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{{Law}}
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'''司法巡査'''(しほうじゅんさ)とは、[[司法警察]]活動([[捜査]])を行う[[司法警察職員]]の中の役職の一つである。
'''司法巡査'''(しほうじゅんさ)とは、[[司法警察]]活動([[捜査]])を行う[[司法警察職員]]の中の役職の一つであり、戦前は'''司法警察吏'''と称した<ref>司法警察職員等指定応急措置法(昭和23年法律第234号)第2条「他の法令中「司法警察官吏」とあるのは「司法警察職員」と、「司法警察官」とあるのは「司法警察員」と、「司法警察吏」とあるのは「司法巡査」とそれぞれ読み替えるものとする。」</ref>


== 司法警察員との違い ==
== 司法警察員との違い ==
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* [[逮捕#通常逮捕|通常逮捕]]状の請求権限([[刑事訴訟法]]199条2項)<ref>同条文には(通常逮捕状の請求は)『警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。』と限定されており司法警察員であれば全員が権限を有するわけではない。[[司法警察員]]の項を参照のこと。</ref>
* [[逮捕#通常逮捕|通常逮捕]]状の請求権限([[刑事訴訟法]]199条2項)<ref>同条文には(通常逮捕状の請求は)『警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。』と限定されており司法警察員であれば全員が権限を有するわけではない。[[司法警察員]]の項を参照のこと。</ref>
* 通常逮捕、[[現行犯]]逮捕・[[現行犯#準現行犯|準現行犯]]逮捕された被疑者の受取り(同202条、215条)
* 通常逮捕、[[現行犯]]逮捕・[[現行犯#準現行犯|準現行犯]]逮捕された被疑者の受取り(同202条、215条)
* 被疑者逮捕時の犯罪事実の要旨・[[弁護人]]選任の告知、弁解録取、[[保釈|釈放]]・[[送致]]の決定(同203条1項、211条216条)
* 被疑者逮捕時の犯罪事実の要旨・[[弁護人]]選任の告知、弁解録取、[[保釈|釈放]]・[[送致]]の決定同203条1項、211条216条
* [[捜索]]・[[差押]]・[[検証#刑事訴訟法における検証|検証]][[令状]]の請求(同218条3項)
* [[捜索]]・[[差押]]・[[検証#刑事訴訟法における検証|検証]][[令状]]の請求同218条3項
* [[証拠]]品の売却・還付(同222条1項但書)
* [[証拠]]品の売却・還付(同222条1項但書)
* [[鑑定留置]]処分の請求(同224条1項)、鑑定処分許可の請求(同225条2項)
* [[鑑定留置]]処分の請求同224条1項、鑑定処分許可の請求同225条2項
* 代行[[検視]](同229条2項)
* 代行[[検視]]同229条2項
* [[告訴・告発]]・[[自首]]事件の受理、[[調書]]作成(同241条1項2項、243条、245条)
* [[告訴・告発]]・[[自首]]事件の受理、[[調書]]作成(同241条1項2項、243条、245条)
* [[検察官]]への事件送致(同法246条本文、242条、245条)
* [[検察官]]への事件送致同法246条本文、242条、245条
等が上げられる<ref>[https://www.keijihiroba.com/criminal-justice/police.html 刑事事件で被疑者が最初に関わるのは警察官〜警察の組織を知ろう〜]刑事事件弁護士相談広場</ref>。
等が上げられる<ref>[https://www.keijihiroba.com/criminal-justice/police.html 刑事事件で被疑者が最初に関わるのは警察官〜警察の組織を知ろう〜]刑事事件弁護士相談広場</ref>。


