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|title=スマトラ沖地震で1日の長さが100万分の3秒変化? |
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2017年9月4日 (月) 22:55時点における版
ポールシフト (pole shift) とは、惑星など天体の自転に伴う極(自転軸や磁極など)が、何らかの要因で現在の位置から移動すること。軸を固定したまま南北の磁性のみが反転する現象については地磁気逆転と呼び区別する。現在では極端な移動こそはないものの、中心核の磁性変動で磁北が1年に約64キロというスピードで東へ向かって移動しているとする研究結果が発表されている[1]。自転軸に関しても、2004年12月26日に発生したマグニチュード9.3のスマトラ島沖地震では、最大で約2cm程度移動した(広義の"ポールシフト"、極運動が発生した)可能性があるとする予測がある[2]。
地球科学の分野におけるポールシフト
自転軸のポールシフト
月を生成した原因と考えられるジャイアント・インパクト仮説では、原始地球に火星大の原始惑星が衝突したことによって現在の地球と月の組成が成立した他、地球の公転面に対する自転軸の傾斜角(約23.4度)もこの際に確定したとされる。
また天王星は黄道面に対する自転軸の傾き(赤道傾斜角)が97.9°、冥王星は122.5°もあり、ほぼ横倒しの状態になっている。また、金星は178°傾いており、ほぼ逆方向に回転をしている。その原因については不明だが、有力な説では、数十億年前の微惑星や原始惑星の衝突によりポールシフトが起こったのではないかと考えられている。
地磁気のポールシフト
地磁気の磁極は、頻繁に変化していることが観測されている[3]。また、海洋プレートに記録された古地磁気の研究(古地磁気学)によって、数万年~数十万年の頻度でN極とS極が反転していることも知られている。この変化は永年変化と呼ばれているが、その原因についてはいまだ明確な説は存在していない。
オカルト・疑似科学におけるポールシフト
一般的に用いられる「ポールシフト」の多くは、もっぱら疑似科学やオカルトの世界で用いられるタームであり、特に(磁極の移動ではなく)自転軸の移動を意味する文脈で使われることが多いとされる。さらに、自転軸上の北極と南極が(何らかの要因で、短時間のうちに)反転する意味で使われることもある。
どのような形にしろ、オカルト論者などが主張するような自転軸の北極・南極が瞬間的ないし短時間で入れ替わるようなポールシフトが地球上で発生したと仮定した場合、発生する急激な加速度に耐えられる高等生物はまず存在しないことが容易に想像でき、その後に引き起こされる気候変動・地殻変動などのために壊滅的な被害が発生することが予測される。 さらに、地球の自転軸を瞬間ないし短時間で移動・反転させるほどのポールシフトを発生させるには膨大なエネルギーが必要であり、彼らが主張するような「致命的なポールシフト」が地球外からの質量の衝突などによって発生した場合には、ポールシフト以前に人類はおろか地球上の生物は全て絶滅する可能性が高い。 原始地球に火星大の原始惑星が衝突することによって発生し月を生成したとするジャイアントインパクト仮説ですら、火星ほどの質量が衝突して地球と月を「再構成するに等しい破局」をもたらした上で、現在の地球の公転面に対して地軸を23.5度傾斜させるに留まっている。
回転軸が変わるポールシフト
初期のポールシフト理論は、1958年のチャールズ・ハップグッドの著書The Earth's Shifting Crust と1970年のPath of the Pole により広まった。ハップグッドは、片方、または両方の極に氷が集まりすぎると、地球の回転バランスが不安定になり、コア周囲の外皮のほとんど、またはその全てが滑り、その結果回転軸が変化してバランスが保たれるのではないかと予測した。
この、1万2千年から2万年ごとに発生するポールシフトの結果、激しい気候変動が地球の大半に発生し、赤道地域は温帯に、そして温帯だった地域は赤道や極になるとしている。
極の氷以外の理論としては、以下のようなものがある。
ただし、現在の自然科学の世界では、大規模な(自転軸の)ポールシフトが頻繁に発生していたという考えはいずれも認められておらず、疑似科学やオカルト的妄言などとして扱われているのが現状である。
ポールシフトを基にした主張
ポールシフトが頻繁に発生していたという仮説を元に、次のような主張がされている。
- 『神々の指紋』(グラハム・ハンコック)
- かつて南極は温帯にあり、そこがアトランティスだったと主張している。
- 『衝突する宇宙』(イマニュエル・ヴェリコフスキー)
- イザヤ書に記された奇蹟「太陽の逆行」はポールシフトによるものだと主張している。
