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== シリーズ ==
== シリーズ ==
「ALICEの館」というシリーズの名称は、アリスソフトのデビュー作である『[[Rance -光をもとめて-]]』(1989年7月発売)の制作者のコメントコーナーで初めて用いられた{{r|d20190801}}。これは、同作のディレクターを務めたTADAがチャンピオンソフトに所属していた頃にリリースしていた[[ディスクマガジン]]での企画を踏襲したもので{{r|d20190801}}、当時はあくまで付録的な立ち位置であった{{r|gairon147}}。アリスソフトの『Rance -光をもとめて-』以降の作品にも「アリスの館」が収録された{{r|d20190801}}{{efn|ただし、1995年発売の『[[あゆみちゃん物語]] 実写版』では「アリスの館」ではなく「メガストアの館」というコーナーで収録された{{r|tyou74}}。これは雑誌『[[メガストア]]』が制作に関わっていたことに由来している{{r|tyou74}}。}}が、その後の1989年12月に{{r|chronicle123}}単独作品として『ALICEの館』が発売された<ref>{{Cite web|title=平成元年に始まり平成で終わった美少女ゲーム『ランス』シリーズを振り返る。各種文献から見るアリスソフトとTADA氏の軌跡|url=https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190607e|website=電ファミニコゲーマー|accessdate=2019-06-12|date=2019年6月7日|author=福山幸司}}</ref>のを発端として、[[#作品一覧|下記]]のようにシリーズ化された。本シリーズはいずれもBGM集や短編ゲーム、制作陣によるイラスト・コメントなどの寄せ集めで構成されている{{r|gairon147}}。
「ALICEの館」というシリーズの名称は、アリスソフトのデビュー作である『[[Rance -光をもとめて-]]』(1989年7月発売)の制作者のコメントコーナーで初めて用いられた{{r|d20190801}}。これは、同作のディレクターを務めたTADAがチャンピオンソフトに所属していた頃にリリースしていた[[ディスクマガジン]]での企画を踏襲したもので{{r|d20190801}}、当時はあくまで付録的な立ち位置であった{{r|gairon147}}。アリスソフトの『Rance -光をもとめて-』以降の作品にも「アリスの館」が収録された{{r|d20190801}}{{efn|ただし、1995年発売の『[[あゆみちゃん物語]] 実写版』では「アリスの館」ではなく「メガストアの館」というコーナーで収録された{{r|tyou74}}。これは雑誌『[[メガストア]]』が制作に関わっていたことに由来している{{r|tyou74}}。}}が、その後の1989年12月に{{r|chronicle123}}単独作品として『ALICEの館』が発売されたのを発端として、[[#作品一覧|下記]]のようにシリーズ化された。本シリーズはいずれもBGM集や短編ゲーム、制作陣によるイラスト・コメントなどの寄せ集めで構成されている{{r|gairon147}}。


TADAはこのような『ALICEの館』シリーズの制作意図について、開発スタッフの自己満足で作り上げてきた作品ではあるものの、当時から同業他社には真似できないようなことをやろうという意識が根底にあったのかもしれないと2013年のインタビューで振り返っている<ref name="4Gamer.net2">{{Cite web|url=https://www.4gamer.net/games/237/G023755/20131121064/index_2.html|title=あのシナリオをどうやって3DSに? 20年の時を経て甦る「闘神都市」の疑問を,イメージエポック・御影氏とアリスソフト・TADA氏に聞いてきた(2ページ目)|publisher=4Gamer.net|accessdate=2020-01-26|date=2013-11-30 |author=川崎政一郎}}</ref>。
TADAはこのような『ALICEの館』シリーズの制作意図について、開発スタッフの自己満足で作り上げてきた作品ではあるものの、当時から同業他社には真似できないようなことをやろうという意識が根底にあったのかもしれないと2013年のインタビューで振り返っている<ref name="4Gamer.net2">{{Cite web|url=https://www.4gamer.net/games/237/G023755/20131121064/index_2.html|title=あのシナリオをどうやって3DSに? 20年の時を経て甦る「闘神都市」の疑問を,イメージエポック・御影氏とアリスソフト・TADA氏に聞いてきた(2ページ目)|publisher=4Gamer.net|accessdate=2020-01-26|date=2013-11-30 |author=川崎政一郎}}</ref>。


