房州びわ

房州びわ(ぼうしゅうびわ)は、千葉県房総半島で栽培されているビワのブランド。主に南房総市（旧：安房郡富浦町）・館山市・鋸南町などで生産されている。「房州びわ」の名称は、安房農業協同組合により、2007年に地域団体商標の登録がなされている。

概要

房総半島でのビワ栽培開始は宝暦元年（1751年）とされる。大果系の品種が中心となっており、ひとつが70 - 80グラム（一般的なビワのサイズは約40グラム）になる。温暖な気候下で栽培されることによる高い品質で評価を得た。

びわの主産地である南房総市（旧・富浦町）が出資して作った道の駅とみうら（枇杷倶楽部）では、収穫期間の短いビワを年間楽しめるように、ビワの加工品の販売にも力を入れている。

「房州びわゼリー」を始め、「びわ缶詰」、「びわジャム」、「びわアイス」、「びわシャンプー」など30種類以上のびわ関連商品が開発されている。

特徴

千葉県の房総半島南端に近い西海岸の南房総市、館山市および鋸南町で栽培されており、2006年（平成18年）の結果樹面積は169ヘクタールとなっている。中でも南房総市は、146ヘクタールを有し、県全体の86パーセントを占めている。大粒でみずみずしいのが特徴。

皇室献上品

皇室献上は、1909年（明治42年）6月20日に安房郡富浦町南無谷（現・南房総市富浦町南無谷）の木村兼吉（きむらかねきち）によって始められ、以来第二次世界大戦中の一時期を除き、今日まで続けられている。

品種

表記内容は左から順に、品種名（ふりがな、丸括弧（ ）内に記す）。

• 大房（おおふさ）
  • 露地栽培。収穫期は5月下旬から6月上旬。露地栽培における結果樹面積に占める割合は66パーセント。1果70から80グラムと大果で、酸味が少ない。農林水産省育成、1942年（昭和17年）発表。
• 田中（たなか）
  • 露地栽培。収穫期は6月中旬から6月下旬。露地栽培における結果樹面積に占める割合は29パーセント。1果65から75グラムと大果で、外観が美しい。以前は房州びわを代表する品種だった。東京府在住の田中芳男により育成され、1879年（明治12年）発表。
• 富房（とみふさ）
  • ハウス（温室）栽培。収穫・出荷時期はおおむね4月上旬から5月下旬。ハウス栽培における面積割合は60パーセント。1果70グラムと大果で、酸味が少なく、外観が美しい。施設栽培に適した品種。千葉県暖地園芸試験場の育成品種で、1989年（平成元年）に品種登録。
• 瑞穂（みずほ）
  • ハウス（温室）栽培。収穫・出荷時期はおおむね4月上旬～5月下旬。ハウス栽培における面積割合は20パーセント。1果75から85グラムと極大果で、果肉は柔らかく、食味がよい。農林省演芸試験場で育成され、1936年（昭和11年）発表。
• 房光（ふさひかり）
  • ハウス栽培における面積割合は10パーセント。千葉県暖地園芸試験場の育成品種で、1982年（昭和57年）に品種登録。
• 希房（きぼう）
  • ハウス栽培における面積割合は7パーセント。世界初の種子なしビワ。千葉県育成品種。