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| 島名 = 頭島
| 島名 = 頭島
| 画像 = [[File:頭島.jpg|240px|頭島 国土画像情報(カラー空中写真)]]<br />頭島の航空写真。[[国土交通省]] [http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do 「国土画像情報(カラー空中写真)」]を基に作成。
| 画像 = [[File:頭島.jpg|240px|頭島 国土画像情報(カラー空中写真)]]<br />頭島の航空写真。[[国土交通省]] [http://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do 「国土画像情報(カラー空中写真)」]を基に作成。
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| 面積 = 0.60<ref name="中山間">{{Cite web|url = http://www.pref.okayama.jp/kikaku/chishin/ritou/04kashirajima/|title = 岡山県ホームページ - 岡山県の離島 - 頭島|publisher=岡山県県民生活部中山間・地域振興課|accessdate = 2019-04-16|archiveurl=https://web.archive.org/web/20160304111146/http://www.pref.okayama.jp/kikaku/chishin/ritou/04kashirajima/|archivedate=2016-03-04}}</ref>
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| 周囲 = 4<ref name="中山間"/>
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| 標高 = 55<ref name="中山間"/><ref group="注">{{Harvcoltxt|角川日本地名大辞典|1989|p=267}}には島の最高所の標高は58メートルであると記述されている。</ref>
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|地図2=Japan Okayama
}}
}}


'''頭島'''(かしらじま)は、[[日本]]の[[瀬戸内海]]にある有人島のひとつで、[[岡山県]][[備前市]]に属す[[日生諸島]]の[[島]]である。人口319人149世帯<ref>{{Cite web   |url = https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001080615&cycle=0&tclass1=000001094495&tclass2=000001094532&stat_infid=000031522205&cycle_facet=tclass1%3Acycle&second2=1  |title =国勢調査 [[平成27年]]国勢調査 小地域集計 33岡山県 人口等基本集計に関する集計 2 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等 |publisher = 統計局統計調査部国勢統計課  |accessdate = 2019-04-16}}</ref>と、日生諸島で最も人口が多く、多数の民宿・ペンションがあることでも知られる。[[2004年]]に頭島と[[鹿久居島]]を結ぶ頭島大橋、[[2015年]]に鹿久居島と本土を結ぶ[[備前♡日生大橋]]が開通したことにより、現在は本土と陸路で繋がっている。
'''頭島'''(かしらじま)は、[[日本]]の[[瀬戸内海]]にある有人島のひとつで、[[岡山県]][[備前市]]に属す[[日生諸島]]の[[島]]<ref name="okayama.jp">[http://www.pref.okayama.jp/kikaku/chishin/ritou/04kashirajima/ 岡山県県民生活部中山間・地域振興課 - 岡山県の離島]</ref>。


== 概要 ==
== 地理・歴史 ==
=== 地理 ===
[[日生港]]の南、約 4 [[キロメートル|km]] 、日生諸島の中央部に位置し、島全体が[[流紋岩]]でできている。緩斜面に恵まれて住みやすく、[[2010年]]([[平成]]22年)の[[人口]]は日生諸島の中で最大の366人([[2006年]]には450人)である<ref name="okayama.jp"></ref>。
全島が[[流紋岩]]で構成されている<ref name="角川"/>。年間平均気温は[[摂氏]]15.1度で最低気温は1月の4.5度、最高気温は8月の26.8度である。年間の合計降水量は1231.9ミリメートルで、温暖で降水量の少ない[[瀬戸内海式気候]]に属する。[[アカマツ]]林に覆われているが、多くの木が[[ゾウムシ]]による食害で枯死している。南部にもアカマツ、[[クロマツ]]、[[クスノキ]]、[[アカメガシワ]]が優占する小規模な森林、北部にはみかんの果樹園と[[エノキ]]、[[ヤブニッケイ]]、[[ヒサカキ]]の優占する森林がある<ref>{{Harvcoltxt|藤木|守田|三好|1998|p=189-190}}</ref>。標高は最高地点で55メートルと比較的平坦だが傾斜地は多く、瀬戸内海の他の島々と同様に密集した集落を形成している<ref name="角川"/><ref name="鶴田p2"/>。
=== 歴史 ===
島東部、北西に延びた尾根の標高30メートルの畑で[[石器]]が発見されたほか、島南部に径5 - 8メートル、高さ0.3メートルほどの墳丘が確認され、[[古墳]]と推定されている<ref>{{Cite web |url= http://www.gis.pref.okayama.jp/pref-okayama/Portal|publisher=岡山県|title=おかやま全県統合型GIS |accessdate=2019-04-19}}</ref>。近世初期まで日生諸島の島はすべて無人島であったが、[[1698年]]([[元禄]]11年)に[[大多府島]]が[[岡山藩]]の風待ち港となり、番所が置かれたことをきっかけに入植が進んだ。頭島の開拓は[[享和]]年間に入植した、本土の日生村出身者7世帯を中心に進み、明治時代には世帯数が90世帯に達した<ref>{{Harvcoltxt|定兼|2001|p=2}}</ref>。戦後は[[引き揚げ]]者が島に戻ってきたこと、漁業の隆盛などにより世帯数は200戸を超えた<ref name="鶴田p2">{{Harvcoltxt|鶴田|1991|p=2}}</ref>。この時期に島の大部分が開拓され、標高の高い部分にも民家が建ち始めた<ref name="鶴田p3"/>。[[1961年]]に[[離島振興法]]の指定を受けた<ref>{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=18}}</ref>。また、同年には島にカキ養殖が導入され、これは後に島の中枢を担う産業となった<ref name="鶴田p3"/>。[[1970年]]頃に観光みかん園ができたことをきっかけに観光地化が進み、[[1980年]]前後には「民宿ブーム」といわれるほどに民宿の新規開業が相次いだ<ref name="鶴田p6"/>。


