのアドベンチャーゲームである{{r|dennou66}}。内容は『D.P.S.』・『D.P.S. SG set2』に収録された内科検診ものの続編に当たり、本作では大金持ちの女医・かつみ先生が[[大阪]]を舞台に様々な女の子と繰り広げるレズプレイ{{r|dennou66}}が中心となって物語が展開する{{r|dennou68}}。書籍『電脳美少女探検隊』に掲載されたレビューでは、かつみ先生の気ままな性格が本作のゲームシステムにも反映されていると指摘され、イベント発生の条件として用意された乱数要素が本作の攻略難易度を高めていると考察されている{{r|dennou68}}。
: アリスソフトのユーザクラブ会員向けに通信販売限定で単体としてリリースされた{{efn|同ブランドのクラブ会員向けのソフトとしては『[[Only You -世紀末のジュリエット達-]]』に続き、2作目の作品となった{{r|dennou66}}。}}、[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]向けのアドベンチャーゲームである{{r|dennou66}}。内容は『D.P.S.』・『D.P.S. SG set2』に収録された内科検診ものの続編に当たり、本作では大金持ちの女医・かつみ先生が[[大阪]]を舞台に様々な女の子と繰り広げるレズプレイ{{r|dennou66}}が中心となって物語が展開する{{r|dennou68}}。書籍『電脳美少女探検隊』に掲載されたレビューでは、かつみ先生の気ままな性格が本作のゲームシステムにも反映されていると指摘され、イベント発生の条件として用意された乱数要素が本作の攻略難易度を高めていると考察されている{{r|dennou68}}。
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== 脚注 ==
== 脚注 ==
=== 注釈 ===
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
=== 出典 ===
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<ref name="denfami20190801-1">{{Cite web|title=【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先|url=https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/190801a|website=電ファミニコゲーマー|publisher=マレ|date=2019-08-01|accessdate=2019-08-04|author=今俊郎、黛宏和|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200425081927/https://news.denfaminicogamer.jp/projectbook/190801a|archivedate=2020-04-25}}</ref>
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<ref name="dpssg28">[[#dpssg1|「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG」, 美少女ゲーム最前線パート5』, p. 28.]]</ref>
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}}
}}


== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
=== 書籍 ===
=== 書籍 ===
* {{Cite|和書|author=前田尋之|date=2016-08-08|chapter=D.P.S. SG|title=ぼくたちの美少女ゲーム クロニクル|publisher=オークス|isbn=978-4-7990-0809-6|edition=第二刷|pages=56 - 57|ref=maeda}}
* {{Citation|和書|author=前田尋之|date=2016-08-08|chapter=D.P.S. SG|title=ぼくたちの美少女ゲーム クロニクル|publisher=オークス|isbn=978-4-7990-0809-6|edition=第二刷|pages=56 - 57|ref=maeda}}
* {{Cite|和書|author=宮本直毅|date=2017-05-15|chapter=オムニバス形式のエロゲー|title=エロゲー文化研究概論 増補改訂版|publisher=総合科学出版|isbn=978-4-88181-859-6|edition=第1版第1刷|pages=105 - 107|ref=miyamoto}}
* {{Citation|和書|author=宮本直毅|date=2017-05-15|chapter=オムニバス形式のエロゲー|title=エロゲー文化研究概論 増補改訂版|publisher=総合科学出版|isbn=978-4-88181-859-6|edition=第1版第1刷|pages=105 - 107|ref=miyamoto}}
* {{Cite|和書|date=1997-08-30|chapter=いけないかつみ先生〜患者さん、おいたはだめよん〜|title=電脳美少女探検隊|publisher=[[大洋図書]]|isbn=4-88672-599-6|edition=初版第一刷|pages=66 - 69|ref=dennou}}
* {{Citation|和書|date=1997-08-30|chapter=いけないかつみ先生〜患者さん、おいたはだめよん〜|title=電脳美少女探検隊|publisher=[[大洋図書]]|isbn=4-88672-599-6|edition=初版第一刷|pages=66 - 69|ref=dennou}}
* {{Cite|和書|date=2000-10-10|title=パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000|publisher=ぶんか社|isbn=4-8211-0717-1|edition=初版第1刷}}
* {{Citation|和書|date=2000-10-10|title=パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000|publisher=ぶんか社|isbn=4-8211-0717-1|edition=初版第1刷}}
** {{Wikicite|ref=taizen1|reference=ごうすと「Dream Program System(D.P.S.)」、65頁。}}
** {{Wikicite|ref=taizen1|reference=ごうすと「Dream Program System(D.P.S.)」、65頁。}}
** {{Wikicite|ref=taizen2|reference=くれあ☆ばいぶる「DPS SG」、70頁。}}
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=== 雑誌 ===
=== 雑誌 ===
* {{Cite journal|和書|title=次代を走るブランドは過去の歴史から見えてくる……|journal=コンプティーク|issue=2001年7月号|publisher=[[角川書店]]|date=2001-7-01|pages=62 - 63|ref=comptiq}}
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* {{Cite journal|和書|title=今世紀ラストにアリスが贈る、美少女ゲームのTOY BOX 20世紀アリス|journal=[[DENGEKI HIME|電撃姫]]SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ|publisher=[[メディアワークス]]|date=2001-1-10|page=58 - 59|ref=dengeki}}
* {{Cite journal|和書|title=今世紀ラストにアリスが贈る、美少女ゲームのTOY BOX 20世紀アリス|journal=[[DENGEKI HIME|電撃姫]]SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ|publisher=[[メディアワークス]]|date=2001-1-10|page=58 - 59|ref=dengeki}}
* {{Cite journal|和書|title=20世紀アリス|journal=[[BugBug]]|issue=2000年12月号|publisher=[[マガジン・マガジン]]|date=2000-12-01|page=110|ref=bb200012}}
* {{Cite journal|和書|title=20世紀アリス|journal=[[BugBug]]|issue=2000年12月号|publisher=[[マガジン・マガジン]]|date=2000-12-01|page=110|ref=bb200012}}
* {{Cite|和書|title=美少女ゲーム最前線 パート5|publisher=[[辰巳出版]]|ref=bishoujo5|date=1991-11-1}}
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** {{Wikicite|ref=dpssg1|reference=「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG」、28 - 29頁。}}
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** {{Wikicite|ref=dpssg2|reference=「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG set2」、30 - 31頁。}}
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== 外部リンク ==
== 外部リンク ==
; 公式サイト
; 公式サイト
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{{アリスソフト}}
{{アリスソフト}}

2020年5月9日 (土) 04:48時点における版

D.P.S.』(ディー・ピー・エス)は、日本のゲームブランド・アリスソフトより発売されたアダルトゲームおよびそのシリーズである。シリーズのタイトルは1989年の『D.P.S』から1992年の『Super D.P.S.』にかけて5作品がリリースされており、それらをまとめて収録した『D.P.S. 全部』が1995年に発売された[1]

本シリーズの各タイトルには3本のシナリオが収録され[2]、そのほとんどのシナリオには2種類の設定[3]あるいは2択の分岐を設けており[4]オムニバス形式で構成された[5]コマンド選択式の[3]アドベンチャーゲームとなっている[3][5]

シリーズ概要

発売の年表
パッケージ作品に限定。
1989D.P.S.[5][6]
1990D.P.S. SG[5][7]
1991D.P.S. SG set2[8][9]
D.P.S. SG set3[4][9]
1992Super D.P.S.[9][10]
1993
1994
1995D.P.S. 全部[5]

