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「アフリカニシキヘビ」の版間の差分

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}}
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'''アフリカニシキヘビ'''(阿弗利加錦蛇、''Python sebae'')は[[ニシキヘビ科]][[ニシキヘビ属]]に分類される[[ヘビ]]で、[[特定動物]]でもある。かつて[[ナタールニシキヘビ]] (''[[species:Python natalensis|Python natalensis]]'', syn. ''[[species:Python sebae natalensis|P. sebae natalensis]]'') は本種の亜種として扱われていたが、Broadley (1999) により独立した種とされた<ref name="RD">{{Cite web|title=Python sebae|url=http://reptile-database.reptarium.cz/species?genus=Python&species=sebae|publisher=The Reptile Database|accessdate=2018-04-03}}</ref>。したがって以下の記述、特に本種の分布域に含まれておらず、代わりにナタールニシキヘビの分布域には含まれている[[南アフリカ]](参照: [[#分布]])に関する1999年以前の言及には、実際にはナタールニシキヘビを扱ったものも含まれている可能性があるということに留意されたい。
'''アフリカニシキヘビ'''(阿弗利加錦蛇、''Python sebae'')は、[[ニシキヘビ科]][[ニシキヘビ属]]に分類される[[ヘビ]]。[[特定動物]]。

== 学名について ==
[[種小名]] ''sebae'' は[[リンネ]]以前に自著 ''Thesaurus'' で初めて本種を記録した博物学者[[アルベルトゥス・セバ]](Albertus Seba)にちなんだものである<ref name="RD" />。


== 分布 ==
== 分布 ==
アフリカニシキヘビは[[サハラ砂漠]]以南の[[アフリカ大陸]]、具体的には[[アンゴラ]]、[[ウガンダ]]、[[エチオピア]]、[[エリトリア]]、[[ガーナ]]、[[ガボン]](Blanc & Fretey 2000)、[[カメルーン]]、[[ガンビア]]、[[ギニア]]、[[ギニアビサウ]]、[[ケニア]]、[[コートジボワール]]、[[コンゴ共和国]]、[[コンゴ民主共和国]](旧ザイール)、[[シエラレオネ]]、[[スーダン]]、[[セネガル]]、[[ソマリア]]、[[タンザニア]]、[[チャド]]、[[中央アフリカ共和国]]、[[トーゴ]]、[[ナイジェリア]]、[[ニジェール]]、[[ブルキナファソ]]、[[ブルンジ]]、[[ベナン]]、[[マリ共和国|マリ]]、[[モーリタニア]]、[[リベリア]]、[[ルワンダ]]で見られる<ref name="RD" />。分布域の西限はセネガル、東限はエチオピア、南限はコンゴで、南西限はアンゴラである<ref name="mo">O'Shea (2007:105&ndash;106).</ref>。ケニアの場合、[[海面]]から高度2200メートルの地帯で天然の水源のあるところであれば全土に見られる<ref name="ss1978" />。なお、ナタールニシキヘビの分布域はアンゴラ南部、ケニア中央部、コンゴ民主共和国の南東部および東部、[[ザンビア]]、[[ジンバブエ]]、タンザニア、[[ナミビア]]の南部から北部、ブルンジ、[[ボツワナ]]、[[南アフリカ共和国]]([[東ケープ州]]など)、[[モザンビーク]]である<ref>{{Cite web|title=Python natalensis|url=http://reptile-database.reptarium.cz/species?genus=Python&species=natalensis|publisher=The Reptile Database|accessdate=2018-04-03}}</ref>。
[[サハラ砂漠]]以南の[[アフリカ大陸]]

また、アフリカニシキヘビはヒトの干渉により[[アメリカ合衆国]][[フロリダ州]]でも見られる<ref name="wg2017" /><ref name="RD" />が、ここでは飼育下で確認されているような本種と[[ビルマニシキヘビ]] (''[[species:Python bivittatus|Python bivittatus]]'', syn. ''[[species:Python molurus bivittatus|P. molurus bivittatus]]'') との[[交雑]]が野生でも起こる可能性が存在する<ref>Reed & Rodda (2011).</ref>。

[[サバナ (植生)|サバンナ]]や[[半砂漠]]だけでなく[[熱帯雨林]]や[[沼地]]・[[湖]]・[[河川]]といった水のある[[植林地]]にも生息する<ref name="mo" />。哺乳類の掘った穴を隠れ家にする<ref>{{Harvcoltxt|Dorcas|Willson|2011|p=130}}.</ref>。


