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=== バレットM82 ===
=== バレットM82 ===
[[フォークランド紛争]]においてアルゼンチン軍兵士は陣地戦での攻防や対車両用に用いられる[[ブローニングM2重機関銃]]に[[照準器|スコープ]]を載せ、イギリス軍兵士を遠距離から[[狙撃]]し多くの戦果を挙げ、本格的な大口径対人狙撃の始まりとなった。イギリス軍兵士の自動小銃や軽機関銃はまったく射程が足りず、対抗するために[[ミラン (ミサイル)|ミラン対戦車ミサイル]]をもって更なる遠距離から機関銃陣地への攻撃を行った。この戦訓は戦後秘匿されたが、一時は存在意義を失っていた[[対戦車ライフル]]が『[[対物ライフル]]』として見直され、陣地攻撃用の携帯兵器の[[バレットM82]]が開発された。バレットM82はブローニングM2重機関銃と同じく[[12.7x99mm NATO弾|12.7mm弾]]を使用し作動方式も[[ショートリコイル]]方式である。
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== 代表的な軍・警察用狙撃銃 ==
== 代表的な軍・警察用狙撃銃 ==

2020年1月6日 (月) 21:12時点における版

M40A3
アメリカ陸軍で採用されている狙撃銃とその性能

狙撃銃(そげきじゅう、 sniper rifle)は、狙撃用に特化した小銃。一般には、高倍率の光学照準器(スコープ)を取り付けて遠距離射撃に適した小銃を指す。

概要

弾薬 最大有効射程
7.62x39mm 350m
5.56x45mm 550m
7.62x51mm 800m
7.62x54mm R 800m
.30-06 スプリングフィールド 800m
7mm レミントン マグナム 900-1,100m
.300 ウィンチェスター マグナム 900-1,200m
.338 ラプア マグナム 1,200-1,500m
.50 BMG (12.7x99mm NATO)
12.7x108mm (ロシア)
1,500-2,000m
14.5x114mm 1,800-2,300m
.408 シャイタック 2,300m

狙撃銃は、遠距離から目標を狙撃するために用いる、精度が高く命中率が良い小銃(ライフル)である。

遠距離の照準をつけやすくするためにスコープなどの照準装置を備えるものを特に狙撃銃と呼ぶことが多く、頬当てやバイポッドなどで安定性を保ち易くしているものも多い。高い精度専用に設計されたものと、アサルトライフルなど、本来は狙撃用ではない小銃から精度の優れたものを選抜したうえで改造されるものがある。

歴史

第二次世界大戦期のスナイパーとして有名なシモ・ヘイヘは歩兵小銃であるモシン・ナガンを狙撃に使用した

17世紀まで、狙撃という概念はなかった。人間を狙えるほど正確な武器自体はなく、もっぱら動物の狩猟に弓矢を使っていたが、技術の発達により火薬によって弾を飛ばす「銃」というものが誕生し、1700年代初頭からマスケット銃が登場した。マスケット銃は有効射程が50メートル程度で精度は低かったが、様々な技術革新によりライフルとして進化し、距離も200メートル以上と精度が著しく向上した。

小銃はその発生時より狙撃銃としての性格を持っていたが、第一次世界大戦時に精度の良い小銃と腕の良い射手による戦術的成果が認識されはじめ、戦間期から第二次世界大戦中にかけて一般の小銃の中から特に精度の良い物を選別したうえでスコープを取り付け、狙撃手用の兵法の確立と共に専門化されていった。