『D.P.S.』シリーズは「夢の中で自分のやりたいことを」というコンセプトをもつ、オムニバス形式のアドベンチャーゲームである[5]。タイトルに含まれる「D.P.S.」は "Dream Program System" の略となっている[5][11]。本シリーズではゲーム1作品につき3つのショートストーリーが収録され[2]、各ストーリーには2つのバージョンが存在するため、実質的には6種類のシナリオが収録されている[7][注釈 1]。バージョン分けの方法はシナリオによって異なり、短編「家庭教師はステキなお仕事」(『D.P.S. SG』収録)のようにキャラクターの立ち位置によってバージョン分けがされているもの[7]や、「ANTIQUE HOUSE」(『D.P.S. SG set2』収録)のように、登場人物の性格によってバージョン分けされている場合もある[12]。第1作『D.P.S』(1989年発売)は美少女ゲーム黎明期に発表された作品の1つであるが[13]、上記のようなオムニバス形式のゲームはフェアリーテールが1987年にリリースさせた『あぶない女性心理学入門』や、エルフによる1989年の『ぴんきぃ・ぽんきぃ』など、主要なアダルトゲームメーカーが『D.P.S.』とほぼ同時期に発表している[14]

販売されたゲームはシステムディスクとシナリオディスクを分けた状態で販売された[11]。このシステムディスクはハードウェアのように扱うことが可能で[11]、システムが他のシリーズ作品との互換性を有している[5][注釈 2]。そのほか、廉価版としてシステムディスクの付属しないバージョンも販売された[5]。シリーズのタイトルは『D.P.S』・『D.P.S. SG』・『D.P.S. SG set2』・『D.P.S. SG set3』・『Super D.P.S.』と1989年から1992年にかけて発売され、これらの作品に収録されたシナリオをまとめた『D.P.S. 全部』が1995年にリリースされている[1]。なお、以上の作品はいずれもアリスソフトの配布フリー宣言の対象に指定されており、インターネット上での配布が許可されている[16]

作品内容

D.P.S.

D.P.S.
ジャンル アドベンチャーゲーム[6][11]
対応機種 PC-8801/PC-9801/X68000/MSX2/FM TOWNS[6][注釈 3]
発売元 アリスソフト[5]
キャラクターデザイン MIN-NARAKEN[17]
発売日 1989年12月[5][6]
レイティング 18禁[6]
テンプレートを表示

D.P.S』は、アリスソフトから[5]1989年12月に発売されたアダルトゲームである[5][6]。シリーズ第1作である同作は[5]、3本のシナリオ(「プリンセス・ファンタジー」・「なんてったって芸能人」・「いけない!! 内科検診」)が収録されたアドベンチャーゲームである[6][注釈 4]。アリスソフトの様々なタイトルを手掛けたMIN-NARAKENが原画家として参加している[17]

ストーリー
「プリンセス・ファンタジー」では主人公の騎士・カスタムがリーナス姫を護衛しつつ[18]、魔物の手から逃れる[6]ファンタジー風の作品になっている[11]。「なんてったって芸能人」は売れっ子アイドル・ひとみと、彼女への憧れを抱く木下真理子が登場する[18]。プレイヤーはどちらかの視点を選択して物語が展開し、2人の間の同性愛が描かれる[6]。そして、「いけない!! 内科検診」はプレイヤーが医者・かつみ[3]の目線となって話が進行し[18]、女子高校でお目当ての学生・徳永由美子に対し検診を行う内容となっている[19]

D.P.S. SG

D.P.S. SG
ジャンル アドベンチャーゲーム[20]
対応機種 PC-9801/PC-8801/PC-88VA/X68000/MSX2/FM TOWNS[7][15][注釈 5]
発売元 アリスソフト[5]
キャラクターデザイン むつみまさと[17]
発売日 1990年8月[5][7]
レイティング 18禁[15]
メディア フロッピーディスク[5]
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D.P.S. SG』は、アリスソフトから[5]1990年8月に発売されたアダルトゲームである[5][7]。『D.P.S.』シリーズ2作目で[15]ジャンルとしてはアドベンチャーゲームに分類され[20]フロッピーディスクにて販売された[5]。本作には「家庭教師はステキなお仕事」と「Fahnen Fliegen」、「信長の淫謀」の3本のシナリオが収録されている[7][15][20]