== 特徴 ==
== 特徴 ==
全長は400-750センチメートルで<ref name="mo" />、アフリカでは最大のヘビである<ref name="jok&tj">{{Harvcoltxt|Kokwaro|Johns|1998|p=257}}.</ref>。非公式には現在のコートジボワールで1932年に980センチメートルの個体が捕獲されたという情報もある<ref name="mo" />。最初は本種の亜種とされていた[[ナタールニシキヘビ]]とは似ているが、アフリカニシキヘビにはより大きな盾状の[[鱗]]({{Lang-en-short|scutes}})が頭頂部に見られる<ref name="mo" />。基本的に背面は薄めの茶色の地に焦げ茶色のしみが不規則に見られる柄であり、しみのふちは黄土色である<ref name="mo" />。頭部にははっきりした矢型の模様が認められる<ref name="mo" />。毒はない<ref name="jok&tj" />。[[熱]]([[赤外線]])を感知する穴([[ピット器官]])を唇に有するが、そもそもヘビのピット器官の研究はアフリカニシキヘビの熱刺激に対する反応の実験(Ros 1935)をきっかけの一つとして発展したものである<ref>Barrett (1970:291).</ref><ref>{{Harvcoltxt|Bradshaw|2017|p=154f}}.</ref><ref>{{harvcoltxt|de Cock Buning|Poelmann|Dullemeijer|1978|p=62}}.</ref>。
全長は300 - 600センチメートルで、アフリカでは最大のヘビ。非公式には900センチメートルあった個体もいると言われている。色は茶褐色で、大きく複雑な模様が左右に綺麗に並んでいる。


== 生態 ==
== 生態 ==
[[熱帯雨林]]、[[サバナ (地理)|サバンナ]]等に生息する。主に地表性。特に水辺を好み、水中で鼻だけを水面に出して獲物を待ち伏せしていることもある。


=== 食性 ===
食性は動物食で、小型[[哺乳類]]、[[鳥類]]等を食べるが、大型の個体は、[[インパラ]]、[[ガゼル]]、[[イノシシ]]、[[ヒヒ]]、小型の[[クロコダイル科|ワニ]]、[[ハイエナ]]、[[ヒョウ]]、[[ヒト]]を捕食した例もある。
夜もしくは日の入り・日の出前に陸上や水場、樹上で活動する<ref name="mo" />。水場の浅いところに潜み、水を飲みに来た警戒心の薄い動物を待ち伏せして襲う<ref name="mo" />。食性は動物食で、若いうちは小型の[[哺乳類]]や[[鳥類]]、[[トカゲ]]や[[カエル]]を襲うが、大人になると小型の[[レイヨウ]]や大きめの鳥も襲って丸呑みにすることができるようになる<ref name="mo" />。[[オオトカゲ]]、飼われている[[イヌ]]、[[ヤギ]]、[[イノシシ]]、[[インパラ]]など中型のレイヨウ、[[ヤマアラシ]]、[[ワニ]]、時に[[ヒト]](参照: [[#事故]])を襲った例も記録されているが、大型の生物を襲った後は無防備な状態であり、このときは逆に野生のイヌ類や[[ハイエナ]]、ヒトに殺されやすくなる<ref name="mo" />。<!--[[ガゼル]]、[[ヒヒ]]、[[ヒョウ]]も生かしたい。-->[[ヒョウ]]やハイエナに捕食された例もあり、[[ライオン]]や[[ナイルワニ]]は幼獣期は本種の捕食対象だが、成体になると本種の天敵となる{{要出典|date=20180331}}。


アフリカニシキヘビは2年以上餌を取らず絶食しても生きることが可能で、{{Harvcoltxt|Fitzsimons|1930|p=8&ndash;28}} で2年{{Refnest|group="注"|ただしこの実験は[[ナタール州]]<ref>{{Harvcoltxt|Fitzsimons|1930|p=27}}.</ref>、つまり現[[南アフリカ共和国]]の[[クワズール・ナタール州]]で捕獲された個体で行われたものである。また {{Harvcoltxt|Fitzsimons|1930|p=28}} に、「水よりも堅いものは呑み込まれていない」とある。}}、Sweeney (1961:46) で2年と9ヶ月<ref>{{Harvcoltxt|Murphy|Henderson|1997|p=99}}.</ref>、また {{Harvcoltxt|Pitman|1974|p=70}} では3年を超える絶食が可能とされている。
しかし、逆にヒョウやハイエナに捕食された例もあり、[[ライオン]]や[[ナイルワニ]]は幼獣期は本種の捕食対象だが、成体になると本種の天敵となる。


=== 生殖 ===
[[File:Female Python sebae brooding eggs Tropicario, FIN.jpg|thumb|180px|卵の世話をするアフリカニシキヘビのメス]]
アフリカニシキヘビは[[卵生]]であり、大型のメスは[[シロアリ]]の塚や他の動物の掘った穴に卵を16-100個産みつけ、その周りを自らの体で取り巻き、たまに日光浴のためにその場を離れたりもしつつおよそ90日かけて卵を[[孵化]]させる<ref name="mo" />。この時期にメスに近づいた場合メスは威嚇を行うが、その警告の方法は尾の先端を持ち上げて巻き、長くシューという音を出すというものである<ref name="mo" />。
{{-}}
== 人間との関係 ==
== 人間との関係 ==
[[1931年]]に、[[ビクトリア湖]]周辺で[[洗濯]]中だった24歳の女性が絞め殺されそのまま捕食されるという事故が起こった。[[2000年]][[6月]]には、[[ケニア]]で36歳の男性が飲み込まれる事故も起こっている。また、[[2013年]][[8月]][[カナダ]]東部[[ニューブランズウィック州]][[キャンベルトン]]で、爬虫類専門のペットショップから逃げ出した個体が店舗上階のアパートに移動し、就寝中の5歳と7歳の男児2人を絞めて窒息死させるという惨事が起きた。飼い主がこの個体に十分な餌を与えていなかったため、捕食したと考えられている。