[[1987年]]より頭島の各家庭が毎月1世帯500円を出し合い、架橋にまつわる活動費用を捻出する「架橋預金」が始まり、[[1994年]]には離島振興法に基づく架橋事業が始まった<ref>{{Cite news| 和書| title=念願の橋、つながる 「備前♡日生大橋」連結式 /岡山県 | date=2014-10-03| newspaper=朝日新聞| edition= 土曜版、第13版| page= 36}}</ref><ref>{{Cite news| 和書| title=【島News】島民による「架橋預金」も。鹿久居島、頭島と本州をつなぐ「備前♡日生大橋」 「梅灘橋」利用開始| date=2015-05-19| newspaper=離島経済新聞| url =http://ritokei.com/article/news/641}}</ref>。2004年に頭島と鹿久居島を結ぶ頭島大橋が開通し、2014年に鹿久居島と本土を結ぶ備前♡日生大橋が開通したことにより頭島は本土とつながり、[[2016年]]には「隔絶性が解消された」として離島振興対策実施地域の指定が解除された<ref>{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=1}}</ref>。
== 歴史 ==
[[File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 052.JPG|thumb|240px|left|頭島(右)と[[鹿久居島]]。[[牡蠣]]の養殖が盛ん。]]
[[大多府島]]が、[[岡山藩]]の風待ち港として開港された[[1690年代]]の[[元禄時代]]に[[入植]]が始まったと伝わり、[[19世紀]]の[[享和]]年間に本土の[[日生町]]から移住が始まり、[[明治時代]]以降は急速に日生を中心に各地からの移住者が増えた。[[1965年]]([[昭和]]40年)には隣の[[鹿久居島]]から[[海底]]の[[水道管]]による送水が始まり、[[1966年]]には従来の[[自家発電]]に代わって本土からの[[送電]]が始まった。日生諸島の中では人口が最も多い。[[民宿]]・[[ペンション]]などの[[宿泊施設]]が多く、夏季は[[海水浴]]、[[秋]]からは[[ミカン]]狩りが楽しめる。また年間を通じ新鮮な魚介料理を味わえ、[[6月]]中旬-[[10月]]上旬には[[漁業協同組合]]主催の鮮魚市が開催される。[[たぬき山展望台]]や頭島花公園を初めとする[[展望台]]、[[公園]]、[[花壇]]、島南端の外輪海水浴場を初めとする[[海水浴場]]などが整備されている。たぬき山展望台からは、周辺の島々が一望できる<ref name="okayama.jp"></ref>。


== 生活 ==
[[2004年]](平成16年)[[11月22日]]に、鹿久居島との間を結ぶ[[頭島大橋]]が完成した。これは[[1978年]]([[昭和]]58年)より島民らが国や県に対して、陳情や要望活動を続けるかたわら、頭島町内会全戸が1世帯あたり月500円の架橋貯金を行うなど地元の熱意が国や県に伝わった結果、[[1994年|1994年度]](平成6年度)に[[国庫補助事業]]として採択されたものである<ref name="hosei">[http://www.hosei.ac.jp/geogr/geo-net/hinase.pdf 法政大学 現地研究・日生諸島報告]</ref>。その後、[[鹿久居島#交通|鹿久居島 - 本土を結ぶ架橋]]が[[2015年]](平成27年)[[4月]]に開通し、本土と陸続きとなった<ref name="pref.okayama">[http://www.pref.okayama.jp/kikaku/chishin/ritou/04kashirajima/ 岡山県県民生活部中山間・地域振興課 岡山県の離島]</ref>。
=== 教育 ===
また、かつては島内に市立日生南小学校があり、最盛期の[[1960年]]には172人の在校生がいたものの近年は減少の一途をたどっており、架橋により本土の日生東小学校に[[スクールバス]]で10分で行けるようになったことから[[2015年]]度をもって廃校となった<ref>{{Cite news |和書|title=「島を忘れず頑張る」岡山の島の小学校で最後の修了式 在校生8人、新学期から本土へ |newspaper=産経新聞|date=2016-3-26|url=https://www.sankei.com/west/news/160326/wst1603260047-n1.html  |accessdate=2019-04-20}}</ref>。また、島内にあったへき地保育所についても同様に廃統合された<ref>{{Harvcoltxt|岡山県|2010|p=18}}</ref><ref name="国土交通省p21"/>。


== 島内 ==
=== 医療・福祉 ===
島内には市立頭島診療所があり、週に1度、[[内科]]・[[整形外科]]の定期検診を行っているが、常勤医師はいない。そのため島民は本土の市立日生病院を利用することが多い<ref name="国土交通省p4">{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=4}}</ref><ref name="国土交通省p21"/>。架橋によって本土の病院に車で通えるようになり、救急搬送にかかる時間が大幅に減少し、実際に島内で夜間に急病人が発生した際には迅速に病院に運ばれ、重篤化を免れた。急病時の救急搬送については住民の長年の懸念事項であったため、「架橋に安心した」という声も聞かれた<ref name="国土交通省p4"/>。頭島は高齢化の進む島であるが福祉サービスを受けられる施設はなく、島民は送迎サービスを活用して本土の施設に赴いている<ref name="国土交通省p21"/>。
[[郵便局]]や[[小学校]]、[[漁業協同組合]]などがある。[[ミカン]]栽培とカキの養殖が盛んだが、[[海水浴場]]の存在や新鮮な[[魚介類]]を長所として、[[民宿]]や[[ペンション]]を営む者も多い。牡蠣の養殖では人手を確保するため、[[中国人]]、[[ベトナム人]]などが多く働いている。