== 作品一覧 ==
== 作品一覧 ==
{{出典の明記|date=2020-01|section=1}}
; ALICEの館
; ALICEの館
: 1989年12月発売{{r|chronicle123}}{{efn|ただし、発売月を1990年2月とする文献も存在する{{r|taizen53}}。}}。[[PC-8800シリーズ|PC-88VA]]・[[PC-9800シリーズ|PC-9801VM]]・[[X68000]]向けに制作された{{r|chronicle123}}。CD版も1991年7月に発売されている{{r|taizen80}}。アリスソフトの[[マスコットキャラクター]]であるアリスが主役のゲーム『電子の国のアリス』、短編ゲーム「センチメンタルシーズン」「クイズの館」などが同梱され発売された。また、[[FM-TOWNS]]版(1991年3月発売)では過去に発売されたゲーム『クレセントムーンがぁる』および『Intruder』も同梱された{{要出典|date=2020-01}}。
: 1989年12月発売{{r|chronicle123}}{{efn|ただし、発売月を1990年2月とする文献も存在する{{r|taizen53}}。}}。[[PC-8800シリーズ|PC-88VA]]・[[PC-9800シリーズ|PC-9801VM]]・[[X68000]]向けに制作された{{r|chronicle123}}。CD版も1991年7月に発売されている{{r|taizen80}}。アリスソフトの[[マスコットキャラクター]]であるアリスが主役のゲーム『電子の国のアリス』、短編ゲーム「センチメンタルシーズン」「クイズの館」などが同梱され発売された。また、[[FM-TOWNS]]版(1991年3月発売)では過去に発売されたゲーム『クレセントムーンがぁる』および『Intruder』も同梱された{{要出典|date=2020-01}}。
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; ALICEの館4・5・6
; ALICEの館4・5・6
: 1997年12月{{r|taizen146}}18日発売{{r|gairon147}}。『ALICEの館3』の3倍のボリュームがあるとし、冠名を4・5・6として発売された{{r|d20190801}}。本作にはロボットが[[ダンジョン]]内を探索する『[[零式 (ゲーム)|零式]]』・[[パーティーゲーム]]風の『人間狩り』{{r|taizen99}}・伝奇ファンタジーを描いたノベルゲーム{{r|gairon147}}『[[アトラク=ナクア (ゲーム)|アトラク=ナクア]]』が収録され{{r|taizen99}}、過去に発売されたゲーム『[[DALK]]』・『[[闘神都市]]』{{r|d20190801}}・『Rance -光をもとめて-』・『[[Rance#Rance II -反逆の少女たち-|Rance II -反逆の少女たち-]]』・『[[Rance III -リーザス陥落-]]』・『Dr.STOP!』も同梱された。『零式』と『アトラク=ナクア』は後に単品として2000年に発売され{{r|d20190801}}、『人間狩り』はアリスCDに収録された。
: 1997年12月{{r|taizen146}}18日発売{{r|gairon147}}。『ALICEの館3』の3倍のボリュームがあるとし、冠名を4・5・6として発売された{{r|d20190801}}。本作にはロボットが[[ダンジョン]]内を探索する『[[零式 (ゲーム)|零式]]』・[[パーティーゲーム]]風の『人間狩り』{{r|taizen99}}・伝奇ファンタジーを描いたノベルゲーム{{r|gairon147}}『[[アトラク=ナクア (ゲーム)|アトラク=ナクア]]』が収録され{{r|taizen99}}、過去に発売されたゲーム『[[DALK]]』・『[[闘神都市]]』{{r|d20190801}}・『Rance -光をもとめて-』・『[[Rance#Rance II -反逆の少女たち-|Rance II -反逆の少女たち-]]』・『[[Rance III -リーザス陥落-]]』・『Dr.STOP!』も同梱された。『零式』と『アトラク=ナクア』は後に単品として2000年に発売され{{r|d20190801}}、『人間狩り』はアリスCDに収録された{{要出典|date=2020-01}}


