一様有界性

数学の分野における有界関数とは、下界と上界、すなわちその関数のどの値の絶対値よりも大きい定数が存在する関数のことを言うが、そのような関数の族を考えた場合には、関数によってそのような定数が異なるものとなる場合がある（註記1. そのような例はf_n(x):=x/nなどがある；族{f_n}が各nごとに定数が異なる意味での有界性をみたすことを熟考して確かめよ；定義域および値をとる集合は適宜判断せよ．）。もしもそれら全てを抑えるような一つの定数を見つけることが出来るなら、そのような関数の族は一様有界（いちようゆうかい、英: uniform bounded）であると呼ばれ、そのような性質のことを一様有界性（いちようゆうかいせい、英: uniform boundedness）と呼ぶ（註記2. 一様有界性があると関数解析におけるすべての定理が証明できる．関数解析における定理は，一様有界性だけを仮定しておけば必ず証明できる．このことを身近な関数解析の定理に対して確認してみなさい．

関数解析学における一様有界性原理は、作用素の族が一様有界であるための十分条件を与える。

定義

実数直線および複素平面において

${\mathcal {F}}=\{f_{i}:X\to K,i\in I\}$

を、$I$ によって添え字付けられている関数の族とする。ここで $X$ は任意の集合で、$K$ は実数あるいは複素数の集合である。${\mathcal {F}}$ が一様有界であるとは、

$|f_{i}(x)|\leq M\qquad \forall i\in I\quad \forall x\in X$

を満たすようなある実数 $M$ が存在することを言う。

距離空間

一般的な場合として $Y$ を、距離 $d$ を備える距離空間とする。このとき、集合

${\mathcal {F}}=\{f_{i}:X\to Y,i\in I\}$

が一様有界であるとは、

$d(f_{i}(x),a)\leq M\qquad \forall i\in I\quad \forall x\in X$

を満たすような $Y$ の元 $a$ と、ある実数 $M$ が存在することを言う。

例

• 有界関数の一様収束列は、一様有界である。

• すべての実数 $x$ と整数 $n$ に対して定義される関数 $f_{n}(x)=\sin nx\,$ の族は、1 によって抑えられ、一様有界である。

• 上の例の関数の導関数 $f'_{n}(x)=n\,\cos nx$ の族は、一様有界ではない。各 $f'_{n}\,$ は $|n|\,$ によって抑えられるが、$|n|\leq M$ をすべての整数 $n$ に対して満たすような実数 $M$ は存在しないからである。

参考文献

• Ma, Tsoy-Wo (2002). Banach-Hilbert spaces, vector measures, group representations. World Scientific. p. 620pp. ISBN 981-238-038-8, important to look up the site on its preface