=== 日生南小学校 ===
=== インフラ ===
電気については、かつては自家発電により電気をまかなっていたが、[[1966年]]より本土からの送電が始まった<ref name="角川"/>。上水道については[[1965年]]に鹿久居島からの海底送水が始まっており<ref name="角川"/>、汚水処理については島内にある浄化センターで行っている<ref>{{Harvcoltxt|岡山県|2010|p=17}}</ref>。通信環境についても、備前♡日生大橋の架橋にともない[[2016年]]より[[光通信|光ファイバー通信]]が利用可能となり、また、[[LTE]]の使用も可能である<ref name="国土交通省p21">{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=21}}</ref>。
島内唯一の小学校である。学区は頭島・鹿久居島。平成27年4月16日本土・鹿久居島を結ぶ「備前♡日生大橋」が開通したことにより、
[[2015年]]([[平成]]27年)度末をもって閉校した<ref>{{Cite web |url=http://www.city.bizen.okayama.jp/shimin/school/hinase/s_minami/s_minami.html |title=備前市 |publisher =|accessdate =2018-09-08}}</ref>。
; 所在地
: 岡山県備前市日生町日生2778
; 児童像
* 元気な子 自信を持って活動する子
* 仲よしの子 お互いを認め合う子
* 考える子 自ら学ぶ子
* 役立つ子 進んで働く子


== 交通 ==
=== 頭島グラウンドゴルフ場 ===
道路総延長は10.6キロメートルであり、舗装率は75.5パーセントである<ref name="国土交通省p20">{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=20}}</ref>。[[大生汽船]]による本土と日生諸島の各島を結ぶ定期便が通っており、頭島には1日8便寄港する。架橋後、定期船の利用者数は年間99508人から41714人と6割ほど減少し、現在は6便に減便されている<ref>{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=5}}</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.taiseikisen.com/teikibib.html |title=日生待船の定期便時刻料金表 |publisher=大生汽船 |accessdate=2019-04-20}}</ref>。また、[[備前市営バス]]により1日7便の[[路線バス]]が通っている<ref>{{Cite web |url=http://www.city.bizen.okayama.jp/busyo/shiminseikatu/shiminn/koukyoukoutu/rosenannai.html |title=路線案内(時刻表等) -岡山県備前市- |publisher=備前市 |accessdate=2019-04-20}}</ref>。
[[2004年]]([[平成]]16年)の頭島大橋架橋に合わせて整備される。当初は船のみのアクセスだったが、備前♡日生大橋が開通し、車でのアクセスが可能となった。
日生諸島の多島美から晴れた日には小豆島を望むこともできる。潮風を浴びながら爽快にプレーを楽しむことができる<ref>{{Cite web |url=https://www.okayama-kanko.jp/modules/kankouinfo/pub_kihon_detail.php?sel_id=2953&sel_data_kbn=0 |title=おかやま旅ネット |publisher =|accessdate =2018-09-08}}</ref>。
; 住所
: 岡山県備前市日生町日生3518-5
; コース
: 天然芝コース2面、クレイコース1面の合計3コースにより成り立っている。無料の貸しクラブ有り。
; 料金
: 1日ビジター利用と年間会員の2種類がある。
* ビジター利用
** 市内(赤穂市及び上郡町を含む)在住 300円
** 市外在住 500円
* 年間会員
** 市内(赤穂市及び上郡町を含む)在住 3,600円
** 市外在住 6,000円
; アクセス
* 車の場合
**大阪方面 赤穂ICより約20分
**岡山方面 備前ICより約20分
* JR赤穂線日生駅利用の場合
**市バスや定期船を利用
; 駐車場
:グラウンドゴルフ場敷地内に10台駐車可能。大型バス等は隣接する市営駐車場を利用する。
; 営業時間・定休日
: 9:00~17:00 水曜・年末年始

=== その他の施設 ===
* 頭島漁港(西の谷) - 島の西部にある漁港。
* たぬき山展望台 - 頭島で最も高い場所にある展望台。周辺の島々を一望できる<ref>{{Cite web |url=https://www.okayama-kanko.jp/modules/kankouinfo/pub_kihon_detail.php?sel_id=577&sel_data_kbn=0 |title=おかやま旅ネット |publisher =|accessdate =2018-09-08}}</ref>。
* 外輪海水浴場 - 島の南部にある海水浴場。

==ギャラリー==
<gallery>
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島港 391.JPG|船での島の玄関口、頭島港。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島港 275.JPG|大生汽船(MISHIMA.Ⅲ)。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 251.JPG|船着き場から漁港方面を見る。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 018.JPG|たぬき山展望台。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 たぬき山・大多府島 023.JPG|たぬき山展望台から大多府島を望む。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 006.JPG|頭島の民家。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島たぬき山,川辺荘 0027.JPG|たぬき山展望台から見る頭島。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 010.JPG|温暖なためさまざまな植物がよく育つ。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 058.JPG|島ではカキの養殖が盛ん沖に見えるのが鴻島。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 060.JPG|カキ筏の手入れの様子。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 211.JPG|頭島の漁港。
File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 大生汽船 358.JPG|郵便配達には船が利用される。

