「グッバイ、レーニン!」の版間の差分
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* [http://web.archive.org/web/20081205110537/http://www.gaga.ne.jp/lenin/ 映画「グッバイ、レーニン!」公式サイト] - 閉鎖。(2008年12月5日時点の[[インターネット |
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* [http://www.good-bye-lenin.de/ 映画「グッバイ、レーニン!」ドイツ語公式サイト] |
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* [http://www.sandmaennchen.de/ ザンドマン公式サイト(ドイツ語)] |
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2017年9月4日 (月) 20:12時点における版
グッバイ、レーニン! | |
---|---|
Good Bye Lenin! | |
監督 | ヴォルフガング・ベッカー |
脚本 |
ベルント・リヒテンベルク ヴォルフガング・ベッカー |
製作 | シュテファン・アーント |
出演者 |
ダニエル・ブリュール カトリーン・ザース |
音楽 | ヤン・ティルセン |
撮影 | マルティン・ククラ |
編集 | ペーター・R・アダム |
配給 | ギャガ |
公開 |
2003年2月13日 2004年2月21日 |
上映時間 | 121分 |
製作国 | ドイツ |
言語 | ドイツ語 |
製作費 | € 4,800,000 |
『グッバイ、レーニン!』(英語: Good Bye Lenin!)は、2002年製作、2003年2月に公開されたドイツの映画。監督はヴォルフガング・ベッカー、脚本はベルント・リヒテンベルクとヴォルフガング・ベッカーの共同、音楽は『アメリ』のヤン・ティルセン。
東西ドイツ統合後の庶民の身に起こった悲喜劇を家族像と共に描いた作品であり、映画公開後は本国ドイツで大ヒットし、ドイツ歴代興行記録を更新した。また第53回(2003年)ベルリン国際映画祭の最優秀ヨーロッパ映画賞(「嘆きの天使賞」)ほかドイツ内外の様々な映画賞を受賞した。
日本ではギャガ・コミュニケーションズ(現・ギャガ)の配給で2004年2月に公開。
あらすじ
東ドイツの首都東ベルリンに暮らす主人公のアレックスとその家族。母のクリスティアーネは夫のローベルトが西ドイツへ単独亡命して以来、その反動から熱烈に社会主義に傾倒していた。そんな家庭環境の中、東ドイツ建国40周年記念日である1989年10月7日の夜に、アレックスは家族に内緒で反体制デモに参加、街中で警官ともみあっていた。それを偶然通りがかったクリスティアーネが目撃。強いショックから心臓発作を起こして倒れ、昏睡状態に陥る。
彼女は二度と目覚めないと思われたが、8ヶ月後に病院で奇跡的に目を覚ます。しかし、その時にはすでにベルリンの壁は崩壊、東ドイツから社会主義体制は消え去り、東西統一も時間の問題となっていた。「もう一度大きなショックを受ければ命の保障は無い」と医師から宣告されたアレックスは、思案の末、母の命を守るため自宅に引き取った。姉のアリアネや恋人のララをはじめ周囲の協力を半ば強要しながら、東ドイツの社会主義体制が何一つ変わっていないかのように必死の細工と演技を続ける。だが、道路は西側の車が頻繁に通行し、ビルの壁には西側文化の象徴である「コカ・コーラ」の広告が掲げられ、国営配給ストアは西側資本のスーパーマーケットに変貌していく。