=== 事故 ===
一見似ている[[インドニシキヘビ|ビルマニシキヘビ]]と違い、非常に攻撃的で獰猛である。日本では[[動物の愛護及び管理に関する法律|動物愛護法]]によって特定動物に指定されているため飼育には[[地方公共団体|地方自治体]]の許可が必要となる。
刺激されない限り巨大なニシキヘビであってもヒトを襲うことは極めてまれであり<ref name="wrb&wdh">{{Harvcoltxt|Branch|Hacke|1980}}.</ref>、アフリカではむしろ恐怖を抱いた、あるいは皮などを目当てとしたヒトの手によって殺されている<ref name="mo" />。1980年7月以前の時点でも新聞などにより数々の例が報告されていたものの、この中で実際にアフリカニシキヘビによる仕業と立証されたものはほぼ皆無である<ref name="wrb&wdh" />。以下は[[検視]]の記録が残されている死亡事故の事例である。
* [[1979年]][[11月22日]]、[[南アフリカ共和国]]の{{仮リンク|ウォーターバーグ地区|en|Waterberg District Municipality}}(Waterberg)で[[放牧]]をしていた[[ツワナ人]]の当時13歳の牧童が約450センチメートルの個体に絞め殺された<ref name="wrb&wdh" />。一緒にいたもう一人の牧童の要請を受けて救助しようと駆け付けた長老たちのうちの一人(当時55歳)が[[鶴嘴]]で攻撃しようとしたが、アフリカニシキヘビに武器をつかまれて脱臼したとされる。このニシキヘビは石をぶつけられたことで漸く牧童を解放して逃げたが、この時点で既に彼は死亡しており、検死の結果死因は窒息および内部の損傷によるものであると結論づけられた<ref name="wrb&wdh" />。また牧童の頭部には唾液で覆われていた部分があり、アフリカニシキヘビは絞め殺した少年を呑み込もうとしていたと推察されている<ref name="wrb&wdh" />。
* [[1999年]]、[[アメリカ合衆国]][[イリノイ州]]の{{仮リンク|セントラリア (イリノイ州)|label=セントラリア|en|Centralia, Illinois}}(Centralia)の当時3歳の男児が、家庭で飼われていた7.5フィート(= 228.6センチメートル)のアフリカニシキヘビに絞め殺された。男児の胸の周りには圧迫された形跡、首と両耳の周りには咬まれた跡があり、ニシキヘビは男児を呑み込もうとしたものと見られるが、死体が発見された際にはニシキヘビは男児の体を巻いてはいなかった<ref>{{Cite web|title=Centralia Family's Python Suffocates 3-year-old Boy|url=http://articles.chicagotribune.com/1999-08-30/news/9908310009_1_snake-boy-s-body-coroner|publisher=Chicago Tribune|date=1999-08-30|accessdate=2018-03-31}}</ref>。
* [[2013年]][[8月]]、[[カナダ]]東部[[ニューブランズウィック州]]{{仮リンク|キャンベルトン (ニューブランズウィック州)|label=キャンベルトン|en|Campbellton, New Brunswick}}(Campbellton)で、爬虫類専門のペットショップから逃げ出した個体が店舗上階のアパートに移動し、就寝中の当時それぞれ5歳と7歳の男児2人を絞めて窒息死させるという惨事が起きた<ref>{{Cite web|url=https://www.huffingtonpost.ca/2013/08/06/python-kills-boys_n_3711719.html|title=Python Killing Of 2 New Brunswick Boys Baffles Experts|publisher=The Huffington Post|date=2013-08-06|accessdate=2018-03-26}}</ref>(参照: {{enlink|2013 New Brunswick python attack}})。飼い主がこの個体に十分な餌を与えていなかったため、捕食したと考えられている。ニューブランズウィック州ではアフリカニシキヘビは限られた動物園でしか取り扱いを許可されておらず、このペットショップは無許可でアフリカニシキヘビを取り扱っていた<ref>{{Cite web|title=Reports into boys' python deaths still under wraps|url=http://www.cbc.ca/news/canada/new-brunswick/reports-into-boys-python-deaths-still-under-wraps-1.1706099|publisher=CBC News|date=2013-09-12|accessdate=2018-03-31}}</ref>。ショップの責任者は[[過失犯|過失]]により男児二人が死亡したとして告訴された<ref>{{Cite web|title=Man charged in python asphyxiation death of boys|url=https://www.thestar.com/news/canada/2015/03/31/man-charged-in-python-asphyxiation-death-of-boys.html|publisher=Toronto Star|date=2015-03-31|accessdate=2018-03-31}}</ref>。
* [[2017年]][[8月25日]]、[[イギリス]]の[[ハンプシャー]]、[[ベイジングストーク]]近郊の自宅で複数匹のヘビを16年間、また[[タランチュラ]]も複数匹飼育していた当時31歳の男性が死亡しているのが発見されたが、その際近くにはペットの中の1匹である8フィート(= 243.84センチメートル)のアフリカニシキヘビがいた<ref name="bbc180124">{{Cite web|title=Snake owner Daniel Brandon killed by his pet python|url=http://www.bbc.com/news/uk-england-hampshire-42801983|publisher=BBC News|date=2018-01-24|accessdate=2018-03-31}}</ref>。男性は窒息死しており、検視官はそのアフリカニシキヘビとの接触が男性の死の原因であったとする判定を下した<ref name="bbc180124" />が、この事件を受けての、ヘビを飼うことの是非をめぐる姿勢は専門家によってまちまちである。英国爬虫類学者連盟({{Lang-en-short|Federation of British Herpatologists}})の長であるクリス・ニューマン(Chris Newman)は、どんな動物にも危険な存在となりうる潜在性があること、イギリスではおよそ1万匹の大蛇が飼育されていたと推定される上でこの100年間でこれが最初の死亡あるいは重大な傷害の起こった例であること、そもそもこのアフリカニシキヘビが直接男性の死に関与した証拠は無いことを挙げ、この事件を引き合いに出してヘビを飼育することについての安全性の懸念の話をすべきではないと述べている<ref name="bbc180125">{{Cite web|title=Snake expert doubts pet python killed Daniel Brandon|url=http://www.bbc.com/news/uk-england-hampshire-42817364|publisher=BBC News|date=2018-01-25|accessdate=2018-03-31}}</ref>。一方、別の専門家ジェレイント・ホプキンズ(Geraint Hopkins)はBBCのラジオ番組で「いつか誰かが殺されるだろう」と長らく恐れてきたと話し、「アフリカニシキヘビは途轍もなく強い。ペット用になるものなどいない。彼らはみな気性の荒い爬虫類であるし、全く予測不能だ。あの哀れな若者の手に負えた訳がない」、また「彼らは愛情深い訳ではない―彼らにとって安全でないと感じられれば、あなたも締め付けられることになる」と語り、ニシキヘビの締め付けをほどく必要が生じた際には必ず二人の人間で対処すべきであると述べている<ref name="bbc180125" />。