</gallery>

== 交通 ==


=== 頭島大橋 ===
=== 頭島大橋 ===
{{節スタブ}}
{{橋
{{橋
| 名称 = 頭島大橋
| 名称 = 頭島大橋
98行目: 49行目:
| 最大支間長 = 218 m <ref name="mitsuisumitomo"/>
| 最大支間長 = 218 m <ref name="mitsuisumitomo"/>
| 幅 = 7.7 m <br />(有効幅員 6.5 m) <ref name="mitsuisumitomo"/>
| 幅 = 7.7 m <br />(有効幅員 6.5 m) <ref name="mitsuisumitomo"/>
| 設計者 = [[長大]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
| 高さ =
| 施工者 = 三井住友建設、アイサワ工業JV<ref>{{Cite web|url=http://www.cantilever-method.org/wp-content/uploads/kashirajima.pdf|title =頭島大橋 |publisher=カンチレバー技術研究会|accessdate = 2019-04-18}}</ref>
| 建築家と技術者 = [[長大]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
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| 形式 = [[鉄筋コンクリート|RC]]固定[[アーチ橋|アーチ]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
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}}
}}
'''頭島大橋'''(かしらじまおおはし)は、頭島と鹿久居島を結ぶ[[橋|道路橋]]である。[[アーチ]]支間 218 [[メートル|m]] の複合[[アーチ橋]]<ref name="mitsuisumitomo">{{Cite report |title=No.50 PC設計ニュース 頭島大橋 |url=https://www.smcon.co.jp/service/assets/uploads/pc-sekei/PCN050.pdf|format=[[PDF]] |publisher=[[三井住友建設]] |accessdate=2015-05-02 }}</ref>で、2004年[[11月22日]]に開通した。

=== 諸元 ===
'''頭島大橋'''(かしらじまおおはし)は、頭島と[[鹿久居島]]を結ぶ[[橋|道路橋]]である。

==== 概要 ====
[[アーチ]]支間 218 [[メートル|m]] の複合[[アーチ橋]]<ref name="mitsuisumitomo">{{Cite report |title=No.50 PC設計ニュース 頭島大橋 |url=http://www.smcon.co.jp/wp-content/themes/smc/resource/images/page_images/service/pcnews_pdf/PCN050.pdf |format=[[PDF]] |publisher=[[三井住友建設]] |accessdate=2015-05-02 }}</ref>で、2004年(平成16年)11月22日に開通。

; 橋梁データ
* 設計者 : [[長大]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
* 設計者 : [[長大]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
* 道路規格 : [[道路構造令|第3種第4級]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
* 道路規格 : [[道路構造令|第3種第4級]] <ref name="mitsuisumitomo"/>
117行目: 61行目:
* 道路幅員 : 7.7 m (有効幅員 6.5 m) <ref name="mitsuisumitomo"/>
* 道路幅員 : 7.7 m (有効幅員 6.5 m) <ref name="mitsuisumitomo"/>


== 脚注 ==
== 産業 ==
{| class="wikitable floatright" style="font-size: smaller;"
{{脚注ヘルプ}}
|+ 頭島の産業別就業者数([[2015年]])<ref>{{Cite web|url =https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00200521&tstat=000001080615&cycle=0&tclass1=000001094495&tclass2=000001094532&stat_infid=000031581044&cycle_facet=tclass1%3Acycle&second2=1|title =国勢調査 [[平成27年]]国勢調査 小地域集計 33岡山県 就業状態等基本集計に関する集計 11 産業(大分類),男女別15歳以上就業者数 -町丁・字等|publisher = 統計局統計調査部国勢統計課  |accessdate = 2019-04-18}}</ref>
<!-- === 注釈 ===
|-
{{Reflist|group="注"}} -->
! 項目名 !! 単位(人)
|-
| 総計 || 112
|-
| 農業 || 2
|-
| 漁業 || 45
|-
| 建設業 || 1
|-
| 製造業 || 13
|-
| 運輸業・郵便業 || 5
|-
| 卸売業・小売業 || 10
|-
| 金融業・保険業 || 1
|-
| 学術研究・専門・技術サービス業 || 1
|-
| 宿泊業・飲食サービス業 || 15
|-
| 生活関連サービス業・娯楽業 || 1
|-
| 医療・福祉業 || 5
|-
| 複合サービス事業 || 5
|-
| サービス業(その他)|| 3
|-
| 公務 || 1
|-
| その他 || 4
|}

漁業が主要産業であるが、内航海運業に従事するものや、本土に通勤するものもいる<ref name="角川">{{Harvcoltxt|角川日本地名大辞典|1989|p=267}}</ref><ref name="鶴田p3"/>。対岸の[[備前市]]は全国総生産量の30パーセント強を生産する、[[耐火レンガ]]の有力産地であるためこの産業に従事するものも多い。しかし[[石油危機]]以降は技術革新により耐火レンガの需要が減ったこと、新興国によるシェアの追い上げに加え、製品需要のほとんどを依存する[[鉄鋼業]]の不振により耐火レンガ産業が構造不況化したことに加え、産業構造の変化により鉄鋼製品・石油化学製品の輸送量が減少したことで、内航海運業の従事者も転廃業を余儀なくされた<ref name="鶴田p3">{{Harvcoltxt|鶴田|1991|p=3}}</ref>。また、家内工業的な魚網製造業が営まれているほか2店舗の商店がある<ref>{{Harvcoltxt|岡山県|2010|p=20}}</ref>。しかし、架橋により本土に車で買い物に行けるようになったことや、食料品の移動販売車が往来するようになったことから、島内商店の客離れが懸念されている<ref name="国土交通省p4"/>。また、架橋後は[[レストラン]]や[[カフェ]]などの飲食店が相次いでオープンした<ref>{{Cite news| 和書| title=頭島で至福の時間 レストランやカフェが出店ラッシュ 景色楽しみ、地元食材味わう/岡山県 | date=2016-09-04| newspaper=朝日新聞| edition= 岡山全県| page= 1}}</ref>。

