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[[倫理研究所]]の分派であり<ref name=shinshukyo/>、[[神道徳光教]]から派生した[[ひとのみち教団]](後の[[パーフェクト リバティー教団]])に起源をもつ新宗教団体のひとつ<ref name="numata1978">[[沼田健哉]][http://ci.nii.ac.jp/naid/110004701306 「修養団体の事例研究」]桃山学院大学社会学論集 11(2), 149-186, 1978-03-01 ※論文中では「J会」と匿名にされているが、実践倫理宏正会について書いたものであることを沼田が『現代日本の新宗教』1988年 ISBN 4-422-14015-9 p256 で明らかにした</ref>。ただし、会自身は、拝む神も教義もなく宗教団体ではなく、社会教育団体であるとしている。[[弘文堂『新宗教事典』]]<ref name="koubunndoushinshukyo">[[https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN04347570]]</ref>では、宗教団体ではなく「道徳・倫理・修養団体」とされている。実践倫理宏正会は、旧ひとのみち教団の信者で、丸山敏雄とも親交があった上廣哲彦が、北陸地方などで独自の活動を展開し、やがて丸山との協力関係を断って、会として、独立したものである。実践倫理宏正会は、会員の早朝集会(実践倫理宏正会じたいしばしば人々から「朝起会」と呼ばれる程、この活動は盛んである)や会誌の戸別頒布の活動など、主として普及、宣布の活動の面で倫理研究所と相互関係があると思われる。
[[倫理研究所]]の分派であり<ref name=shinshukyo/>、[[神道徳光教]]から派生した[[ひとのみち教団]](後の[[パーフェクト リバティー教団]])に起源をもつ新宗教団体のひとつ<ref name="numata1978">[[沼田健哉]][http://ci.nii.ac.jp/naid/110004701306 「修養団体の事例研究」]桃山学院大学社会学論集 11(2), 149-186, 1978-03-01 ※論文中では「J会」と匿名にされているが、実践倫理宏正会について書いたものであることを沼田が『現代日本の新宗教』1988年 ISBN 4-422-14015-9 p256 で明らかにした</ref>。ただし、会自身は、拝む神も教義もなく宗教団体ではなく、社会教育団体であるとしている。[[弘文堂『新宗教事典』]]<ref name="koubunndoushinshukyo">[https://ci.nii.ac.jp/ncid/BN04347570]</ref>では、宗教団体ではなく「道徳・倫理・修養団体」とされている。実践倫理宏正会は、旧ひとのみち教団の信者で、丸山敏雄とも親交があった上廣哲彦が、北陸地方などで独自の活動を展開し、やがて丸山との協力関係を断って、会として、独立したものである。実践倫理宏正会は、会員の早朝集会(実践倫理宏正会じたいしばしば人々から「朝起会」と呼ばれる程、この活動は盛んである)や会誌の戸別頒布の活動など、主として普及、宣布の活動の面で倫理研究所と相互関係があると思われる。


== 沿革 ==
== 沿革 ==

2018年3月29日 (木) 00:05時点における版

実践倫理宏正会
創立者 上廣哲彦[1]
設立 1946年(昭和21年)5月3日[2]
所在地 東京都千代田区九段北1-14-1[2]
法人番号 2010005003029 ウィキデータを編集
主要人物

上廣哲治(会長)[2]

上廣榮治(名誉会長)[2]
会員数 409万人[3]
ウェブサイト http://www.jissenrinri.or.jp/
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一般社団法人実践倫理宏正会(じっせんりんりこうせいかい)は、一般社団法人1946年(昭和21年)5月に東京吉祥寺上廣哲彦によって設立され、1953年(昭和28年)4月1日に社団法人の許可を受けた[1][2]。一般には朝起会(あさおきかい)の名称で知られている。機関誌「倫風」や関連図書を発行している[4]

平成16年度総務省の調査では日本で2番目に賛助会員等が多い公益法人[3]

