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[[表現者 (雑誌)|表現者]]顧問、[[京の発言]]主幹を務める。
[[表現者 (雑誌)|表現者]]顧問、[[京の発言]]主幹を務める。


== 主張 ==
大きく分けて、[[アメリカ合衆国|米国]]批判と近代批判がある。


[[自由主義]]や[[民主主義]]を国家の理念に据える[[アメリカ合衆国|アメリカ]]こそが、思想史的に[[進歩主義]]、[[革新主義]]であり、[[冷戦]]が終結した今、最も左翼的で進歩的な国家はアメリカであるとして、アメリカおよび[[自由民主党 (日本)|自民党]]を[[保守]]・[[右翼]]とみなし、[[反米]]および反自民党を[[革新]]・[[左翼]]とみなすという誤謬に陥っている[[戦後#第二次世界大戦後|戦後]]の日本社会を批判している<ref>『自由と民主主義をもうやめる』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}など</ref>。

経済思想面では、[[ジョン・メイナード・ケインズ|ケインズ]]の立場に立脚し、[[グローバリズム]]および、[[構造改革]]、[[小泉純一郎|小泉]]・[[竹中平蔵|竹中]]の[[新自由主義]]・[[小さな政府]]路線を批判している<ref>『アメリカニズムの終焉』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}、『大転換』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}など</ref>。

[[フリードリヒ・ニーチェ|ニーチェ]]の思想に基づき、近代の価値観である[[基本的人権]]や[[自由主義]]、[[民主主義]]は必然的に[[ニヒリズム]]に陥るとしている。先述のアメリカ批判もこの延長上にあり、日本がアメリカ化し、ニヒリズムに陥っていることを問題視している。かつてはニヒリズムに対抗する術として、師の[[西部邁]]同様、[[保守主義]]を標榜していた。しかし、近年では、冷戦体制崩壊後の社会構造の変化によって、「保守と革新」、「右翼と左翼」という対立軸が不明瞭になったこともあり、これらの対立軸が既に時代遅れになった感があるとして、保守や革新に安易に拘泥することにも懐疑的な姿勢を向けている<ref>『日本の愛国心』 31頁など</ref>。


現在では、社会思想史や経済思想および時事問題から日本思想史・日本哲学に軸足を移している。東洋や日本の「無」の思想の意義を探り、[[小林秀雄 (批評家)|小林秀雄]]や[[保田與重郎]]の思想、[[西田幾多郎]]の哲学、[[西谷啓治]]らによる「[[近代の超克]]」を手がかりに[[ニヒリズム]]の克服を目指している<ref>『日本の愛国心』第四章、第六章『日本という「価値』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}、『現代文明論講義』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}</ref>。
現在では、社会思想史や経済思想および時事問題から日本思想史・日本哲学に軸足を移している。東洋や日本の「無」の思想の意義を探り、[[小林秀雄 (批評家)|小林秀雄]]や[[保田與重郎]]の思想、[[西田幾多郎]]の哲学、[[西谷啓治]]らによる「[[近代の超克]]」を手がかりに[[ニヒリズム]]の克服を目指している<ref>『日本の愛国心』第四章、第六章『日本という「価値』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}、『現代文明論講義』{{要ページ番号|date=2013-04-17}}</ref>。

=== 学問に関して ===
本来「公共的な意志」で評価されるべき学問の場に、過度の成果主義、能力主義、市場競争が持ち込まれ、「何の社会的な役割も果たさないように見える、しかし長い目でみれば重要な意味をもつ研究」が切り捨てられることを懸念している。特に文系の学問には市場を基準とした評価はそぐわないと主張している<ref>{{Cite web|url=http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140324/biz14032404100002-n1.htm|title=京都大学教授・佐伯啓思 STAP細胞の夢、どこへ|work=産経ニュース|accessdate=2014-03-24}}</ref>。

現代に生きる人間は情報の洪水の中にいて大量の知識や情報があるがゆえに、それらを相互に関連付けたり解釈することができなくなっているのではないかと危惧している。そのため、現在の[[社会科学]]には学者自身の視座がなく、全体的な展望が失われてしまったと指摘している。なお、佐伯自身は文献をくまなく渉猟するよりも、[[古典]]を通して「現代」の本質を理解することの方が重要だとしている<ref>『20世紀とは何だったのか』はしがき PHP新書、2004年</ref>。