アレックスは映画マニアの友人デニスの協力を得て、「コカ・コーラが東ドイツの国営企業と提携をした」「西ドイツの経済が悪化したことで、自家用車で亡命する西ドイツ人が急増した」といった内容の偽のニュースを製作し、母に見せることで変化を納得させるが、それでも東西統一の現実は着実に近づいていた。
1990年7月1日、東ドイツマルクの通貨交換が開始されるが、預金のありかを母はなかなか思い出せず、ようやく見つけた時には、すでに交換の期限を迎え、紙幣は紙屑になってしまった。その過程で、アレックスは父親からの手紙を発見し、父ローベルトの亡命の真相を知る。西ドイツの父を訪ねると、再婚し妻子と暮らしていた。アレックスは腹違いの弟と宇宙飛行士の話をする。
母の病状は悪化していき、アレックスはジークムント・イェーンの協力を得て、ドイツ統一の偽ニュースを作る。それから程なくして、クリスティアーネは息を引き取った。
キャスト
- アレクサンダー・ケルナー(アレックス)
- 演 - ダニエル・ブリュール、声 - 内田夕夜
- 主人公の青年。幼少時代には宇宙飛行士に憬れ、卒業後は東ドイツでテレビ修理工として働く。ベルリンの壁崩壊で国営事業所の解体により失職してしまうが、運良く衛星放送のサービスを行なう会社に再就職した。長き眠りから目覚めた母のために東ドイツが健在であるという偽装を行うため、消えつつある東ドイツ製品を求めて奔走し、失業や貧困といった問題に直面していく。やがて、姉や恋人がアレックスの無理には付き合えずに背を向けていき、アレックス自身も、東ドイツの生活を愛しく懐かしいものと感じるようになっていくが、急速な時代の変化は、東西冷戦時代を忘却の彼方へと押しやってゆく。
- クリスティアーネ・ケルナー
- 演 - カトリーン・ザース、声 - 藤田淑子
- アレックスの母。夫が西ドイツに亡命したことで、心身を喪失してしまう。失語症状態から抜け出した後は、社会主義に傾倒。ピオネールでの教育活動や婦人の生活改善運動を積極的に行ない、ついには表彰されるまでになった。アレックスも参加していた反体制デモを目の当たりにしてショックのあまり心臓発作を起こす。その8ヶ月後、意識を取り戻すが、ホーネッカー議長は辞任に追い込まれ、ベルリンの壁は崩壊していた。再度の発作は命取りとなる為、アレックスは姉の反対を押し切って母を嘘で塗り固めた自宅へと連れ帰った。アレックスらの涙ぐましい努力により東ドイツの健在を信じていた。しかし、ドイツ統一は西側主導で加速し、FIFAワールドカップイタリア大会では統一ドイツチームが見事優勝を成し遂げる(史実では優勝したのは「西ドイツ代表」である)。ある日、アレックスが寝ている間に外を出歩いた際に、西側諸国から流入した資本主義の洗礼を目の当たりにしてしまう。それでもなお、アレックスは巧妙に情報を改竄して母を安心させようとする。
- ララ
- 演 - チュルパン・ハマートヴァ、声 - 甲斐田裕子
- ソ連からのロシア人交換留学看護学生。反体制デモでアレックスと知り合い、その後病院でクリスティアーネの担当看護婦となり、アレックスと再会、アレックスの積極的なアプローチで晴れて恋人同士となる。母思いのアレックスに協力こそしているが、内心では事実の隠蔽を快く思っておらず、アレックスとの関係も次第にギクシャクし始める。ひた隠しにしている事実は、いずれ知られると感じたため、アレックスがいない間に現実に起こっている事実をクリスティアーネに告げる。
- アリアネ・ケルナー
- 演 - マリア・シモン、声 - 藤貴子
- アレックスの姉。学生結婚の末離婚したシングルマザー。大学で経済学を学んでいたが、ベルリンの壁崩壊後に中退してバーガーキングに勤務。そこでライナーと知り合った。流入した西側文化を手放しで受け入れ、自由で快適な生活を謳歌する。母のため当初は渋々ながらアレックスに協力していたが、徐々に自分達の生活が脅かされていくため、苛立ちを隠せなくなっていく。仕事中に偶然にも父と再会してしまい、ストレスに悩ませられる。ライナーとの間に出来た二人目の子供を妊娠する。
