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マーティン家失踪事件
日付1958年12月7日
場所アメリカ合衆国オレゴン州フッド・リヴァー
種別失踪。説明のつかない死亡
死者スーザン・マーティン(Susan Martin) （1959年5月回収）
ヴァージニア・マーティン(Virginia Martin) （1959年5月回収）
行方不明者ケネス・R・マーティン(Kenneth R. Martin)
バーバラ・マーティン(Barbara Martin)
バーバラ・「バービー」・マーティン(Barbara 'Barbie' Martin)

アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドのマーティン家（まーてぃんけ）は、1958年12月7日、日曜日に、クリスマスのデコレーションのために青葉を集める日帰り旅行ちゅうにワシントン州コロンビア・リヴァー・ゴージ(Columbia River Gorge)で失踪した。行方不明になったのは、ケネス・マーテイン(Kenneth Martin)（54歳）、妻バーバラ・マーテイン(Barbara Martin)（48歳）、および3人の娘: バーバラ・「バービー」(Barbara "Barbie")（14歳）、スーザン(Susan)（13歳）、およびヴァージニア(Virginia)（11歳）。一家の長男ドナルド(Donald)は、アメリカ海軍に属し、姿を消したときニューヨークに配置されていた。失踪の数ヶ月後、スーザンとヴァージニアの遺体が、コロンビア川の岸で、たがいにおおよそ30マイル (48 km)離れて、発見された。

警察は最初、一家の車が川に突っ込んだのかもしれないと推理したが、事件を取り巻く状況は十分に説明され得なかった。なおいっそう事件を複雑にしているのは、一家の失踪の翌日、地域内の、盗まれた拳銃の発見と2人の前科者の逮捕であった。捜査官は、これらの事象がなんらかの関係しているかどうかは決めることができなかった。

ケネス、バーバラ、およびバービーのいどころは不明なままで、彼らの乗り物はついに回収されていない。一家の失踪は、オレゴン州史上の「たいへん不可解な」("most baffling")なぞのひとつと評されている[1]。

時系列

失踪

1954年のフォード・カントリー・スクワイア　マーティン家の車の同年同モデル

1958年12月6日、土曜日の晩、ケネス・マーティンとバーバラ・マーテインは、クリスマス・パーティーに出たのち、オレゴン州ポートランド、ノースウェスト(Northeast)のローズウェー(Roseway)のノースウェスト57番街(Northeast 57th Avenue)の自宅に戻った[2]。夫婦は、翌日の田舎への日帰り旅行の計画をたてていた。12月7日、日曜日、午前も晩くに、ケネスとバーバラは、3人の娘: バービー、スーザン、およびヴァージニアとともに、1954年型のクリームいろと赤のフォード・カントリー・スクワイアステーション・ワゴンにのって自宅を出た[2]。長女バービーは、グラント・ハイ・スクール(Grant High School)の1年生であった[3]。一家の長男ドナルド（当時28歳）は、アメリカ海軍に属し、当時ニューヨークに配置されていた[2]。

一家は、東に向かってドライヴし、コロンビア・リヴァー・ゴージ(Columbia River Gorge)にはいり、そこでクリスマス・リースとデコレーションを作るために青葉を集める意図であった[2]。マーテイン家の人々がその日いちにち明確にどこにいたかという知識は、希薄である。ガソリン・スタンド経営者ディーン・バクスター(Dean Baxter)は、自分は、一家が午後4時ころ彼らの自宅から約40マイル (64 km)の、オレゴン州カスケード・ロックス(Cascade Locks)の自分の店でガソリンを買ったときに彼らに会ったと報告した[4]。バクスターによれば、彼は、彼らがガソリンを買ったあと彼らの車は東に進み続けたことを思い出した[4]。一家はその後まもなくまた、カスケード・ロックスの約20マイル (32 km)東の、オレゴン州フッド・リヴァー(Hood River)のレストランで目撃された。また、行きずりの運転者らの報告によれば、一家は、日没ころ、ワシントン州のコロンビア川の北岸の未特定の地点で目撃された[1][2][5]。

その日、一家を見た目撃者らによれば、ケネスは、ジッパーでしめられるタン皮いろのジャケット、黒っぽいスラックスを[2]、バーバラは、ネイヴィー・ブルーのコート、格子縞のジャケット、そして黒のプリント・ドレスを着ていたとつたえられる[6]。バービーは、カフをロールさせたジーンズ、ベージュのコートという服装であったとつたえられる[7]。