種類

現代の狙撃兵や警察狙撃手は専門化が進み、精度の高い狙撃専用として設計された狙撃銃を使用する傾向があり、銃身、機関部、銃床、スコープは目的に応じた各メーカー製品あるいは一部特注した仕様の製品を組み合わせ、ウェポンシステム化した狙撃システムと呼ばれる製品が増えている。銃身は従来より弾道を安定させるために長く重く作られている。銃床(台座部分)と銃身は干渉しないようにフローティングバレル[1]が採用され、銃床も従来は木製(ウォールナット材が多かった)だったのが、材質も気温や湿度の影響を考慮して熱膨張率の低い合成樹脂繊維強化プラスチック金属基複合材料などを用いる傾向にある。一方、選抜射手(マークスマン)に用意されるマークスマンライフルなど、歩兵が運用する狙撃銃は既存のアサルトライフルバトルライフルをベースにしたものが多い。これは専用の狙撃兵は単独、もしくはスポッターとの少数行動で専門的狙撃を行うために精度が重視されるからであり、選抜射手は歩兵分隊の一員として行動するために火力や柔軟性を重視するほか、弾薬部品を分隊の小銃手と共通化するためでもある。

狙撃銃は一般に7.62mmや5.56mmクラスの小銃弾を使用し、概ね100-600m程度の射撃に適する。.338ラプアマグナム弾や12.7mm弾であれば1km程度まで弾丸は届き、2-3km程度の長距離狙撃記録もあるが、この距離だと重力湿度など、様々な要因に干渉されるので、基本的に命中は期待できない。

また、12.7mmを超える弾丸を使用する対物ライフルも超長距離の弾道直進性を買われて狙撃に用いられる。小銃弾より桁違いに重い弾丸重量のおかげで、1,000メートルを超える狙撃でも風のような外部干渉要因に左右されにくく、命中を期待できる。高貫通力かつ高威力でもあるため、採用する軍や警察が増えている。一部にはハーグ陸戦条約の「不必要な苦痛を与える兵器」に該当するのではないかという見方もあるが、ハーグ条約の条文に大口径銃弾への記述があるわけでもなく、具体的に使用を制限する条約や法律は存在しない。

構造

ボルトアクション(手動装填)方式

M40A3の排莢

ボルトアクション方式は弾丸の装填を1発ずつ手動で行う方式である。主に.338ラプアマグナム弾や.300ウィンチェスターマグナム弾を使用する狙撃銃で採用される方式である(一部では7.62mm弾を使用する狙撃銃も存在する)。構造が簡単なため安価で軽く、信頼性や射撃精度で勝る。欠点として、次弾装填のためのボルト操作が必要であり連続した射撃が不可能である。警察特殊部隊など精度を最重視する場合などでよく利用される。戦場では最初の1発のみで戦闘が終了することは少なく、軍はもとより警察でも問題になった。ボルトアクション方式の問題は、手動装填のために連射速度が遅いという単純な点だけでなく、次弾を装填する際に、

  1. ボルトを操作するために引き金から手を離さなくてはならない
  2. その際に目標と照準がずれてしまう

ということが起きる。そのため、狙撃目標が複数ある場合や初弾を外した場合には、致命的ともいえる動作(問題)を伴う点にある。警察では、後述のオートマチック方式の狙撃銃が登場するまで、狙撃手には外した場合に備えたバックアップ武器として自動小銃を携行させていた。

オートマチック(自動装填)方式

オートマチック方式は弾丸の装填が自動で行われる方式である。主に7.62mm弾を使用するマークスマン・ライフル12.7mmを使用する対物ライフルで採用される方式である。構造が複雑なため高価で重く、信頼性や射撃精度で劣る。利点として、次弾装填のためのボルト操作が不要であり連続した射撃が可能である。軍隊など速射を最重視する場合などでよく利用される。警察でもミュンヘンオリンピック事件以後、導入したケースもある。

スムーズに次弾を装填するためには弾薬を保持する薬室に間隙の余裕を持たせる必要があり、これによって弾道に誤差が生じて狙撃の精度を落とす恐れがあるため、高度な製造技術が求められる。その例として、ミュンヘン事件を受けて狙撃専用に開発されたH&KPSG-1は7,000ドルもする。高価すぎるためにドイツ連邦軍は導入せず、代わりに試射で好成績を出したH&K G3を生産ラインから引き抜き、スコープ、チークピースを備えたG3SG/1というモデルを制式にしている[2]。同じ経緯でワルサー社が開発したワルサーWA2000は、高価なためにどこにも採用されず、生産中止となっている。最近ではセミ・オートのスナイパーライフルの精度が向上したため、米陸軍では7.62mmNATO弾を使用するスナイパーライフルを従来のボルトアクション式ライフルであるM24SWSから、ダイレクト・インピンジメント方式(リュングマン式)のオートマチックライフルであるナイツ社製のSR-25に変更した。