例えば、逮捕状請求上申提案しか出来ない。(つまり、[[刑事ドラマ]]で早くしょっ引きましょうと急かす[[巡査]]達をもう少し様子を見ようと上司が制止する描写は正しい)。ただし、[[緊急逮捕]]に係る逮捕状請求に関しては、司法巡査も請求しうが、実際、警察に司法巡査しかいないということはあり得ないため、司法巡査が請求するケースほぼない。
逮捕状請求について上申提案のみ行うことができる<ref>[[刑事ドラマ]]で早くしょっ引きましょうと急かす[[巡査]]達をもう少し様子を見ようと上司が制止する描写は正しい</ref>が、[[緊急逮捕]]に係る逮捕状請求は、司法巡査も請求でき<ref>警察施設に司法巡査のみ所在する事例、地方や僻地の駐在所を除て稀である。</ref>


== 警察官の場合 ==
== 警察官の場合 ==
一般司法警察職員たる[[日本の警察官|警察官]]は、[[公安委員会]][[規則]]の定めに従い[[日本の警察官#階級|階級]]によって司法警察員司法巡査が区別される。原則として[[巡査]]及び[[巡査長]]の階級の者は司法巡査、[[巡査部長]]以上の階級の者は司法警察員とされている<ref>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29F30301000005.html 刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則](昭和297月1日国家公安委員会規則第5)1条1項</ref>。ただし、[[捜査]]上必要がある場合は、巡査及び巡査長の階級の者を[[司法警察員]]に指定することができる<ref>刑事訴訟法[[b:刑事訴訟法第189条|189条1項]]より。その例としては、[http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10122101.html 警視庁司法警察員等の指定に関する規則](平成5年2月2日東京都公安委員会規則第2号)第2条、[http://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00001048.html 司法警察員等の指定に関する規則](昭和29年7月1日大阪府公安委員会規則第四号)第2条など</ref>。
一般司法警察職員たる[[日本の警察官|警察官]]は、[[公安委員会]][[規則]]の定めに従い[[日本の警察官#階級・階級的職位|階級]]司法警察員司法巡査が区別される。原則として[[巡査]]及び[[巡査長]]の階級の者は司法巡査、[[巡査部長]]以上の階級の者は司法警察員とされる<ref>{{Cite web|和書|url=https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=329M50400000005 |title=刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則(昭和二十九年国家公安委員会規則第)|publisher=e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 |date=2019-05-24 |quote=2019年5月24日施行分|accessdate=2019-12-31}}1条1項</ref>。[[捜査]]上必要がある場合は、巡査及び巡査長の階級の者を[[司法警察員]]に指定することができる<ref>刑事訴訟法[[b:刑事訴訟法第189条|189条1項]]より。その例としては、[http://www.reiki.metro.tokyo.jp/reiki_honbun/ag10122101.html 警視庁司法警察員等の指定に関する規則](平成5年2月2日東京都公安委員会規則第2号)第2条、[https://www.pref.osaka.lg.jp/houbun/reiki/reiki_honbun/k201RG00001048.html 司法警察員等の指定に関する規則](昭和29年7月1日大阪府公安委員会規則第四号)第2条など</ref>。


== 警察官以外の場合 ==
== 警察官以外の場合 ==
[[特別司法警察職員]]の階級においては、[[陸上自衛隊]]、[[海上自衛隊]]、[[航空自衛隊]]の各[[警務隊|警務官]]は、[[士 (自衛隊)|士の階級]]にある陸士長、海士長、空士長以下の者が司法巡査に指定されている。海上保安庁は法律により[[海上保安官補]]が指定されているが、現在は二等海上保安士以下の階級の者が司法巡査として運用されている。
[[特別司法警察職員]]の階級は、[[陸上自衛隊]]、[[海上自衛隊]]、[[航空自衛隊]]の各[[警務隊|警務官]]は、[[士 (自衛隊)|士の階級]]にある陸士長、海士長、空士長以下の者が司法巡査に指定されている。
海上保安庁は法律により[[海上保安官補]]が指定されているが、現在は二等海上保安士以下の階級の者が司法巡査として運用されている。