系統

倫理研究所の分派であり[1]神道徳光教から派生したひとのみち教団(後のパーフェクト リバティー教団)に起源をもつ新宗教団体のひとつ[5]。ただし、会自身は、拝む神も教義もなく宗教団体ではなく、社会教育団体であるとしている。弘文堂『新宗教事典』[6]では、宗教団体ではなく「道徳・倫理・修養団体」とされている。実践倫理宏正会は、旧ひとのみち教団の信者で、丸山敏雄とも親交があった上廣哲彦が、北陸地方などで独自の活動を展開し、やがて丸山との協力関係を断って、会として、独立したものである。実践倫理宏正会は、会員の早朝集会(実践倫理宏正会じたいしばしば人々から「朝起会」と呼ばれる程、この活動は盛んである)や会誌の戸別頒布の活動など、主として普及、宣布の活動の面で倫理研究所と相互関係があると思われる。

沿革

上廣哲彦は、戦後昭和二一年五月より広島・北陸において生活倫理実践会を主宰していたが、二六年五月に宏正会を創立して初代会長に就任。十一月には機関誌「宏正」を創刊。東京の武蔵野市吉祥寺に居を構え、三鷹、文京、神田、阿佐ヶ谷にて朝起会を開く。その後会員が三〇〇〇人になった昭和二十八年に、これを組織して、文部省許可の社団法人とし、会名も実践倫理宏正会と改称。三五年には、青少年向けの機関誌、『青年と倫理』を発刊。さらに三八年には『倫理宏正新聞』が刊行された。四七年には東京九段に本部会館が落成。初代会長はその直後に死去、長男の榮治が二代会長に就任(現在は三代会長 上廣哲治)。

目的

実践倫理宏正会の目的は「生活の改善、道義の昂揚および文化の発展を図るため、生活倫理を実践することを宏めると共に、これを各人の生活に融合せしめ、人生の苦悶を解脱し、人と争わず、家庭を明朗化し、各々の業務に精励せしめ、人類永遠の平和を目標に、祖国の再建に資する」こととされる。また理念の特徴として、日本固有の文化と伝統を重視し、親・祖先を重んじながらも宗教を説かず、むしろ宗教以前の人間にとって不可欠の問題として倫理を考える。したがって、宗教団体ではなく、社会教育団体であることを強調する。

朝起会

活動の中心は朝五時~六時にもたれる朝起会で、「朝の誓(五つの誓)」の唱和、前・現会長の著作集を読む「倫読」、会友(会員)による反省や決意の発表、体験談である「演談」、「結びの誓」の唱和などがなされる。そこでは目上、目下のけじめをはっきりさせ、自我をとり、自己を変えることによって夫婦それぞれの本性に基づいた働き、役割を明確にして、お互いに協力し合うことが奨励される。さらに自然の法則に則した生き方を心がけ、働く喜びを体得することが大切であるとする。 実践倫理宏正会は日本各地に「朝起会」を行うための「朝起会場」を持っており、1978年時点で会が認可した会場が360あった[5]。その後約1000か所に増えた[2]。個々の朝起会場は人数・会費納入額・勧誘運動の成果(「倍加運動」)などによって格付けされている[5]

朝起会は「生活実践の訓練の場」であり[1]、午前5時から「朝の誓」の唱和[5][1]・会長の著書を読む「御本読み」[5]・会員が体験談を語る「演談」[5]・講師(責任者)によるまとめ[1]などが行われる。男性よりも時間の都合をつけやすい女性の参加者が多い[5]。「朝の誓」は

  • 今日一日 三つの恩を忘れず 喜んで進んではたらきます
  • 今日一日 人の悪をいわず 己の善を語りません
  • 今日一日 気付いたことは 身がるに直ぐ行います
  • 今日一日 腹を立てず 不足の思いをいたしません
  • 今日一日 三つの無駄を排し 新しく大地に生き貫きます

の5カ条である[7]

松野純孝ひとのみち教団の「朝詣り」が倫理研究所の「朝起会」を通じて実践倫理宏正会の「朝起会」に影響した可能性を指摘した[1]

毎年1月1日に「元朝式」が行われる[8]

組織

平成16年度総務省「公益法人に関する年次報告」によると実践倫理宏正会の賛助会員等は409万人で、最多の日本自動車連盟(賛助会員等3958万人)に次いだ[3]。職員数138人[9]。ただし、300万人とされていた会員数は朝起会場の分布に合わず誇大ではないかと沼田健哉が1978年に指摘した[5]。沼田によればその勧誘活動の熱心さは「かつての創価学会を思わせる」[5]