=== 安倍晋三について ===
[[安倍晋三|安倍]]は日本の[[伝統]]を守り、[[道徳教育]]を重視する点は、心情的には[[保守]]に見えるが[[アベノミクス]]を見る限り保守とはいえないととし、経済改革の進め方は急激であり地域格差や所得格差を広げ、社会の安定を崩している。[[第1次安倍内閣]]組閣時も、進歩を疑い歴史に学ぼうとする[[ヨーロッパ]]流の保守と、進歩を信じ革新を目指す[[米国]]流の思想が混在しているという見方をしている<ref name="asahi">朝日新聞 2015年1月11日朝刊「天声人語」</ref>。

=== 集団的自衛権について ===
「[[集団的自衛権]]の行使について[[日本国憲法|現行憲法]]は必ずしも明確に規定してはおらず、その解釈が常に論じられてきたとなれば、解釈変更自体は問題ではない。」とし、[[立憲主義]]の破壊といった主張には距離を置いている<ref>[http://ironna.jp/article/1512 立憲主義を破壊する…わけがない解釈変更]ironna 正論 2014年10月号</ref>。


== 受賞歴 ==
== 受賞歴 ==
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* [[宮本光晴]]
* [[宮本光晴]]
* [[佐藤光]]
* [[佐藤光]]
* [[西田昌司]]
* [[保守左派]]
* [[反米保守]]


== 外部リンク ==
== 外部リンク ==

2017年9月19日 (火) 05:18時点における版

佐伯 啓思
(さえき けいし)
人物情報
全名 佐伯 啓思
(さえき けいし)
生誕 (1949-12-31) 1949年12月31日(74歳)
日本の旗 日本奈良県奈良市
学問
時代 20世紀
21世紀
活動地域 日本の旗 日本
学派 保守主義
研究分野 経済学
文明論(国際文明学、共生文明学、現代文明論、現代社会論)
経済思想史政治思想史
日本哲学
研究機関 京都大学
影響を受けた人物 西部邁
村上泰亮
ジョン・メイナード・ケインズ
フリードリヒ・ニーチェ
その他
主な受賞歴 サントリー学芸賞
東畑記念賞
読売論壇賞
正論大賞
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佐伯 啓思(さえき けいし、1949年12月31日 - )は、日本経済学者思想家京都大学名誉教授。京都大学こころの未来研究センター特任教授[1]。共生文明学、現代文明論、現代社会論といった国際文明学、文明論を研究している[2]。第4期文部科学省中央教育審議会委員を務めた[3]

人物

奈良県奈良市出身。父は教育学者の佐伯正一東京大学経済学部を卒業。東京大学大学院経済学研究科理論経済学専攻博士課程単位取得退学。西部邁村上泰亮に師事した[4]。専攻は社会経済学社会思想史

広島修道大学商学部講師滋賀大学経済学部助教授、同教授を経て、1993年から京都大学大学院人間・環境学研究科教授。2015年定年退職、名誉教授。

表現者顧問、京の発言主幹を務める。


現在では、社会思想史や経済思想および時事問題から日本思想史・日本哲学に軸足を移している。東洋や日本の「無」の思想の意義を探り、小林秀雄保田與重郎の思想、西田幾多郎の哲学、西谷啓治らによる「近代の超克」を手がかりにニヒリズムの克服を目指している[5]