照準器

スコープのレティクル

ほとんどの狙撃銃の上部には光学照準器スコープ)がついており、その倍率は20世紀初頭の古いものでも2倍以上、21世紀初頭の新しいものでは10倍から30倍にも達する(ただし狙撃の用途や想定交戦距離により最適な倍率は異なるため、倍率が高ければ有利という訳ではない)連射した場合、銃身の放熱で映像が揺らぐのを防ぐため、銃身の上面には陽炎ベルト(mirage belt)を装着することが多い。

単眼鏡の中に現れる照準(レティクル/reticle)に目標を照らし合わせて狙撃を行うが、実際の弾道は直線ではなく、重力の影響を考慮するため遠距離では上向きの放物線を描くことになり、さらに手ぶれや風、湿度、気圧火薬の劣化などの複数の影響が加わるため、長距離で弾が当たる場所を正確に予測するのは難しい。このため、射手は高度な技術と経験を頼りに照準を垂直/水平微調整(elevation/windage)して目標を狙う必要がある。最近では距離の測定にはレーザーを併用する場合もある。また、狙撃手(スナイパー/sniper)に必要な風や目標、着弾点の情報を報告する観測手(スポッター/spotter)が狙撃を補助する場合もある。照準器も参照。

近年では夜間での射撃を可能にする暗視式スコープ、距離を測定するレーザー式のレンジファインダー、距離や風、目標物との角度による弾道を計算するソフトウェアを内蔵した専用の端末などの電子機器の性能も向上し、また、これらを複合的に組み合わせるシステム等が開発、実用化されている。

代表的なオートマチック方式の狙撃銃

M16より派生した狙撃銃群

SPR Mk12 Mod 0/M16をベースとする米軍の特殊目的ライフル(=狙撃銃)
SAMR/M16をベースとする米海兵隊の分隊上級射手ライフル(=狙撃銃)

一般にオートマチックライフルは、薬室や機関の遊びを大きく取っており、ボルトアクションライフルに比べ命中精度や信頼性が劣る。

M16を特徴付けるダイレクト・ガス・アクションによるガス圧作動方式は、信頼性の面で早くから他の機構に対して劣っていることが指摘されてきた。ベトナム戦争による悪評が兵士の整備不足による冤罪ではあったとしても、泥水に付けても作動するAK-47アサルトライフルに対し、M16やM4が先のイラク戦争で、汚れたグリス類と砂漠地帯特有の細かい砂による汚れで作動不良を起こしたことはよく知られている。しかしこの特殊な機構が他のオートマチックアクションに比べて、とりわけ射撃精度の点で優れている。しかし、5.56ミリ弾の射程距離は数百メートルであり、『ゴルゴ13』のような“数キロメートル先から一発で標的を仕留める”描写はあり得ない(作者のさいとう・たかをも、M16の実際の能力についてはあまりよく知らず、その武骨な外見のみでゴルゴに使わせたと認めている)

アメリカ軍特殊部隊用として、M16を軽狙撃/精密射撃任務用にカスタマイズしたSPR Mk12などの特殊目的ライフル(Special Purpose Rifle)を開発している。また、アメリカ海兵隊では少数生産されたSAMRSquad Advanced Marksman Rifle)の運用思想をもとにM27 IARに同じスコープを搭載したものをM38 SDMRとして分隊上級射手用に配備している。本来、M27 IARはM249と同じく軽機関銃として採用されたが、採用当初から優れた命中精度が注目されており兵士個人でスコープを搭載することがあった。軽狙撃(light sniper)とは、バレットM82など50口径クラスによるものを重狙撃(heavy sniper)とするためにこのように呼ばれる。