また、以下の例はアフリカニシキヘビによるものとする言及が見られるものの、立証が十分になされていない死亡事故である。
* {{Harvcoltxt|O'Shea|2007|p=27}} によると、最初の死亡事故の記録は {{Harvcoltxt|Bosman|1907}} に見え、殺したアフリカニシキヘビの体内からアフリカ人が発見されたという。しかし、{{Harvcoltxt|Bosman|1907|p=310}} の[[黄金海岸]]、つまりほぼ現代の[[ガーナ]]にあたる地域に関する記述においては Boutry(現 Butre{{enlink|Butre, Ghana|a=on}})で殺した22フィート(= 670.56センチメートル)未満のヘビの体内から黒人の死体が発見された旨が記されてはいるものの、ヘビの現地語名、英名、学名のいずれも示されていない。
* [[1931年]]には[[ヴィクトリア湖]]の現[[タンザニア]]領[[ウケレウェ島]]<ref name="wrb&wdh" />で[[洗濯]]中だった若い女性が14フィート(= 365.76センチメートル)の個体に絞め殺され、そのまま捕食されるという事故が報告されている(Loveridge 1931)<ref>{{Harvcoltxt|Caras|1964|p=138}}.</ref>。
* [[1951年]]には[[ウガンダ]]で{{仮リンク|ランゴ人|en|Lango people}}(Lango)の当時13歳の青年がヘビに殺されて飲み込まれる事故があった<ref>{{Harvcoltxt|Pitman|1974|p=69}}.</ref>。
* [[2002年]]11月には南アフリカ共和国の[[ダーバン]](Durban)近郊で[[マンゴー]]摘みをしていた10歳の少年が20フィート(= 609.60センチメートル)のヘビに絞め殺されて捕食されたが、この時この個体は冬ごもりが終わって飢えている状態であったと見られている<ref>{{Cite web|url=https://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/africaandindianocean/southafrica/1414171/Hunt-for-giant-snake-that-ate-10-year-old-Durban-boy-whole.html|title=Hunt for giant snake that ate 10-year-old Durban boy whole|publisher=The Telegraph|date=2002-11-24|accessdate=2018-03-26}}</ref>。ヘビは捕獲されていない。

[[2000年]][[6月]]には[[ケニア]]で36歳の男性が飲み込まれる事故も起こっている{{要出典|date=20180326}}。

アフリカニシキヘビには対面した際や飼育の際に危険で気むずかしいという悪評があるが、これはヒトを捕食対象と見て襲う性癖があるという訳ではないと思われ、むしろヒトが自身を捕食し得る存在と認識して防御姿勢をとったものである<ref>{{Harvcoltxt|Dorcas|Willson|2011|p=130, 132}}</ref>。しかし、日本では[[動物の愛護及び管理に関する法律|動物愛護法]]によって特定動物に指定されている<ref>{{Cite web|title=環境省_特定動物リスト [動物の愛護と適切な管理]|url=https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/sp-list.html|accessdate=2018-03-31}}</ref>ため、飼育には[[地方公共団体|地方自治体]]の許可が必要となる。

