エヴリン・マクヘイル

エヴリン・マクヘイル(Evelyn McHale)
生誕	エヴリン・フランシス・マクヘイル(Evelyn Francis McHale) (1923-09-20) 1923年9月20日 アメリカ合衆国カリフォルニア州バークレー
死没	1947年5月1日(1947-05-01)（23歳没） アメリカ合衆国ニューヨーク州ニューヨークシティー、マンハッタン
死因	跳び降り自殺
職業	簿記係

エヴリン・フランシス・マクヘイル(Evelyn Francis McHale) （1923年9月20日 - 1947年5月1日）は、1947年5月1日、エンパイア・ステート・ビルディングの86階展望デッキから跳び降りてみずからの生命を奪ったアメリカ合衆国の簿記係である。

写真の学生ロバート・ウィルズ(Robert Wiles)が彼女の死亡の4分後に撮った写真は、アイコニックな自殺写真になっており、「最も美しい自殺」("the most beautiful suicide")と呼ばれている。

生涯

エヴリン・マクヘイルはカリフォルニア州バークレーに生まれ、ヘレン・マクヘイルとヴィンセント・マクヘイル(Helen and Vincent McHale)との9子のひとりであった。ヴィンセントは銀行検査官(bank examiner)で、1930年にワシントンD.C.に転居した。彼女の母親は未診断で未治療のうつ病をわずらっていた。これが能力を試すような結婚、そして最終的には離婚につながった。ヴィンセントは子供たち全員の監護権を得て、ニューヨーク州タッカホー(Tuckahoe, New York)に移った。

エヴリンはハイ・スクールを卒業したのち、女性軍団(Women's Army Corps)に加わり、ジェファーソンシティ_(ミズーリ州)に駐屯した。

彼女はのちにニューヨーク州ボールドウィン(Baldwin)に移り、マンハッタンのパール・ストリート(Pearl Street)のキタブ彫刻会社(Kitab Engraving Company)の簿記係に雇われた。彼女は、連邦陸軍空軍(United States Army Air Force)から除隊した大学生であるフィアンセであるバリー・ローズ(Barry Rhodes)に出会った。

死亡

1947年4月30日に、マクヘイルはニューヨークから、ペンシルベニア州イーストン(Easton, Pennsylvania)まで列車に乗ってローズ(Rhodes)を訪れた。ローズの邸宅を去った翌日、彼女はニューヨークシティーに戻り、エンパイアステートビルディングに行き、その86階の展望台から跳び降り、駐車中の車の上に落下した。伝えられるところによると、彼女が跳び降りる直前に1人の警備員が彼女からおよそ10フィート (3.0 m)のところに立っていた。

ローズはマクヘイルが立ち去る前に自殺の兆候に気づかなかった。刑事巡査フランク・マレー(Frank Murray)は、展望デッキの壁にあるきちんと折りたたまれた彼女の布コートの隣の黒い手帳から、彼女の自殺メモ(suicide note)を見つけた。メモにはこうあった：

家族の内外の誰にも私の一部を見られたくありません。火葬でわたしの身体を破壊してもらえますか？　わたしはあなたとわたしの家族に頼みます――わたしのためのサービスもわたしのための記憶もしないでください。わたしのフィアンセはわたしに6月に結婚してくれと頼みました。わたしはだれにとっても良い妻になるとは思いません。彼はわたしといないほうがずっとよいです。父に言ってください、わたしには母の傾向が多すぎます。(I don't want anyone in or out of my family to see any part of me.Could you destroy my body by cremation?I beg of you and my family – don't have any service for me or remembrance for me.My fiance asked me to marry him in June.I don't think I would make a good wife for anybody.He is much better off without me.Tell my father, I have too many of my mother's tendencies.)

彼女の身体は、姉妹のヘレン・ブレナー(Helen Brenner)によって身元が確認された。

彼女は望みどおり、記念物、礼拝、墓もなく火葬された。

彼女の当時のフィアンセのバリー・ローズは南に移動する前にエンジニアになった。2007年10月9日に、彼はフロリダ州メルボルン(Melbourne, Florida)で未婚で死去した。

遺産

• ロバート・ウィルズが撮った彼女の身体の写真は、ベトナムの僧侶ティック・クアン・ドックの焼身自殺のマルコム・ワイルド・ブラウン(Malcolm Wilde Browne)の写真と比較されてきたし、彼は1963年6月11日に、繁華なサイゴン道路の交差点で生きたままわが身体を焼いたし、これは最もアイコニックな自殺写真のひとつとして広く認められている。雑誌『タイムズ』のベン・コスグローヴ(Ben Cosgrove)はこの写真を「技術的に豊かで、視覚的にひとを魅惑し、...まったく美しい」("technically rich, visually compelling and ... downright beautiful")と描写している。コスグローヴは彼女の身体を「死んでいる...というよりもむしろ休んでいる、またはまどろんでいる」("resting, or napping, rather than ... dead")、まるで彼女が「自分のボー(beau)の白日夢を見ている」("daydreaming of her beau")のように見えると説明した。

• アンディ・ウォーホルは、ウィルズの写真を『自殺（落下した身体）』(Suicide (Fallen Body))と題した彼のプリントの1つに使用した。
• 彼女の写真は、 SST Records によって1984年にリリースされた Saccharine Trust のアルバム『Surviving You、Always』のカバーにも使用された。
• デヴィッド・ボウイの1993年のシングル「Jump they Say」のビデオには、破壊された車の上でこの歌手が演じたイメージの再現が含まれている。
• ツーソン・バンド Machines of Loving Grace による1995年のアルバム『Gilt』のカバーには、オリジナルのイメージを再現したカラー写真が使用されている。
• バンド Pearl Jam による2009年のアルバム『Backspacer』のカバーには、右下隅にアイコニックな写真のアーティスト・レンディションが描かれている。
• 2015年にテイラー・スウィフトの『Bad Blood』ミュージックビデオの冒頭でショットへの参照がなされている。