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|下位分類名 = 下綱 |
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[[ファイル:Systematik und faunistik der pelagischen copepoden des golfes von Neapel und der angrenzenden meeres-abschnitte (17500554344).jpg|サムネイル|312x312ピクセル|カイアシ類の付属肢(右図;上から第1、第2触角、上顎、第1、第2下顎、顎脚、各胸脚)]] |
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[[ファイル:Adult Male harpacticoid copepod Tigriopus brevicornis.jpg|サムネイル|245x245ピクセル|頭部中心にある赤いノープリウス眼[[ハルパクチクス]]目([[w:Harpacticoida|Harpacticoida]])[[シオダマリミジンコ属]]の1種<br>''Tigriopus brevicornis'']] |
[[ファイル:Adult Male harpacticoid copepod Tigriopus brevicornis.jpg|サムネイル|245x245ピクセル|頭部中心にある赤いノープリウス眼[[ハルパクチクス]]目([[w:Harpacticoida|Harpacticoida]])[[シオダマリミジンコ属]]の1種<br />''Tigriopus brevicornis'']] |
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[[ファイル:Corycaeus sp..png|サムネイル|325x325ピクセル|目が発達した[[コリケウス]]科([[wikipedia:Corycaeidae|Corycaeidae]])''Corycaeus'' sp.]] |
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体形は通常、円筒形~紡錘形。体長は0.3mm~10mmで、多くは1mm程度でとても小さい。詳細な形態を観察するには[[顕微鏡]]が必要になる。[[寄生]]性のある種(ペンネラ([[ヒジキムシ]])科 [[w:Pennellidae|Pennellidae]])では体長30cmに達する場合もある。体は大きく分けて頭部と胸部が含まれる'''前体部'''と、腹部と尾部が含まれる'''後体部'''になり、付属肢の多くは前体部に収まっている。頭部には'''第1触角'''、'''第2触角'''、'''上顎'''、'''第1下顎'''、'''第2下顎'''、'''顎脚'''があり、胸部には第1胸脚~第4あるいは第5胸脚がある。第6胸脚は退化的で、雌では生殖節の生殖孔における生殖蓋の役割がある。腹部には付属肢はなく、尾部に尾肢がある。体節数は頭部1節、胸部6節(第6胸節は「生殖節」)、腹部4節(第4腹節は肛門節)、合計11節([[幼生]]や[[幼体]]では減少している;頭部と第1胸節が融合することがある)となるが、雌では第6胸節(生殖節)と第1節が完全あるいは不完全に融合して「'''生殖複合節'''」を形成する(原始的な種である[[プラティコピア]]目では分離している)。そのため合計10節になる。ただし、便宜上、生殖複合節の次の節は第1腹節(もとは第2腹節)とされている。種によっては生殖複合節に1つまたは2つの[[卵嚢]]を付けることがある。他の種は卵塊で水中へ放つ種や卵をバラバラに産卵する。種により[[休眠卵]]([[耐久卵]])を産卵する。生殖複合節に[[貯精嚢]]をもつが精子を貯蔵する事が可能で、一度の交尾のみで必要に応じて精子と卵と受精させ、一生涯、[[産卵]]することが可能である。 |
体形は通常、円筒形~紡錘形。体長は0.3mm~10mmで、多くは1mm程度でとても小さい。詳細な形態を観察するには[[顕微鏡]]が必要になる。[[寄生]]性のある種(ペンネラ([[ヒジキムシ]])科 [[w:Pennellidae|Pennellidae]])では体長30cmに達する場合もある。体は大きく分けて頭部と胸部が含まれる'''前体部'''と、腹部と尾部が含まれる'''後体部'''になり、付属肢の多くは前体部に収まっている。頭部には'''第1触角'''、'''第2触角'''、'''上顎'''、'''第1下顎'''、'''第2下顎'''、'''顎脚'''があり、胸部には第1胸脚~第4あるいは第5胸脚がある。第6胸脚は退化的で、雌では生殖節の生殖孔における生殖蓋の役割がある。腹部には付属肢はなく、尾部に尾肢がある。体節数は頭部1節、胸部6節(第6胸節は「生殖節」)、腹部4節(第4腹節は肛門節)、合計11節([[幼生]]や[[幼体]]では減少している;頭部と第1胸節が融合することがある)となるが、雌では第6胸節(生殖節)と第1節が完全あるいは不完全に融合して「'''生殖複合節'''」を形成する(原始的な種である[[プラティコピア]]目では分離している)。そのため合計10節になる。ただし、便宜上、生殖複合節の次の節は第1腹節(もとは第2腹節)とされている。種によっては生殖複合節に1つまたは2つの[[卵嚢]]を付けることがある。他の種は卵塊で水中へ放つ種や卵をバラバラに産卵する。種により[[休眠卵]]([[耐久卵]])を産卵する。生殖複合節に[[貯精嚢]]をもつが精子を貯蔵する事が可能で、一度の交尾のみで必要に応じて精子と卵と受精させ、一生涯、[[産卵]]することが可能である。 |