捜査

マーティン家失踪事件の位置（オレゴン州内）
マーティンのポートランドの自宅
マーティンのポートランドの自宅
フッド・リヴァー
フッド・リヴァー
ザ・ダレス
ザ・ダレス
マーテイン家の人々はオレゴン州フッド・リヴァー地域で最後に目撃されたが、タイヤの痕跡は彼らの車がコロンビア川に沿ったオレゴン州ザ・ダレスにいたかもしれないことを示す[2]

ケネス・マーティンが、12月9日、火曜日、電気会社の職場に報告しなかったのち、一家は公式に行方不明と報告された[4]。警察は不正行為の形跡をもとめて住まいを捜査した[2]。家はそのままの状態にされていた。洗濯物のかたまりがまだ洗濯機のなかにあったし、前日の食器がキッチンの乾燥棚に残されていた。またマーテイン家の複数の銀行口座にはかなりの額の金銭もあった[2]。

マルトノマ郡とフッドリバー郡の両警察が捜索をおこなったが、いずれもかなりの手がかりを産み出すことができなかった。カリフォルニア州ヴェニスで登録された、盗まれた白のシボレーが、マーテイン家失踪の当日、カスケード・ロックスで見つかったが、マーテイン家の乗り物と一致しなかったため警察によってしりぞけられた[5]。

1958年12月28日、日曜日、女性用グローヴが、打ち捨てられた車の近くの現場で発見されたが、一家はそれはバーバラ・マーテインであれば「着けるであろう」("would wear")グローヴと「似ている」("similar")と述べた:しかし、それは彼女の物であるとはっきりとは確認されなかった[8]。車のそばには、マイヤー・アンド・フランク百貨店(Meier and Frank department store)から盗まれた38口径コルト・コマンダー(Colt Commander)拳銃も見つかり[4]、それに続く、12月8日のフード・リヴァー郡(Hood River County)の車泥棒の前科者2人の逮捕は、さらなる疑いを生んだ。これらの事象がマーティン家の失踪となんらかの点で関係があるかないか、決めることはできなかった。1958年12月31日、水曜日に、或る男が警察を呼んで、自分は、マーティン家のと一致する乗り物が、バルドック高速道路(Baldock Freeway)を疾走しているのを見たと報告した。警察は高速道路で警戒していたが、車を探し出すことはできなかった[5]。

一家の失踪の3ヶ月後、ボランティアの捜索者が、オレゴン州ザ・ダレスの近くの崖から始まっているタイヤの痕跡を見つけたが、これはマーテイン家のフォード・スクワイアのタイヤと一致したと報じられた[2]。これは、日暮れ時に一家が川の北岸にいたとする目撃報告と矛盾し、これは、一家が川を渡り、フッド・リヴァー・ブリッジ経由でフッド・リヴァーにはいったか、それともブリッジ・オヴ・ザ・ゴッズ(Bridge of the Gods)経由でカスケード・ロックスにはいったかして、それでワシントン州内にはいっていたことを示すだろうが、それぞれダレスの西24マイル (39 km) と 42マイル (68 km) である。

スーザンとヴァージニアの発見

ヴァージニアの遺体は、一家が目撃された地点から46マイル (74 km)近く離れた、ボンネヴィル・ダム(Bonneville Dam)（写真）の近くで発見された

1959年5月1日、金曜日、タイヤの痕跡が報告された3ヶ月後、ダレス近くの川の掘削リグ(drilling rig)がその碇（いかり）に何かかなりの重さの物をひっかけたと報じられた。しかし、それはむりやり移動させられてから水面に引き上げることができた[2][9]。5月3日、日曜日、スーザンの遺体が、ダレスから約70マイル (110 km)離れた、ワシントン州キャマスの近く、コロンビア川の北岸で発見された[1]。翌日、ヴァージニアの遺体が、ダレスから約46マイル (74 km)離れた、ボンネヴィル・ダムの近くで、発見された[1]。

スーザンの遺体は、ワシントン州クラーク郡検視局に運ばれ、それから両方の遺体を剖検するためにポートランドのマルトノマ郡に移された。剖検にさきだって指紋を採った専門家の1人は、検視官に、これら少女のそれぞれの頭部の弾丸の孔穴と彼らが考えたものを示した。しかし、検視官の報告によれば、そのような負傷は見つからず、少女らの双方の死因は公式に溺死と公表された[1]。

