「バックワルド・ハートウィッグアミノ化」の版間の差分
m cewbot: ウィキ文法修正 38: HTMLの<i>タグの使用 |
|||
9行目: | 9行目: | ||
この反応は右田・小杉らによりその原型が発見された。その後バックワルド (S. Buchwald) とハートウィッグ (J. Hartwig) により研究が進められ、スズ試薬が不要な反応条件が発見された。 |
この反応は右田・小杉らによりその原型が発見された。その後バックワルド (S. Buchwald) とハートウィッグ (J. Hartwig) により研究が進められ、スズ試薬が不要な反応条件が発見された。 |
||
1983年に右田らはブロモベンゼン誘導体と |
1983年に右田らはブロモベンゼン誘導体と''N'',''N''-ジエチルアミノトリブチルスズとの反応を発見した<ref name=Migita1983> |
||
{{cite journal |
{{cite journal |
||
| author = Kosugi, M.; Kameyama, M.; Migita, T. |
| author = Kosugi, M.; Kameyama, M.; Migita, T. |
2017年10月28日 (土) 23:59時点における版
バックワルド・ハートウィッグ反応(バックワルド・ハートウィッグはんのう、英: Buchwald-Hartwig reaction)は芳香族ハロゲン化物とアミンをパラジウム触媒と塩基存在下で結合させる化学反応、およびそれから派生した化学反応である。
芳香族ハロゲン化物(Ar-X)の脱離基Xは、ハロゲンでなくトリフラートであっても反応は進行する。パラジウムなどの金属Mとトリフェニルホスフィンなどの配位子Lを触媒として、第一級アミンもしくは第二級アミンが芳香環に付加する。他にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などが触媒として用いられる[1]。塩基にはナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドやtert-ブトキシドなどが用いられる。反応の概念は右田・小杉・スティルカップリングやヘック反応に似ている。銅触媒による同様の反応として、ゴルトベルク反応が存在する。
発見と進展
この反応は右田・小杉らによりその原型が発見された。その後バックワルド (S. Buchwald) とハートウィッグ (J. Hartwig) により研究が進められ、スズ試薬が不要な反応条件が発見された。
1983年に右田らはブロモベンゼン誘導体とN,N-ジエチルアミノトリブチルスズとの反応を発見した[2]。その後1994年にハートウィッグがブロモベンゼンとアミノトリブチルスズとの反応について、反応中間体のX線結晶構造解析を行った[3]。
同年、バックワルドが非常に似た反応を報告した[4] 。
1995年には改良版として、アミノスズ化合物の代わりにアミンとリチウム(ビストリメチルシリル)アミドなどの強塩基を用いた反応が報告された[5]。
反応機構
本反応の反応機構を下に示す。
c
まず2価のパラジウム1が還元され、ホスフィンなどの配位子で安定化された活性な0価パラジウム2になる。2の配位子が脱離した3から触媒サイクルが開始される。3に芳香族ハロゲン化物である4が酸化的付加し、中間体である5及びその平衡生成物である二量体5bが生成する。次にアミン6の窒素原子が5に攻撃し、中間体7を生成する。次いで強塩基8がアミンのプロトンを引き抜き、9が生成する。最後に9からの還元的脱離により芳香族アミン10が、もしくはβ水素脱離によりアレン化合物11、イミン12が生成する。どの化合物が生成しても3 (Pd-L) が再生し、次の触媒サイクルに入る。
溶媒効果
この反応にNMPやDMAcのような非プロトン性極性溶媒を用いるとβ-脱離が促進されてしまうが、m-キシレンのような非極性溶媒を用いるとtert-ブトキシドをあまり溶解しないにもかかわらず、目的の反応が良好に進行するという報告がある[6]。
脚注
- ^ John P. Wolfe and Stephen L. Buchwald (2002). "Palladium-catalyzed amination of aryl halides and aryl triflates: N-Hexyl-2-methyl-4-methoxyaniline and N-methyl-N-(4-chlorophenyl)aniline". Organic Syntheses (英語). 78: 23.; Collective Volume, vol. 10, p. 423
- ^ Kosugi, M.; Kameyama, M.; Migita, T. (1983). “Palladium-Catalyzed Arcmatic Amination of Aryl Bromides With N,N-Di-Ethylamino-Tributyltin”. Chem. Lett.: 927-928. doi:10.1246/cl.1983.927.
- ^ Frederic Paul, Joe Patt, John F. Hartwig (1994). “Palladium-catalyzed formation of carbon-nitrogen bonds. Reaction intermediates and catalyst improvements in the hetero cross-coupling of aryl halides and tin amides”. J. Am. Chem. Soc. 116 (13): 5969-5970. doi:10.1021/ja00092a058.
- ^ Anil S. Guram and Stephen L. Buchwald (1994). “Palladium-Catalyzed Aromatic Aminations with in situ Generated Aminostannanes”. J. Am. Chem. Soc. 116 (17): 7901 - 7902. doi:10.1021/ja00096a059.
- ^ Janis Louie and John F. Hartwig (1995). “Palladium-catalyzed synthesis of arylamines from aryl halides. Mechanistic studies lead to coupling in the absence of tin reagents”. Tetrahedron Lett. 36 (21): 3609-3612. doi:10.1016/0040-4039(95)00605-C.
- ^ Henrik Christensen, Sren Kiil, Kim Dam-Johansen, Ole Nielsen, and Michael B. Sommer (2006). “Effect of Solvents on the Product Distribution and Reaction Rate of a Buchwald-Hartwig Amination Reaction”. Org. Process Res. Dev. 10 (4): 762 - 769. doi:10.1021/op050226s.