ストーリー
「家庭教師はステキなお仕事」は高校受験を控える少女・舞子と、彼女に英語を教える家庭教師のたくやとの恋愛を描いた内容となっている[7]。プレイヤーは両者の視点からゲームを進行することが可能で[15]、舞子を主人公にした「生徒バージョン」ではたくみを誘って処女を卒業するとゲームクリアになるのに対し、たくみを主人公にした「先生バージョン」では、舞子と少しずつ距離を詰めていくことでゲームクリアとなる[21]
「Fahnen Fliegen」は第二次世界大戦時におけるナチス武装親衛隊を舞台としている[15]。捕虜となったフランス人女性・ロザリー[注釈 6]に対する尋問を題材としており、「お偉い軍人バージョン」では主人公である冷血な軍人ハインツによる拷問が展開される[21]。一方、「新人バージョン」では主人公である新米軍人が上官を追い出したうえで、彼女の心を開かせながら尋問し、同意のうえでの性交に持ち込む様子が描かれている[23]
「信長の淫謀」は、織田信長の寵児・森蘭丸と家臣・明智光秀が主君・信長や[23]その娘に当たる姫[22]に振り回される様子が描かれ[23]、彼らのところへ潜入してきた忍者も合わせて淫蕩へ落ちていく話が展開する[15]。同シナリオにおいて蘭丸は男装の少女として設定されている[23]
開発
本作ではのちに『鬼畜王ランス』などを手掛けた、むつみまさとが原画を担当した[17]。アリスソフト所属のとりは今までのジャンルにとらわれないゲームを作ろうという考えから、『D.P.S. SG』シリーズにおいては様々な試みをしたと述べている[24]。また、画面数の少なさゆえに通常のアドベンチャーゲームのようなインターバルの中でキャラクターの「味」(個性)を出すのに苦労したとも語っている[24]

D.P.S. SG set2

D.P.S. SG set2
対応機種 PC-88VA/PC-9801/X68000/MSX2/FM TOWNS[8][注釈 7]
発売元 アリスソフト[9]
発売日 1991年4月[8][9]
レイティング 18禁[25]
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D.P.S. SG set2』は、アリスソフトから[9]1991年4月に発売されたアダルトゲームであり[8][9]、『D.P.S.』シリーズ3作目に当たる。同作には「ANTIQUE HOUSE」と「朱い夜」、「いけない内科検診 再び」の3本のシナリオが収録されている[8][注釈 8]。シナリオの文字数は約16万字となっており、本作以前のアリスソフト製品の中では最多となっていた[24]

ストーリー
「朱い夜」は、火災が起きたホテルを舞台に、ホテルのオーナーが宿泊客であるエリスを救出する様子を描いている[12][注釈 9]。本作ではその風俗嬢になったばかりという[26]エリスに加え、オーナーの秘書という立場のルリコとの性交渉が描かれている[25]
「いけない内科検診 再び」は、『D.P.S.』に収録された「いけない!! 内科検診」の続編であり[8]、本来の産婦人科の先生の代わりに主人公が女子校生・由美子を診察する内容となっている[12]。プレイヤーは男子大学生のかつき[3]か、内科医のユリ先生の2人から選択してゲームを進める[12]。なお、かつきは前作の主人公であるかつみの甥にあたる[3]。また、前作で由美子と関係を持ったかつみは、別の恋人が居ながらにして依然由美子とも不貞関係を持ち続けているという設定で、由美子は本作にて再びだまされる形となる[3]
「ANTIQUE HOUSE」はホラー調の物語となっており[25][27]、導入部でルドルフとその小間使いであるテスが雨宿りで古い洋館にさまよいこむ[25]。その洋館の中では語った怖い話が現実のものになるという設定で[27]、テスは出現した怪物に襲われてしまうが、その怪物が消失した後に2人が結ばれる[25]