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</ref>に従い、[[カラヌス目]]の[[上科]]はOhtsuka & Huys (2001)<ref>Susumu OhtsukaRony Huys. 2001. Sexual dimorphism in calanoid copepods: morphology and function. Hydrobiologia 453/454: 441–466, 2001. [https://doi.org/10.1007/0-306-47537-5_39 DOI:10.1007/0-306-47537-5_39]</ref>と日本海洋データセンター(JODC)<ref>日本海洋データーセンター(JODC)2017年9月14日アクセス http://www.jodc.go.jp/</ref>に準じて分類した。[[和名]]は図鑑<ref name=":2">青木淳一 (1999) 日本産土壌動物―分類のための図解検索. 東海大学出版会. pp. 1076.</ref><ref name=":3">岡田要 (1965) 新日本動物図鑑〔中〕. 北隆館.</ref><ref>西村三郎 (1995) 原色検索日本海岸動物図鑑[II]. 保育社</ref><ref>小野寿彦, 高橋永治 (1991) 日本淡水動物プランクトン検索図説. 東海大学出版会.</ref><ref>水野壽彦 (1983) 日本淡水プランクトン図鑑. 保育社.</ref>を参考にした。現在は14,770種(2017.9.14)<ref>Walter, T.C. & Boxshall, G. (2017). World of Copepods database. Accessed at http://www.marinespecies.org/copepoda on 2017-09-14</ref>が報告されているが、ここではその代表種をあげる。 |
</ref>に従い、[[カラヌス目]]の[[上科]]はOhtsuka & Huys (2001)<ref>Susumu OhtsukaRony Huys. 2001. Sexual dimorphism in calanoid copepods: morphology and function. Hydrobiologia 453/454: 441–466, 2001. [https://doi.org/10.1007/0-306-47537-5_39 DOI:10.1007/0-306-47537-5_39]</ref>と日本海洋データセンター(JODC)<ref>日本海洋データーセンター(JODC)2017年9月14日アクセス http://www.jodc.go.jp/</ref>に準じて分類した。[[和名]]は図鑑<ref name=":2">青木淳一 (1999) 日本産土壌動物―分類のための図解検索. 東海大学出版会. pp. 1076.</ref><ref name=":3">岡田要 (1965) 新日本動物図鑑〔中〕. 北隆館.</ref><ref>西村三郎 (1995) 原色検索日本海岸動物図鑑[II]. 保育社</ref><ref>小野寿彦, 高橋永治 (1991) 日本淡水動物プランクトン検索図説. 東海大学出版会.</ref><ref>水野壽彦 (1983) 日本淡水プランクトン図鑑. 保育社.</ref>を参考にした。現在は14,770種(2017.9.14)<ref>Walter, T.C. & Boxshall, G. (2017). World of Copepods database. Accessed at http://www.marinespecies.org/copepoda on 2017-09-14</ref>が報告されているが、ここではその代表種をあげる。 |
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2017年にポエキロストム目([[w:Poecilostomatoida|Poecilostomatoida]])はシクロプス目([[w:Cyclopoida|Cyclopoida]])内に入り、ハルパクチクス目([[w:Harpacticoida|Harpacticoida]])内のグループからカヌエラ目(Canuelloida)へ新設された<ref>Sahar Khodami, J. Vaun McArthur, Leocadio Blanco-Bercial, and Pedro Martinez Arbizu. 2017. Molecular Phylogeny and Revision of Copepod Orders (Crustacea: Copepoda). Sci. Rep. 7: 9164. [[doi:10.1038/s41598-017-06656-4|DOI:10.1038%2Fs41598-017-06656-4]]</ref>。タウマトプシルス目(Thaumatopsylloida)があったが、シクロプス目([[w:Cyclopoida|Cyclopoida]])内のグループの[[シノニム]]であったためタウマトプシルス目は撤回された<ref name=":0" />。現在10目が現存する。< |