=== 民俗 ===
主に[[ケニア]]西部の[[ヴィクトリア湖]]畔地域に暮らす[[ルオ人]]にとって基本的にヘビは邪悪と考えられ、[[wikt:jajuok|妖術者]]が他者を害するために利用する生き物である<ref>{{Harvcoltxt|Smith|2006|p=431}}.</ref>一方でニシキヘビ、特にアフリカニシキヘビは遊び歌にも現れたり、信仰の対象となったりもするなど馴染み深い存在である。アフリカニシキヘビは[[ルオ語]]で [[wikt:ng'ielo|ng'ielo]] という<ref name="jok&tj" />が、ng'ielo jadhogre「こんがらがる奴ニシキヘビ」というフレーズを含む歌は {{Harvcoltxt|Owen|1959}}、{{Harvcoltxt|Miruka|2001|p=92f}} などいくつかの文献に記録が見られ、子供たちはこの歌を歌いながら一列になってニシキヘビの動きをまねて遊ぶ<ref>Miya (2007:180).</ref>。ルオ人はまた、数十年おきに現れる温厚な性格のアフリカニシキヘビを[[オミエリ]](Omieri)あるいはオムウェリ(Omweri)と呼んで、人間の女の生まれ変わりであり、また[[雨]]と関連付けて豊饒をもたらす存在として信仰しており、特に2003年に現れたものについてはその扱いをめぐって議論が巻き起こり、ケニア国内大手の新聞{{仮リンク|デイリー・ネーション|en|Daily Nation}}紙を経て[[BBC]]でも関連報道が取り上げられたり(BBC News 2003a, b)と、社会現象としての盛り上がりが見られた<ref>{{Harvcoltxt|Smith|2006}}.</ref>。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}

=== 注釈 ===
<references group="注" />

=== 出典 ===
<references />

== 参考文献 ==
英語:
* Barrett, Robert (1970). "The pit organs of snakes." In Carl Gans (ed.), [https://books.google.co.jp/books?id=4Dk-AQAAIAAJ&q=Python+sebae+pit&dq=Python+sebae+pit&hl=ja&sa=X&ved=0ahUKEwiW_eTz65vaAhUNO7wKHdQcBlIQ6AEITTAF ''Biology of the Reptilia'', Vol. 2], pp. 277&ndash;300. London and New York: Academic Press. {{NCID|BA00475624}}
* BBC News (2003a). "[http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/2840033.stm Kenyans charmed by snake]", 11 March. {{Accessdate|2018-03-21}}
* BBC News (2003b). "[http://news.bbc.co.uk/2/hi/africa/3033769.stm Kenya python tightens its grip]." 16 May. {{Accessdate|2018-03-21}}
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* {{Cite book|last=Fitzsimons|first=F. W.|year=1930|title=Pythons and Their Ways|url=https://archive.org/details/in.ernet.dli.2015.218214|location=London and Bombay and Sydney|publisher=George G. Harrap|ref=harv}}
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== 関連文献 ==
フランス語:
* {{Lang|fr|Blanc, C.P. and T. Frétey (2000). "Les reptiles de la Réserve de Faune de La Lopé et de la Forét des Abeilles (Gabon)." ''Bulletin de la Société Zoologique de France''}} '''125'''(4): 281&ndash;292. {{NCID|AA00592277}}
英語:
* Broadley, Donald G. (1999). "The southern African python, Python natalensis A. Smith 1840, is a valid species." ''African Herp News'' (29): 31&ndash;32.
* {{仮リンク|アーサー・ラヴァリッジ|label=Loveridge, Arthur|en|Arthur Loveridge}} (1931). "On Two Amphibious Snakes of the Central African Lake Region." ''Bulletin of the Antivenin Institute of America'' '''5''': 7&ndash;12. {{NCID|BB23795100}}
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ドイツ語:
* Ros, Margarete (1935). {{Lang|de|"Die Lippengruben der Pythonen als Temperaturorgane." ''Jenaische Zeitschrift für Naturwissenschaft'' '''63''': 1&ndash;32.}} {{NCID|AA00691519}}


== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
{{Wikispecies|Python_sebae}}
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* [[ニシキヘビ科]]
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** [[ニシキヘビ属]]
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== 外部リンク ==
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* [http://www.cites.org/ CITES homepage]
* [http://www.cites.org/ CITES homepage]
** [http://www.cites.org/eng/app/appendices.shtml ワシントン条約掲載種、タクソンリスト]
** [http://www.cites.org/eng/app/appendices.shtml ワシントン条約掲載種、タクソンリスト]
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* [http://www.env.go.jp/index.html 環境省]
** [http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/tokutei_kiken/index.html 特定(危険)動物の飼養又は保管の許可について]


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2018年4月3日 (火) 22:20時点における版

アフリカニシキヘビ
アフリカニシキヘビ Python sebae
保全状況評価
ワシントン条約附属書II
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: 有鱗目 Squamata
亜目 : ヘビ亜目 Serpentes
上科 : ムカシヘビ上科 Henophidia
: ニシキヘビ科 Pythonidae
: ニシキヘビ属 Python
: アフリカニシキヘビ P. sebae
学名
Python sebae
(Gmelin, 1789)
和名
アフリカニシキヘビ
英名
(African) rock python、African python[1]、northern African python[2]