D.P.S. SG set3

D.P.S. SG set3
対応機種 PC-9801/PC-88VA/X68000/MSX2/FM TOWNS[9][注釈 10]
発売元 アリスソフト[9]
発売日 1991年12月[4][9]
レイティング 18禁[4]
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D.P.S. SG set3』、アリスソフトから[9]1991年12月に発売されたアダルトゲームであり[4][9]、『D.P.S.』シリーズ4作目に当たる。同作には「しんこんさんものがたり」・「卒業」・「Rabbit〜P4P〜」の3本のシナリオが収録されている[9][注釈 11]。従来のシリーズ通り、2種類の設定からプレイヤーが選択するゲームシステムとなっているシナリオは「しんこんさんものがたり」に限られ、その他2本のシナリオは分岐形式での収録となった[4]

ストーリー
「しんこんさんものがたり」では、挙式を終えたばかりの恭一とゆうの2人の初夜が描かれる[4]
「卒業」では主人公・雅騎が高校の卒業式を終えた後[4]、高嶺の花である[28]沙夜子に告白を試みるが、巨大怪獣の出現により彼女は怪我を負ってしまう[4]。雅騎は沙夜子を保健室まで連れて行き手当てさせる[4]が、沙夜子が正義の味方であることが判明し[28]怪獣との戦闘を始める[4][注釈 12]。一度ゲームをクリアした後には[4]沙夜子と情交を交わした主人公が正義の味方になる設定での[3]ストーリーが解放されるシステムとなっている[4]
「Rabbit〜P4P〜」では、バニーの女の子・うさぎ[28]を追いかけているうちに異世界へ迷い込んでしまった主人公・ヴォイドが、その世界に住む女の子達(キラ・ダイナ・ユリア[28])から出口についての情報を集めていく[4]

Super D.P.S.

Super D.P.S.
対応機種 PC-9801/X68000/FM TOWNS[10][注釈 13]
発売元 アリスソフト[9]
発売日 1992年9月[9][10]
レイティング 18禁[10]
回想モード あり[10]
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Super D.P.S.』、アリスソフトから[9]1992年9月に発売されたアダルトゲームであり[9][10]、『D.P.S.』シリーズ5作目に当たる。同作には3本のシナリオ「マリアとカンパン」・「遠野の森」・「うれしたのし海賊稼業」が収録されている[9][10]。前作までと同様16色のCGを収録しているが、256色のCGも収録され[10]PC-98シリーズではアダルトゲーム業界初の256色表示対応作品となった[3][9][注釈 14]。そのほか、シリーズを通じて初めてCGの回想モードが実装された[10]

ストーリー
「マリアとカンパン」には『Rance』シリーズのマリアがヒロインとして登場する[10]。彼女はカンパンという名のロボットを製作するが、異常により動かない状態にあった[29]。しかし悪魔のせいでカンパンが動けるようになり、マリアはそのロボットに襲い掛かられてしまう[10]
「遠野の森」では森の中の崖を滑り落ちた鷹雪と萌絵が原住民に捕らえられたり、クマなどに襲われたりといった目にあう[10]。そういった命の危機を乗り越えたのち、2人が結ばれるというストーリーになっている[10]
「うれしたのし海賊稼業」では、財宝と可愛い女の子に目がないという[29]宇宙女海賊・カメリアが別の貴族の船を襲撃し[10]、その船に乗っていた娘・エルシーやメイド・マリリンとのレズが繰り広げられる[29]

D.P.S. 全部

D.P.S. 全部
対応機種 PC-9801VM/FM TOWNS/Windows[5][注釈 15]
発売元 アリスソフト[5][30]
発売日 1995年11月[5]
レイティング 18禁
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D.P.S. 全部』は、アリスソフトから1995年11月に発売されたアダルトゲームである[5]。上記の『D.P.S.』シリーズ全作品に収録された全シナリオに加え、新作シナリオ「めぐみちゃん物語」が収録された[5][31]

反響

シリーズに対する批評

前述のように、本シリーズはプレイヤーがコマンドを選択することで物語が進行する[3]アドベンチャーゲームに分類される[3][5]。システムとシナリオを別々のディスクに分けてリリースさせた点に関しては、「ツールの都合だったのかもしれないが、だいぶ先進的な発想」と評価する者や[11]、システムディスクが併用可能なため、シナリオディスク単体で販売されたことはプレイヤー側にとっても経済的だったと言及する者もいる[15]