2017年にポエキロストム目([[w:Poecilostomatoida|Poecilostomatoida]])はシクロプス目([[w:Cyclopoida|Cyclopoida]])内に入り、ハルパクチクス目([[w:Harpacticoida|Harpacticoida]])内のグループからカヌエラ目(Canuelloida)へ新設された<ref>Sahar Khodami, J. Vaun McArthur, Leocadio Blanco-Bercial, and Pedro Martinez Arbizu. 2017. Molecular Phylogeny and Revision of Copepod Orders (Crustacea: Copepoda). Sci. Rep. 7: 9164. [[doi:10.1038/s41598-017-06656-4|DOI:10.1038%2Fs41598-017-06656-4]]</ref>。タウマトプシルス目(Thaumatopsylloida)があったが、シクロプス目([[w:Cyclopoida|Cyclopoida]])内のグループの[[シノニム]]であったためタウマトプシルス目は撤回された<ref name=":0" />。現在10目が現存する。<br /> |
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* 原始前脚下綱 [[w:Progymnoplea|Progymnoplea]] <small>Lang, 1948</small> |
* 原始前脚下綱 [[w:Progymnoplea|Progymnoplea]] <small>Lang, 1948</small> |
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** [[プラティコピア]]目 [[w:Platycopioida|Platycopioida]] <small>Fosshagen, 1985</small> |
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**** レルナエオポーダ([[ナガクビムシ]])科 [[w:Lernaeopodidae|Lernaeopodidae]] <small>Milne Edwards, 1840</small> |
**** レルナエオポーダ([[ナガクビムシ]])科 [[w:Lernaeopodidae|Lernaeopodidae]] <small>Milne Edwards, 1840</small> |
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**** ペンネラ([[ヒジキムシ]])科 [[w:Pennellidae|Pennellidae]] <small>Burmeister, 1835</small> |
**** ペンネラ([[ヒジキムシ]])科 [[w:Pennellidae|Pennellidae]] <small>Burmeister, 1835</small> |
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== 参考文献 == |
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2017年9月29日 (金) 00:11時点における版
カイアシ類 | ||||||||||||||||||
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海産のカイアシ類カラヌス目の一種
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Copepoda H. Milne-Edwards, 1840 | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
Copepod | ||||||||||||||||||
下綱 | ||||||||||||||||||
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カイアシ類(橈脚類)とは、節足動物門 甲殻亜門 カイアシ亜綱に属する動物の総称である。現在10目約15,000種が報告されている。ケンミジンコまたは、英名Copepodaのカタカナ読みでコペポーダとも呼ばれる。多くは浮遊生物として生活する微小な甲殻類であるが、底生性、寄生性なども存在する。海洋生態系においては食物連鎖上、重要な位置付けである。
概要
カイアシ(橈脚)類は、甲殻類のカイアシ亜綱に属する動物の総称である。脚が船(ボート)の橈(かい)のような形をしていることから「橈脚(かいあし)」と呼ばれる。英名のCopepod(Cope橈-pod脚)も同様の由来である。カイアシ類の別名が「ケンミジンコ(剣微塵子)」であるが、胴体を剣の刃、第1触角を鍔に見立てた名称である。
