「F8F (航空機)」の版間の差分
Strak Jegan (会話 | 投稿記録) |
m cewbot: ウィキ文法修正 1: Template contains useless word template |
||
145行目: | 145行目: | ||
== 参考文献 == |
== 参考文献 == |
||
{{ |
{{参照方法|date=2018年9月}} |
||
* 『<small>世界の傑作機 No.94</small> グラマンF7F/F8F』(文林堂、2002年) ISBN 4-89319-094-6 |
* 『<small>世界の傑作機 No.94</small> グラマンF7F/F8F』(文林堂、2002年) ISBN 4-89319-094-6 |
||
* 第二次大戦 アメリカ海軍機全集 航空ファン イラストレイテッド93-12(文林堂、1993年) |
* 第二次大戦 アメリカ海軍機全集 航空ファン イラストレイテッド93-12(文林堂、1993年) |
2018年9月28日 (金) 23:59時点における版
このページのノートに、このページに関する確認があります。 確認の要約:出典不足 |
グラマン F8F ベアキャット
F8F ベアキャット(Grumman F8F Bearcat, Bearcat:ビントロングの愛称。また勇敢な闘士という意味がある)は F6Fヘルキャットに続き、グラマン社が開発したアメリカ海軍の第二次世界大戦中の艦上戦闘機(もっとも運用については戦後)で小型軽量化及び徹底的に洗練された空力構造、高い防弾性能をもつ機体に大出力のエンジンを搭載し、陸軍航空隊のP-51マスタングと並び、最強のレシプロエンジン戦闘機、また最強のレシプロ艦上戦闘機と評される事もある[要出典]。
概要
F8F ベアキャットは、小型の航空母艦から運用できる、最上の運動性と良好な低空性能を持ち、高い上昇率を必要とする迎撃任務を主任務として計画された、アメリカ海軍の艦上戦闘機である。
1943年11月にグラマン社においてG-58の社内呼称で開発が始まり、軍よりはXF8F-1の制式名称が与えられた。試作機は1944年8月に初飛行し、その6ヶ月後には最初の生産機がロールアウトしている。
先代のF6Fヘルキャットよりも一回り小型(零戦よりもさらに小さい)軽量の機体であるが、反面エンジンはさらに強力なものが使用され、上昇率は3割増しとなっている。この小型の機体に高出力エンジンの組み合わせという設計思想は、米海軍にとって主敵である日本海軍の零式艦上戦闘機に影響されたと言われる。史料によると、グラマン社の主務シュウェンドラーは、新戦闘機の設計を始めるにあたって、捕獲した零戦をテストしたサッチ少佐のレポートを参考に、零戦に必ず勝てる機を作るには強力なエンジンと軽量小型化以外に方法はないとし、スワーブル社長もオヘア大尉が零戦について同様にレポートしていたことを思い出し、その線で開発が始まったという[1]。また、F6Fが大型化し、カタパルト無しでは護衛空母で使用ができなくなった反省から、小型の護衛空母でも使用可能な戦闘機を目指した結果である。F4Fまでのグラマン戦闘機は、胴体に主脚を収納する設計のため、胴体が太く設計されていたのだが、主脚を主翼に収納するF6Fも同様に胴体が太く設計されていた。主翼面積も無難で失敗の無い設計を目指した結果、過大なものと評されており、設計には無駄が多かった[要出典]。本機はその反省から、徹底的に機体設計が洗練された。
翼面荷重が大きいために旋回半径では零戦には及ぶべくもないが、大パワーにより旋回率では零戦に優っていた。実戦で対峙した記録は無いが、1944年8月にサイパンの戦いで鹵獲した零戦五二型との模擬空戦にて完勝を収め、開戦以来、零戦の機動性に悩まされてきた米海軍当局者らを歓喜させたと伝えられる[要出典]。速度などを含めた総合性能では零戦を遥かに凌駕していたが、既にさらなる次世代機たるジェット機が台頭してきたため、純粋な戦闘機としては陳腐化が早かった。本機は対戦闘機用としての純粋な性能を追求しすぎた為、小型化によりF6Fより燃料タンクの容量が減り航続距離が低下、戦闘爆撃機としての爆弾搭載量等、戦後に海軍艦上機に要求された“汎用性”という面ではF4U等他の機と比べて劣っていた。第二次世界大戦後に戦闘機のジェット化が進んだ結果、レシプロ機は主に戦闘爆撃機として使われる事になったが、F8Fはその流れに逆行するかたちになり、F4Uコルセアが1950年代初期まで生産が続行された一方、F8Fは同時期には退役がはじまり、1960年代前期には完全に姿を消すこととなった。
運用
F8Fは極めて短期間の開発期間を経て、急ピッチで生産が行われ、ダウンフォール作戦を睨んで実戦配備が行われたが、最初の実戦部隊であるVF-19を搭載したUSS Langleyが日本近海に移動中に終戦となった為、日本軍戦闘機との戦闘は行われることなく終わった。[2]
海軍のアクロバットチームである「ブルーエンジェルス」のF6F-5に続く二代目の使用機となった他にはアメリカ海軍の部隊からは急速に退役が進み、1952年末には実戦部隊からは完全に退役し、アメリカ軍によって実戦で使用されることはなかった。
アメリカ軍より退役した中古の機体がフランス軍に供与され、第一次インドシナ戦争で実戦に使用されている。 また、タイ空軍にも129機が供与されている。