1作に複数のシナリオを詰め込んだゲーム構成は、オムニバス形式で展開するアドベンチャーゲームの先駆けになったという意見や[5]、発売当時には「お買い得感が強かった」とする意見もある[11]。また、同じシナリオでも複数の設定が用意されている点に関して、雑誌『PC ANGEL』のライター・伊織舞也はユーザの要望を汲んだものが多数収録されていると評価している[3]。一方、雑誌『美少女ゲーム最前線』ではどの作品のシナリオにおいてもグラフィックの使いまわしがあると指摘されているが、バージョンごとに異なる状況を当てはめることに成功したと評されている[12]

グラフィックに関しては作品を重ねるごとに美麗なイラストへと進化したと伊織が述べており[3]、『PC ANGEL』誌では3作目の『D.P.S. SG set2』以降、作品中に一部含まれるアニメーションにウェイトが置かれたと特筆されている[25]

各作品に対する批評

1作目『D.P.S.』に対して、書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』においてレビュアーを担当したごうすとは、作品のストーリーは「当時を感じさせ、多少の理不尽さを感じたりする」と言及している[11]。『コンプティーク』誌は「簡素かつ実用性たっぷり」とした[13]一方、『PC ANGEL』誌の考察では、それぞれのシナリオでプレイヤーの心を引きつける設定になっている点が評価されている[6]

『D.P.S. SG』にて女体化して登場する森蘭丸落合芳幾・画『太平記英勇伝』より)

シリーズ2作目『D.P.S. SG』のグラフィックに関しては、おおむね肯定的な評価がなされている。まず『PC ANGEL』誌ではシリーズ1作目に比べて「大幅にCGがキレイになった」と述べられており[15]、パソコンゲーム誌の編集者・前田尋之は性に溺れた女性キャラクターの表情を褒め称えている[5]。また、『美少女ゲーム最前線』誌に掲載された紹介記事では露骨な絵柄はあまりないものの、グラフィックが丹念に描かれている点や、Hシーンの情景描写に熱が入っている点が評価されている[7]。一方、シナリオに関しては、書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』に寄稿したライター・くれあ☆ばいぶるが展開の理不尽さを指摘し、リリース当時の時代を感じる内容になっていると述べたうえ、森蘭丸を女体化した初めてのゲーム作品ではないかという論考を加えている[20]。そのほか、『PC ANGEL』誌は本作におけるナチスの武装親衛隊から家庭教師といった設定が幅広いなどと取り上げ、エンターテイメント性のある作品と評した[15]

3作目『D.P.S. SG set2』に収録された「いけない内科検診 再び」はシリーズを通して唯一となる続編となった[3]。本作に関連して、かつみの甥であるかつきに対してもだまされた格好となった由美子について「2度とだまされるなんてわけがない。おそらくかつみと不毛な関係を続けるよりも、よく似た性格容姿のかつきに好意をもってだまされたふりをしたのではないかと思われる」と考察を行った者がいる[3]。また、4作目『D.P.S. SG set3』について『PC ANGEL』誌は、「しんこんさんものがたり」に登場するヒロイン・ゆうがプレイヤーの中では「熱烈なファンが多いらしい」キャラクターだと言及している[4]。そのほかライターの伊織は「卒業」に登場するヒロイン・沙夜子について、怪獣を前にした状況の中で自身の悩みを優先して踏みとどまろうとする点を優柔不断な性格だと指摘した[3]。PC98シリーズでは初めて256色に対応したアダルトゲームとなった5作目『Super D.P.S.』について同氏は、発売当時はプレイヤーにアリスソフト作品のためだけに256色対応ボードの購入を強いたかもしれないと指摘しているが、とりわけ「遠野の森」に登場するクマの絵には細部へのこだわりが感じられると述べている[3]