当時フッド・リヴァー郡の保安官ルパート・ギルムート(Rupert Gillmouthe)は、掘削リグが川床でマーティンの車をひっくり返し、ドアの1つをむりやり取り外し、スーザンとヴァージニアの遺体を逃げさせ、下流にむかって浮上させたのではないかと疑った。水域のそれ以上の捜索は、ソナーとヘリコプターでなされたが、実りは無かった。ケネス、バーバラ、およびバービアの捜索はその後、捜索潜水夫があやうく溺死しそうになったのち、中止された。

スーザンとヴァージニアは、一家の自宅の近隣の、ポートランドのローズ・シティー・セメタリー(Rose City Cemetery)に埋葬された[10][11][注釈 1]。

仮説

警察は、一家は、ケネス・マーティンが車を川に突っ込ませた結果、死亡したかもしれないと理論づけ、またべつの説では、一家は誘拐され、崖の側面から川にむりやり突き落とされたと考えた[2][12]。

マルトノマ郡警察は、一家の乗り物が入念に崖から押し落とされたことを示すタイヤの痕跡の証拠にもとづいて、マーテイン家の人々の失踪における不正行為を一貫して疑った[13]。またやっかいなのは、ワシントン州の川の北岸で日暮れ時に一家の目撃と報じられたものであり、いっぽうではタイヤの痕跡は、彼らをオレゴンの川の南岸に置いた。このことは、日暮れののち車が崖から落ちたのであろうことを示唆するだろう[13]。一家の失踪の翌日に地域でフッド・リヴァーで前科者2人が車泥棒で逮捕されたことも注目されたが、警察はこれらの事象が関係しているかどうか決めることはできなかった[4]。

ケネス、バーバラおよびバービーの遺物は未発見のままであり、彼らの乗り物はけっして見つかっていない[4][14]。

注釈

  1. ^ A Google Maps search of the Rose City Cemetery confirms the cemetery's location is in close proximity to the Martin family residence on NE 57th Ave.

脚注

  1. ^ a b c d e Klare, Glen (1999年8月20日). “Let me say this about that”. NW Labor Press. 2016年10月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h i j k l “Kenneth R. Martin”. The Charley Project. 2016年10月26日閲覧。
  3. ^ “Barbie Martin”. The Charley Project. 2016年10月22日閲覧。
  4. ^ a b c d e f “Case File 2847DFOR: Barbara Martin”. The Doe Network. 2013年10月29日閲覧。
  5. ^ a b c “Authorities out of clues in mystery”. The Bend Bulletin (UPI). (1958年12月31日). https://news.google.com/newspapers?nid=1243&dat=19581231&id=YVNYAAAAIBAJ&pg=4802,2222645  オープンアクセス
  6. ^ “Barbara Jean Martin”. The Charley Project. 2016年11月1日閲覧。
  7. ^ “Barbara Martin”. The Charley Project. 2016年11月1日閲覧。
  8. ^ “Glove a Clue in Hunt for Missing Five”. Sarasota Journal (Sarasota, Florida: Associated Press). https://news.google.com/newspapers?nid=1798&dat=19581229&id=Gr8mAAAAIBAJ&pg=4666,2817506  オープンアクセス
  9. ^ “Clue Believed Found To Missing Family”. The Corvallis Gazette-Times (Corvallis, Oregon): p. 13. (1960年6月29日). https://www.newspapers.com/clip/12423676/clue_believed_found_to_missing_family/  オープンアクセス
  10. ^ "Find A Grave Index," database, FamilySearch (https://familysearch.org/ark:/61903/1:1:QVKP-WBHK : 13 December 2015), Susan Martin, ; Burial, Portland, Multnomah, Oregon, United States of America, Rose City Cemetery; Susan Martin - Find a Grave（英語）.
  11. ^ "Find A Grave Index," database, FamilySearch (https://familysearch.org/ark:/61903/1:1:QVKP-WBH2 : 13 December 2015), Virginia Martin, ; Burial, Portland, Multnomah, Oregon, United States of America, Rose City Cemetery; Virginia Martin - Find a Grave（英語）.
  12. ^ VanDerWerff, Todd (2015年10月28日). “9 real-life horror stories of people who disappeared and were never found”. Vox. 2016年10月26日閲覧。
  13. ^ a b Barker, Brian (2009年5月19日). “Criminal Minds”. Portland Monthly. 2016年10月26日閲覧。
  14. ^ “Barbara, Barbara Jean, and Kenneth Martin missing fifty-seven years”. For the Lost (2015年12月7日). 2016年11月1日閲覧。

外部リンク

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