受賞歴

著書

単著

  • 『隠された思考』(筑摩書房、1985年。全国書誌番号:85054701ちくま学芸文庫、1993年)
  • 『時間の身振り学』(筑摩書房、1987年。ISBN 4480853537
  • 『擬装された文明』(TBSブリタニカ、1988年。ISBN 4484882108
  • 『「シミュレーション社会」の神話』(日本経済新聞社、1988年。ISBN 4532094534
  • 『産業文明とポスト・モダン』(筑摩書房、1989年。ISBN 4480854924
  • 『市場社会の経済学』(新世社、1991年。ISBN 4915787176
  • 『「アメリカニズム」の終焉』(TBSブリタニカ、1993年。ISBN 4484932105。増補版1998年/中公文庫、2014年)
  • 『「欲望」と資本主義』(講談社現代新書、1993年。ISBN 4061491504
  • 『イデオロギー/脱イデオロギー』(岩波書店、1995年。ISBN 4000044257
  • 『現代日本のリベラリズム』(講談社、1996年。ISBN 4062081024
  • 『現代民主主義の病理』(NHKブックス、1997年。ISBN 978-4140017883
  • 『市民とは誰か』(PHP新書、1997年。ISBN 4569556957
  • 『現代日本のイデオロギー』(講談社、1998年。ISBN 406208998X
  • 『アダム・スミスの誤算 幻想のグローバル資本主義 上』(PHP新書、1999年。ISBN 4569605354中公文庫、2014年)
  • 『ケインズの予言 幻想のグローバル資本主義 下』(PHP新書、1999年。ISBN 456960675X/中公文庫、2014年)
  • 『貨幣・欲望・資本主義』(新書館、2000年。ISBN 4403230830
    • 加筆改題し 『貨幣と欲望 資本主義の精神解剖学』(ちくま学芸文庫、2013年。ISBN 978-4480095619
  • 『国家についての考察』(飛鳥新社、2001年。ISBN 4870314738
  • 『総理の資質とは何か』(小学館文庫、2002年。ISBN 409402736X
  • 『新「帝国」アメリカを解剖する』(ちくま新書、2003年。ISBN 448006110X
  • 『成長経済の終焉』(ダイヤモンド社、2003年。ISBN 447823129X
  • 『砂上の帝国アメリカ』(飛鳥新社、2003年。ISBN 4870315815
  • 『人間は進歩してきたのか-現代文明論(上) 「西欧近代」再考』(PHP新書、2003年。ISBN 4569631886
  • 『20世紀とは何だったのか-現代文明論(下) 「西欧近代」の帰結』(PHP新書、2004年。ISBN 4569635466
    • 『20世紀とは何だったのか 西洋の没落とグローバリズム』(PHP文庫、2015年。ISBN 978-4569763064)。大学での最終講義『「近代の超克」という試み』を併録
  • 『自由とは何か』(講談社現代新書、2004年。ISBN 4061497499
  • 『倫理としてのナショナリズム』(NTT出版、2005年。ISBN 4757140916/中公文庫、2015年)
  • 『学問の力』(NTT出版、2006年。ISBN 4757141351ちくま文庫、2014年)
  • 『「こころ」を失った競争経済』國民會館(大阪)、2007年9月。全国書誌番号:21348041
  • 『日本の愛国心 序説的考察』(NTT出版、2008年。ISBN 978-4757141759/中公文庫、2015年)
  • 『自由と民主主義をもうやめる』(幻冬舎新書、2008年。ISBN 978-4344980976
  • 『大転換 脱成長社会へ』(NTT出版、2009年。ISBN 978-4757122291/中公文庫、2016年)
  • 『日本という「価値」』(NTT出版、2010年。ISBN 978-4757142480
  • 『現代文明論講義』(ちくま新書、2011年。ISBN 978-4480066145
  • 『反・幸福論』(新潮新書、2012年。ISBN 978-4106104503
  • 『経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ』(講談社現代新書、2012年。ISBN 978-4062881715
  • 『文明的野蛮の時代』(NTT出版、2013年。ISBN 978-4757143029
  • 『日本の宿命』(新潮新書、2013年。ISBN 978-4106105029
  • 『正義の偽装』(新潮新書、2014年。ISBN 978-4106105548
  • 西田幾多郎 無私の思想と日本人』 (新潮新書、2014年。ISBN 978-4106105890
  • 『従属国家論 日米戦後史の欺瞞』(PHP新書、2015年。ISBN 978-4569825397
  • 『さらば、資本主義』 (新潮新書、2015年。ISBN 978-4106106415
  • 『反・民主主義論』(新潮新書、2016年。ISBN 978-4106106873
  • 『経済成長主義への訣別』(新潮選書、2017年。ISBN 978-4106038020
  • 『さらば、民主主義 憲法と日本社会を問いなおす』(朝日新書、2017年。ISBN 978-4022737175

共著

共編著

脚注

  1. ^ http://kokoro.kyoto-u.ac.jp/jp/staff/2015/04/post_67.html
  2. ^ 京都大学大学院人間・環境学研究科教員紹介
  3. ^ 中央教育審議会 委員名簿”. 2015年4月17日閲覧。
  4. ^ 朝日新聞 2013年10月16日 織井優佳記者『人生の贈りもの 佐伯啓思さん』「なかでも教養学部の村上泰亮教授が経済、社会、政治学を統合して現代日本を論じていて、共感しました。村上さんを囲む数人の集まりを作り、毎週議論しました。その後、大きく影響を受けた西部邁さんと出会ったのも、ここです。」
  5. ^ 『日本の愛国心』第四章、第六章『日本という「価値』[要ページ番号]、『現代文明論講義』[要ページ番号]
  6. ^ http://www.suntory.co.jp/sfnd/prize_ssah/detail/1985sr1.html

関連項目

外部リンク