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「提督の艦隊」の版間の差分

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== 論争 ==
== 論争 ==
映画は公開前から「[[オランダ海上帝国|オランダ植民地主義]]を称賛している」と複数の団体から批判されていた<ref name="telegraafprotest"/>。しかし、映画では植民地支配への言及は皆無であり、オランダの勢力拡大に貢献した[[オランダ東インド会社]]とロイテル指揮下の海軍に保護されている商船について言及しているのみだった。映画の主題はロイテルを除いて内政問題であり<ref>[http://www.trouw.nl/tr/nl/8284/Film/article/detail/3837580/2015/01/26/Michiel-de-Ruyter-de-Louis-van-Gaal-van-zijn-tijd.dhtml Trouw about the subject of the film (in Dutch)]</ref>、[[ヨハン・デ・ウィット]]の惨殺事件や[[ウィリアム3世 (イングランド王)|ウィレム3世]]が[[メアリー2世 (イングランド女王)|メアリー2世]]と結婚するまでの[[イングランド]]との関係が描かれている<ref>[http://www.nrcreader.nl/artikel/7979/fregatten-dobberen-op-de-golven NRC about the subject of the film (in Dutch)]</ref><ref>[http://www.rtlnieuws.nl/boulevard/entertainment/ruyter-film-zoekt-met-spoed-dansers-voor-bal RTLnieuws about the ball for the engagement (in Dutch)]</ref>。
映画は公開前から「[[オランダ海上帝国|オランダ植民地主義]]を称賛している」と複数の団体から批判されていた<ref name="telegraafprotest"/>。しかし、映画では植民地支配への言及は皆無であり、オランダの勢力拡大に貢献した[[オランダ東インド会社]]とロイテル指揮下の海軍に保護されている商船について言及しているのみだった。映画の主題はロイテルを除いて内政問題であり<ref>[http://www.trouw.nl/tr/nl/8284/Film/article/detail/3837580/2015/01/26/Michiel-de-Ruyter-de-Louis-van-Gaal-van-zijn-tijd.dhtml Trouw about the subject of the film (in Dutch)]</ref>、[[ヨハン・デ・ウィット]]の惨殺事件や[[ウィリアム3世 (イングランド王)|ウィレム3世]]が[[メアリー2世 (イングランド女王)|メアリー2世]]と結婚するまでの[[イングランド]]との関係が描かれている<ref>[http://www.nrcreader.nl/artikel/7979/fregatten-dobberen-op-de-golven NRC about the subject of the film (in Dutch)]</ref><ref>[http://www.rtlnieuws.nl/boulevard/entertainment/ruyter-film-zoekt-met-spoed-dansers-voor-bal RTLnieuws about the ball for the engagement (in Dutch)]</ref>。

== 史実との相違点 ==
 映画はデ・ロイテルの後半生を扱っているが、第一次英蘭戦争からデ・ロイテルの戦死までを、説明なしで詰め込んだ内容であり、歴史的事実の省略が多く、デ・ロイテル以外の将官はほぼ無視されている。史実との主な相違点としては、

1. 冒頭のマールテン・トロンプ戦死の場面。実際にはトロンプが戦死した後も、しばらくその事実は伝達されないまま戦闘が続いた<ref>{{Cite book|author=J.R. Jones|title=The Anglo-Dutch Wars of the Seventeenth Century (Modern Wars In Perspective)|date=|year=|accessdate=|publisher=|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>。

2. 団子状の密集隊形から、さながら砂時計の砂のように一点で一列縦隊になる艦隊の陣形がありえない(帆船時代ではまず無理な機動で、現在のエンジン付きの船でも危険極まりない)。実際は、横一列の隊形から、90度一斉回頭で一列縦隊を形成する<ref>{{Cite book|author=Robert Gardiner|title=The Line of Battle: The Sailing Warship, 1650-1840|date=|year=|accessdate=|publisher=|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>。

3. 最後の戦いの場面。史実のデ・ロイテルはスペインとの連合艦隊を指揮しており、船の数ではさほど劣ってなかったし、現実にフランス艦隊を先に退却させている。また、死亡したのは艦隊がシチリアの泊地に戻ってからである<ref>{{Cite book|author=David S. T. Blackmore|title=Warfare on the Mediterranean in the Age of Sail: A History, 1571-1866.|date=|year=|accessdate=|publisher=|author2=|author3=|author4=|author5=|author6=|author7=|author8=|author9=}}</ref>。