アフリカニシキヘビ(阿弗利加錦蛇、Python sebae)はニシキヘビ科ニシキヘビ属に分類されるヘビで、特定動物でもある。かつてナタールニシキヘビ (Python natalensis, syn. P. sebae natalensis) は本種の亜種として扱われていたが、Broadley (1999) により独立した種とされた[3]。したがって以下の記述、特に本種の分布域に含まれておらず、代わりにナタールニシキヘビの分布域には含まれている南アフリカ(参照: #分布)に関する1999年以前の言及には、実際にはナタールニシキヘビを扱ったものも含まれている可能性があるということに留意されたい。

学名について

種小名 sebaeリンネ以前に自著 Thesaurus で初めて本種を記録した博物学者アルベルトゥス・セバ(Albertus Seba)にちなんだものである[3]

分布

アフリカニシキヘビはサハラ砂漠以南のアフリカ大陸、具体的にはアンゴラウガンダエチオピアエリトリアガーナガボン(Blanc & Fretey 2000)、カメルーンガンビアギニアギニアビサウケニアコートジボワールコンゴ共和国コンゴ民主共和国(旧ザイール)、シエラレオネスーダンセネガルソマリアタンザニアチャド中央アフリカ共和国トーゴナイジェリアニジェールブルキナファソブルンジベナンマリモーリタニアリベリアルワンダで見られる[3]。分布域の西限はセネガル、東限はエチオピア、南限はコンゴで、南西限はアンゴラである[4]。ケニアの場合、海面から高度2200メートルの地帯で天然の水源のあるところであれば全土に見られる[1]。なお、ナタールニシキヘビの分布域はアンゴラ南部、ケニア中央部、コンゴ民主共和国の南東部および東部、ザンビアジンバブエ、タンザニア、ナミビアの南部から北部、ブルンジ、ボツワナ南アフリカ共和国東ケープ州など)、モザンビークである[5]

また、アフリカニシキヘビはヒトの干渉によりアメリカ合衆国フロリダ州でも見られる[2][3]が、ここでは飼育下で確認されているような本種とビルマニシキヘビ (Python bivittatus, syn. P. molurus bivittatus) との交雑が野生でも起こる可能性が存在する[6]

サバンナ半砂漠だけでなく熱帯雨林沼地河川といった水のある植林地にも生息する[4]。哺乳類の掘った穴を隠れ家にする[7]

特徴

全長は400-750センチメートルで[4]、アフリカでは最大のヘビである[8]。非公式には現在のコートジボワールで1932年に980センチメートルの個体が捕獲されたという情報もある[4]。最初は本種の亜種とされていたナタールニシキヘビとは似ているが、アフリカニシキヘビにはより大きな盾状の: scutes)が頭頂部に見られる[4]。基本的に背面は薄めの茶色の地に焦げ茶色のしみが不規則に見られる柄であり、しみのふちは黄土色である[4]。頭部にははっきりした矢型の模様が認められる[4]。毒はない[8]赤外線)を感知する穴(ピット器官)を唇に有するが、そもそもヘビのピット器官の研究はアフリカニシキヘビの熱刺激に対する反応の実験(Ros 1935)をきっかけの一つとして発展したものである[9][10][11]

生態

食性

夜もしくは日の入り・日の出前に陸上や水場、樹上で活動する[4]。水場の浅いところに潜み、水を飲みに来た警戒心の薄い動物を待ち伏せして襲う[4]。食性は動物食で、若いうちは小型の哺乳類鳥類トカゲカエルを襲うが、大人になると小型のレイヨウや大きめの鳥も襲って丸呑みにすることができるようになる[4]オオトカゲ、飼われているイヌヤギイノシシインパラなど中型のレイヨウ、ヤマアラシワニ、時にヒト(参照: #事故)を襲った例も記録されているが、大型の生物を襲った後は無防備な状態であり、このときは逆に野生のイヌ類やハイエナ、ヒトに殺されやすくなる[4]ヒョウやハイエナに捕食された例もあり、ライオンナイルワニは幼獣期は本種の捕食対象だが、成体になると本種の天敵となる[要出典]

アフリカニシキヘビは2年以上餌を取らず絶食しても生きることが可能で、Fitzsimons (1930:8–28) で2年[注 1]、Sweeney (1961:46) で2年と9ヶ月[13]、また Pitman (1974:70) では3年を超える絶食が可能とされている。

生殖

卵の世話をするアフリカニシキヘビのメス

アフリカニシキヘビは卵生であり、大型のメスはシロアリの塚や他の動物の掘った穴に卵を16-100個産みつけ、その周りを自らの体で取り巻き、たまに日光浴のためにその場を離れたりもしつつおよそ90日かけて卵を孵化させる[4]。この時期にメスに近づいた場合メスは威嚇を行うが、その警告の方法は尾の先端を持ち上げて巻き、長くシューという音を出すというものである[4]

人間との関係

事故

刺激されない限り巨大なニシキヘビであってもヒトを襲うことは極めてまれであり[14]、アフリカではむしろ恐怖を抱いた、あるいは皮などを目当てとしたヒトの手によって殺されている[4]。1980年7月以前の時点でも新聞などにより数々の例が報告されていたものの、この中で実際にアフリカニシキヘビによる仕業と立証されたものはほぼ皆無である[14]。以下は検視の記録が残されている死亡事故の事例である。

