「オーバーハング (自動車用語)」の版間の差分
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== 概要 == |
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[[自動車]]における'''オーバーハング'''とは、車両を真下(あるいは真上)から見たとき、前後左右の[[車輪]]の接地中心点から外側にはみ出した車体の部位(それぞれ、前車軸中心から車両最前部、後車軸中心から車両最後部、[[トレッド]]から左右両方の外側まで。)を指す<ref>{{Cite book |和書 |title=大車林―自動車情報事典 |publisher=[[三栄書房]] |date=2003-11 |id={{ASIN|978-4879046789}} }}</ref>。前・後・左・右の4部位がそれにあたるが、特に注釈がなければ前後(フロント~・リア~)のみを指すことが一般的で、その場合、それぞれの車軸中心線(側面視では中心点)から車体の前後端までの範囲を指す。また、車軸中心線から車体端までの距離に対して使われることもある(フロントオーバーハング ○○○ mm など)。 |
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市販車の場合、商品性にかかわる[[エクステリア]]の[[インダストリアルデザイン|スタイル]]に大きく影響を与えることはもちろん、[[重心]]から離れたこの部分の重量は、運動性([[ピッチング|ピッチ方向]]と[[ヨーイング|ヨー方向]]の動き)にもかかわる重要な要件ともなる。 |
市販車の場合、商品性にかかわる[[エクステリア]]の[[インダストリアルデザイン|スタイル]]に大きく影響を与えることはもちろん、[[重心]]から離れたこの部分の重量は、運動性([[ピッチング|ピッチ方向]]と[[ヨーイング|ヨー方向]]の動き)にもかかわる重要な要件ともなる。 |
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オーバーハングが大きい(長い)と、鈍重ではあるが[[高級車|高級]]や安楽、小さい(短い)と踏ん張りがきき、機敏な印象が強まる傾向にある。また[[セダン]]や[[ステーションワゴン]]の場合、リアのオーバーハングは、そのまま[[トランク (自動車)|トランクルーム]](後者はラゲッジルーム)の広さにも繋がるので、外見やドライブフィーリングなどをあまり気にしないユーザーから見ても実用面では重要な要素となる。ただし、オーバーハングが大きすぎる(長すぎる)と、狭い場所での取り回しに苦慮するなどといったデメリットも生ずる。特に[[バス]]やトラックなどの大型車は、大きく[[ステアリング|ハンドルを切る]]時にはリアオーバーハングの偏倚量を考慮する必要がある<ref> |
オーバーハングが大きい(長い)と、鈍重ではあるが[[高級車|高級]]や安楽、小さい(短い)と踏ん張りがきき、機敏な印象が強まる傾向にある。また[[セダン]]や[[ステーションワゴン]]の場合、リアのオーバーハングは、そのまま[[トランク (自動車)|トランクルーム]](後者はラゲッジルーム)の広さにも繋がるので、外見やドライブフィーリングなどをあまり気にしないユーザーから見ても実用面では重要な要素となる。ただし、オーバーハングが大きすぎる(長すぎる)と、狭い場所での取り回しに苦慮するなどといったデメリットも生ずる。特に[[バス]]やトラックなどの大型車は、大きく[[ステアリング|ハンドルを切る]]時にはリアオーバーハングの偏倚量を考慮する必要がある<ref>{{Cite web |url=http://www.unyuroren.or.jp/home/safety/anzen/a107.htm |title=駐車場では左右の車両に目配りを |publisher=企業開発センター 交通問題研究室 |author=月刊運輸労連 |accessdate=2017-11-8 }}</ref>。 |
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[[モータースポーツ]]の観点では、オーバーハングの長さは[[ダウンフォース]]の発生量とも密接に関係しており、一般的にオーバーハングが長いほど、[[抵抗]]となる前面投影面積を増やさずに、大きなダウンフォースを稼ぐことが可能となる。この関係で、レース出場に必要な[[ホモロゲーション]]取得のため、ダウンフォースを稼ぐ目的でフロントのオーバーハングを延長した特別仕様車を限定販売する例([[SUPER GT]]における[[日産・フェアレディZ]]や[[ホンダ・NSX]]が代表例)も過去に見られた。 |