派生作品

いけないかつみ先生〜患者さん、おいたはだめよん〜
アリスソフトのユーザクラブ会員向けに通信販売限定で単体としてリリースされた[注釈 16]Windows 95向けのアドベンチャーゲームである[32]。内容は『D.P.S.』・『D.P.S. SG set2』に収録された内科検診ものの続編に当たり、本作では大金持ちの女医・かつみ先生が大阪を舞台に様々な女の子と繰り広げるレズプレイ[32]が中心となって物語が展開する[33]。書籍『電脳美少女探検隊』に掲載されたレビューでは、かつみ先生の気ままな性格が本作のゲームシステムにも反映されていると指摘され、イベント発生の条件として用意された乱数要素が本作の攻略難易度を高めていると考察されている[33]
これD.P.S?
2000年12月7日に発売された『20世紀アリス』(『ALICEの館』シリーズ作品)に収録された[34][35]アドベンチャーゲームである[35]。本作『20世紀アリス』はWindows 95・98用として発売され、ゲーム「かえるにょ国にょアリス」なども同梱されていた[34][注釈 17]。「これD.P.S?」は『D.P.S.』シリーズのシステムを改良したリメイク作品であり[35]、純愛を描いた「Iron maiden」やロボットものに触手要素を付け足した「超伝説古代ロボ レッドサンダー」、そのほかシスターの身に降りかかる不幸を題材とした「闇黒-アンコク-」[注釈 18]、女性教師が教え子に犯される「Keep out」の計4本のシナリオが収録された[37]

脚注

注釈

  1. ^ 「シリーズのほとんどで2通りの設定が用意されている」とする文献もあり[3]、後述するが4作目『D.P.S. SG set3』ではやや異なったシステムとなっている[4]
  2. ^ この互換性については、シリーズ2作目の『D.P.S. SG』から4作目『D.P.S. SG set3』までとする紹介記事もある[15]
  3. ^ PC-8801SR・PC-88VA・PC-9801VM・X68000・MSX2・FM TOWNSとする文献も存在する[5]
  4. ^ シナリオタイトルに関して「Princess Fantasy」[5][11]、「いけない内科検診」[5][11]という表記も見られる。
  5. ^ PC-8801VA・PC-9801VM・X68000・FM TOWNS・MSX2とする文献も存在する[5]
  6. ^ 捕虜の女性の名前をロゼとする文献も存在する[22]
  7. ^ 動作可能なプラットフォームは文献によってまちまちである。前田尋之によれば、PC-88VA・PC-9801VM・X68000・MSX2・FM TOWNS[5]、『PC ANGEL』誌によれば、PC-9801・X68000・MSX2・FM TOWNS[25]
  8. ^ 短編「ANTIQUE HOUSE」について、「ANTIQUEHOUSE」[9]あるいは「アンティークハウス」[25]と表記するものもある。
  9. ^ 主人公の設定を「高層ビルのオーナー」とする文献もある[25]
  10. ^ 『PC ANGEL』誌では、PC-88VAが除外されている[4]
  11. ^ 「しんこんさん物語」・「Rabbit―P4P―」の表記も見られる[4]
  12. ^ 「卒業」における各事象の前後関係については、アリスソフト アーカイブスで公開されているディスクイメージを参考にした。
  13. ^ PC-9801シリーズについて、PC-9801VMに限定する文献もある[9]
  14. ^ アダルトゲーム全作品を通してもおそらく初めて256色に対応した、と特筆する文献もある[14]
  15. ^ アリスソフトの旧公式サイトでは「PC-9800(DOS)/FM TOWNS/Windows95/NT」[30]、新公式サイトでは「Windows3.1/95」[31]となっている。
  16. ^ 同ブランドのクラブ会員向けのソフトとしては『Only You -世紀末のジュリエット達-』に続き、2作目の作品となった[32]
  17. ^ 記事本文中では『BugBug 2000年12月号』を参照したが、公式サイトによれば『20世紀アリス』はWindows Meおよび2000にも対応していた[36]
  18. ^ タイトルのみ公式サイトを参照した[36]。ストーリーの出典として用いた『電撃姫SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ』には誤植がある。