  • 1979年11月22日南アフリカ共和国ウォーターバーグ地区英語版(Waterberg)で放牧をしていたツワナ人の当時13歳の牧童が約450センチメートルの個体に絞め殺された[14]。一緒にいたもう一人の牧童の要請を受けて救助しようと駆け付けた長老たちのうちの一人(当時55歳)が鶴嘴で攻撃しようとしたが、アフリカニシキヘビに武器をつかまれて脱臼したとされる。このニシキヘビは石をぶつけられたことで漸く牧童を解放して逃げたが、この時点で既に彼は死亡しており、検死の結果死因は窒息および内部の損傷によるものであると結論づけられた[14]。また牧童の頭部には唾液で覆われていた部分があり、アフリカニシキヘビは絞め殺した少年を呑み込もうとしていたと推察されている[14]
  • 1999年アメリカ合衆国イリノイ州セントラリア英語版(Centralia)の当時3歳の男児が、家庭で飼われていた7.5フィート(= 228.6センチメートル)のアフリカニシキヘビに絞め殺された。男児の胸の周りには圧迫された形跡、首と両耳の周りには咬まれた跡があり、ニシキヘビは男児を呑み込もうとしたものと見られるが、死体が発見された際にはニシキヘビは男児の体を巻いてはいなかった[15]
  • 2013年8月カナダ東部ニューブランズウィック州キャンベルトン英語版(Campbellton)で、爬虫類専門のペットショップから逃げ出した個体が店舗上階のアパートに移動し、就寝中の当時それぞれ5歳と7歳の男児2人を絞めて窒息死させるという惨事が起きた[16](参照:  (2013 New Brunswick python attack)。飼い主がこの個体に十分な餌を与えていなかったため、捕食したと考えられている。ニューブランズウィック州ではアフリカニシキヘビは限られた動物園でしか取り扱いを許可されておらず、このペットショップは無許可でアフリカニシキヘビを取り扱っていた[17]。ショップの責任者は過失により男児二人が死亡したとして告訴された[18]
  • 2017年8月25日イギリスハンプシャーベイジングストーク近郊の自宅で複数匹のヘビを16年間、またタランチュラも複数匹飼育していた当時31歳の男性が死亡しているのが発見されたが、その際近くにはペットの中の1匹である8フィート(= 243.84センチメートル)のアフリカニシキヘビがいた[19]。男性は窒息死しており、検視官はそのアフリカニシキヘビとの接触が男性の死の原因であったとする判定を下した[19]が、この事件を受けての、ヘビを飼うことの是非をめぐる姿勢は専門家によってまちまちである。英国爬虫類学者連盟(: Federation of British Herpatologists)の長であるクリス・ニューマン(Chris Newman)は、どんな動物にも危険な存在となりうる潜在性があること、イギリスではおよそ1万匹の大蛇が飼育されていたと推定される上でこの100年間でこれが最初の死亡あるいは重大な傷害の起こった例であること、そもそもこのアフリカニシキヘビが直接男性の死に関与した証拠は無いことを挙げ、この事件を引き合いに出してヘビを飼育することについての安全性の懸念の話をすべきではないと述べている[20]。一方、別の専門家ジェレイント・ホプキンズ(Geraint Hopkins)はBBCのラジオ番組で「いつか誰かが殺されるだろう」と長らく恐れてきたと話し、「アフリカニシキヘビは途轍もなく強い。ペット用になるものなどいない。彼らはみな気性の荒い爬虫類であるし、全く予測不能だ。あの哀れな若者の手に負えた訳がない」、また「彼らは愛情深い訳ではない―彼らにとって安全でないと感じられれば、あなたも締め付けられることになる」と語り、ニシキヘビの締め付けをほどく必要が生じた際には必ず二人の人間で対処すべきであると述べている[20]

また、以下の例はアフリカニシキヘビによるものとする言及が見られるものの、立証が十分になされていない死亡事故である。

  • O'Shea (2007:27) によると、最初の死亡事故の記録は Bosman (1907) に見え、殺したアフリカニシキヘビの体内からアフリカ人が発見されたという。しかし、Bosman (1907:310) の黄金海岸、つまりほぼ現代のガーナにあたる地域に関する記述においては Boutry(現 Butre (en)で殺した22フィート(= 670.56センチメートル)未満のヘビの体内から黒人の死体が発見された旨が記されてはいるものの、ヘビの現地語名、英名、学名のいずれも示されていない。
  • 1931年にはヴィクトリア湖の現タンザニアウケレウェ島[14]洗濯中だった若い女性が14フィート(= 365.76センチメートル)の個体に絞め殺され、そのまま捕食されるという事故が報告されている(Loveridge 1931)[21]
  • 1951年にはウガンダランゴ人英語版(Lango)の当時13歳の青年がヘビに殺されて飲み込まれる事故があった[22]
  • 2002年11月には南アフリカ共和国のダーバン(Durban)近郊でマンゴー摘みをしていた10歳の少年が20フィート(= 609.60センチメートル)のヘビに絞め殺されて捕食されたが、この時この個体は冬ごもりが終わって飢えている状態であったと見られている[23]。ヘビは捕獲されていない。

2000年6月にはケニアで36歳の男性が飲み込まれる事故も起こっている[要出典]