大部分は浮遊生活(プランクトン)をしている。他に底生性、間隙性[1]、寄生性[2]もある。一部では地下水性[3][4]や半陸上性[3][5](土壌や落葉、コケなどの水膜中に生息し、完全に陸上で生息しているわけではない;semi-terrestrial)、葉上性[6]も知られる。半陸上性のグループは主に開拓されていない里山の土壌中や落葉中に多くの種が生息するが[7]、例外的に皇居からの発見例もある[8]。
海洋において、プランクトンネットで採集される動物プランクトンで、カイアシ類が数、量ともに最大の割合を占めることが多い。魚やクラゲなどの肉食性動物の餌としてきわめて重要である。食物連鎖では、藻類による光合成で生産されたエネルギーを魚など高次の捕食者へ受け渡すという重要な位置にある。
形態
体形は通常、円筒形~紡錘形。体長は0.3mm~10mmで、多くは1mm程度でとても小さい。詳細な形態を観察するには顕微鏡が必要になる。寄生性のある種(ペンネラ(ヒジキムシ)科 Pennellidae)では体長30cmに達する場合もある。体は大きく分けて頭部と胸部が含まれる前体部と、腹部と尾部が含まれる後体部になり、付属肢の多くは前体部に収まっている。頭部には第1触角、第2触角、上顎、第1下顎、第2下顎、顎脚があり、胸部には第1胸脚~第4あるいは第5胸脚がある。第6胸脚は退化的で、雌では生殖節の生殖孔における生殖蓋の役割がある。腹部には付属肢はなく、尾部に尾肢がある。体節数は頭部1節、胸部6節(第6胸節は「生殖節」)、腹部4節(第4腹節は肛門節)、合計11節(幼生や幼体では減少している;頭部と第1胸節が融合することがある)となるが、雌では第6胸節(生殖節)と第1節が完全あるいは不完全に融合して「生殖複合節」を形成する(原始的な種であるプラティコピア目では分離している)。そのため合計10節になる。ただし、便宜上、生殖複合節の次の節は第1腹節(もとは第2腹節)とされている。種によっては生殖複合節に1つまたは2つの卵嚢を付けることがある。他の種は卵塊で水中へ放つ種や卵をバラバラに産卵する。種により休眠卵(耐久卵)を産卵する。生殖複合節に貯精嚢をもつが精子を貯蔵する事が可能で、一度の交尾のみで必要に応じて精子と卵と受精させ、一生涯、産卵することが可能である。
第1触角:感覚器として機能し、多くは触角から複数の刺毛が生えており、振動や水中の化学物質を受容する。カラヌス目では前体部程度の長さがある。カラヌス目セントロパジェス科(Centropagidae)では雄で片側の触角が変形し、交尾時に雌を捕まえるための把握器になっている。カラヌス目以外の種では触角は短く、欠くものもいる。
第2触角:第1触角と比べると著しく小型化しており解剖をしないと観察することはできない。遊泳や摂食時の餌をかき集める役割がある。寄生性のあるグループでは宿主へ付着するために鉤爪状へ変形したものもいる。
上顎:餌を咀嚼する器官で、複数の咀嚼歯をもつ。種によっては成体になると退化して摂食をしなくなるものもいる。
第1下顎:餌を捕まえる把握器として機能がある。底節と基節には刺毛が生えており、遊泳としての役割も持つ。
第2下顎:餌を把握する。第1下顎と合わせて餌粒子を濾しとる、懸濁物摂食(suspension feeding)の要になり、これらが位置する部分をフィーディング・バスケット(feeding basket)と称することがある。
顎脚:把握や遊泳としての役割を持つ
胸脚:4対あるいは5対、稀に6対ある。多くは5対で、通常は遊泳として機能する。ハルパクチクス目(ソコミジンコ目;Harpacticoida)では歩脚に変形したものや、第1胸脚が把握としての役割をもつものもいる。カラヌス目では雄の第5胸脚が交尾時に雌を把握し、雌の生殖孔へ精包(spermatophore)をつける働きをもつ。第6胸脚は雄で欠損し、雌では生殖孔の生殖蓋に変形している。
ノープリウス眼(nauplius eye)と呼ばれる眼は第一触角の間にあり、一つ目の単眼である。代表的な属のひとつ、キクロプス(Cyclops)属の属名はギリシャ神話の一つ目巨人キュクロープスに由来する。種によっては2つ目や5つ目、または眼を欠くものもいる。視力は明度を認識する程度しかない。しかし、ポンテラ科(Pontellidae)やコリケウス科(Corycaeidae)などのグループでは眼が発達し大きなレンズ眼となっており[9][10][11]、形態を認識する視力を持っているとされている[9]。
カラヌス目(Calanoida)とミソフリア目(Misophrioida)の一部は心臓をもち[12]、第1胸節または第2胸節の背面に位置する。側面に2つ、後方に1つの開口があり、前方に大動脈がある。ただし大動脈を欠く種もいる。心拍数は1分間に300回程度ととてもはやい。心臓を出た血液は体腔内の小溝中を循環する。血色素はヘムエリスリンだが、甲殻類で一般的なヘモシアニンは報告されていない[13]。
生態
生活史
卵から孵化すると、ノープリウス幼生、コペポディット幼体を経て成体になる。ノープリウス幼生はノープリウス第1~6期、コペポディット幼生はコペポディット第1~5期、成体はコペポディット第6期に相当する。計12つのステージがある。寄生性のグループではステージ数を短縮することが知られている[2]。それぞれのステージは脱皮をすることで次のステージに移行し、成体になると脱皮をしなくなる。したがって、一生の脱皮回数は11回となる。
休眠