民間では、大型船舶の海員<ref>甲板部、機関部及び事務部の海員中其の各部に於て職掌の上位に在る者</ref>が司法巡査としての職務を行う。


== 書類上の記載 ==
== 書類上の記載 ==
司法巡査は階級名ではなく司法警察職員としての役名であるが、書類作成の際に司法警察員は「司法警察員[[警部補]]」、「司法警察員[[巡査部長]]」などと記載するのに対し、司法巡査の場合は階級名を省略し「司法巡査」と記載する。
司法巡査は階級名ではなく司法警察職員の役が、書類作成に司法警察員は「司法警察員[[警部補]]」、「司法警察員[[巡査部長]]」などと記載する、司法巡査は階級名を省略し「司法巡査」と記載する。


== 脚注 ==
== 脚注 ==

2024年12月2日 (月) 01:29時点における最新版

司法巡査(しほうじゅんさ)とは、司法警察活動(捜査)を行う司法警察職員の中の役職の一つであり、戦前は司法警察吏と称した[1]

司法警察員との違い

[編集]

司法巡査が司法警察員と異なる点は、犯罪捜査や被疑者の逮捕など司法警察活動を行う際の権限が制約されるところにある。

制限される権限として

等が上げられる[3]

逮捕状請求について上申と提案のみ行うことができる[4]が、緊急逮捕に係る逮捕状請求は、司法巡査も請求できる[5]

警察官の場合

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一般司法警察職員たる警察官は、公安委員会規則の定めに従い階級で司法警察員と司法巡査が区別される。原則として巡査及び巡査長の階級の者は司法巡査、巡査部長以上の階級の者は司法警察員とされる[6]捜査上必要がある場合は、巡査及び巡査長の階級の者を司法警察員に指定することができる[7]

警察官以外の場合

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特別司法警察職員の階級は、陸上自衛隊海上自衛隊航空自衛隊の各警務官は、士の階級にある陸士長、海士長、空士長以下の者が司法巡査に指定されている。

海上保安庁は法律により海上保安官補が指定されているが、現在は二等海上保安士以下の階級の者が司法巡査として運用されている。

民間では、大型船舶の海員[8]が司法巡査としての職務を行う。

書類上の記載

[編集]

司法巡査は階級名ではなく司法警察職員の役職名だが、書類作成時に司法警察員は「司法警察員警部補」、「司法警察員巡査部長」などと記載するが、司法巡査は階級名を省略して「司法巡査」と記載する。

脚注

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  1. ^ 司法警察職員等指定応急措置法(昭和23年法律第234号)第2条「他の法令中「司法警察官吏」とあるのは「司法警察職員」と、「司法警察官」とあるのは「司法警察員」と、「司法警察吏」とあるのは「司法巡査」とそれぞれ読み替えるものとする。」
  2. ^ 同条文には(通常逮捕状の請求は)『警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。』と限定されており司法警察員であれば全員が権限を有するわけではない。司法警察員の項を参照のこと。
  3. ^ 刑事事件で被疑者が最初に関わるのは警察官〜警察の組織を知ろう〜刑事事件弁護士相談広場
  4. ^ 刑事ドラマで「早くしょっ引きましょう」と急かす巡査達を「もう少し様子を見よう」と上司が制止する描写は正しい
  5. ^ 警察施設に司法巡査のみ所在する事例は、地方や僻地の駐在所を除いて稀である。
  6. ^ 刑事訴訟法第百八十九条第一項および第百九十九条第二項の規定に基づく司法警察員等の指定に関する規則(昭和二十九年国家公安委員会規則第五号)”. e-Gov法令検索. 総務省行政管理局 (2019年5月24日). 2019年12月31日閲覧。 “2019年5月24日施行分”1条1項
  7. ^ 刑事訴訟法189条1項より。その例としては、警視庁司法警察員等の指定に関する規則(平成5年2月2日東京都公安委員会規則第2号)第2条、司法警察員等の指定に関する規則(昭和29年7月1日大阪府公安委員会規則第四号)第2条など
  8. ^ 甲板部、機関部及び事務部の海員中其の各部に於て職掌の上位に在る者