- デニス・ドマシュケ
- 演 - フロリアン・ルーカス、声 - 高木渉
- アレックスの再就職した衛星放送サービス会社の同僚で西ドイツ出身の青年。「明日のキューブリック」を目指す映画マニアで、自主制作映画を作っている。親友となったアレックスを助けるために持っていた東ドイツのニュース番組の録画テープを基に偽のニュース映像を作成。自ら付け髭を生やしてアナウンサーとして登場している。
- ライナー
- 演 - アレクサンダー・ベイヤー、声 - 高瀬右光
- アリアネの新しい恋人。アリアネの就職したバーガーキングのマネージャーでインド文化オタク。少し間の抜けたところはあるが愛嬌のある青年。アレックスの無茶な試みに渋々協力させられる。トラバントの新車を購入する。
- ローベルト・ケルナー
- 演 - ブルクハルト・クラウスナー、声 - 遠藤純一
- アレックスの父で医師。愛人にそそのかされて西ドイツに亡命した、とアレックスは聞かされていたが、実は別の原因があっての行動であった。西ドイツで再婚しており、庭付きの豪邸で妻と2人の子供に囲まれて生活している。母が食器棚に隠していた手紙から居場所が判明し、アレックスとの再会を果たす。
- ジークムント・イェーン
- 演 - シュテファン・ヴァルツ
- 東ドイツ空軍の軍人にして東西ドイツ両国で初の宇宙飛行士。宇宙飛行士に憬れていたアレックスは彼を尊敬している。
- なお、イェーンは実在の人物だが、史実では東西ドイツ統一の前日まで東ドイツ空軍の将官として勤務しており(最終階級は少将)、退役後はドイツ航空宇宙センターのコンサルタントとなっている。日本公開時の字幕では「S・イェーン」と表記されており、DVD版の吹替えやノヴェライズ版では「ジクムント」と発音あるいは表記されている。
日本公開版の関係者
関連人物・関連用語
- 表題「グッバイ、レーニン!」が指し示す人物。劇中ではベルリンの壁崩壊の象徴として解体され運ばれるレーニン像が登場する。
- 東ドイツの秘密警察。作中に登場し、母親クリスティアーネに対して嫌味な言動を執拗に行なう。
- 東ドイツの警察。アレックスが加わったデモ隊の排除を試みる。
- 東ドイツの軍隊。東ベルリン都心のカール・マルクス・アレーで建国40周年の軍事パレードが挙行され、アレックスが騒音と振動に頭を抱えてしまう。しかしその1か月後、ベルリンの壁が解放される。軍事パレードのシーンには実際の記録映像が使われている。
- ザントマン(砂男)
- 旧東ドイツで製作されていたパペット・アニメーション作品。夜更かしする子供に睡眠を促す少年の妖精の数々の冒険を描いた作品で、東西ドイツ統一後も命脈を保ち続けている数少ない旧東ドイツ産文化の一つであり、象徴的な存在。作中ではイェーンが宇宙飛行時に宇宙船内に人形を持ち込んでおり、またアレックスが西ドイツのローベルト邸で見て、ローベルトがアレックスに気づくきっかけとなった。
- 東ドイツの通貨。劇中では東西統一後にドイツマルクへ交換されることになったが、母が大量の東ドイツマルクの隠し場所を病気のショックから忘れてしまい、母がやっと隠し場所を思い出した時にはすでに交換期限が2日過ぎた後で、紙幣はただの紙切れとなってしまった。
- シュプレーヴァルト・グルケン
- 主人公の母の好物である旧東ドイツ産ピクルスの銘柄。シュプレーヴァルトとは、ブランデンブルク州南西部にある湿地帯の地名であり、原材料であるキュウリの産地である。シュプレーヴァルト・グルケンというピクルスそのものは、19世紀の作家テオドール・フォンターネが同地方の名産品として言及しており、1999年にはEUから原産地名称保護の対象として認定された。
- モカフィックス・ゴールト