ハルパクチクス目(Harpscticoida)の一部とキクロプス目(Cyclopoida)の一部、カラヌス目(Calanoida)の一部のグループは生息に不敵な状況の間(例えば、低酸素、高温、干ばつなど)休眠する。コペポディット幼体や稀に成体のときに休眠するが、中には休眠卵(耐久卵)[14]やシスト(粘液物を分泌して体を包み込みカプセル状に硬化)[15][16]になるものもいる。
コペポディット幼体または成体の休眠は体内に多くの油球(oil sac)を形成する。この油球体積比(いわば体脂肪率)は60%を越える。脂質の種類は多くはワックスエステルとトリグリセリドで[17]、油球中にはワックスエステルが含まれ、トリグリセリドは体内に分散している[18]。一部にプリステイン(pristane)がある(中性浮力として機能していると考えられている)[19]。トリグリセリドをもつ個体は休眠以外でも見られ、休眠個体にはワックスエステルを多く貯蔵している[20]。ワックスエステルはエネルギー貯蔵として働くが、トリグリセリドは海水よりも比重が小さく、浮力としての役割があると考えられている。こうした油球を多く持った休眠個体は食物連鎖上、重要な栄養源となり[21]、水産物中の脂質成分の分布や動態が大きく関わっている。
休眠卵の形状は海産種で著しく、普段の卵(急発卵)は卵殻が平滑で構造物がないが、休眠卵には枝状突起や、円盤状構造物を付ける[22]。休眠卵は一定時間を超え、環境条件が好適になると孵化するが、環境条件が好適になるまでは孵化はしない。環境条件が不適なとき、海底には数cmで数万個の休眠卵が堆積している場合がある[22]。300年経過した休眠卵を好適条件にしたところ孵化し、成体まで成長したという例がある[23]。
分類
分類はWorld Register of Marine Species (2017.9.14)[24]に従い、カラヌス目の上科はOhtsuka & Huys (2001)[25]と日本海洋データセンター(JODC)[26]に準じて分類した。和名は図鑑[3][4][27][28][29]を参考にした。現在は14,770種(2017.9.14)[30]が報告されているが、ここではその代表種をあげる。
2017年にポエキロストム目(Poecilostomatoida)はシクロプス目(Cyclopoida)内に入り、ハルパクチクス目(Harpacticoida)内のグループからカヌエラ目(Canuelloida)へ新設された[31]。タウマトプシルス目(Thaumatopsylloida)があったが、シクロプス目(Cyclopoida)内のグループのシノニムであったためタウマトプシルス目は撤回された[24]。現在10目が現存する。
- 原始前脚下綱 Progymnoplea Lang, 1948
- プラティコピア目 Platycopioida Fosshagen, 1985
- 新カイアシ下綱 Neocopepoda Huys & Boxshall, 1991
- 前脚上目 Gymnoplea Giesbrecht, 1882
- カラヌス目 Calanoida Sars G. O., 1903
- アリエテルス上科 Arietelloidea
- アウガプティルス科 Augaptilidae Sars G.O., 1905
- アエティデウス科 Aetideidae Giesbrecht, 1892
- ヘテロラブドゥス科 Heterorhabdidae Sars G.O., 1902
- ルシクチア科 Lucicutiidae Sars G.O., 1902
- メトリディア科 Metridinidae Matthews, 1961
- メトリディア属 Metridia Boeck, 1865
- Metridia pacifica Brodsky, 1950
- メトリディア属 Metridia Boeck, 1865
- バシィポンティア上科 Bathypontioidea
- バシィポンティア科 Bathypontiidae Brodsky, 1950
- セントロパジェス上科 Centropagoidea
- アカルチア科 Acartiidae Sars G.O., 1903
- アカルチア属 Acartia Dana, 1846
- Acartia (Acartiura) hudsonica Pinhey, 1926
- Acartia (Acartiura) omorii Bradford, 1976
- アカルチア属 Acartia Dana, 1846
- セントロパジェス科 Centropagidae Giesbrecht, 1893
- セントロパジェス属 Centropages Krøyer, 1849
- ディアプトムス(ヒゲナガケンミジンコ)科 Diaptomidae Giesbrecht, 1850
- アカントディアプトムス(ヤマトヒゲナガケンミジンコ)属 Acanthodiaptomus Kiefer, 1932
- Acanthodiaptomus pacificus (Burckhardt, 1913) (ヒゲナガケンミジンコ)
- ディアプトムス(ヒゲナガケンミジンコ)属 Diaptomus Westwood, 1836
- シノカラヌス(ヒゲナガケンミジンコ)属 Spinocalanidae Vervoort, 1951
- Sinocalanus tenellus (Kikuchi K., 1928) (キスイヒゲナガケンミジンコ)
- アカントディアプトムス(ヤマトヒゲナガケンミジンコ)属 Acanthodiaptomus Kiefer, 1932