; [[20世紀アリス]]
; [[20世紀アリス]]
: 2000年12月発売。[[20世紀]]最後と銘打って発売された。ゲームとして『[[これD.P.S.?]] 』と『[[かえるにょ国にょアリス]]』が同梱された。
: 2000年12月7日に[[Microsoft Windows 95|Windows 95]]・[[Microsoft Windows 98|98]]に向けて{{r|getchu20thcentury}}、[[20世紀]]最後と銘打って発売された{{要出典|date=2020-01}}。ゲーム作品『[[これD.P.S.?]] 』と『[[かえるにょ国にょアリス]]』が収録された{{r|support_20alice}}


; [[ALICEの館7]]
; [[ALICEの館7]]
: 2004年12月発売。収録作のうち、『[[しまいま。]]』はのちにフリー配布されることになった。その他短編ゲームとして『[[DUNGEONS&DOLLS]]』と『鈴宮刑務娼館収録されている
: 2004年12月17日発売{{r|getchualice7}}[[しまいま。]]」・「[[DUNGEONS&DOLLS]]」・「鈴宮刑務娼館」のゲーム3編に加え、「[[ウルトラ魔法少女まなな]]」シリーズの第3弾(第6 - 8話)など同梱された{{r|getchualice7}}


; [[アリス2010]]
; アリス2010
: 2009年12月18日発売。『[[Rance#Rance II -反逆の少女たち-|Rance II -反逆の少女たち-]]』のリニューアル版『ランス02 -反逆の少女たち-、『[[ばにしゅ! 〜おっぱいの消えた王国〜]]』のアフターストーリーにあたる「ばにしゅ! 〜この手のひらにおっぱいを〜」、「[[ままにょにょ]]」ワイド画面対応リニューアル版「わいどにょ」、「[[超昂閃忍ハルカ]] ハルカvsエスカレイヤー」、「はるうられ 校内赤線区域」同梱された。
: 2009年12月18日に[[Microsoft Windows XP|Windows XP]]・[[Microsoft Windows Vista|Vista]]・[[Microsoft Windows 7|7]]に向けて発売された{{r|getchu2010}}。『[[Rance#Rance II -反逆の少女たち-|Rance II -反逆の少女たち-]]』の一部をメイクした「ランス02 -反逆の少女たち-」{{r|n190607e}}、「[[超昂閃忍ハルカ]] ハルカvsエスカレイヤー」{{r|haruka}}、『[[ばにしゅ! 〜おっぱいの消えた王国〜]]』(2009年2月発売)のアフターストーリーにあたる「ばにしゅ! 〜この手のひらにおっぱいを〜」、「[[ままにょにょ]]」ワイド画面対応させたリニューアル版「わいどにょ」、「はるうられ -校内赤線区域-といった作品群や音楽集などが同梱された{{r|getchu2010}}


== 反響 ==
== 反響 ==
『ALICEの館』というシリーズについて、ゲーム関連の情報サイト「[[4Gamer.net|4Gamer.net]]」のライター・川崎政一郎はプレイヤーとの距離の近さを感じられると述べており、これに対し3DS版『[[闘神都市]]』のプロデューサーを務めた御影良衞も開発者の視点から親近感を感じられたと対談の中で述べている<ref name="4Gamer.net2"/>。[[キルタイムコミュニケーション]]発行の『美少女ゲームマニアックス』でも「ALICEの館」コーナーは制作現場の賑やかさがプレイヤー側に伝わるような内容になっていて、アリスソフトの開発力が劣らない理由がそこに見出せるのでは、と考察されている{{r|maniax42}}。
『ALICEの館』というシリーズについて、ゲーム関連の情報サイト「[[4Gamer.net|4Gamer.net]]」のライター・川崎政一郎はプレイヤーとの距離の近さを感じられると述べており、これに対し3DS版『[[闘神都市]]』のプロデューサーを務めた御影良衞も開発者の視点から親近感を感じられたと対談の中で述べている<ref name="4Gamer.net2"/>。[[キルタイムコミュニケーション]]発行の『美少女ゲームマニアックス』でも「ALICEの館」コーナーは制作現場の賑やかさがプレイヤー側に伝わるような内容になっていて、アリスソフトの開発力が劣らない理由がそこに見出せるのでは、と考察されている{{r|maniax42}}。