出典

  1. ^ a b 前田 2016, pp. 56 - 57.
  2. ^ a b 「D.P.S」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 35.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 伊織舞也「シリーズ考察 D.P.Sシリーズのストーリーを考える」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 46.
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r 「D.P.S SGSet3」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 42.
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab ac ad ae af ag 前田 2016, p. 56.
  6. ^ a b c d e f g h i j 「D.P.S」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 36.
  7. ^ a b c d e f g h i 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG」, 美少女ゲーム最前線パート5』, p. 28.
  8. ^ a b c d e f 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG set2」, 『美少女ゲーム最前線パート5』, p. 30.
  9. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u 前田 2016, p. 57.
  10. ^ a b c d e f g h i j k l m n 「Super D.P.S」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 44.
  11. ^ a b c d e f g h i j ごうすと 2000, p. 65.
  12. ^ a b c d e 「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 D・P・S SG set2」, 『美少女ゲーム最前線パート5』, p. 74.
  13. ^ a b 「次代を走るブランドは過去の歴史から見えてくる……」, 『コンプティーク 2001年7月号』, p. 62.
  14. ^ a b 宮本 2017, p. 105.
  15. ^ a b c d e f g h i j k 「D.P.S SG」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 38.
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  25. ^ a b c d e f g h i 「D.P.S SGSet2」, 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』, p. 40.
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  34. ^ a b 「20世紀アリス」, 『BugBug 2000年12月号』, p. 110.
  35. ^ a b c 「今世紀ラストにアリスが贈る、美少女ゲームのTOY BOX 20世紀アリス」, 『電撃姫SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ』, p. 58.
  36. ^ a b これD.P.S.?”. アリスソフト. 2001年4月19日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年2月4日閲覧。
  37. ^ 「今世紀ラストにアリスが贈る、美少女ゲームのTOY BOX 20世紀アリス」, 『電撃姫SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ』, p. 59.

参考文献

書籍

  • 前田尋之「D.P.S. SG」『ぼくたちの美少女ゲーム クロニクル』(第二刷)オークス、2016年8月8日、56 - 57頁。ISBN 978-4-7990-0809-6 
  • 宮本直毅「オムニバス形式のエロゲー」『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(第1版第1刷)総合科学出版、2017年5月15日、105 - 107頁。ISBN 978-4-88181-859-6 
  • 「いけないかつみ先生〜患者さん、おいたはだめよん〜」『電脳美少女探検隊』(初版第一刷)大洋図書、1997年8月30日、66 - 69頁。ISBN 4-88672-599-6 
  • 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』(初版第1刷)ぶんか社、2000年10月10日。ISBN 4-8211-0717-1 
    • ごうすと「Dream Program System(D.P.S.)」、65頁。
    • くれあ☆ばいぶる「DPS SG」、70頁。

雑誌

  • 「次代を走るブランドは過去の歴史から見えてくる……」『コンプティーク』2001年7月号、角川書店、2001年7月1日、62 - 63頁。 
  • 「今世紀ラストにアリスが贈る、美少女ゲームのTOY BOX 20世紀アリス」『電撃姫SPECIAL 2000年&2001年美少女ソフトカタログ』、メディアワークス、2001年1月10日、58 - 59頁。 
  • 「20世紀アリス」『BugBug』2000年12月号、マガジン・マガジン、2000年12月1日、110頁。 
  • 『美少女ゲーム最前線 パート5』辰巳出版、1991年11月1日。 
    • 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG」、28 - 29頁。
    • 「よくわかる美少女ゲーム 傾向と対策編 D・P・S SG set2」、30 - 31頁。
    • 「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 編 D・P・S SG」、72 - 73頁。
    • 「よくわかる美少女ゲーム 深〜く愛して攻略データ編 編 D・P・S SG set2」、74 - 75頁。
    • 「季刊ピ〜イング創刊号 開発秘話「怒涛のシナリオ編」」、100 - 101頁。
  • 『PC ANGEL シリーズ研究総集編 美少女ゲーム傑作選』PC ANGEL 10月号増刊、オデッセウス、1994年10月31日。 
    • 「D.P.S」、35 - 46頁。

外部リンク

公式サイト
MobyGames