- 旧東ドイツの代表的なコーヒー・ブランド。「シュプレーヴァルト・グルケン」のピクルス空き瓶同様、主人公はこのコーヒーの銘柄のパッケージ探しをすることになる。製造元のレーストファイン・カフェー社は1908年創業の歴史を持ち、東西ドイツ再統一後も存続して、旧東ドイツで親しまれたモカフィックス等のブランドも健在である。
- 旧共産圏にて多く見られた子供の運営による鉄道。本作でも登場する。ハンガリーのブダペスト、ロシア各地(サハリン州のユジノサハリンスク等)では今でも存在し、観光名所の一つになっている。子供鉄道の一覧も参照の事。
- インテル・コスモス計画(西欧では「インター・コスモス計画」と呼称)
- 1973年7月13日に調印され、1977年3月25日に発効。正式名称は「平和目的のための宇宙空間の探査及び利用に関する協定」。旧ソビエトを中心に、締約国諸国(ブルガリア、ハンガリー、旧東ドイツ、キューバ、モンゴル人民共和国、ポーランド、ルーマニア)により結ばれた共同宇宙開発プロジェクト。作中に登場したジークムント・イェーンは、東ドイツ代表の宇宙飛行士として選抜されて参加した[1]。
- 旧東ドイツ製の小型乗用車。作中ではアレックスがクリスティアーネと家族を連れて山小屋に行くのに使われている。
- シュヴァルベ (SIMSON Schwalbe)
- 旧東ドイツ製のスクーター。作中ではアレックスが青いシュヴァルベを足代わりにしている。ネーミングは鳥のツバメの意味。いくつかのバリエーションがあるが、いずれもエンジン排気量は約50cc。
- ドイツ語で「東」を意味する「オスト」と「郷愁」を意味する「ノスタルギー」を合わせた造語。東西ドイツ統一後に旧東地区出身者の「昔だってそんなに悪くなかった」との感傷から作られた概念。本作品自体がオスタルギーに満ちているとも言える。
- ドイツ国内では、東西ドイツ統一そのものは肯定的に捉えられているが、統一を急ぎすぎたことにより生じた東西の経済格差や雇用格差などが社会問題となっている。本作品の「急激な西側文化の流入が心臓発作を引き起こす」という設定は、統一に対する社会的評価が投影されたものである[2]。
入手可能なメディア
- DVD『グッバイ、レーニン!』 映像特典として未公開シーンや監督のインタビューも収録されている。発売元はカルチュア・パブリッシャーズ、販売元は日本ソフトサービス。
- Blu-ray 2014年1月10日発売 発売元ギャガ、販売元東映、東映ビデオ
- ノヴェライズ版『グッバイ、レーニン!』 入間眞・編訳:竹書房文庫より2004年2月21日初版発行。巻頭に関連年表が付く。
関連項目
- アントニオ・サラザール (ポルトガルの独裁者。事故で2年間意識不明となったが、意識を取り戻したのちも、現実の変化にショックを受けないよう偽の新聞を与えられるなどして、自分がもはや権力を喪失したことを知らないまま死んだ。)
- オマージュされた映画
- 『2001年宇宙の旅』監督:スタンリー・キューブリック (デニスが制作しているビデオが、作中の猿人が投げる骨が宇宙船に変わるジャンプカットシーンのオマージュになっている)
- 『時計じかけのオレンジ』監督:スタンリー・キューブリック (荷物を運ぶ早回しのシーンが、作中の主人公・アレックスが展開するベッドシーンの早回しのシーンのオマージュになっている)
- 『甘い生活』監督:フェデリコ・フェリーニ (レーニン像が吊るされながら低空飛行するシーンが、作中のキリスト像を吊るしながら低空飛行するシーンのオマージュになっている)
脚注
外部リンク
- 映画「グッバイ、レーニン!」公式サイト - 閉鎖。(2008年12月5日時点のアーカイブ)
- 映画「グッバイ、レーニン!」ドイツ語公式サイト
- ザンドマン公式サイト(ドイツ語)
- グッバイ、レーニン! - allcinema
- グッバイ、レーニン! - KINENOTE
- グッバイ、レーニン! - オールムービー
- グッバイ、レーニン! - IMDb