- ポンテラ科 Pontellidae Dana, 1852
- ポンテラ属 Pontella Dana, 1846
- シュードディアプトムス(ニセヒゲナガケンミジンコ)科 Pseudodiaptomidae Sars G.O., 1902
- シュードディアプトムス(ニセヒゲナガケンミジンコ)属 Pseudodiaptomus Herrick, 1884
- Pseudodiaptomus inopinus Burckhardt, 1913 (ニセヒゲナガケンミジンコ)
- シュードディアプトムス(ニセヒゲナガケンミジンコ)属 Pseudodiaptomus Herrick, 1884
- テモラ科 Temoridae Giesbrecht, 1893
- ユウリテモラ属 Eurytemora Giesbrecht, 1881
- Eurytemora affinis (Poppe, 1880) (ケブカヒゲナガケンミジンコ)
- テモラ属 Temora Baird, 1850
- ユウリテモラ属 Eurytemora Giesbrecht, 1881
- トルタヌス科 Tortanidae Sars G.O., 1902
- アカルチア科 Acartiidae Sars G.O., 1903
- クラウソカラヌス上科 Clausocalanoidea
- クラウソカラヌス科 Clausocalanidae Giesbrecht, 1893
- ユウキータ科 Euchaetidae Giesbrecht, 1893
- フェンナ科 Phaennidae Sars G.O., 1902
- セファロファネス属 Cephalophanes Sars G.O., 1907
- スコレシスリックス科 Scolecitrichidae Giesbrecht, 1893
- スピノカラヌス上科 Spinocalanoidea
- スピノカラヌス科 Spinocalanidae Vervoort, 1951
- ユウカラヌス上科 Eucalanoidea
- ユウカラヌス科 Eucalanidae Giesbrecht, 1893
- ユウカラヌス属 Eucalanus Dana, 1852
- Eucalanus bungii Giesbrecht, 1893
- ユウカラヌス属 Eucalanus Dana, 1852
- サブユウカラヌス科 Subeucalanidae Giesbrecht, 1893
- ユウカラヌス科 Eucalanidae Giesbrecht, 1893
- メガカラヌス上科 Megacalanoidea
- カラヌス科 Calanidae Dana, 1849
- カラヌス属 Calanus Leach, 1816
- Calanus sinicus Brodsky, 1962
- ネオカラヌス属 Neocalanus Sars G.O., 1925
- Neocalanus cristatus (Krøyer, 1848)
- Neocalanus flemingeri Miller, 1988
- Neocalanus plumchrus (Marukawa, 1921)
- カラヌス属 Calanus Leach, 1816
- メガカラヌス科 Megacalanidae Sewell, 1947
- パラカラヌス科 Paracalanidae Soh, Ohtsuka, Imabayashi & Suh, 1999
- カロカラヌス属 Calocalanus Giesbrecht, 1888
- Calocalanus pavo (Dana, 1852)
- Calocalanus plumulosus (Claus, 1863)
- カロカラヌス属 Calocalanus Giesbrecht, 1888
- カラヌス科 Calanidae Dana, 1849
- シュードキクロプス上科 Pseudocyclopidea
- シュードキクロプス科 Pseudocyclopidae Giesbrecht, 1893
- リオカラヌス上科 Ryocalanoidea
- リオカラヌス科 Ryocalanidae Andronov, 1974
- アリエテルス上科 Arietelloidea
- カラヌス目 Calanoida Sars G. O., 1903
- 後脚上目 Podoplea Giesbrecht, 1882
- カヌエラ目 Canuelloida Khodami et al, 2017
- カヌエラ科 Canuellidae Lang, 1944
- ロンジペディア(アシナガソコミジンコ)科 Longipediidae Boeck, 1865
- ロンジペディア(アシナガソコミジンコ)属 Longipedia Claus, 1862
- Longipedia andamanica Wells, 1980 (アンダマンアシナガソコミジンコ)
- Longipedia andamanica nipponica Itô, 1985 (ニホンアシナガソコミジンコ)
- Longipedia spinulosa Itô, 1981 (トゲアシナガソコミジンコ)
- ロンジペディア(アシナガソコミジンコ)属 Longipedia Claus, 1862
- キクロプス(ケンミジンコ)目 Cyclopoida Burmeister, 1834