また、各作品に対しては以下のような反響があった。美少女ゲームの歴代作品を紹介する書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』で『ALICEの館2』を取り上げたライターのごうすとは、ゲームやおまけが豊富に盛り込まれ満足できる内容になっているとした{{r|taizen99}}。10段階評価では音楽・グラフィック・キャラクターに6点、シナリオ・H度に5点を付けたものの、快適性は満点としている{{r|taizen99}}。『ALICEの館4・5・6』を取り上げたはまぐちしんたろうもゲームのボリュームについて称賛しており、『4・5・6』のシナリオ・グラフィックに10点中9点、音楽・キャラクターには8点、H度と快適性には7点を付け概ね高く評価している{{r|taizen99}}。収録された作品の中から最も面白い作品として『アトラク=ナクア』を挙げており、『零式』については武器の選択肢の多さを評価しているが、イベントに物足りなさを感じたと言及している{{r|taizen162}}。『エロゲー文化研究概論』を著した宮本も、『ALICEの館』シリーズを紹介する中で『4・5・6』収録の『アトラク=ナクア』に着目し、視点描写や音楽、メインヒロインのキャラクターデザインが秀逸であったとしている{{r|gairon147148}}。
また、各作品に対しては以下のような反響があった。美少女ゲームの歴代作品を紹介する書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』で『ALICEの館2』を取り上げたライターのごうすとは、ゲームやおまけが豊富に盛り込まれ満足できる内容になっているとした{{r|taizen99}}。10段階評価では音楽・グラフィック・キャラクターに6点、シナリオ・H度に5点を付けたものの、快適性は満点としている{{r|taizen99}}。『ALICEの館4・5・6』を取り上げたはまぐちしんたろうもゲームのボリュームについて称賛しており、『4・5・6』のシナリオ・グラフィックに10点中9点、音楽・キャラクターには8点、H度と快適性には7点を付け概ね高く評価している{{r|taizen99}}。収録された作品の中から最も面白い作品として『アトラク=ナクア』を挙げており、『零式』については武器の選択肢の多さを評価しているが、イベントに物足りなさを感じたと言及している{{r|taizen162}}。『エロゲー文化研究概論』を著した宮本も、『ALICEの館』シリーズを紹介する中で『4・5・6』収録の『アトラク=ナクア』に着目し、視点描写や音楽、メインヒロインのキャラクターデザインが秀逸であったとしている{{r|gairon147148}}。そのほか香港のゲーム雑誌『Hyper PC Player(電脳遊園地)』には、[[IGN|IGN JAPAN]]編集部の歐陽宇亮による『20世紀アリス』のレビューが投稿されている{{r|ign}}。