これらの銃には、通常弾薬であるM855の弾頭重量を77グレイン(4.98g)に増量するなどして、実戦での命中精度向上させたMk262の使用を前提とするが、この弾薬は900ヤード[3]でどんな種類のものかは分からないにしろ7.62ミリ弾を凌駕する精度を持っているという話もある。[要出典]

ドラグノフ狙撃銃

ソビエト連邦で開発されたドラグノフ狙撃銃ソビエト連邦軍をはじめとしたワルシャワ条約機構で広く採用され、東西冷戦時代の東側を代表する狙撃銃となった。ソビエト連邦の傑作アサルトライフルAK-47を元に、AK-47の使用する弾薬よりも火薬量の多い7.62mm×54R弾を使用するため薬室やガスチューブなどを設計し直して作られたこの銃は、他の狙撃銃に比べ数キロ軽く高い信頼性を持ちながら600m以上の有効射程を持つという。現在のロシア連邦軍では、専門の訓練を受けた射撃手と共に各分隊に一丁ずつ配備されている。

バレットM82

フォークランド紛争においてアルゼンチン軍兵士は陣地戦での攻防や対車両用に用いられるブローニングM2重機関銃スコープを載せ、イギリス軍兵士を遠距離から狙撃し多くの戦果を挙げ、本格的な大口径対人狙撃の始まりとなった。イギリス軍兵士の自動小銃や軽機関銃はまったく射程が足りず、対抗するためにミラン対戦車ミサイルをもって更なる遠距離から機関銃陣地への攻撃を行った。この戦訓は戦後秘匿されたが、一時は存在意義を失っていた対戦車ライフルが『対物ライフル』として見直され、[要検証]陣地攻撃用の携帯兵器のバレットM82が開発された。バレットM82はブローニングM2重機関銃と同じく12.7mm弾を使用し作動方式もショートリコイル方式である。

代表的な軍・警察用狙撃銃

アメリカ合衆国

ソビエト連邦 / ロシア

  • M1891/30 - 精度の高いM1891/30を転用。ボルトアクション方式。
  • M1940 - 精度の高いM1940を転用。半オートマチック方式。
  • SVD - “ドラグノフ狙撃銃”の名で知られる。オートマチック方式。
  • VSS - 消音に徹した特殊な狙撃銃。オートマチック方式。
  • SV-98 - ボルトアクション方式。

ドイツ

イギリス

極地(極寒冷地)仕様のモデルは「L118A1」と呼ばれ、スウェーデン軍に「Psg90」の制式名で使用されている。
  • L115(AW338/AWM338) - L96A1の.338Lapua Magnum仕様。L96A1に代わり2007年より導入。
  • AWM300 - L96A1の.300Win Mag弾モデル。ドイツ連邦軍で「G22」の制式名で採用された。
  • AW50 - L96A1の.50口径(12.7mm)型。
  • L129A1 - アメリカのLMT(Lewis Machine & Tool.Co)社製 LW308MWS を制式採用。アーマライトAR-10自動小銃の発展型。オートマチック式。

日本

フランス

フィンランド

  • SAKO TRG - サコ社。ボルトアクション方式。.308ウィンチェスター弾仕様のTRG-21/22とより強力な弾薬を使用するTRG-41/42がある。

脚注

  1. ^ 浮き銃身、ぴったり嵌っているのではなく1-2mmの隙間がある
  2. ^ 現在はH&K G28に置き換えが進んでいる。
  3. ^ 1ヤード=0.9144m, 1インチ=2.54cm。900ヤードは約823m

出典

  • Tobias, Ronald (1981). They Shoot to Kill: A Psycho-History of Criminal Sniping. Boulder, Colorado: Paladin Press. ISBN 0-87364-207-4 
  • De Haas, Frank (1995). Bolt Action Rifles. Krause Publications. ISBN 0-87349-168-8 

関連項目

外部リンク