- キクロプス(ケンミジンコ)科 Cyclopidae Rafinesque, 1815
- キクロプス(ケンミジンコ)属 Cyclops Müller O.F., 1785
- Cyclops strenuus strenuus Fischer, 1851 (ケンミジンコ)
- Cyclops vicinus vicinus Uljanin, 1875 (オナガケンミジンコ)
- エクトキクロプス属 Ectocyclops Brady, 1904
- ユウキクロプス(ノコギリケンミジンコ)属 Eucyclops Claus, 1893
- ハリキクロプス(シオミズケンミジンコ)属 Halicyclops Norman, 1903
- マクロキクロプス(オオケンミジンコ)属 Macrocyclops Claus, 1893
- メガキクロプス属 Megacyclops Kiefer, 1927
- メソキクロプス(アサガオケンミジンコ)属 Mesocyclops Sars G.O., 1914
- ミクロキクロプス(コガタケンミジンコ)属 Microcyclops Claus, 1893
- キクロプス(ケンミジンコ)属 Cyclops Müller O.F., 1785
- レルナエア(イカリムシ)科 Lernaeidae Cobbold, 1879
- レルナエア(イカリムシ)属 Lernaea Linnaeus, 1758
- Lernaea cyprinacea Linnaeus, 1758 (イカリムシ)
- レルナエア(イカリムシ)属 Lernaea Linnaeus, 1758
- ノトデルフィルス(ホヤノシラミ)科 Notodelphyidae Dana, 1853
- オイトナ科 Oithonidae Dana, 1853
- オイトナ属 Oithona Baird, 1843
- Oithona davisae Ferrari F.D. & Orsi, 1984
- Oithona similis Claus, 1866
- オイトナ属 Oithona Baird, 1843
- タウマトプシルス科 Thaumatopsyllidae Sars G.O., 1913
- ポエキロストム亜目 Poecilostomatoida Thorell, 1859 (正確な位置づけは確定していない)
- アンテシウス科Anthessiidae Humes, 1986
- パナイエチス属 Panaietis Stebbing, 1900
- Panaietis incamerata Stebbing, 1900 (サザエノハラムシ)
- パナイエチス属 Panaietis Stebbing, 1900
- コリケウス科 Corycaeidae Dana, 1852
- コリケウス属 Corycaeus Dana, 1845
- ミチリコーラ科 Mytilicolidae Bocquet & Stock, 1957
- ペクチノフィルス属 Pectinophilus Nagasawa, Bresciani & Lutzen, 1988
- Pectinophilus ornatus Nagasawa, Bresciani & Lutzen, 1988 (ホタテエラカザリ)
- ペクチノフィルス属 Pectinophilus Nagasawa, Bresciani & Lutzen, 1988
- オンケア科 Oncaeidae Giesbrecht, 1893
- オンケア属 Oncaea Philippi, 1843
- トリコニア属 Triconia Böttger-Schnack, 1999
- サフィリナ科 Sapphirinidae Thorell, 1859
- サフィリナ属 Sapphirina Thompson J., 1829
- Sapphirina gemma Dana, 1852
- Sapphirina opalina Dana, 1849
- サフィリナ属 Sapphirina Thompson J., 1829
- アンテシウス科Anthessiidae Humes, 1986
- キクロプス(ケンミジンコ)科 Cyclopidae Rafinesque, 1815
- ゲリエラ目 Gelyelloida Huys, 1988
- ハルパクチクス(ツツガタケンミジンコ、ソコミジンコ)目 Harpacticoida Sars M., 1903
- カントカンプタス科 Canthocamptidae Brady, 1880
- ブリオカンプタス属 Bryocamptus Chappuis, 1929
- Bryocamptus (Rheocamptus) zschokkei (Schmeil, 1893) (コケソコミジンコ)
- モラリア属 Moraria Scott T. & A. Scott, 1893
- Moraria (Moraria) terrula Kikuchi Y., 1991 (コブソコミジンコ)
- Moraria (Moraria) tsukubaensis Kikuchi Y., 1991 (ツクバソコミジンコ)
- Moraria (Moraria) varica (Graeter, 1911) (アルキソコミジンコ)
- エパクトファネス亜科 Epactophaninae (Borutsky, 1952)
- エパクトファネス属 Epactophanes Mrázek, 1893