民間に払い下げられた機体はその大馬力エンジンに比して小型軽量な機体が注目され、アクロバットやエアレース用の機体としてP-51と並んで人気を博しており、21世紀の現在に至っても大規模な改造が施されたエアレーサー機として現役で飛んでいる機体が存在する。F8F改造のレーサーとしてはRare Bearが、850km/hのレシプロ機の速度記録を保有している。
派生型
F8F Bearcat[3]
- XF8F-1
- 原型機。社内呼称G-58
- F8F-1
- 最初の生産型。R-2800-22Wまたは34Wエンジン搭載。12.7mm機銃×4
- F8F-1B
- F8F-1の搭載機銃を20mm機関砲×4に変更した機体
- F8F-1D
- 無人機指令機仕様。同じ呼称で熱帯仕様改修機も存在する
- F8F-1DB
- 熱帯仕様に改修したF8F-1Bの呼称
- F8F-1N
- 夜間戦闘機仕様
- F8F-2
- 垂直尾翼延長など各部再設計をおこなった機体。
- F8F-2D
- 無人機指令機仕様
- F8F-2N
- 夜間戦闘機仕様
- F8F-2P
- 写真偵察機仕様
- G-58A
- 速度競技機として改造された民間登録機。愛称はGulfhawk IV
-
XF8F-1
-
F8F-1
-
F8F-2
-
F8F-2P
-
リノ・エアレース アンリミテッド部門の強豪機として知られる、F8F-2改造のレーサー機、“レァ・ベァ”
運用者
- フランス空軍:第一次インドシナ戦争などで使用。
- タイ空軍:1963年まで運用。
- 南ベトナム空軍:フランスからの提供、1959年まで運用。
性能
機体名 | F8F-1[4][5] | F8F-2[6][5] |
---|---|---|
全長 | 28ft 8in (8.43m) | |
全幅 | 35ft 6in (10.82m) → 23ft 9.5in (7.25m) ※主翼折り畳み時 | |
全高 | 13ft 8in (4.17m) | |
翼面積 | 244ft² (22.67m²) | |
空虚重量 | 7,323lbs (3,322kg) | 7,650lbs (3,470kg) |
総重量 | 9,672lbs (4,387kg) | 10,337lbs (4,689kg) |
最大離陸重量 | 12,740lbs (5,779kg) | 13,460lbs (6,106kg) |
燃料[7] | 185gal (700ℓ) | |
エンジン | R-2800-34W (2,100Bhp 最大:2,750Bhp)[8] ×1 | R-2800-30W (2,250Bhp 最大:2,500Bhp) ×1 |
最高速 | 366kn/S.L. (678km/h 海面高度) 372kn/18,800ft (689km/h 高度5,730m) |
336(+11)kn/S.L. (622km/h 海面高度) 388(+10)kn/28,000ft (719km/h 高度8,534m)[9] |
上昇力 | 5,610ft/m S.L. (28.5m/s 海面高度)、20,000ft (6,096m) まで4分54秒 | 4,465ft/m S.L. (22.68m/s 海面高度)、20,000ft (6,096m) まで5分30秒 |
実用上昇限度 | 34,800ft (10,607m) | 38,200ft (11,643m) |
航続距離 | 1,230n.mile (2,278km) ※1×150galタンク搭載時 1,810n.mile (3,352km) ※1×150Gal + 2×100galタンク搭載時 |
1,055n.mile (1,954km) ※1×150galタンク搭載時 1,595n.mile (2,954km) ※1×150gal + 2×100galタンク搭載時 |
武装 | AN/M2 12.7mm機関銃×4 or AN/M3 20mm機関砲×4 (F8F-1B) | AN/M3 20mm機関砲×4 |
爆装 | HVAR、Tiny Timロケット、1,000lbs及び1,600lbs爆弾の組み合わせから最大3,600lbs (1,633kg) |
参考文献
- 『世界の傑作機 No.94 グラマンF7F/F8F』(文林堂、2002年) ISBN 4-89319-094-6
- 第二次大戦 アメリカ海軍機全集 航空ファン イラストレイテッド93-12(文林堂、1993年)
脚注
- ^ 鈴木五郎「7 “零戦神話”の崩壊」『グラマン戦闘機 強敵・零戦を駆逐せよ (第二次世界大戦ブックス)』1982年、サンケイ出版
- ^ Grumman Bearcat
- ^ Aircraft Data Technical Information and Drawings ドキュメント番号40
- ^ F8F-1 Bearcat Specifications STANDARD AIRCRAFT CHARACTERISTICS
- ^ a b F8F Bearcat Pilot's Handbook
- ^ F8F-2 Bearcat Specifications STANDARD AIRCRAFT CHARACTERISTICS
- ^ 搭載可能燃料は機体内燃料タンクに185gal (700ℓ)、落下増槽タンクを150gal (568ℓ) ×1 + 100gal (379ℓ) ×2の合計535gal (2,025ℓ)
- ^ AIR VICTORY MUSEUMではR-2800-34Wを2,400Bhpと表記
- ^ ()内は爆弾搭載用のラックを取り外した場合の速度変化であり、海面高度で347kn (643km/h)、28,000ftで398kn (737km/h)となる。