[[モータースポーツ]]の観点では、オーバーハングの長さは[[ダウンフォース]]の発生量とも密接に関係しており、一般的にオーバーハングが長いほど、[[抵抗]]となる前面投影面積を増やさずに、大きなダウンフォースを稼ぐことが可能となる。この関係で、レース出場に必要な[[ホモロゲーション]]取得のため、ダウンフォースを稼ぐ目的でフロントのオーバーハングを延長した特別仕様車を限定販売する例([[SUPER GT]]における[[日産・フェアレディZ]]や[[ホンダ・NSX]]が代表例)も過去に見られた。 |
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上記の運動性にもあてはまるが、[[てこ]]の原理で、距離が大きくなればその影響(害と効果)も大きくなる。特に競技車両での過大なオーバーハングは、タイヤの荷重負担が極端に大きくなることや、[[スピン]]や[[バンプ]]の際、下面に空気が入り込み、舞い上がる危険性が増すため、[[リスク]]を減らす目的でレギュレーションに寸法や割合の最大値が規定されている。 |
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2017年11月8日 (水) 08:33時点における版
オーバーハング(英語: Overhang)とは自動車の支えであるタイヤの中心よりも外側にかぶさるようにはみ出した車体を指す用語である。
概要
自動車におけるオーバーハングとは、車両を真下(あるいは真上)から見たとき、前後左右の車輪の接地中心点から外側にはみ出した車体の部位(それぞれ、前車軸中心から車両最前部、後車軸中心から車両最後部、トレッドから左右両方の外側まで。)を指す[1]。前・後・左・右の4部位がそれにあたるが、特に注釈がなければ前後(フロント~・リア~)のみを指すことが一般的で、その場合、それぞれの車軸中心線(側面視では中心点)から車体の前後端までの範囲を指す。また、車軸中心線から車体端までの距離に対して使われることもある(フロントオーバーハング ○○○ mm など)。
市販車の場合、商品性にかかわるエクステリアのスタイルに大きく影響を与えることはもちろん、重心から離れたこの部分の重量は、運動性(ピッチ方向とヨー方向の動き)にもかかわる重要な要件ともなる。
オーバーハングが大きい(長い)と、鈍重ではあるが高級や安楽、小さい(短い)と踏ん張りがきき、機敏な印象が強まる傾向にある。またセダンやステーションワゴンの場合、リアのオーバーハングは、そのままトランクルーム(後者はラゲッジルーム)の広さにも繋がるので、外見やドライブフィーリングなどをあまり気にしないユーザーから見ても実用面では重要な要素となる。ただし、オーバーハングが大きすぎる(長すぎる)と、狭い場所での取り回しに苦慮するなどといったデメリットも生ずる。特にバスやトラックなどの大型車は、大きくハンドルを切る時にはリアオーバーハングの偏倚量を考慮する必要がある[2]。
モータースポーツの観点では、オーバーハングの長さはダウンフォースの発生量とも密接に関係しており、一般的にオーバーハングが長いほど、抵抗となる前面投影面積を増やさずに、大きなダウンフォースを稼ぐことが可能となる。この関係で、レース出場に必要なホモロゲーション取得のため、ダウンフォースを稼ぐ目的でフロントのオーバーハングを延長した特別仕様車を限定販売する例(SUPER GTにおける日産・フェアレディZやホンダ・NSXが代表例)も過去に見られた。
上記の運動性にもあてはまるが、てこの原理で、距離が大きくなればその影響(害と効果)も大きくなる。特に競技車両での過大なオーバーハングは、タイヤの荷重負担が極端に大きくなることや、スピンやバンプの際、下面に空気が入り込み、舞い上がる危険性が増すため、リスクを減らす目的でレギュレーションに寸法や割合の最大値が規定されている。
脚注
- ^ 『大車林―自動車情報事典』三栄書房、2003年11月。ASIN 978-4879046789。
- ^ 月刊運輸労連. “駐車場では左右の車両に目配りを”. 企業開発センター 交通問題研究室. 2017年11月8日閲覧。
関連項目