1972年に本部会館を九段に建設した[1]。日本国内に185の支部、国外にはハワイロサンゼルスに朝起会場を持つ[1]東京理科大学が2011年に九段校舎を217億円で実践倫理宏正会に売却した[10]。2016年完成を予定する老人ホーム渋谷区に建てている[11]

平成21年内閣府の概況調査による年次報告によれば寄付金受領額69億4932万7千円[12]文部科学省所管公益法人総点検結果表(平成13年3月)では、実践倫理宏正会は役員報酬が2000万円を超えており会計監査が不十分だとされた[13]

実践倫理宏正会草津支部は「平成23年元朝式」を草津市庁舎特大会議室および101会議室で行った[14]。市が支部に暖房代等の経費を請求がしておらず特定団体に対する便利供与を疑われる恐れがあるとする住民監査請求があったところ、市が請求を失念し1年あまりの間経費が徴収されていなかったことが分かった[14]

平成28年6月開催の理事会において、上廣榮治第二代会長が名誉会長に、上廣哲治理事が第三代会長にそれぞれ就任した。

教理

実践倫理宏正会の教理は朝起を重視し禁欲的修養をうたう点でひとのみち教団倫理研究所と類似点が多いと沼田健哉が1978年に指摘した[5]。実践倫理宏正会は「大自然の法則にそって確立した生活のすじ道を会員に教え実践する」ことを目的としており、祖先から受け継いだ「伝承の重み」を重視する[15]

家族関係については、「目上、目下のけじめ」をつけること、主婦は「主人に反抗してはなら」ず夫が無理な要求をしたときもまず妻が反省すべきであること、親は子を自然のままにおき「捨て育て」をすべきことなどが教えられる[15]

初代会長上廣哲彦とその長男で会長の上廣榮治の著書が教典に当たる[1]。これらの著書は朝起会で「御本読み」の対象となる[15]

政党との関係

自由民主党衆議院議員の後藤田正純は地元の同僚議員とともに地元活動の一環として元朝式に出席している[8]。民主党衆議院議員の逢坂誠二によれば自身のほか2010年の函館支部元朝式に函館市議会議員が出席した[16]。国民新党の亀井静香は自身が実践倫理宏正会に「指導を受けている」と2007年に衆議院予算委員会で述べた[17]

関連項目

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j 松野純孝『新宗教辞典』1984年、p123-125
  2. ^ a b c d e f 一般社団法人 実践倫理宏正会 - プロフィール
  3. ^ a b c 総務省 公益法人に関する年次報告. 平成16年度 2004年
  4. ^ 生涯学習政策局<社会教育課>:文部科学省 2012年4月17日時点
  5. ^ a b c d e f g h i j 沼田健哉「修養団体の事例研究」桃山学院大学社会学論集 11(2), 149-186, 1978-03-01 ※論文中では「J会」と匿名にされているが、実践倫理宏正会について書いたものであることを沼田が『現代日本の新宗教』1988年 ISBN 4-422-14015-9 p256 で明らかにした
  6. ^ [1]
  7. ^ 一般社団法人 実践倫理宏正会 - 活動内容
  8. ^ a b 後藤田正純・活動報告
  9. ^ https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/other/wpdl/files/kuni-zaiseki.pdf
  10. ^ 日経不動産マーケット情報 2011.6号
  11. ^ 渋谷区 老人ホームは竹中 2015/5/18 建通新聞
  12. ^ 公益法人協会理事長太田達男 公益寄附と信託制度 日本版プランドギビングの導入にあたり 2011.2.6
  13. ^ 文部科学省所管公益法人総点検結果表(平成13年3月)
  14. ^ a b 住民監査請求書 平成24年1月10日
  15. ^ a b c 沼田健哉 修養団体ならびに新宗教教団における家族倫理 桃山学院大学社会学論集 18(2), 203-232, 1984-12-20
  16. ^ 逢坂誠二 朝起き会「元朝式」に出席 201001.01
  17. ^ 衆議院会議録情報 第166回国会 予算委員会 第7号

外部リンク