=== 漁業 ===
[[File:Kashira island in Bizen, Okayama,Japan 岡山県備前市日生町日生,頭島 052.JPG|thumb|240px|left|頭島(右)と[[鹿久居島]]。[[牡蠣]]の養殖が盛ん。]]
戦後以降は本土‐[[小豆島]]間の海域での[[底引き網]]漁が中心となっていたが、瀬戸内海沿岸の工業地帯化にともない漁場が不安定化したことから、[[1961年]]には[[カキ (貝)#養殖|カキ養殖]]が始まった。底引き網漁は夏中心に操業される漁であるため、カキ養殖は兼業として好都合のものだった。しかし、副次的なものとしてはじまったカキ養殖の市況は安定せず、一時は規模が縮小することがあった。しかしその後は[[1968年]]の本垂下方式の導入や、広島の出荷網の間隙を縫い、中京圏に市場を確保できたことなどから経営が安定、前述の耐火レンガ産業、運輸業の衰退もあいまってカキ養殖を営む家が急増したことにより、カキ養殖は頭島の産業の中心を担うようになった<ref name="鶴田p3"/>。[[2014年]]には島内にカキの加工場も建設された<ref>{{Harvcoltxt|国土交通省|2016|p=22}}</ref>。

=== 農業 ===
戦後の食糧難の時代に島の大部分が開拓されたため、耕地化率は高いものの、ほとんどが第二種兼業農家であるため、島の産業の中での農業の比重は小さい<ref name="鶴田p3"/>。[[1950年]]中盤に鹿久居島でみかん栽培が開始されたことがきっかけで、頭島でもみかん栽培が始まったが、[[1970年]]以降はこうしたみかん園の多くが観光農園となった<ref name="鶴田p3"/><ref name="鶴田p7">{{Harvcoltxt|鶴田|1991|p=7}}</ref>。しかし、高品質なみかん産地が観光みかん園を開き始めたことにより、みかん狩り目当ての観光客は減少している<ref name="鶴田p3"/>。また、頭島は瀬戸内海の島であるため日照、通風がよく、冬暖かく夏涼しいという気象条件にも恵まれているということから、[[1960年]]には養鶏組合が設立され、養鶏団地も設立された<ref>{{Harvcoltxt|岡山県畜産協会|1964|p=2}}</ref>。また、架橋後は隣島の鹿久居島からシカが渡ってくるようになり、みかん園が獣害に悩まされている<ref>{{Cite news |和書|title=野生シカ毎晩群れで橋渡ってやってくる!食い荒らされるみかん畑―カメラでキャッチ |newspaper=J-CASTニュース |date=2014-1-20 |url=https://www.j-cast.com/tv/2014/01/20194482.html?p=all |accessdate=2019-04-20}}</ref>。


=== 観光 ===
観光客の往来がほとんどなかった[[1965年]]以前には、島内に宿泊施設は存在せず、旅人が島を訪れることがあれば、都合のつく島民が民家に泊めていた<ref name="鶴田p6">{{Harvcoltxt|鶴田|1991|p=6}}</ref>。しかし[[1970年]]頃に観光みかん園ができたことなどにより、頭島が関西地方の海水浴型観光圏にはいったことで宿泊施設の需要ができたため、頭島漁協により初の宿泊施設「頭島フィッシングセンター」が設立された。この施設は当初、漁協組合員により交代で運営されていたが、本業の合間を縫って行うこうした運営には不都合があり、[[1972年]]に民間委託された<ref name="鶴田p7"/>。しかし多くの島民がこの施設の運営に関わったことで宿泊施設経営のノウハウが広がり、漁に出ないため島にいる時間が長い主婦層らが個人経営の民宿を開き始めた<ref name="鶴田p6"/>。

[[1975年]]の[[BIZEN中南米美術館|森下美術館]]開館、頭島漁協の提供する観光底引き網の利用者上昇などもともない頭島に観光産業が定着すると、耐火レンガ工業、内航運輸業および造船業の斜陽化もあいまって家計の補填のための民宿街業が相次いだ。[[1981年]]以降は海水浴目的・みかん狩り目的の観光客が減少したことにより、観光客数は横ばいになっていたものの、海産物とその料理を目的とする観光客が増えていたことにより島への宿泊需要は増加し、新規民宿はさらに増加した<ref name="鶴田p7"/>。魚介類を自己調達できることや、[[1970年]]代後半より島の漁業はカキ養殖を中心とするものとなっており、漁に出る回数が少なくなっていたこともあって、この時期に開業された民宿は多くが漁家によるものだった<ref>{{Harvcoltxt|鶴田|1991|p=8}}</ref>。このような経緯の中で、旧日生町の観光産業における頭島の地位は確立していった。