== 脚注 ==
== 脚注 ==
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<ref name="about">{{cite web|url=https://www.alicesoft.com/about/|title=著作権ガイドライン|publisher=ALICESOFT|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200118163312/https://www.alicesoft.com/about/|archivedate=2020-01-18|accessdate=2020-01-26}}</ref>
<ref name="about">{{cite web|url=https://www.alicesoft.com/about/|title=著作権ガイドライン|publisher=ALICESOFT|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200118163312/https://www.alicesoft.com/about/|archivedate=2020-01-18|accessdate=2020-01-26}}</ref>
<ref name="maniax42">[[#maniax|「常に守りに入らない老舗ブランド アリスソフト」, 『美少女ゲームマニアックス』, p. 42.]]</ref>
<ref name="maniax42">[[#maniax|「常に守りに入らない老舗ブランド アリスソフト」, 『美少女ゲームマニアックス』, p. 42.]]</ref>
<ref name="n190607e">{{Cite web|title=平成元年に始まり平成で終わった美少女ゲーム『ランス』シリーズを振り返る。各種文献から見るアリスソフトとTADA氏の軌跡|url=https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190607e|website=電ファミニコゲーマー|date=2019-06-07|author=福山幸司|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200128105105/https://news.denfaminicogamer.jp/kikakuthetower/190607e|archivedate=2020-01-28|accessdate=2020-01-28}}</ref>
<ref name="getchu2010">{{Cite web|url=http://www.getchu.com/soft.phtml?id=668270&gc=gc|title=アリス2010 初回生産限定|work=Getchu.com|archiveurl=https://web.archive.org/web/20110915042757/http://www.getchu.com/soft.phtml?id=668270&gc=gc|archivedate=2011-09-15|accessdate=2020-01-28}}</ref>
<ref name="haruka">{{Cite web|url=https://www.alicesoft.com/alice2010/index.html|title=アリス2010|publisher=アリスソフト|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200128110450/https://www.alicesoft.com/alice2010/cnt04.html|archivedate=2020-01-28|accessdate=2020-01-28}}</ref>
<ref name="getchu20thcentury">{{Cite web|url=http://www.getchu.com/soft.phtml?id=3160&gc=gc|title=20世紀アリス|work=Getchu.com|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200128111337/http://www.getchu.com/soft.phtml?id=3160&gc=gc|archivedate=2020-01-28|accessdate=2020-01-28}}</ref>
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<ref name="getchualice7">{{Cite web|url=http://www.getchu.com/soft.phtml?id=111621&gc=gc|title=ALICEの館7|work=Getchu.com|archiveurl=https://web.archive.org/web/20150105015814/http://www.getchu.com/soft.phtml?id=111621&gc=gc|archivedate=2015-01-05|accessdate=2020-01-28}}</ref>
<ref name="ign">{{cite web|author=Au Yeung Yu Leung|date=2017-07-11|url=https://jp.ign.com/hkgirlgamer/12070/feature/8|title=香港ガリ勉眼鏡っ娘ゲーマー第8回!恋する女子ゲーマー(後編)と「小娘編集長」への道|work=IGN JAPAN|publisher=産経デジタル|archiveurl=https://web.archive.org/web/20200128113504/https://jp.ign.com/hkgirlgamer/12070/feature/8|archivedate=2015-01-05|accessdate=2020-01-28}}</ref>
}}
}}



2020年1月28日 (火) 11:39時点における版

ALICEの館』(アリスのやかた)は、日本のゲームブランド・アリスソフトが販売したアダルトゲームおよびそのシリーズである。本シリーズは1989年7月発売の『Rance -光をもとめて-』に収録された制作者コメントコーナーが発祥となっている。同年12月に『ALICEの館』をリリースしたのを皮切りに、短編ゲームや音楽集、アリスソフトが過去に発売したゲーム作品などを詰め合わせた単独作品としてシリーズ化された。

シリーズ 

「ALICEの館」というシリーズの名称は、アリスソフトのデビュー作である『Rance -光をもとめて-』(1989年7月発売)の制作者のコメントコーナーで初めて用いられた[1]。これは、同作のディレクターを務めたTADAがチャンピオンソフトに所属していた頃にリリースしていたディスクマガジンでの企画を踏襲したもので[1]、当時はあくまで付録的な立ち位置であった[2]。アリスソフトの『Rance -光をもとめて-』以降の作品にも「アリスの館」が収録された[1][注釈 1]が、その後の1989年12月に[4]単独作品として『ALICEの館』が発売されたのを発端として、下記のようにシリーズ化された。本シリーズはいずれもBGM集や短編ゲーム、制作陣によるイラスト・コメントなどの寄せ集めで構成されている[2]

TADAはこのような『ALICEの館』シリーズの制作意図について、開発スタッフの自己満足で作り上げてきた作品ではあるものの、当時から同業他社には真似できないようなことをやろうという意識が根底にあったのかもしれないと2013年のインタビューで振り返っている[5]