== 出典 ==
== 出典 ==

2018年11月8日 (木) 04:08時点における版

提督の艦隊
Michiel de Ruyter
プレミア上映での主要キャスト
監督 ロエル・レイネ
脚本 ラース・ブームオランダ語版
アレックス・ヴァン・ガレンオランダ語版
製作 クラース・デ・ヨングオランダ語版
出演者 フランク・ラマースオランダ語版
バリー・アトスマオランダ語版
エグバート・ヤン・ウェーバーオランダ語版
音楽 トレヴァー・モリスオランダ語版
撮影 ロエル・レイネ
編集 ラドゥ・イオン
製作会社 Aフィルムオランダ語版
公開 オランダの旗 2015年1月29日
上映時間 105分
製作国 オランダの旗 オランダ
言語 オランダ語
英語
フランス語
製作費 €8,000,000[1]
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提督の艦隊』(ていとくのかんたい、原題:Michiel de Ruyter)は、2015年に公開されたオランダの映画。ミヒール・デ・ロイテルを描いた伝記映画であり、ロエル・レイネが監督を務めている。2015年1月26日にアムステルダムオランダ海洋博物館英語版でプレミア上映が行われ[2]、同月29日に劇場公開された[3]

あらすじ

キャスト

製作

撮影風景

監督はロエル・レイネ、プロデューサーはクラース・デ・ヨングが務め[2]、800万ユーロの製作費がかけられた[1]。主役のロイテル役にはヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲンが検討されていたが、彼は最終的に出演契約を結ばなかった[4]。2014年5月9日にキャストが発表された[5]。撮影はゼーランド州テセルワッデン海リダーザール英語版で行われた[4]

論争

映画は公開前から「オランダ植民地主義を称賛している」と複数の団体から批判されていた[2]。しかし、映画では植民地支配への言及は皆無であり、オランダの勢力拡大に貢献したオランダ東インド会社とロイテル指揮下の海軍に保護されている商船について言及しているのみだった。映画の主題はロイテルを除いて内政問題であり[6]ヨハン・デ・ウィットの惨殺事件やウィレム3世メアリー2世と結婚するまでのイングランドとの関係が描かれている[7][8]

史実との相違点

 映画はデ・ロイテルの後半生を扱っているが、第一次英蘭戦争からデ・ロイテルの戦死までを、説明なしで詰め込んだ内容であり、歴史的事実の省略が多く、デ・ロイテル以外の将官はほぼ無視されている。史実との主な相違点としては、

1. 冒頭のマールテン・トロンプ戦死の場面。実際にはトロンプが戦死した後も、しばらくその事実は伝達されないまま戦闘が続いた[9]

2. 団子状の密集隊形から、さながら砂時計の砂のように一点で一列縦隊になる艦隊の陣形がありえない(帆船時代ではまず無理な機動で、現在のエンジン付きの船でも危険極まりない)。実際は、横一列の隊形から、90度一斉回頭で一列縦隊を形成する[10]

3. 最後の戦いの場面。史実のデ・ロイテルはスペインとの連合艦隊を指揮しており、船の数ではさほど劣ってなかったし、現実にフランス艦隊を先に退却させている。また、死亡したのは艦隊がシチリアの泊地に戻ってからである[11]

出典

  1. ^ a b (オランダ語) Alexander Bakker, "Telegraaf Michiel de Ruyter-race gaat van start!", De Telegraaf, 2015. Retrieved on 25 January 2015.
  2. ^ a b c (オランダ語) "Meer protest tegen Michiel de Ruyter", De Telegraaf, 2015. Retrieved on 25 January 2015.
  3. ^ (オランダ語) Tweede trailer Nederlands epos 'Michiel de Ruyter', Film Totaal, 2014. Retrieved on 22 January 2015.
  4. ^ a b (オランダ語) "Frank Lammers speelt Michiel de Ruyter in biopic", De Telegraaf, 2014. Retrieved on 25 January 2015.
  5. ^ (オランダ語) "Volledige cast Michiel de Ruyter bekend", De Telegraaf, 2014. Retrieved on 27 January 2015.
  6. ^ Trouw about the subject of the film (in Dutch)
  7. ^ NRC about the subject of the film (in Dutch)
  8. ^ RTLnieuws about the ball for the engagement (in Dutch)
  9. ^ J.R. Jones. The Anglo-Dutch Wars of the Seventeenth Century (Modern Wars In Perspective) 
  10. ^ Robert Gardiner. The Line of Battle: The Sailing Warship, 1650-1840 
  11. ^ David S. T. Blackmore. Warfare on the Mediterranean in the Age of Sail: A History, 1571-1866. 

外部リンク