== 脚注 ==
=== 注釈 ===
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=== 出典 ===
=== 出典 ===
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== 参考文献 ==
== 参考文献 ==
*角川日本地名大辞典 33.岡山県』 角川書店、1986年
* {{Citebook|和書|author=角川日本地名大辞典編纂委員会|date=1989|title=[[角川日本地名大辞典]] (33) 岡山県|publisher=[[角川書店]]|isbn=4040013301|ref={{SfnRef|角川日本地名大辞典|1989}}}}
* {{Citejournal|和書|author=鶴田英一|title=岡山県日生町頭島における民宿の展開過程|date=1991|publisher=日本観光研究学会|journal=観光研究|volume=4|issue=1-2|pages=1-10|issn=1342-0208|doi=10.18979/jitr.4.1-2_1|ref={{SfnRef|鶴田|1991}}}}
* {{Cite web |url=http://www.city.okayama.jp/contents/000173021.pdf |date=2010|title=日生諸島地域振興計画 |publisher= 岡山県|accessdate=2019-04-19|ref={{SfnRef|岡山県|2010}}}}
* {{Cite web |url=http://www.mlit.go.jp/common/001132859.pdf |date=2016-5-25|title=岡山県鹿久居島、頭島の離島振興対策実施地域の指定解除について|publisher= 国土交通省|accessdate=2019-04-19|ref={{SfnRef|国土交通省|2016}}}}
* {{Citejournal|和書|author=鶴田英一|title=島に咲く養鶏 和気郡日生町頭島|date=1964|publisher=岡山県畜産協会|journal=岡山畜産便り|pages=1-3|url=http://okayama.lin.gr.jp/tikusandayori/s3909/tks04.pdf|ref={{SfnRef|岡山県畜産協会|1964}}}}
* {{Citejournal|和書|author1=藤木利之|author2=守田益宗|author3=三好教夫|title=瀬戸内海・頭島(岡山県日生町)周辺の花粉分析による植生変遷史の研究|date=1998-08-31|publisher=東北地理学会|journal=季刊地理学|volume=50|issue=3|doi=10.5190/tga.50.189|naid=10002696089|pages=189-200|ref={{SfnRef|藤木|守田|三好|1998}}}}
* {{Citejournal|和書|author=定兼学|title=近世領主の無人島利用--備前国和気郡日生諸島の場合 (〔地方史研究協議会2001年度(第52回)〕大会特集 海と風土--瀬戸内海地域の生活と交流) -- (問題提起)|date=2001-08|publisher=地方史研究協議会|journal=地方史研究|volume=51|issue=4|naid=40002375332|pages=35-41|ref={{SfnRef|定兼|2001}}}}


== 外部リンク ==
* [http://www.pref.okayama.jp/kikaku/chishin/ritou/index/hinase_shotou/kashirajima/kashirajima.html 岡山県企画振興部地域振興課による島の紹介]
* [http://www.kashirajima.net/ 岡山県備前市漁師町日生にある頭島のコミュニティサイト]

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2019年5月2日 (木) 04:30時点における版

頭島
頭島 国土画像情報(カラー空中写真)
頭島の航空写真。国土交通省 「国土画像情報(カラー空中写真)」を基に作成。
所在地 日本の旗 日本岡山県備前市
所在海域 瀬戸内海備讃瀬戸
座標 北緯34度42分4.5秒 東経134度17分11秒 / 北緯34.701250度 東経134.28639度 / 34.701250; 134.28639座標: 北緯34度42分4.5秒 東経134度17分11秒 / 北緯34.701250度 東経134.28639度 / 34.701250; 134.28639
面積 0.60[1] km²
海岸線長 4[1] km
最高標高 55[1][注 1] m
頭島の位置(岡山県内)
頭島
     
プロジェクト 地形
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頭島(かしらじま)は、日本瀬戸内海にある有人島のひとつで、岡山県備前市に属す日生諸島である。人口319人149世帯[2]と、日生諸島で最も人口が多く、多数の民宿・ペンションがあることでも知られる。2004年に頭島と鹿久居島を結ぶ頭島大橋、2015年に鹿久居島と本土を結ぶ備前♡日生大橋が開通したことにより、現在は本土と陸路で繋がっている。

地理・歴史

地理 

全島が流紋岩で構成されている[3]。年間平均気温は摂氏15.1度で最低気温は1月の4.5度、最高気温は8月の26.8度である。年間の合計降水量は1231.9ミリメートルで、温暖で降水量の少ない瀬戸内海式気候に属する。アカマツ林に覆われているが、多くの木がゾウムシによる食害で枯死している。南部にもアカマツ、クロマツクスノキアカメガシワが優占する小規模な森林、北部にはみかんの果樹園とエノキヤブニッケイヒサカキの優占する森林がある[4]。標高は最高地点で55メートルと比較的平坦だが傾斜地は多く、瀬戸内海の他の島々と同様に密集した集落を形成している[3][5]

歴史 

島東部、北西に延びた尾根の標高30メートルの畑で石器が発見されたほか、島南部に径5 - 8メートル、高さ0.3メートルほどの墳丘が確認され、古墳と推定されている[6]。近世初期まで日生諸島の島はすべて無人島であったが、1698年元禄11年)に大多府島岡山藩の風待ち港となり、番所が置かれたことをきっかけに入植が進んだ。頭島の開拓は享和年間に入植した、本土の日生村出身者7世帯を中心に進み、明治時代には世帯数が90世帯に達した[7]。戦後は引き揚げ者が島に戻ってきたこと、漁業の隆盛などにより世帯数は200戸を超えた[5]。この時期に島の大部分が開拓され、標高の高い部分にも民家が建ち始めた[8]1961年離島振興法の指定を受けた[9]。また、同年には島にカキ養殖が導入され、これは後に島の中枢を担う産業となった[8]1970年頃に観光みかん園ができたことをきっかけに観光地化が進み、1980年前後には「民宿ブーム」といわれるほどに民宿の新規開業が相次いだ[10]