作品一覧

ALICEの館
1989年12月発売[4][注釈 2]PC-88VAPC-9801VMX68000向けに制作された[4]。CD版も1991年7月に発売されている[7]。アリスソフトのマスコットキャラクターであるアリスが主役のゲーム『電子の国のアリス』、短編ゲーム「センチメンタルシーズン」「クイズの館」などが同梱され発売された。また、FM-TOWNS版(1991年3月発売)では過去に発売されたゲーム『クレセントムーンがぁる』および『Intruder』も同梱された[要出典]
ALICEの館2
1992年7月発売[8][9]PC-9801VMX68000向けに制作された[9]Ranceシリーズの『Rance III -リーザス陥落-』から登場するパットンを主役に据えた短編「なぐりまくりたわぁ」[10]、「婦警さんDA」[10]、「おかゆフィーバーの逆襲」などが収録された。またFM-TOWNS版(1992年10月発売)では過去に発売されたゲーム『あぶない天狗伝説』も同梱された[要出典]
ALICEの館3
1995年4月発売[11][12]PC-9801VMFM TOWNSWindows向けに制作された[12]。「にせなぐりまくりたわぁ」[10]、「女教師悶絶地獄」、「哀少女ローラ」、「アリスのぼ〜けん」といった短編ゲームのほか、没になったゲームやBGM集などが同梱されている[13]。本作はアリスソフトの「配布フリー宣言」対象作品に指定され、インターネット上で無料公開されている[14]
ALICEの館4・5・6
1997年12月[15]18日発売[2]。『ALICEの館3』の3倍のボリュームがあるとし、冠名を4・5・6として発売された[1]。本作にはロボットがダンジョン内を探索する『零式』・パーティーゲーム風の『人間狩り』[10]・伝奇ファンタジーを描いたノベルゲーム[2]アトラク=ナクア』が収録され[10]、過去に発売されたゲーム『DALK』・『闘神都市[1]・『Rance -光をもとめて-』・『Rance II -反逆の少女たち-』・『Rance III -リーザス陥落-』・『Dr.STOP!』も同梱された。『零式』と『アトラク=ナクア』は後に単品として2000年に発売され[1]、『人間狩り』はアリスCDに収録された[要出典]
20世紀アリス
2000年12月7日にWindows 9598に向けて[16]20世紀最後と銘打って発売された[要出典]。ゲーム作品『これD.P.S.? 』と『かえるにょ国にょアリス』が収録された[17]
ALICEの館7
2004年12月17日発売[18]。「しまいま。」・「DUNGEONS&DOLLS」・「鈴宮刑務娼館」のゲーム3編に加え、「ウルトラ魔法少女まなな」シリーズの第3弾(第6 - 8話)などが同梱された[18]
アリス2010
2009年12月18日にWindows XPVista7に向けて発売された[19]。『Rance II -反逆の少女たち-』の一部をリメイクした「ランス02 -反逆の少女たち-」[20]、「超昂閃忍ハルカ ハルカvsエスカレイヤー」[21]、『ばにしゅ! 〜おっぱいの消えた王国〜』(2009年2月発売)のアフターストーリーにあたる「ばにしゅ! 〜この手のひらにおっぱいを〜」、「ままにょにょ」をワイド画面に対応させたリニューアル版「わいどにょ」、「はるうられ -校内赤線区域-」といった作品群や音楽集などが同梱された[19]

反響 

『ALICEの館』というシリーズについて、ゲーム関連の情報サイト「4Gamer.net」のライター・川崎政一郎はプレイヤーとの距離の近さを感じられると述べており、これに対し3DS版『闘神都市』のプロデューサーを務めた御影良衞も開発者の視点から親近感を感じられたと対談の中で述べている[5]キルタイムコミュニケーション発行の『美少女ゲームマニアックス』でも「ALICEの館」コーナーは制作現場の賑やかさがプレイヤー側に伝わるような内容になっていて、アリスソフトの開発力が劣らない理由がそこに見出せるのでは、と考察されている[22]