アフリカニシキヘビには対面した際や飼育の際に危険で気むずかしいという悪評があるが、これはヒトを捕食対象と見て襲う性癖があるという訳ではないと思われ、むしろヒトが自身を捕食し得る存在と認識して防御姿勢をとったものである[24]。しかし、日本では動物愛護法によって特定動物に指定されている[25]ため、飼育には地方自治体の許可が必要となる。

民俗

主にケニア西部のヴィクトリア湖畔地域に暮らすルオ人にとって基本的にヘビは邪悪と考えられ、妖術者が他者を害するために利用する生き物である[26]一方でニシキヘビ、特にアフリカニシキヘビは遊び歌にも現れたり、信仰の対象となったりもするなど馴染み深い存在である。アフリカニシキヘビはルオ語ng'ielo という[8]が、ng'ielo jadhogre「こんがらがる奴ニシキヘビ」というフレーズを含む歌は Owen (1959)Miruka (2001:92f) などいくつかの文献に記録が見られ、子供たちはこの歌を歌いながら一列になってニシキヘビの動きをまねて遊ぶ[27]。ルオ人はまた、数十年おきに現れる温厚な性格のアフリカニシキヘビをオミエリ(Omieri)あるいはオムウェリ(Omweri)と呼んで、人間の女の生まれ変わりであり、またと関連付けて豊饒をもたらす存在として信仰しており、特に2003年に現れたものについてはその扱いをめぐって議論が巻き起こり、ケニア国内大手の新聞デイリー・ネーション英語版紙を経てBBCでも関連報道が取り上げられたり(BBC News 2003a, b)と、社会現象としての盛り上がりが見られた[28]

脚注

注釈

  1. ^ ただしこの実験はナタール州[12]、つまり現南アフリカ共和国クワズール・ナタール州で捕獲された個体で行われたものである。また Fitzsimons (1930:28) に、「水よりも堅いものは呑み込まれていない」とある。

出典

  1. ^ a b Spawls (1978).
  2. ^ a b Gibbons (2017).
  3. ^ a b c d Python sebae”. The Reptile Database. 2018年4月3日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n O'Shea (2007:105–106).
  5. ^ Python natalensis”. The Reptile Database. 2018年4月3日閲覧。
  6. ^ Reed & Rodda (2011).
  7. ^ Dorcas & Willson (2011:130).
  8. ^ a b c Kokwaro & Johns (1998:257).
  9. ^ Barrett (1970:291).
  10. ^ Bradshaw (2017:154f).
  11. ^ de Cock Buning, Poelmann & Dullemeijer (1978:62).
  12. ^ Fitzsimons (1930:27).
  13. ^ Murphy & Henderson (1997:99).
  14. ^ a b c d e f Branch & Hacke (1980).
  15. ^ Centralia Family's Python Suffocates 3-year-old Boy”. Chicago Tribune (1999年8月30日). 2018年3月31日閲覧。
  16. ^ Python Killing Of 2 New Brunswick Boys Baffles Experts”. The Huffington Post (2013年8月6日). 2018年3月26日閲覧。
  17. ^ Reports into boys' python deaths still under wraps”. CBC News (2013年9月12日). 2018年3月31日閲覧。
  18. ^ Man charged in python asphyxiation death of boys”. Toronto Star (2015年3月31日). 2018年3月31日閲覧。
  19. ^ a b Snake owner Daniel Brandon killed by his pet python”. BBC News (2018年1月24日). 2018年3月31日閲覧。
  20. ^ a b Snake expert doubts pet python killed Daniel Brandon”. BBC News (2018年1月25日). 2018年3月31日閲覧。
  21. ^ Caras (1964:138).
  22. ^ Pitman (1974:69).
  23. ^ Hunt for giant snake that ate 10-year-old Durban boy whole”. The Telegraph (2002年11月24日). 2018年3月26日閲覧。
  24. ^ Dorcas & Willson (2011:130, 132)
  25. ^ 環境省_特定動物リスト [動物の愛護と適切な管理]”. 2018年3月31日閲覧。
  26. ^ Smith (2006:431).
  27. ^ Miya (2007:180).
  28. ^ Smith (2006).

参考文献

英語:

関連文献

フランス語:

  • Blanc, C.P. and T. Frétey (2000). "Les reptiles de la Réserve de Faune de La Lopé et de la Forét des Abeilles (Gabon)." Bulletin de la Société Zoologique de France 125(4): 281–292. NCID AA00592277

英語:

  • Broadley, Donald G. (1999). "The southern African python, Python natalensis A. Smith 1840, is a valid species." African Herp News (29): 31–32.
  • Loveridge, Arthur英語版 (1931). "On Two Amphibious Snakes of the Central African Lake Region." Bulletin of the Antivenin Institute of America 5: 7–12. NCID BB23795100
  • Sweeney, R. C. H. (1961). Snakes of Nyasaland. Zomba: The Nyasaland Society and the Nyasaland Government. Reprint, Amsterdam: Asher, 1971. NCID BA13777400

ドイツ語:

  • Ros, Margarete (1935). "Die Lippengruben der Pythonen als Temperaturorgane." Jenaische Zeitschrift für Naturwissenschaft 63: 1–32. NCID AA00691519

関連項目

外部リンク