1987年より頭島の各家庭が毎月1世帯500円を出し合い、架橋にまつわる活動費用を捻出する「架橋預金」が始まり、1994年には離島振興法に基づく架橋事業が始まった[11][12]。2004年に頭島と鹿久居島を結ぶ頭島大橋が開通し、2014年に鹿久居島と本土を結ぶ備前♡日生大橋が開通したことにより頭島は本土とつながり、2016年には「隔絶性が解消された」として離島振興対策実施地域の指定が解除された[13]

生活 

教育 

また、かつては島内に市立日生南小学校があり、最盛期の1960年には172人の在校生がいたものの近年は減少の一途をたどっており、架橋により本土の日生東小学校にスクールバスで10分で行けるようになったことから2015年度をもって廃校となった[14]。また、島内にあったへき地保育所についても同様に廃統合された[15][16]

医療・福祉 

島内には市立頭島診療所があり、週に1度、内科整形外科の定期検診を行っているが、常勤医師はいない。そのため島民は本土の市立日生病院を利用することが多い[17][16]。架橋によって本土の病院に車で通えるようになり、救急搬送にかかる時間が大幅に減少し、実際に島内で夜間に急病人が発生した際には迅速に病院に運ばれ、重篤化を免れた。急病時の救急搬送については住民の長年の懸念事項であったため、「架橋に安心した」という声も聞かれた[17]。頭島は高齢化の進む島であるが福祉サービスを受けられる施設はなく、島民は送迎サービスを活用して本土の施設に赴いている[16]

インフラ 

電気については、かつては自家発電により電気をまかなっていたが、1966年より本土からの送電が始まった[3]。上水道については1965年に鹿久居島からの海底送水が始まっており[3]、汚水処理については島内にある浄化センターで行っている[18]。通信環境についても、備前♡日生大橋の架橋にともない2016年より光ファイバー通信が利用可能となり、また、LTEの使用も可能である[16]

交通 

道路総延長は10.6キロメートルであり、舗装率は75.5パーセントである[19]大生汽船による本土と日生諸島の各島を結ぶ定期便が通っており、頭島には1日8便寄港する。架橋後、定期船の利用者数は年間99508人から41714人と6割ほど減少し、現在は6便に減便されている[20][21]。また、備前市営バスにより1日7便の路線バスが通っている[22]

頭島大橋

頭島大橋
基本情報
日本の旗 日本
所在地 岡山県備前市
交差物件 瀬戸内海
設計者 長大 [23]
施工者 三井住友建設、アイサワ工業JV[24]
構造諸元
形式 RC固定アーチ [23]
全長 300 m [23]
7.7 m
(有効幅員 6.5 m) [23]
最大支間長 218 m [23]
関連項目
橋の一覧 - 各国の橋 - 橋の形式
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頭島大橋(かしらじまおおはし)は、頭島と鹿久居島を結ぶ道路橋である。アーチ支間 218 m の複合アーチ橋[23]で、2004年11月22日に開通した。

諸元 

産業 

頭島の産業別就業者数(2015年[25]
項目名 単位(人)
総計 112
農業 2
漁業 45
建設業 1
製造業 13
運輸業・郵便業 5
卸売業・小売業 10
金融業・保険業 1
学術研究・専門・技術サービス業 1
宿泊業・飲食サービス業 15
生活関連サービス業・娯楽業 1
医療・福祉業 5
複合サービス事業 5
サービス業(その他) 3
公務 1
その他 4

漁業が主要産業であるが、内航海運業に従事するものや、本土に通勤するものもいる[3][8]。対岸の備前市は全国総生産量の30パーセント強を生産する、耐火レンガの有力産地であるためこの産業に従事するものも多い。しかし石油危機以降は技術革新により耐火レンガの需要が減ったこと、新興国によるシェアの追い上げに加え、製品需要のほとんどを依存する鉄鋼業の不振により耐火レンガ産業が構造不況化したことに加え、産業構造の変化により鉄鋼製品・石油化学製品の輸送量が減少したことで、内航海運業の従事者も転廃業を余儀なくされた[8]。また、家内工業的な魚網製造業が営まれているほか2店舗の商店がある[26]。しかし、架橋により本土に車で買い物に行けるようになったことや、食料品の移動販売車が往来するようになったことから、島内商店の客離れが懸念されている[17]。また、架橋後はレストランカフェなどの飲食店が相次いでオープンした[27]

漁業 

頭島(右)と鹿久居島牡蠣の養殖が盛ん。

戦後以降は本土‐小豆島間の海域での底引き網漁が中心となっていたが、瀬戸内海沿岸の工業地帯化にともない漁場が不安定化したことから、1961年にはカキ養殖が始まった。底引き網漁は夏中心に操業される漁であるため、カキ養殖は兼業として好都合のものだった。しかし、副次的なものとしてはじまったカキ養殖の市況は安定せず、一時は規模が縮小することがあった。しかしその後は1968年の本垂下方式の導入や、広島の出荷網の間隙を縫い、中京圏に市場を確保できたことなどから経営が安定、前述の耐火レンガ産業、運輸業の衰退もあいまってカキ養殖を営む家が急増したことにより、カキ養殖は頭島の産業の中心を担うようになった[8]2014年には島内にカキの加工場も建設された[28]