- Epactophanes richardi richardi Mrázek, 1893 (チビソコミジンコ)
- エパクトファネス属 Epactophanes Mrázek, 1893
- ブリオカンプタス属 Bryocamptus Chappuis, 1929
- ダクチロプジア科 Dactylopusiidae Lang, 1936
- ダクチロプジオイデス属 Dactylopusioides Brian, 1928
- ユウテルピナ(カワリソコミジンコ)科 Tachidiidae Sars G.O., 1909
- ユウテルピナ属 Euterpina Norman, 1903
- ハルパクチクス(ソコミジンコ)科 Harpacticidae Dana, 1846
- ハルパクチクス(ソコミジンコ)属 Harpacticus Milne Edwards H., 1840
- チグリオパス(シオダマリミジンコ)属 Tigriopus Norman, 1869
- Tigriopus californicus (Baker, 1912) (カリフォルニアシオダマリミジンコ)
- Tigriopus japonicus Mori, 1938 (シオダマリミジンコ)
- フネガタソコミジンコ科 Ectinosomatidae Sars G.O., 1903
- オヨギソコミジンコ属 Microsetella Brady & Robertson D., 1873
- Microsetella norvegica (Boeck, 1865) (オヨギソコミジンコ)
- Microsetella rosea (Dana, 1847) (アカオヨギソコミジンコ)
- オヨギソコミジンコ属 Microsetella Brady & Robertson D., 1873
- フィログナソプス科 Phyllognathopodidae Gurney, 1932
- フィログナソプス属 Phyllognathopus Mrázek, 1893
- Phyllognathopus viguieri (Maupas, 1892) (コノハアゴソコミジンコ)
- フィログナソプス属 Phyllognathopus Mrázek, 1893
- ポスセロイデス(スイツキミジンコ)科 Porcellidiidae Boeck, 1865
- テガステス(ヨコミジンコ)科 Tegastidae Sars G.O., 1904
- カントカンプタス科 Canthocamptidae Brady, 1880
- ミソフリア目 Misophrioida Gurney, 1933
- モンストリラ目 Monstrilloida Sars G.O., 1901
- モルモニラ目 Mormonilloida Boxshall, 1979
- シフォノストム目 Siphonostomatoida Thorell, 1859
- カリグス(ウオジラミ)科 Caligidae Burmeister, 1835
- カリグス(ウオジラミ)属 Caligus O.F. Müller, 1785
- Caligus fugu (Yamaguti, 1936) (フグウオジラミ)
- Caligus tanago Yamaguti, 1939 (タナゴウオジラミ)
- レペオフテイルス(サケジラミ)属 Lepeophtheirus von Nordmann, 1832
- Lepeophtheirus salmonis salmonis (Krøyer, 1837) (サケジラミ)
- カリグス(ウオジラミ)属 Caligus O.F. Müller, 1785
- レルナエオポーダ(ナガクビムシ)科 Lernaeopodidae Milne Edwards, 1840
- ペンネラ(ヒジキムシ)科 Pennellidae Burmeister, 1835
- カリグス(ウオジラミ)科 Caligidae Burmeister, 1835
- カヌエラ目 Canuelloida Khodami et al, 2017
- 前脚上目 Gymnoplea Giesbrecht, 1882
参考文献
- 長澤和也 (2005) カイアシ類学入門. 東海大学出版会. pp. 326
- 大塚攻 (2006) カイアシ類・水平進化という戦略―海洋生態系を支える微小生物の世界. NHKブックス. pp. 260.
- Reid, JW. 2001. A human challenge: discovering and understanding continental copepod habitats. Hydrobiologia 453/454: 201-226. DOI:10.1023/A:1013148808110
脚注
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関連項目
外部リンク
- “地球で最も繁栄している甲殻類『カイアシ類』”. 広島大学デジタル博物館. 2012年8月7日閲覧。
- “ケンミジンコ”. 淡水プランクトンのページ. 2012年8月7日閲覧。
- 近藤昌和、安本信哉、高橋幸則、カイアシ類の血球の形態学的特徴 (PDF) 水産大学校研究報告, 2014
- 大塚攻、西田周平、海産浮遊性カイアシ類(甲殻類)の食性再考 海の研究 Vol.6 (1997) No.5 P299-320, doi:10.5928/kaiyou.6.299