また、各作品に対しては以下のような反響があった。美少女ゲームの歴代作品を紹介する書籍『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』で『ALICEの館2』を取り上げたライターのごうすとは、ゲームやおまけが豊富に盛り込まれ満足できる内容になっているとした[10]。10段階評価では音楽・グラフィック・キャラクターに6点、シナリオ・H度に5点を付けたものの、快適性は満点としている[10]。『ALICEの館4・5・6』を取り上げたはまぐちしんたろうもゲームのボリュームについて称賛しており、『4・5・6』のシナリオ・グラフィックに10点中9点、音楽・キャラクターには8点、H度と快適性には7点を付け概ね高く評価している[10]。収録された作品の中から最も面白い作品として『アトラク=ナクア』を挙げており、『零式』については武器の選択肢の多さを評価しているが、イベントに物足りなさを感じたと言及している[23]。『エロゲー文化研究概論』を著した宮本も、『ALICEの館』シリーズを紹介する中で『4・5・6』収録の『アトラク=ナクア』に着目し、視点描写や音楽、メインヒロインのキャラクターデザインが秀逸であったとしている[24]。そのほか香港のゲーム雑誌『Hyper PC Player(電脳遊園地)』には、IGN JAPAN編集部の歐陽宇亮による『20世紀アリス』のレビューが投稿されている[25]

脚注

注釈

  1. ^ ただし、1995年発売の『あゆみちゃん物語 実写版』では「アリスの館」ではなく「メガストアの館」というコーナーで収録された[3]。これは雑誌『メガストア』が制作に関わっていたことに由来している[3]
  2. ^ ただし、発売月を1990年2月とする文献も存在する[6]

出典

  1. ^ a b c d e f 今俊郎、黛宏和 (2019年8月1日). “【ゲームの企画書】エロゲー業界の重鎮アリスソフトのTADA氏が駆け抜けた現場30年。平成に始まり平成に終わった『Rance』シリーズを完結させた「作り続ける人」が向かう先(1ページ目)”. 電ファミニコゲーマー. 2020年1月26日閲覧。
  2. ^ a b c d 宮本 2017, p. 147.
  3. ^ a b 八霧 2006, p. 74.
  4. ^ a b c 前田 2016, p. 123.
  5. ^ a b 川崎政一郎 (2013年11月30日). “あのシナリオをどうやって3DSに? 20年の時を経て甦る「闘神都市」の疑問を,イメージエポック・御影氏とアリスソフト・TADA氏に聞いてきた(2ページ目)”. 4Gamer.net. 2020年1月26日閲覧。
  6. ^ 「1982-1990 美少女ゲーム黎明期(作品年表)」, 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』, p. 52.
  7. ^ 「1991-1996 美少女ゲーム成長期(作品年表)」, 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』, p. 80.
  8. ^ 「1991-1996 美少女ゲーム成長期(作品年表)」, 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』, p. 81.
  9. ^ a b 前田 2016, p. 124.
  10. ^ a b c d e f g h ごうすと 2000, p. 62.
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参考文献

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  • 宮本直毅「黒髪ロングは伝記の香り〜『アトラク=ナクア』〜」『エロゲー文化研究概論 増補改訂版』(第1版第1刷)総合科学出版、2017年5月15日、147 - 149頁。ISBN 978-4-88181-859-6 
  • 八霧敬次「あゆみちゃん物語 実写版」『超エロゲー』(第1刷)太田出版、2006年12月4日、74 - 76頁。ISBN 4-7783-1052-7 
    • 「「アリスソフト」設立〜『ランス』シリーズ始動〜」、69 - 70頁。
  • 『パソコン美少女ゲーム歴史大全1982‐2000』(初版第1刷)ぶんか社、2000年10月10日。ISBN 4-8211-0717-1 
    • 「1982-1990 美少女ゲーム黎明期(作品年表)」、52 - 54頁。
    • 「1991-1996 美少女ゲーム成長期(作品年表)」、80 - 87頁。
    • ごうすと「アリスの館 II」、99頁。
    • 「1997-2000 美少女ゲーム全盛期(作品年表)」、144 - 153頁。
    • はまぐちしんたろう「アリスの館4・5・6」、162頁。
  • 「常に守りに入らない老舗ブランド アリスソフト」『美少女ゲームマニアックス』キルタイムコミュニケーション、2000年9月10日、42 - 43頁。ISBN 4-906650-65-1 

外部リンク