- 地磁気ポールシフト否定説
- 一部の学者は、地磁気の反転が起こるのではなく、地軸のポールシフトが起こるため反転してみえるのだと主張している。
- ポールシフトの予測
- エドガー・ケイシーは2001年までにポールシフトが発生すると予言したと言われている[4]。
ただし、いずれの説も自然科学の必要条件を満たしておらず、自然科学から逸脱した、疑似科学やオカルトに過ぎない。
ポールシフトが登場するフィクション
ポールシフトは、いくつかのSF(空想科学小説)などの題材として用いられている。
- 『地軸変更計画』(ジュール・ヴェルヌ)
- 『月世界旅行』に登場した「大砲クラブ」のメンバーが、北極の石炭鉱床開発のため、かつて月旅行に用いた巨大コロンビヤード砲の技術を応用して地軸を変更し、北極を温暖化しようと試みる。
- 『揺籃の星』(ジェイムズ・P・ホーガン)
- ヴェリコフスキー説を肴にした破滅SF。巨大彗星の接近によってスーパープルームが噴出してプレートが急速に成長し、同時に彗星と地球の磁場の相互作用によって短時間に地磁気の反転が繰り返されてその痕跡がプレートに刻み付けられる。
- 『七都市物語』(田中芳樹)
- 「大転倒」で地球は壊滅。生存者は月に設立された汎人類世界政府によって7つの都市国家に再編される。
- 『異形特務空母〈那由多〉』(吉田親司)
- ツングースカに落下した「大怪球」がポールシフトの引き金を引き、アメリカとソ連が崩壊する。
- 『轟拳ヤマト』(飯島祐輔)
- ロシアの大地を永久凍土から解放するために、ポールシフトを人工的に引き起こそうという計画。スターリンが計画した「ガリレオ計画」に基き戦争を引き起こす。
- 『未来少年コナン』
- 核兵器よりも強力な超磁力兵器によって地軸が捻じ曲げられた、大地殻変動後の世界を描く。
- 『タイドライン・ブルー』
- 「ハンマー・オブ・エデン」と呼ばれる天変地異が起こり、地表の90%が海に没し人類の大半が死滅した。
- 『トップをねらえ!』
- 作中、太陽系外縁部で人工ブラックホールが超重力崩壊を起こした影響で地軸が歪み、日本は温帯から熱帯に。
- 『新世紀エヴァンゲリオン』
- 「セカンドインパクト」と呼ばれる南極での大爆発により地軸の変動が発生し、日本は常夏となる。
- 『バトルアスリーテス 大運動会』
- 地球人とのスポーツ勝負に負けたネリリ星人が、悔し紛れに地球を倒してしまう。
- 『ゾイドジェネシス』
- ポールシフトとその後に起こった国家間の戦争により文明が崩壊した惑星Ziの数千年後の話。
- 『OKAGE』
- 梶尾真治の小説。作中ポールシフトを察知した人の間にOKAGEと呼ばれる存在が現れ、危機を回避する様が書かれる。
- 『青の6号』
- 環境変動で多くの陸地が水没した地球を舞台に、潜水艦を率いる世界的組織"青"と、ポールシフトにより人類滅亡を企むゾーンダイク博士の水棲生物軍団との戦いを描いたもの。
- 『JIHAI〜磁海〜』
- 二越としみの漫画。進行中のポールシフトを回避するため、地球に環をつけ固定するという方法を選んだ末、広範囲な磁場の異常等いびつな環境となった地球が舞台となっている。
- 『イデアの日』
- 「チジクカタムケール」というポールシフトを発生させるものの発動を阻止するのが大きな目標。
- ダーク・ピットシリーズ(クライブ・カッスラー)
- シリーズのうちの一つ、『アトランティスを発見せよ』でダーク・ピットは人為的にポール・シフトを起こして、文明滅亡後の世界の覇権を握ろうとするナチス残党と戦うことになる。
- 『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』
- ポールシフトの発生そのものは明記されていないが、単行本24巻冒頭の地図から見て、作中400年前の「大破壊」時に発生したことが窺える。
- 『白銀の意思 アルジェヴォルン』
- 大気戦中に散布された戦略マイクロマシン兵器の暴走により、地軸が数度転倒。再活性化を回避するために航空機の使用が全面的に禁忌とされている。
脚注
- ^ “中心核の磁性変動で磁北が東へ移動”. ナショナルジオグラフィック (2009年12月25日). 2010年1月6日閲覧。
- ^ “スマトラ沖地震で1日の長さが100万分の3秒変化?”. 読売新聞 (Internet Archive) (2004年12月29日). 2008年9月27日閲覧。
- ^ “磁石の北と地磁気極と磁極”. 京都大学大学院理学研究科附属地磁気世界資料解析センター. 2006年4月29日閲覧。
- ^ ケビン・トデッシー. “地球の変動”. 日本エドガー・ケイシーセンター. 2006年4月29日閲覧。
関連項目
参考文献
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