農業 

戦後の食糧難の時代に島の大部分が開拓されたため、耕地化率は高いものの、ほとんどが第二種兼業農家であるため、島の産業の中での農業の比重は小さい[8]1950年中盤に鹿久居島でみかん栽培が開始されたことがきっかけで、頭島でもみかん栽培が始まったが、1970年以降はこうしたみかん園の多くが観光農園となった[8][29]。しかし、高品質なみかん産地が観光みかん園を開き始めたことにより、みかん狩り目当ての観光客は減少している[8]。また、頭島は瀬戸内海の島であるため日照、通風がよく、冬暖かく夏涼しいという気象条件にも恵まれているということから、1960年には養鶏組合が設立され、養鶏団地も設立された[30]。また、架橋後は隣島の鹿久居島からシカが渡ってくるようになり、みかん園が獣害に悩まされている[31]

観光 

観光客の往来がほとんどなかった1965年以前には、島内に宿泊施設は存在せず、旅人が島を訪れることがあれば、都合のつく島民が民家に泊めていた[10]。しかし1970年頃に観光みかん園ができたことなどにより、頭島が関西地方の海水浴型観光圏にはいったことで宿泊施設の需要ができたため、頭島漁協により初の宿泊施設「頭島フィッシングセンター」が設立された。この施設は当初、漁協組合員により交代で運営されていたが、本業の合間を縫って行うこうした運営には不都合があり、1972年に民間委託された[29]。しかし多くの島民がこの施設の運営に関わったことで宿泊施設経営のノウハウが広がり、漁に出ないため島にいる時間が長い主婦層らが個人経営の民宿を開き始めた[10]

1975年森下美術館開館、頭島漁協の提供する観光底引き網の利用者上昇などもともない頭島に観光産業が定着すると、耐火レンガ工業、内航運輸業および造船業の斜陽化もあいまって家計の補填のための民宿街業が相次いだ。1981年以降は海水浴目的・みかん狩り目的の観光客が減少したことにより、観光客数は横ばいになっていたものの、海産物とその料理を目的とする観光客が増えていたことにより島への宿泊需要は増加し、新規民宿はさらに増加した[29]。魚介類を自己調達できることや、1970年代後半より島の漁業はカキ養殖を中心とするものとなっており、漁に出る回数が少なくなっていたこともあって、この時期に開業された民宿は多くが漁家によるものだった[32]。このような経緯の中で、旧日生町の観光産業における頭島の地位は確立していった。

脚注

注釈

  1. ^ 角川日本地名大辞典 (1989:267)には島の最高所の標高は58メートルであると記述されている。

出典

  1. ^ a b c 岡山県ホームページ - 岡山県の離島 - 頭島”. 岡山県県民生活部中山間・地域振興課. 2016年3月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年4月16日閲覧。
  2. ^ 国勢調査 平成27年国勢調査 小地域集計 33岡山県 人口等基本集計に関する集計 2 男女別人口及び世帯数 -町丁・字等”. 統計局統計調査部国勢統計課  . 2019年4月16日閲覧。
  3. ^ a b c d e 角川日本地名大辞典 (1989:267)
  4. ^ 藤木, 守田 & 三好 (1998:189-190)
  5. ^ a b 鶴田 (1991:2)
  6. ^ おかやま全県統合型GIS”. 岡山県. 2019年4月19日閲覧。
  7. ^ 定兼 (2001:2)
  8. ^ a b c d e f g h 鶴田 (1991:3)
  9. ^ 国土交通省 (2016:18)
  10. ^ a b c 鶴田 (1991:6)
  11. ^ 「念願の橋、つながる 「備前♡日生大橋」連結式 /岡山県」『朝日新聞』2014年10月3日、土曜版、第13版、36面。
  12. ^ 【島News】島民による「架橋預金」も。鹿久居島、頭島と本州をつなぐ「備前♡日生大橋」 「梅灘橋」利用開始」『離島経済新聞』2015年5月19日。
  13. ^ 国土交通省 (2016:1)
  14. ^ 「島を忘れず頑張る」岡山の島の小学校で最後の修了式 在校生8人、新学期から本土へ」『産経新聞』2016年3月26日。2019年4月20日閲覧。
  15. ^ 岡山県 (2010:18)
  16. ^ a b c d 国土交通省 (2016:21)
  17. ^ a b c 国土交通省 (2016:4)
  18. ^ 岡山県 (2010:17)
  19. ^ 国土交通省 (2016:20)
  20. ^ 国土交通省 (2016:5)
  21. ^ 日生待船の定期便時刻料金表”. 大生汽船. 2019年4月20日閲覧。
  22. ^ 路線案内(時刻表等) -岡山県備前市-”. 備前市. 2019年4月20日閲覧。
  23. ^ a b c d e f g h i j k No.50 PC設計ニュース 頭島大橋 (PDF) (Report). 三井住友建設. 2015年5月2日閲覧
  24. ^ 頭島大橋 ”. カンチレバー技術研究会. 2019年4月18日閲覧。
  25. ^ 国勢調査 平成27年国勢調査 小地域集計 33岡山県 就業状態等基本集計に関する集計 11 産業(大分類),男女別15歳以上就業者数 -町丁・字等”. 統計局統計調査部国勢統計課  . 2019年4月18日閲覧。
  26. ^ 岡山県 (2010:20)
  27. ^ 「頭島で至福の時間 レストランやカフェが出店ラッシュ 景色楽しみ、地元食材味わう/岡山県」『朝日新聞』2016年9月4日、岡山全県、1面。
  28. ^ 国土交通省 (2016:22)
  29. ^ a b c 鶴田 (1991:7)
  30. ^ 岡山県畜産協会 (1964:2)
  31. ^ 野生シカ毎晩群れで橋渡ってやってくる!食い荒らされるみかん畑―カメラでキャッチ」『J-CASTニュース』2014年1月20日。2019年4月20日閲覧。
  32. ^ 鶴田 (1991:8)

参考文献